日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
40 巻 , 1 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
わが国の慢性透析療法の現況 (2005年12月31日現在)
  • 中井 滋, 政金 生人, 秋葉 隆, 井関 邦敏, 渡邊 有三, 伊丹 儀友, 木全 直樹, 重松 隆, 篠田 俊雄, 勝二 達也, 庄司 ...
    2007 年 40 巻 1 号 p. 1-30
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    2005年末の統計調査は全国の3,985施設を対象に実施され, 3,940施設 (98.87%) から回答を回収した. 2005年末のわが国の透析人口は257,765人であり, 昨年末に比べて9,599名 (3.87%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は2,017.6人である. 2004年末から2005年末までの1年間の粗死亡率は9.5%であった. 透析導入症例の平均年齢は66.2歳, 透析人口全体の平均年齢は63.9歳であった. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が42.0%, 慢性糸球体腎炎は27.3%であった.
    透析患者全体の血清フェリチン濃度の平均 (±S.D.) は191 (±329) ng/mLであった. 血液透析患者の各種降圧薬の使用状況では, カルシウム拮抗薬が50.3%に, アンギオテンシン変換酵素阻害薬が11.5%に, アンギオテンシンII受容体拮抗薬が33.9%に投与されていた. 腹膜透析患者の33.4%が自動腹膜灌流装置を使用していた. また7.3%の患者は日中のみ, 15.0%の患者が夜間のみの治療を行っていた. 腹膜透析患者の37.2%がイコデキストリン液を使用していた. 腹膜透析患者の透析液総使用量の平均は7.43 (±2.52) リットル/日, 除水量の平均は0.81 (±0.60) リットル/日であった. 腹膜平衡試験は67%の患者において実施されており, D/P比の平均は0.65 (±0.13) であった. 腹膜透析患者の年間腹膜炎発症率は19.7%であった. 腹膜透析治療状況に回答のあった126,040人中, 676人 (0.7%) に被嚢性腹膜硬化症の既往があり, 66人 (0.1%) は被嚢性腹膜硬化症を現在治療中であった.
    2003年の透析人口の平均余命を, 男女の各年齢毎に算定した. その結果, 透析人口の平均余命は, 同性同年齢の一般人口平均余命のおよそ4割から6割であることが示された.
研究会報告
第51回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 小林 和裕, 菅野 義彦, 岡田 浩一, 星 均, 鈴木 洋通
    2007 年 40 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    [目的] グリコペプチド系抗生物質テイコプラニンの持続血液透析療法下における薬物動態を検討する. [対象および方法] テイコプラニンの投与を必要とし, 持続血液透析療法を受けている腎不全患者10名に対して, テイコプラニンを初日は400mgを12時間毎, 第2, 3日目は400mgを24時間毎, 以後は100mgを24時間毎に投与し, 血中濃度を測定した. また透析液流量は500mL/hrとした. [結果] 血中濃度の投与後1時間値は平均39.6±18.1μg/mL, 投与後3日, 5日, 7日の血中濃度トラフ値はそれぞれ平均12.5±0.9μg/mL, 13.2±0.8μg/mL, 12.2±1.0μg/mLであった. 投与3日目以降の30測定値 (1症例あたり3測定値) のうち28測定値が有効血中濃度域にあった. 10例中7例で治療効果が得られ, 投与期間中に明らかな副作用は認めなかった. [結論] 持続血液透析下のテイコプラニン投与において, 本プロトコールにより安定でかつ有用な血中濃度が得られることが示唆された.
