日本透析医学会雑誌
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41 巻 , 11 号
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総説
原著
  • 堀 秀生, 大橋 篤, 日比谷 信, 中井 滋, 原 進, 橋詰 英明, 新 典雄, 加藤 政雄, 村上 和隆, 鍋島 邦浩, 富田 亮, ...
    2008 年 41 巻 11 号 p. 771-778
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    銀は安全性が高いことと抗菌スペクトルが広いことからさまざまな分野で使用されている.今回,銀イオン(Ag+)水の殺菌性を次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と比較し,Ag+水の透析用消毒剤としての有用性を検討した.試験菌株としてPseudomonas aeruginosaEscherichia coliStaphylococcus aureusを用いて各消毒剤の最小殺菌濃度(MKC)を測定した.また,透析用水製造工程(原水,活性炭処理水,RO水),透析液ライン(Bタンク,透析液)から検出された細菌に対して各消毒剤の殺菌効果試験を行った.MKCの結果から,Ag+水はNaClOのような即効性は認められないが,長い時間作用させるとNaClOと同等の殺菌性を有することがわかった.特に透析用水製造工程で塩素消毒耐性の水棲菌の消毒についてはNaClOよりもAg+水は有効であると考えられる.また,Ag+水はグラム陰性菌以外にもグラム陽性菌に対しても殺菌力があり,NaClOに匹敵する透析用消毒剤として利用できる可能性がある.
  • 中田 夕香子, 田中 杏, 川西 智子, 越川 真男, 田中 敬雄, 桑原 隆
    2008 年 41 巻 11 号 p. 779-784
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    カテコラミン抵抗性の敗血症性ショックや心原性ショックのみならず,透析時低血圧においても低用量arginine vasopressin(AVP)持続投与を行うことで循環動態の安定を図ることができるとの報告がある.今回われわれは,敗血症を合併した維持血液透析(hemodialysis:HD)患者5例(男性4例,女性1例,平均67.6歳(55~73歳)),敗血症を合併した慢性腎不全急性増悪のため持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)を施行した1例(女性,70歳)および透析時低血圧1例(女性,73歳)における低用量AVP持続投与の有効性について検討した.敗血症合併5例は,透析前よりdopamine(DOA),dobutamine(DOB),noradrenaline(NA)を単独あるいは併用して使用していたが,いずれも昇圧反応に乏しく透析施行不能となった.AVP 1.0~4.0U/h(平均2.2U/h)持続使用により平均47/10mmHgの血圧上昇を認め,またHD中の血圧低下もなく透析施行可能となり,NAのみの併用とすることができた.CHDF例はAVP 2.4U/hとNA 0.3mg/hの投与により昇圧効果を認め,CHDFを4日間施行後離脱し,以降NAのみで血圧維持ができた.透析時低血圧1例(糖尿病)は,メチル硫酸アメジニウムやドロキシドパの内服に反応しなかったが,HD開始時よりAVP 2.5U/hを使用したところショックをおこさず透析施行可能となった.いずれの症例においても副作用を認めなかった.以上より,低用量AVPは敗血症合併時の透析施行や透析時低血圧に有用であった.
  • 樋口 千惠子, 船木 威徳, 石橋 由孝, 岡田 一義, 窪田 実, 栗山 哲, 中尾 俊之, 本田 雅敬, 水入 苑生, 横山 啓太郎, ...
    2008 年 41 巻 11 号 p. 785-792
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    東京の血液透析(HD)のみと腹膜透析(PD)とHDを行っている218施設の医師・看護師を対象に腹膜透析診療の現状や,PDに対する意識についてアンケート調査を行い149施設より回答を得た.62施設のPD患者数は796名,併用療法を含め1,012名であった.そのうち臨床情報が得られた788名の現況は,男473,女315名,年齢56.7±16.3歳,PD歴36.6±35.6か月,原疾患では糸球体腎炎,糖尿病,腎硬化症の順であった.PD導入が増加・横ばい・減少としたPD施設はほぼ同数で,増加理由は充分なインフォームドコンセント(IC),PDを行える医師の着任,HD併用療法の導入などであり,減少理由はEPS合併の危惧,PD専門医の不在などが原因にあがった.保存期の腎代替療法のICについてHDのみ施行施設と両者を施行施設(PD/HD施設)について質問し回答が得られた施設のうち,HDのICは両施設の90%前後が行っていたが,PDおよび腎移植についてはHD施設で各々41.1%・45.2%,PD/HD施設で各々75.8%・64.9%が行っているとの回答であった.HD施設ではPD診療を行わない理由は院内体制の不備など非医学的理由をあげる回答が179回答中108回答あった.PD導入の実態については,血清クレアチニン値8mg/dLの時期が多く,入院で導入し,カテーテル植え込み術施行は外科医,術者と指導管理者が異なるという施設が多かった.導入期や維持期に医療連携を行っている施設は約15%に留まった.PD診療に関わるスタッフ人数は医師,看護師数とも1職場あたり1~3人弱と少人数であった.PD看護師の仕事内容は多岐にわたり,教育体制はいまだ不十分であった.今回のアンケートの結果,PD診療における診療体制,医療連携,スタッフ教育が不十分であり,これらが保存期の腎代替療法の偏ったICやPD導入の低さにつながっていると考えられた.
