日本透析医学会雑誌
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40 巻 , 12 号
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第50回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 安藤 稔, 中村 裕也, 鈴木 一恵, 澁谷 あすか
    2007 年 40 巻 12 号 p. 1045-1050
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    同種造血幹細胞移植は造血系悪性腫瘍の根治療法として画期的なものである. しかしその一方で, 造血幹細胞移植においては細胞毒性の強い抗腫瘍薬や免疫抑制剤を大量に投与しなければならない側面を持ち, それに関わる重篤な副作用や合併症をいかに管理できるかが成功率を決定する. 多くの合併症の中でも移植後急性腎不全 (ARF) は患者の生命予後を左右する最も重要な合併症の一つである. 本論文では, 造血幹細胞移植後ARFの病像の特徴について単一施設でのデータを詳細に検討した. 1998年から2006年の8年間に駒込病院血液内科で施行された成人同種造血幹細胞移植患者402例 (男性239例, 女性163例, 平均年齢39.9±12.5歳) を対象とし, 血液内科のデータベースおよびカルテ内容を中心にして後方視的に解析した. ARFは移植後60日以内に血清Cr値が1.2mg/dL以上または移植前血清Cr値の2倍化以上の持続上昇と定義した. ARF発症率は36/402例 (8.9%), ARF患者の平均年齢は47.4±9.25歳, 平均発症病日は移植後17.1±14.7日, ARF患者死亡率は19/36例 (52.8%) であった. ARF発症リスクと予後に関しては, 移植時年齢と移植時血清Cr値が関係している可能性が示唆された. 原因に関しては多くの例では単一原因を特定することは困難で, ほとんどは薬剤性腎障害, 敗血症を含む感染症, 循環不全, 急性移植片宿主病などの病態が複合的に関係して発症していた. ARF患者の透析療法導入率は9/36例 (25%) であり, 全例多臓器障害を呈し, 8/9例 (89%) が死亡した. 造血幹細胞移植後ARFは約9%の患者にみられ, きわめて死亡率が高い. 特に透析療法が必要とされるARFは多臓器障害であり, 致死的である.
  • 楢村 友隆, 佐藤 和弘, 松浦 浩美, 十倉 秀臣, 井ノ口 亜紀, 古閑 尚栄, 井出 孝夫
    2007 年 40 巻 12 号 p. 1051-1056
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    透析治療に欠かすことのできないRO水の製造工程における細菌現存量の推移を, 蛍光染色法により計測した. 蛍光染色法として蛍光活性染色法 (DAPI-6CFDA二重染色) およびマイクロコロニー法を用い, 現行の培養法やエンドトキシン活性の測定結果と比較した. その結果, RO水製造工程中の細菌現存量計測は現行の培養法のみでは不十分であり, 蛍光染色法を併用して行うことが有用であることが示唆された. また, 各手法の組み合わせにより総合的に評価をすることで, さらに安全性を高めるための注意部位の存在も明らかとなった.
症例報告
  • 石井 智子, 大竹 剛靖, 岡 真知子, 真栄里 恭子, 真野 勉, 池江 亮太, 守矢 英和, 麻生 邦子, 小林 修三
    2007 年 40 巻 12 号 p. 1057-1062
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 男性. 1976年より慢性糸球体腎炎による腎不全で血液透析中であったが, 2005年3月頃より発熱・貧血・炎症反応を認めるようになり, 抗生剤投与にも反応を認めなかったため, 2005年6月20日当科入院. 入院時評価で, 無痛性ではあったが左肩の腫脹と同部位に一致したGaシンチ・骨シンチでの取り込みを認めたため, 左肩滑膜生検を施行しβ2ミクログロブリン (β2-MG) による免疫染色にてアミロイド沈着を認めたことより透析アミロイドーシスと診断した. 治療としては, β2-MG吸着カラム (リクセル®) とステロイド投与が著効を示した. 長期透析患者の不明熱の原因検索・診断にあたっては, 透析アミロイドーシスも鑑別疾患に加えて検討することが必要である.
  • 佐藤 かすみ, 岩崎 美津子, 伊東 由紀枝, 三枝 信, 若狭 幹雄
    2007 年 40 巻 12 号 p. 1063-1069
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    55歳, 男性. 透析歴1年3か月. 糖尿病性腎症のために当院外来にて血液透析施行していた. インスリンを打たずに飲酒を続けた後, 突然意識障害をきたし当院搬送. 受診時血糖1,086mg/dL, 脳CTにて異常所見を認めなかったことから, 高血糖昏睡の診断にて直ちにインスリンと補液による加療を開始したが, 意識状態は回復しなかった. 入院翌日の脳MRIでは異常所見は認めなかったが, 1か月半後の再検ではT1強調画像で両側基底核に高信号が出現し, また脳全体の萎縮がみられた. 第79病日に死亡. 剖検の結果, 大脳基底核に慢性変化を伴う虚血性変化を認め, さらに大脳全体にも微小な虚血性変化巣が多数みられた. 高血糖を伴い不随意運動を呈する患者の中には脳MRIで基底核にT1強調画像での高信号がみられる症例があるが, 通常は, 意識障害は伴わず, 急性一過性で予後良好である. 本例では, 高血糖に加え, 飲酒, 腎性貧血や血液透析などの関与により重篤な経過を辿ったと考えられた.
  • 磯野 元秀, 三上 大輔, 荒木 久澄
    2007 年 40 巻 12 号 p. 1071-1075
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性. 多発性嚢胞腎による末期腎不全のため, 2001年6月に血液透析を開始した. 以後, 抗凝固薬にヘパリンを使用し, 維持血液透析を継続していたが, 2006年1月11日, 透析開始数分後に発汗, 胸部不快感, 呼吸困難, 腹痛を訴えた. 血圧100/70mmHgと低下したため, アナフィラキシーショックと診断し, 透析を中止した. 血液検査所見では血小板は透析前36.8×104/mm3から透析後11.4×104/mm3と低下していた. 血液回路には動脈・静脈側のチャンバー内に凝血が認められた. 翌日は, メシル酸ナファモスタットを使用し著変なく透析を施行できたが, 翌々日には, 低分子ヘパリンを使用すると再度発汗・呼吸困難が出現した. 低分子ヘパリンの使用時にも血小板の減少は認められた. 臨床的にヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) と診断したが, ヘパリン・PF4複合体抗体 (HIT抗体) とヘパリン惹起性血小板凝集試験はいずれも陰性であった. また, アレルギーに関する検査では, ヘパリンに対するオープンパッチテストが陽性であった. 以上の所見より, ヘパリンによるアナフィラキシーを合併したHITと診断した. 本症例は, ヘパリンの長期使用後に突然アナフィラキシーを契機に発症したこと, さらにHIT抗体が陰性であることから, 非常に稀なHITであると考えられた.
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