日本透析医学会雑誌
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40 巻 , 8 号
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原著
  • 瀬戸口 志保, 中澤 速和, 伊藤 文夫, 鬼塚 史朗, 近藤 恒徳, 橋本 恭伸, 奥田 比佐志, 瀬戸口 誠, 田邉 一成, 東間 紘
    2007 年 40 巻 8 号 p. 643-647
    発行日: 2007/08/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 透析患者に合併した腎癌の病理組織学的特徴を解析し, 長期にわたる透析が腎癌自体および患者の予後にどのように影響しているか検討した. 1982年から2004年の間にわれわれの施設において透析腎癌に対し腎摘除術を施行した192例から, 腎移植術を施行した47例と, 透析期間3年未満の20例を除外し, 計125例を解析の対象とした. 男女比5.5 : 1で, 手術時平均年齢は55.2±10.4歳, 平均透析期間は160.5±95.1か月. 術後の観察期間は中央値59.9か月であった. これらの患者を透析期間が20年以上の長期透析群 (33例) と20年未満の対照群 (92例) に分け臨床病理学的に検討を加えた. 長期透析群の特徴として後天性嚢胞性腎疾患を全例に合併し (p=0.023), 病期分類はhigh stage (Stage III+IV) の症例が10例 (30.3%) と多い傾向を示し, 組織学的異型度ではhigh grade (G3) が7例 (21.1%) と有意に多かった (p=0.01). 予後では, 実測5年生存率は両群に差を認めなかった (長期透析群, 68.2% ; 対照群, 70.4%) が, 癌特異的5年生存率では長期透析群が有意に低かった (長期透析群, 68.2% ; 対照群, 91.9%, p<0.001). 長期透析群の癌特異的5年生存率は実測5年生存率と一致しており, 予後が直接腎癌に依存する結果となった. 多変量解析では, 癌死に対する相対的危険度は長期透析で3.34倍, high gradeで5.14倍, high stageでは16.55倍であり, それぞれ独立した予後因子であることが示された. 今回の結果より, 透析期間が20年以上の長期透析患者は対照群と比較して明らかに予後不良であり, 長期透析が独立した予後因子の1つであることが明らかとなった.
  • 新井 浩之, 眞田 幸恵, 森薗 靖子, 佐藤 智栄子, 後藤 和泉, 島内 千登里, 久保 和雄, 鈴木 恵子, 鈴木 利昭
    2007 年 40 巻 8 号 p. 649-654
    発行日: 2007/08/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    血液透析中に自己抜針のおそれがある患者, あるいは自己抜針歴がある患者に対する監視強化の目的として, アラーム付きベルト (以下, 本器具) を作製した. 本器具は, アラームとベルトが一体となっており, 血液回路を固定するようにして患者の手関節部に軽く巻き付けて使用する. ベルトの固定は, マジックテープとスナップボタンの二段階となっており, スナップボタンを外すとアラーム音を発報する仕組みである. 記憶障害と見当識障害を有し, 軽度の認知症を呈する86歳の男性 (2度の自己抜針歴あり) に対して, 本器具を透析中に装着して, その有用性を検討した. 患者が本器具を外そうとする注意動作の回数は11回の透析で計20回であり, スナップボタンが外されてアラームが発報された危険動作は計5回であった. また, 本器具の代わりに通常のアラームなし止血ベルト (以下, 止血ベルト) を使用した場合には, スタッフが気付くまでベルトが外されたことがわからないため, 発見が遅れた場合には抜針事故に繋がる危険性が高かった. 一方, 本器具使用時には, 危険動作をアラーム音で確認できるため, 止血ベルト使用時にくらべて安全性が増した. 以上より, 本器具は, 患者へ装着も簡便であり, 透析中の自己抜針防止のための監視強化の一助として有用と思われた.
