日本透析医学会雑誌
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41 巻 , 12 号
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原著
  • 井上 有紀, 本田 和美, 大薗 英一, 葉山 修陽, 野呂瀬 嘉彦
    2008 年 41 巻 12 号 p. 819-825
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    透析液の清浄度をみるために,多くの施設でエンドトキシン活性の測定が行われている.私たちは3年3か月間,週2回この測定を行い,その精度管理から測定値の変動要因を検討した.突発的な測定値の0.5Log以上の上昇・下降(3.33倍,0.33倍)が生じたものは全測定回のうち1.79%にみられた.しかしこれらのうち併行精度までみた場合,採取時の技術的変動(いわゆるコンタミネーション)の頻度は0.45%,測定時の技術的ミス(測定エラー)は0.36%にすぎなかった.これらの結果より,測定値の変動は透析液自体の変動であることの方が多く真摯に捉えて清浄化対策を講じるべきであると考えられた.また,コンタミネーションであることを証明するためには,コンタミネーションが疑われた箇所もしくは同じエンドトキシン活性であろうと思われる箇所からの溶液ですぐに再検証をするのが最もよいと思われた.
  • 鈴木 聡, 伊藤 謙治, 伊藤 憲, 木全 直樹, 峰島 三千男, 秋葉 隆
    2008 年 41 巻 12 号 p. 827-835
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    血液透析スタッフはバスキュラーアクセスの長期維持や患者満足度向上などのために,穿刺技術向上に研鑽を重ねている.穿刺技術に対する評価は,医療スタッフや患者など,それぞれの立場や,判断材料によって異なることが考えられる.穿刺技術を効果的に向上させるためには,患者の目から見た望ましい技能,および専門的な技能構成を明らかにすることが必要である.そのため,穿刺評価に対する患者・スタッフによるそれぞれの技能評価の因子構造を解明し,それにより総合的に判断する基礎情報を提供することを目的とする.医療スタッフおよび患者に共通の調査票を用い,37名の医療スタッフならびに116名の患者から回答を収集し,これらの患者・スタッフそれぞれのサンプルに因子分析を適用した結果,若干異なるものの類似する7因子による穿刺技能評価の因子構造を抽出した(累積寄与率は,患者,スタッフそれぞれ,60.8%,および65.5%).患者,スタッフの回答サンプルから「技能・安定感」,「接し易さ」,「誠実さ」,「技能指向」,「感染への配慮」,「患者指向」などの因子が共通して抽出された.本研究では患者・スタッフ共通の質問項目とともにスタッフを対象に必要技能に対して,より詳細な項目を含む付加的な質問に対する回答も得ている.これらの項目を含めた因子分析により,「判断力」,「観察力・思慮深さ」,「指導力」,「技術的積極性」といった,個別技能が技能評価因子として抽出された.さらに,穿刺技能の総合評価得点を目的変数,患者回答データから抽出した7つの技能評価因子を説明変数とした重回帰分析を行った結果,「技能・安定感」のみに有意な関係が認められ,その決定係数は0.928であった.これらの結果から,血液透析スタッフの穿刺技術に対して,患者はスタッフの総合的技能,穿刺時の安定感で評価していることが明らかとなった.
  • 緒方 亮二, 長田 一元, 武井 勝也, 箭本 結花, 古屋 明美, 井上 浩伸, 原口 和貴, 鈴木 斐庫人, 小林 哲郎
    2008 年 41 巻 12 号 p. 837-842
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    末期腎不全の患者はエリスロポエチン欠乏の結果として貧血が進行する.この腎性貧血を治療するためにrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)が広く処方されてきた.2007年7月,rHuEPOの半減期を延長させたアナログ製剤であるdarbepoetinが日本で認可された.血液透析患者におけるdarbepoetinとrHuEPOのHb維持量および費用対効果を比較するため,18週間の前向き介入試験を行った.すずきネフロクリニックで週3回透析を受けている患者77名を2群に分けた.目標Hb値10.0~11.4g/dLを維持するためのHb維持量として39名をrHuEPO 750IU/HD,38名をdarbepoetin 15μg/weekを投与するように各々割り当てた.18週時点で,平均Hb値においてdarbepoetin群はrHuEPO群を有意に上回った.目標Hb値を超える割合はdarbepoetin群の方がrHuEPO群よりも有意に多くなった.最終的なHb値はdarbepoetin群が高くなったがcostはdarbepoetin群で低くなり,費用対効果においてdarbepoetin群はrHuEPO群よりも明らかに優っていた.今回の結果は,darbepoetin 15μg/weekは血液透析患者への一般的なHb維持量としては高力価であり,15μg/weekよりも減量して使用する必要があることを示唆する.