症例報告
  • 米村 重則, 勝田 浩司, 駒田 文彦, 桜井 正樹
    2008 年 41 巻 11 号 p. 793-797
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性.1993年に表在性膀胱癌(移行上皮癌,G3,pT1a)のため経尿道的膀胱腫瘍切除術を行った.以降定期的に経過観察したが再発は認められなかった.2000年11月から末期腎不全のため血液透析を開始した.2007年2月に心不全のために当院に入院.入院時に肉眼的血尿を認めたため膀胱鏡検査を行ったところ,膀胱後壁に約4cmの膀胱腫瘍を認めた.膀胱鏡下生検を行ったが,病理組織所見としてはわずかに異形変化を認めるのみであった.MRI検査では筋層浸潤を認めた.膀胱全摘除術が標準的な治療法であるが,それを行うだけの心機能がないと判断し2月28日に膀胱部分切除を行った.病理組織所見は膀胱小細胞癌であった.手術後第43病日に心不全で死亡.透析患者に発生した膀胱小細胞癌は非常に稀であり本邦では本症例が2例目であった.血液透析患者においては尿路悪性腫瘍の発生が消化器系悪性腫瘍に次いで多く,膀胱腫瘍においては浸潤性で発見される割合が多い.尿量の減少により血尿などの臨床症状に乏しく,早期発見が困難であることから定期的な画像検査や膀胱鏡を含めた泌尿器科検査が適宜必要であると考えられた.
  • 高柳 明夫, 上原 央久, 村中 貴之, 鈴木 一弘, 柳瀬 雅裕
    2008 年 41 巻 11 号 p. 799-802
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    IgA腎症による慢性腎不全のため57歳男性が腹膜透析を導入した.導入翌日に両側の陰嚢腫大を認め,精査にて両側陰嚢浮腫と診断した.腹膜透析を一時休止することで陰嚢浮腫は自然に改善した.休止から3週後に腹膜透析を再開したが,陰嚢浮腫の再発はなく良好に施行可能となった.PD導入後に陰嚢腫大を認めた場合には交通性陰嚢水腫と陰嚢浮腫の鑑別を行って治療を行うことが重要である.陰嚢浮腫の際にはまずPDをしばらく中止することで陰嚢浮腫は消失する.しかし,PD再開後に陰嚢浮腫が再発する場合にはその原因を鑑別して治療することが重要である.
  • 寺脇 博之, 小林 政司, 加藤 順一郎, 日下 正久, 山田 有紀子, 中尾 正嗣, 高根 紘希, 山本 亮, 濱口 明彦, 最上 拓児, ...
    2008 年 41 巻 11 号 p. 803-808
    発行日: 2008/11/28
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    血液透析に新規導入された肝硬変患者に発症し,アルゴンプラズマ凝固(APC)を頻回施行したにもかかわらず出血を繰り返した胃前庭部血管拡張(GAVE)に対し,動脈塞栓術(TAE)が有効であった1例を報告する.症例は大量の腹水を伴うC型肝硬変を有する61歳,男性.腎機能低下のため当院紹介入院となった.血液透析導入後,進行性の貧血とタール便が出現した.胃カメラにてGAVEからの出血が確認されたため,以後4回にわたりAPCが施行されるも,貧血の進行はさらに激しくなった.そこで左右胃動脈に対しマイクロコイルによるTAEが施行された.その後GAVEの再発は認められず,患者は退院より40か月の時点で外来通院中である.
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