症例報告
  • 永山 嘉恭, 岩崎 滋樹, 河嶋 英里, 吉村 吾志夫
    2007 年 40 巻 8 号 p. 655-661
    発行日: 2007/08/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例 : 38歳, 女性. 汎血球減少症と慢性腎不全で当院外来通院中, 発熱と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し, 汎血球減少と腎機能障害進行のため精査加療目的で入院となった. 頸部リンパ節炎に対して抗生剤治療で炎症所見は改善したが, 血液検査にて血小板の低下, ヘマトクリットの減少ならびに破砕赤血球の出現および, ハプトグロビン値の著減を認めた. 血清生化学では腎機能障害の進展, LDHの上昇, 肝胆道系酵素の上昇を認めた. 血栓性血小板減少性紫斑病-溶血性尿毒症症候群 (TTP/HUS) が疑われ, 速やかに血漿交換療法とステロイド治療を開始した. その後, 溶血による著明な貧血の改善のため濃厚赤血球輸血を行ったところ, 同時期より治療抵抗性高血圧も合併し, てんかん発作が出現した. 経時的にTTPの臨床的5徴を認めた. 脳波異常に加えて可逆的な臨床症状と頭部MRI所見よりposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) の合併と診断した. 薬物療法, 透析療法を行う一方で, TTP/HUSの寛解が得られるまで29回の血漿交換を必要とした. 頸部リンパ節炎を契機にTTP/HUSを発症し, 輸血を契機に重症高血圧ならびにPRESを合併した慢性腎不全患者の1例を報告した.
  • 荒木 真, 西岡 敬祐, 岸 誠司, 荒岡 利和, 村井 ひかる, 山本 祥子, 池田 昌樹, 川森 有里子, 三村 六郎, 遠藤 和夫, ...
    2007 年 40 巻 8 号 p. 663-668
    発行日: 2007/08/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    維持透析中に汎血球減少と呼吸苦が出現したため, 入院となった54歳男性. 血液・画像検査から血球貪食症候群による播種性血管内凝固症候群と急性肺障害が疑われたが, 血液検査や培養検査ではその原疾患を特定できなかった. 骨髄検査を行ったところ, 血球貪食像とともに境界不明瞭な肉芽腫や抗酸菌を認めたことから, 粟粒結核が強く疑われた. 最終的に骨髄液のPCRと免疫クロマトグラフィー法および気管支肺胞洗浄液の培養によって粟粒結核と診断された. 結核は維持透析患者における重要な感染症であるが, 肺外結核など非典型例が多く, 診断が難しい. 適切な治療による予後の改善が望めるため, 血球貪食症候群の原因疾患として結核は早期に鑑別しなければならない.
  • 岸 誠司, 西岡 敬祐, 荒木 真, 荒岡 利和, 松村 毅, 河南 智晴, 斎田 宏, 竹岡 浩也
    2007 年 40 巻 8 号 p. 669-674
    発行日: 2007/08/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 女性. 糖尿病性腎症に由来する慢性腎不全のため, 2002年7月5日に血液透析導入となった. 入院時下血およびHb 4.2g/dLを認め, 上部消化管内視鏡検査および大腸内視鏡検査を施行するも出血源を同定できず. 以後も2002年10月, 2004年3月, 11月, 12月と同様の症状にて入院となり, 上部および大腸内視鏡検査, X線造影検査, およびシンチグラフィにて精査するも出血源は同定できず. 検査所見からは小腸出血が疑われ, 2005年2月に京都大学にてカプセル内視鏡を施行するも出血源は不明であった. 2005年7月に当院眼科に硝子体手術のために入院した際に再度同症状が出現. 貧血改善の後, 神戸市立中央市民病院にてダブルバルーン式内視鏡検査施行. 空腸中部に直径約10mm弱の血マメ様の発赤病変を認め, 検査時に出血は認めなかったが出血の原因と考えられた. この血マメ様の病変は動静脈奇形あるいは孤立性の静脈瘤と考えられた. 血管造影試行するも特記すべき所見なく, 後に同病変に対し内視鏡的治療を予定していたが病変は消失していたため, 経過観察することとなった.
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