  • 黒田 泰二, 奥村 宜士, 竹岡 浩也, 西岡 敬祐, 大瀬戸 奨, 金光 律和, 福永 惠
    2008 年 41 巻 12 号 p. 843-849
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    ダルベポエチン アルファは新世代のErythropoiesis Stimulating ProteinでrHuEPOと比較し,血中消失半減期が長い.今回,157例の血液透析患者に対しrHuEPOからダルベポエチン アルファに切替え週1回の静脈内投与を10週間施行し,その有効性および安全性を検討した.ダルベポエチン週1回投与量を10μg投与群(35例),15μg投与群(34例),20μg投与群(38例),30μg投与群(25例),40μg投与群(25例)の5群に区分した.10週投与後のHb濃度変化量は10μg投与群0.17±0.16(SD)g/dL,15μg投与群0.26±0.18g/dL,20μg投与群0.20±0.20g/dL,30μg投与群0.30±0.31g/dL,40μg投与群0.44±0.51g/dLと有意に上昇した(p<0.05).一方,10週投与後の血清鉄が上昇,フェリチンおよびTSATの減少が認められた.今後,ダルベポエチン投与に際し鉄剤投与も考慮すべきと考えられた.10週間ダルベポエチン アルファ投与中および投与後に目立った大きな副作用は認められなかったが,倦怠感1例およびのぼせ1例が認められた.以上,ダルベポエチン アルファは血液透析患者の腎性貧血に対し週1回の静脈内投与でHb濃度が有意に上昇し,かつ副作用の少ない有用性のある薬剤であることが示唆された.
  • Vu Duc Minh, 横山 トン オン, 澤田 佳一郎, 藤村 聡, 澤谷 朝子, 巽 亮子, 都川 貴代, 比留川 喬, 金井 厳太, ...
    2008 年 41 巻 12 号 p. 851-860
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    中空糸モジュール内面にヒト内皮細胞が単層を形成し,抗血栓性であるとともに高透過性能を合わせ持つバイオ人工糸球体を開発するためには,内皮細胞が糸球体内皮細胞のように大きなfenestrae径を有することが必要である.私どもは,actinフィラメントがfenestrae径に関与し,その重合化の阻害剤であるcytochalasin B(CyB)を適量投与することにより,内皮細胞の透過性を亢進させることができるかを検討した.ラット糸球体内皮細胞(RGEC)とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をTranswellで培養し,培養に20,30,40,50μg/mLのそれぞれの濃度でCyBを添加し2時間のみ処理し,CyB非含有培地でさらに培養し,直後,3日,7日目に走査電子顕微鏡(SEM)により15,000倍で観察すると同時に,130mmHgの静水圧下で限外濾過量を測定した.また,CyBの投与量と細胞生存の関連を検索するために,RGECとHUVECの培養液中にCyB 10,30,50,70μg/mLを4時間添加しCell Counting Kit-8を用いて測定した.さらに,血小板リッチ血漿をCyB処理,非処理のRGEC,HUVEC接着ならびに非接着培養皿充填し,血小板の接着を観察した.CyB非処理HUVECでは,15,000倍のSEMにおいてfenestraeは検出されず,20,30,40,50μg/mLのCyB処理により用量依存的にfenestrae径と数の増加を認めたが,20,30,40μg/mLのCyB処理で直後,4日,7日と経過するにつれてfenestrae径は小さくなった.50μg/mLのCyB処理においてfenestrae径の拡大と限外濾過量は最もよく維持された.また,細胞長径に沿って多数認められたactinマイクロフィラメントは,CyB処理後消失してactinが細胞質内に点状に分散する形で存在していた.CyB濃度10μg/mLから50μg/mLで有意な細胞活性の低下は認められず,70μg/mLにより両細胞で有意な細胞の生存率の低下が認められた.細胞非接着のfibronectin被覆培養皿には多数の血小板の接着が認められたが,CyB処理ならびに非処理のRGEC,HUVEC接着培養皿には血小板の接着はいずれも僅かであった.以上から,CyB 50μg/mLの培養液への添加はバイオ人工糸球体における内皮細胞の透過性の強化に適用され得ることが示された.
  • 山下 あす香, 今村 裕行, 水内 恵子, 益田 玲香, 宮原 恵子, 野田 友香, 山下 麻紀, 平方 秀樹, 熊谷 晴光
    2008 年 41 巻 12 号 p. 861-866
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2009/03/04
    ジャーナル フリー
    血液透析(HD)患者38名と腹膜透析(PD)患者18名を対象に,栄養素等摂取状況と身体的特徴を調査し,日本腎臓学会の「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」と比較した.Body mass index(BMI)の平均は,HD患者19.8±3.2kg/m2,PD患者20.8±2.7kg/m2であり,ガイドライン策定の基準である22を下回っていた.また,ガイドラインに比較すると,平均エネルギー摂取量は,HD男性患者のみ下限値に近い値であったものの,HD女性患者,およびPD患者においてはガイドラインの27~39kcal/kgの範囲内であった.たんぱく質摂取量はHD女性患者においては範囲内であったが,他の群では下回っていた.リンの摂取割合はHD女性患者は高かったが,他の群では基準値内であった.PD男性患者を除きガイドライン策定の基礎となっているBMI=22を下回っていた.本研究では,標準体重との差が大きな患者が存在していた.したがって,このような患者にはガイドラインにも示されているように,患者の体重変化を観察しながら,適正量となっているかを経時的に評価しつつ調整を加えることが有益であると考えられた.
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