日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
39 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 深澤 瑞也, 松下 和通, 神家満 学, 望月 勉, 三神 裕紀, 座光寺 秀典, 荒木 勇雄, 武田 正之
    2006 年 39 巻 4 号 p. 235-242
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜透析カテーテルの位置異常は時に注排液困難を呈し, 臨床上対応に苦慮することを経験する. このようなカテーテル位置異常に対して, われわれは腹腔鏡下に留置針を穿刺しナイロン糸を挿入してカテーテルを腹壁に固定する簡易な方法 (Peritoneal Wall Anchor Technique: PWAT) の有用性に関して以前本誌において報告した. しかし, 操作にあたっては腹腔鏡システムを用いなければならない煩雑さや, カテーテル位置異常がおきてから半緊急処置として施行しなければならないといった問題があった.
    そこでわれわれは, 腹壁固定術は実際にカテーテル位置異常が生じてから施行するのではなく予防こそが重要であると考え, カテーテル挿入時に併施する方法を考案したので報告する. この方法は今までの体表面からの穿刺ではなく腹腔内から体表への穿刺になるため, 元法による腸管穿孔などの合併症も解決できたと考える.
    この方法で今までに計21症例に行い, 全例施行時に合併症なく施行することができた.
    本法は簡便かつ安全にPWATが施行できる有用な方法であろうと考えられた.
  • 香村 衡一, 乳原 善文, 東原 英二
    2006 年 39 巻 4 号 p. 243-252
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    [目的] 多発性嚢胞腎 (ADPKD) の腹部腫大は末期腎不全に至ったADPKDの予後を決める大きな合併症の一つであるが, その有効な治療法としては, 従来手術による外科的治療法しかないと考えられていた. 近年, 乳原らは腎動脈塞栓術 (TAE) がこの病態を劇的に改善させる, 危険度の少ない治療法であることを報告した. 今回, 虎の門病院以外での施設におけるADPKDへのTAE療法の現況を調査し, この治療法の有効性について検証を行う目的で, 全国アンケート調査を行った. [方法] ADPKDに対してTAEを行ったことを学会報告した全国の医療機関18施設に, 2004年7月にアンケート用紙を郵送した. 回答が得られた12機関, 34症例のTAEについて分析した (回答率60%). [結果] 腎TAE症例は34例で, この内, 両側施行例25例, 片側施行例9例であった. 塞栓物質は30例がコイル主体か, スポンゼルとの併用で, 3例がエタノール主体か, スポンゼルとの併用, 1例でスポンゼルのみの使用であった. 術後ほぼ全例で疼痛と発熱がみられた. 他の合併症としては, 術中コイルが腹部大動脈内に落下しかかった1例, シャント閉塞1例などがあった. 両側腎に対してTAEを施行し, 術後の評価がなされた症例22例中21例に自覚症状の改善を認め, 施行後半年以降の評価で, 腹囲縮小は-6.9±4.8cm (n=13, p<0.001), CT上の腎容積はTAE前に対して60.4±16.0% (n=21, p<0.0001) であった. 片腎施行例もおおむね改善を認めたが, 9例中2例で反対側の腎容積の急速な増大を認めた (141.2%と138%). [結論] 全国統計でも腎へのTAEは効果のある治療法と考えられた. 腎TAEは両側に行う必要性があると考えられた.
  • 増田 貴博, 村田 光延, 本間 寿美子, 岩津 好隆, 小倉 学, 桜井 祥子, 島田 和幸, 草野 英二, 浅野 泰
    2006 年 39 巻 4 号 p. 253-259
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    睡眠呼吸障害 (sleep disordered breathing; SDB) は, 高血圧や虚血性心疾患, 脳血管障害など生命予後を左右する臓器疾患との関連があり, 腎不全患者では非常に高頻度であるといわれている. しかし, 国内では透析患者のSDBの検討は十分に行われていない. 今回われわれは, 維持透析患者におけるSDBの疫学および関連因子について検討した. 対象は, 維持透析中の101名 (男性51名, 女性50名), 透析法はHD 96名, HDF 3名, CAPD 2名, 原疾患は糖尿病41名 (40.6%), 非糖尿病60名, 平均BMIは22.4±5.2であった. 全対象患者に, 自宅での終夜パルスオキシメータを透析施行日から2日間連続で実施し, 合わせて睡眠アンケートも行った. この検査でSDBと診断した42名に簡易ポリソムノグラフィ (PSG) を追加施行した. パルスオキシメータの結果から, 原疾患別のSDB頻度, 測定日による違い, 肥満度・日中の自覚症状との相関について調べた. さらに, 貧血や心胸比などとの関連性も検討し, PSGによる型分類も行った. SDBの頻度は51.5%と高頻度で, 糖尿病では71%と極めて高い割合を示した. 測定日による差はなく, 肥満者の頻度は有意に高かったが, 中等症以上のSDBの頻度に有意な差はなかった. PSGの結果から71.1%で中枢型の無呼吸イベントが含まれていた. 関連因子についての検討では, 重症のSDBほど心胸比が大きく, 貧血が強い傾向にあったが, 透析間体重増加率, 尿素窒素, 血清Cr値, 血清Alb値, intact PTHとの関連はみられなかった.
    透析患者でのSDB有病率の高さと中枢型無呼吸イベントの多さが示され, 心胸比・貧血との関連もみられた. このことから, 透析患者でのSDBが一般人とは異なる機序により発症している可能性が示唆された.