  • 岡田 知也, 篠 朱美, 外丸 良, 中尾 俊之, 池田 克介
    2007 年 40 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    糖尿病血液透析 (DM-HD) 患者においてグリコヘモグロビン (HbA1c ; A1c) 値に及ぼすエリスロポエチン (EPO) 療法の影響を, グリコアルブミン (Glycated albumin ; GA) 値との関係から検討した. 対象はDM-HD患者24名. A1c, GAを2か月毎に10~36か月間測定し, GA/A1c値の推移を観察した. 測定時点の前2か月間にEPO投与量が変更されず, ヘマトクリットの変化が5%未満である, 延べ170回のA1c, GA値からGA/A1c値とEPO投与量との関係を調べた. EPO投与量からA1c値, GA値の予測を試みた. 観察期間中のGA/A1cの最大値, 最小値は4.36±0.66, 3.44±0.50だった. 12か月間以上EPO投与量が変更されなかった9名において, この期間中のGA/A1c値の最大, 最小値は3.91±0.66, 3.41±0.53だった. GA/A1c値と体重当たりのEPO投与量は有意な正相関関係を認めた (r=0.74, p<0.0001). 両者の関係はGA/A1c=3.16+0.008×EPO投与量 (単位/kg/週) で表わされ, この式からGA 20%に相当するA1c値は, EPO投与量0, 50, 100, 150単位/kg/週の場合に各々, 6.3, 5.6, 5.1, 4.6%となった. またこの式から予測GA値を求め, 実測GA値との差が±2%以上だったのは, 170回の測定値のうち68回 (40%) だった. EPO投与を受けているDM-HD患者では, EPO投与量が多いほどGA/A1c値は高値, A1c値は低値になる傾向にあることを念頭におき血糖管理を行う必要がある. EPO投与量とGA/A1c値の関係からA1c値, GA値を予測することが可能であるが, EPO投与に関係なくGA/A1c値が変動し得ることを考慮する必要がある.
  • 高橋 真司, 三浦 徳宣, 中野 吉朗, 武田 肇
    2007 年 40 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    横紋筋融解症は, さまざまな原因により惹きおこされ, 放置すると急性腎不全等により致命的となる病態である. われわれは, 平成13年9月から平成16年3月までの約2年半の間に, 抗精神病薬使用患者に発症した横紋筋融解症および急性腎不全を4例経験した. 症例1は, 悪性症候群が原因で発症し, 強制利尿と血液透析 (HD) の施行で軽快し, 入院45日に転院した. 症例2は, 悪性症候群が原因と思われる症例で, 強制利尿とHDを施行したが, 40℃を超える発熱を伴い入院5日目に死亡した. 症例3は, 外傷が原因で, 強制利尿と血液濾過透析 (HDF) の施行で軽快し, 入院45日に転院した. 症例4は, 感染症および脱水が原因で発症し, 強制利尿のみで軽快し, 入院81日に退院した. 今回の4例の経験から, 横紋筋融解症に急性腎不全を併発した場合には, まず強制利尿を行い, 十分な利尿が得られない場合は即座に血液浄化療法へ移行するべきであると考えた. 血液浄化療法として, ミオグロビンの分子量から, HDではなくHDFや吸着を推奨する報告も散見されるが, 確証はない.
症例報告
  • 八幡 兼成, 岡本 千夏, 今牧 博貴, 瀬田 公一, 島津 章, 菅原 照
    2007 年 40 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は34歳, 男性. 1994年尿路結石にて精査加療中に下垂体腫瘍を発見され, Cushing病との診断で摘出された. 2001年尿蛋白を指摘され, 血中M蛋白も認められたため腎生検を施行された. 60%程度の糸球体が完全硬化しており腎硬化症と診断せざるを得ない所見であり, また血管炎は認められなかった. その時下垂体腫瘍の再発が認められ2003年に再手術を施行されたが, 腫瘍は残存していた. 2004年2月交通事故の後に腎機能障害が進行, 6月倦怠感, 食欲不振, 貧血のため入院し血液透析を導入した. 発熱, WBCおよびCRPの上昇が認められたが, 当初はブラッドアクセスカテーテル抜去時にできた血腫, その後カテーテル感染症によるものと考え治療した. 発熱, WBCおよびCRPの上昇が続いたため肺外結核も考え治療したが改善は認められなかった. 7月に四肢の感覚鈍麻, 8月には右足の運動障害が認められた. 神経症状は緩徐に進行性でmoter dominant polyneuropathyと判断し慢性炎症性脱随性多発根神経炎に準じて9月免疫グロブリン大量療法を施行したところ, 神経症状に変化はなかったが, 発熱, WBCおよびCRPの上昇が改善し倦怠感も改善した. しかし改善は一時的で10月中旬より再びWBCおよびCRPが上昇, 腹痛や食欲不振, 全身倦怠感も再び出現し11月初旬死亡した. 剖検の結果, 腎臓, 心臓, 正中神経, 精巣, 胃, 腸間膜, 膵臓の小型から中型の筋性動脈に血管炎が認められ, 古典的結節性多発動脈炎 (polyarteritis nodosa : PAN) と診断した. 神経症状や腹痛もPANの一症状であると考えられた. Cushing病とPANの合併はまれであり, また診断が困難な興味深い症例であったので報告する.