  • 川上 純子, 鈴木 好夫, 小泉 典子, 関根 康子, 清田 マキ
    2006 年 39 巻 4 号 p. 261-268
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析食のリン含有量の実測値と成分表を用いた計算値の差異を検討した. 市販透析食献立カードから無作為に抽出した献立に基づいて調理した36食を供試食とした.
    リン含有量はモリブデンブルー吸光光度法および誘導結合プラズマ発光分光分析法 (以下, ICP法) により測定した. それらの結果を日本食品標準成分表による計算値と比較した.
    1. 供試食36食の1食あたりのリン含有量は実測値が294.1±60.5mg (平均±標準偏差), 計算値が227.7±27.8mgで, 両群間にはunpaired t-testで有意な差があった (p<0.005). 2. 供試食36食のリン含有量の実測値/計算値比は0.55-2.72の範囲にあり, その平均は1.30±0.53であった (中央値は1.18). 比1.2以上の出現率は50%であった. 3. 供試食モデル献立に示された1日3食12日分のたんぱく質30g食, 40g食, 50g食, 60g食のリンの実測値はいずれの場合も平均値が700mg/日を超えていた. 4. 供試食モデル献立の種類別にみるとリンの実測値/計算値比が1.0以上の出現率は, 洋風73% (対象15食中11食), 和風69% (同16食中11食), 中華風60% (同5食中3食) であった. 5. モリブデンブルー吸光光度法および1CP法の二方法による実測値は積率相関係数r=0.964, p<0.05と相関した.
    食品成分表の数値は1食品1標準値であり, 本研究テーマであるリン含有量に関しても食材の産地, 土壌, 種類, 肥料および気候などの生産環境等の相違から, 食品成分表による計算値と実測値間に差異が生じることになるが, 以上の結果は, その差異の程度の一例を示しているものと考えられるので, このことも念頭において栄養指導を行うことが重要である.
  • 藤方 史朗, 満生 浩司, 原田 篤実
    2006 年 39 巻 4 号 p. 269-273
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当院で外来血液透析を施行中の非感染患者72名を対象とし, 同意書をとって透析前後で血清1-3-β-D-glucan値を測定した. 透析膜は, 再生セルロース膜 (CL-EE12Nテルモ社製) 33例, セルローストリアセテート膜 (FB-70ニプロ社製) 14例, 合成高分子膜では, ポリスルホン膜 (BS-1.3東レメディカル社製) 20例, EVAL膜 (KF-15Cクラレ社製) 5例であった.
    透析前の1-3-β-D-glucan値は, 再生セルロース膜群が649±435pg/mLで, セルローストリアセテート膜群の13±9pg/mL, 合成高分子膜群の26±18pg/mLとくらべて著明に高値であった (p<0.0001). 透析前後の1-3-β-D-glucan値の比較では, 再生セルロース膜群で649±435pg/mLから1,091±833pg/mLと透析前よりさらに上昇した (p<0.001) が, 合成高分子膜群やセルローストリアセテート膜群では, 透析前後で変化しなかった. 再生セルロース膜群では透析前1-3-β-D-glucan値と透析期間との間に有意な正の相関がみられた. 再生セルロース膜使用症例では, 非感染時でも1-3-β-D-glucan値は著明高値を示し, 真菌感染症の診断に適さないと考えられた. また, 合成高分子膜群でも軽度高値を示し診断に留意が必要である.
  • 大西 哲朗, 佐藤 公治
    2006 年 39 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 2006/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】脊椎手術を施行した症例につき術後成績, 手術合併症などを検討すること.【対象と方法】対象は脊椎手術を施行した血液透析患者78例80手術 (男性51人, 女性27人) と脊椎手術を施行した非透析患者77例77手術 (男性52人, 女性25人), 手術時平均年齢はそれぞれ61歳と62歳. 透析群の平均透析年数は20.1年. 頸椎手術40手術, 腰椎手術40手術. 非透析群は, 頸椎手術44手術, 腰椎手術33手術. 平均経過観察期間はそれぞれ1.9年と2.3年. 手術時間, 周術期の出血, 合併症などを調査し, 手術成績をJOA (Japan Orthopaedic Association) score (膀胱機能を除く, 頸椎14点満点, 腰椎29点満点) を用いて改善率 (平林法) にて判定した.【結果】手術時間, 術中出血量, 術後出血量に関しては透析群, 非透析群に有意差は認めなかった. 術前合併症, 術後合併症はともに透析群に多く認められた. 透析群の術後合併症では, 不明熱, 消化管出血, 術後低血圧が多く認められた. 頸椎手術では術前術後のJOA scoreは透析群の方が有意に低かったが, 改善率に関しては有意差を認めなかった. 腰椎手術は術前術後のJOA score, 改善率ともに有意差を認めなかった. 改善率は透析年数の20年以上の群と以下の群の比較, 圓尾の分類でstage 1,2の群とstage 3,4の群の比較において有意差は認めなかった. 術後3か月以内の死亡は透析群において2例2/80=2.5%, 非透析群においては認めなかった.【結論】透析患者における脊椎病変に対する手術療法において, 他科との連携により, 周術期管理を徹底することにより, 改善率に関して良好な結果が得られた. 透析群では術後合併症の発生が多く, 術後ICU管理も含めた術前の準備が必要である.
feedback
Top