  • 大西 央, 秋元 哲, 斎藤 修, 山本 尚史, 本村 学, 石黒 保直, 西野 克彦, 安藤 康宏, 武藤 重明, 安田 是和, 永井 秀 ...
    2007 年 40 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    緩徐に進行する汎血球減少症を呈した51歳男性の長期血液透析症例. 各種検査所見より血液疾患や膠原病などに起因する汎血球減少症は否定的であった. 画像検査上, 脾腫と門脈側副血行路の発達を認めるものの肝硬変等の肝疾患の合併は考えにくく, 特発性門脈圧亢進症 (IPH) が強く疑われた. 経過中白血球減少症が進行し, 発熱症状が持続するようになったため, G-CSF製剤や抗生剤による治療を継続したが明確な効果は得られず, 摘脾術を施行した. 術後速やかに汎血球減少症は改善し, 発熱症状も消失した. 肝生検で肝炎・肝硬変を示唆する所見を認めなかったことから, 汎血球減少症の原因として特発性門脈圧亢進症と診断した. 透析症例において汎血球減少を認めた場合は, IPHも念頭におき精査を進める必要があると思われる.
  • 林 秀樹, 武村 政彦, 水田 耕治, 橋本 寛文
    2007 年 40 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    近年ASO (arteriosclerosis obliterans) に対する治療の選択肢は拡がっている. アフェレシス治療の一法である加温式リサーキュレーション法 (DFサーモ法) はASOに対して有用と報告されているが, 重症ASOに関する報告はこれまでに1例のみである. 今回われわれは, 重症ASOを有する血液透析患者2例に対して, 本法による治療を試みた. 症例1は76歳, 女性. 2000年11月, 糖尿病性腎症による末期腎不全のため, 血液透析を導入. 2005年1月, 靴ずれを契機に右第1趾に潰瘍を形成した. 薬物療法, インターベンション治療を試みるも改善が得られないため, 同年9月よりDFサーモ法を導入. 以後改善を認めた. 症例2は71歳, 男性. 約30年前より糖尿病のため, 近医にて治療を受けていた. 2005年7月より, 右足の色調不良のため近医にて治療を受けていたが, 改善を認めず, また下痢, 食欲不振, 脱水ならびに腎機能の悪化が出現したため2005年8月, 当科に入院となった. 入院後, 血液透析を導入し, 同年10月よりDFサーモ法を導入した. 5回目施行後, 潰瘍の悪化ならびに創部感染の重症化をきたしたため, 緊急的に右下腿切断術を余儀なくされた. 自験例2例を通じて, DFサーモ法は重症ASOに対しても有効である可能性が示唆された. 本法について症例を提示するとともに, 若干の文献的考察を加え, 報告する.
  • 内山 人二, 谷口 享子, 加藤 久人, 吉川 修, 村上 貞次, 梶田 芳弘
    2007 年 40 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2007/01/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は20歳の男性. 生来健康であったが, 頭痛と全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 腎機能障害, 貧血, 血小板減少, 著明な高血圧のため入院となった. 血小板減少と破砕赤血球を伴う溶血性貧血から血栓性微小血管障害症 (thrombotic microangiopathy ; TMA) を呈していたため血漿交換, ステロイド薬の投与, カルシウム拮抗薬による降圧療法を開始したが, 血漿中のvon Willebrand因子特異的切断酵素 (von Willebrand factor cleaving protease ; vWF-CP)/ADAMTS13活性が正常であったことより悪性高血圧に合併したTMAと診断した. 血小板減少と溶血性貧血は治療後速やかに改善したが, 腎不全は改善せずうっ血性心不全も呈した. 持続的血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration ; CHDF) を行い, アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬を併用したところ, 全身状態や腎機能障害の改善がみられた. 以後CHDFなどの血液浄化療法は不要となり外来通院となった. 回復期に施行した腎生検では細動脈内膜の浮腫性肥厚を認め, 悪性腎硬化症に合致する所見を得た. TMAの原疾患は多岐にわたり, 臨床症状だけでは鑑別がしばしば困難であるが, 本症例ではADAMTS13活性の測定が有用であったので, 若干の文献的考察を加え報告する.
feedback
Top