日本透析医学会雑誌
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41 巻 , 5 号
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第52回日本透析医学会コメディカルシンポジウムより
原著
  • 下条 文武, 天野 泉, 小野 利彦, 北岡 建樹, 中西 健, 粕本 博臣, 佐藤 元美, 申 曽洙, 大林 誠 一, 山川 智之, 鈴木 ...
    2008 年 41 巻 5 号 p. 301-304
    発行日: 2008/05/28
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    83例(男:42例,女:41例)の透析アミロイド症患者を対象にリクセルS-25を使用した場合における,単回治療前後でのβ2M低下率を併用ダイアライザー別で検討した.また,使用開始後短期(平均治療期間3か月)に発現する副作用の検討を行った.併用ダイアライザーの使用分布はダイアライザー機能分類でIII型10.2%,IV型68.0%,V型20.5%,その他1.3%であり,単回治療における血中β2M低下率はIII型(膜面積1.5m2以上)で平均66.3%,IV型(膜面積1.5m2未満)で平均67.8%,IV型(膜面積1.5m2以上)で平均73%,V型(膜面積1.5m2以上)で平均70%であり,全体平均で71%(前:25.5mg/L→後:7.5mg/L)であった.また,S-35で治療されている患者6例において,クロスオーバーによりS-25を使用し,β2Mの総クリアランスを評価したところ,S-35で84.0mL/minであったのに対して,S-25で78.0mL/minであった(対S-35比92.9%).以前にS-35とS-15を比較検討した報告1)では,S-35使用時のβ2M総クリアランスは84.3mL/min,S-15は61.1mL/minであった.副作用の発現率は9.6%(8/83例)であり,血圧低下(3/83例)などが認められた.以前にS-35とS-15を比較検討した報告1)では,1年間の治療期間での副作用発現頻度はS-35で25%(13/53例),S-15で8%(5/66例)であった.以上より,S-25の製品特性はβ2MクリアランスではS-35に近く,安全性はS-15に近いことが示唆された.
  • 西條 和子, 森本 聡, 柴田 清美, 大垣 佳代, 大田 千穂子, 宮野 喜代子, 中川 清, 高橋 延行, 桃嵜 淳子
    2008 年 41 巻 5 号 p. 305-310
    発行日: 2008/05/28
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    【目的】近年,医療現場においてのinformation technology(IT)化が推進される中,各施設で電子カルテによる患者情報管理,他部門との情報の共有化が行われている.透析医療においても透析管理システムが導入されるようになり,電子カルテと連携し運用している施設も少なくない.当院でも電子カルテと透析管理システムの連携運用を開始した.そこで,本研究では電子カルテと透析管理システム連携の有用性を検討した.【方法】当院血液浄化センターのスタッフ12名を対象とし,電子カルテと透析管理システム連携導入直前には紙運用,導入3か月および12か月後にはコンピューターシステム連携運用の有用性に関するアンケート調査を実施し比較検討した.【結果】電子カルテと透析管理システム連携は,医師からの指示出し・指示受けにおける有効性がシステム導入3か月後では紙運用に比し低いと判断されたが,導入12か月後には紙運用よりも高いと評価された.当センターへの入室前の患者情報把握効率は,導入3か月後では紙運用と差はなかったが,12か月後には評価が高くなった.薬品管理,物品管理,院内他部門との連携における有効性は導入3か月後,12か月後ともに紙運用にくらべ高いと評価された.一方,血液透析終了後の病棟への申し送りにおける有効性は,導入3か月後,12か月後ともに紙運用と差はなかった.【考察】電子カルテと透析管理システムの連携運用は,コンピューター化による利便性のため紙運用にくらべ概ね有効と考えられる.しかし,一方では作業が煩雑となるため操作に慣れるまでに時間がかかるという問題がつきまとう.また,現時点では電子カルテと透析管理システムの連動がスムーズでなく,これらのシステムの改良が望まれる.
  • 三村 維真理, 栗田 宜明, 崔 啓子, 西 隆博, 三瀬 直文, 多川 斉, 杉本 徳一郎
    2008 年 41 巻 5 号 p. 311-315
    発行日: 2008/05/28
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    血液透析に不可欠のバスキュラーアクセスの必要条件は,安定した血液透析が可能で,心負荷の点で患者のQOLを損なわないことである.今回,血液透析導入時のバスキュラーアクセス選択について背景因子を検討した.2003年と2004年に当院で血液透析導入した94名において,プライマリーアクセスとして動静脈内シャント(以下AVF)は79例(85%)であった.AVF以外の15例は,心機能低下(10例),動静脈の問題(8例)のいずれかまたは両者を有していた.動脈表在化を選択した低心機能の患者は比較的長期にわたり安定した維持透析が可能であった.また,長期型バスキュラーカテーテルを選択した4例は心機能低下のほか,麻酔の侵襲が危惧される全身状態不良例であった.長期型バスキュラーカテーテル4例はいずれも,1~29か月で死亡していたが,その原因は感染ではなく,すべて原病の増悪あるいは突然死であった.アクセス選択に影響する患者因子は心機能,動脈硬化症の進行,前腕静脈の荒廃,加齢であった.
  • 佐藤 啓太郎, 大坪 茂, 杉 織江, 小川 真里子, 佐原 由華子, 岩佐 悠子, 浅宮 有香理, 菊地 勘, 武井 卓, 小川 哲也, ...
    2008 年 41 巻 5 号 p. 317-322
    発行日: 2008/05/28
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    目的:血液透析患者の発熱は腎不全に伴う内部環境変化と透析療法に伴う合併症の影響により,特有な病態を呈しており,しばしば原因の同定に苦慮する場合がある.慢性腎臓病患者において透析の有無や透析歴で原因不明の発熱の原因を検討した報告は少なく,今回,慢性腎臓病患者において,血液透析の有無によって発熱の原因に違いがないか,血液透析患者の発熱に対し留意する点がないかを検討した.方法・対象:当院に原因不明の37℃以上の発熱で1998年8月から2007年7月まで入院した100例を対象とした.入院精査によって得た診断名をchronic kidney disease (CKD) stage分類に基づき分類し発熱の原因を比較した.また,血液透析患者に関しては発熱の原因と透析歴の関連について検討した.結果:CKD stage5Dの患者42例は全例血液透析患者であった.発熱の原因としては,29例が感染症で,6例が透析アミロイドーシス,2例が悪性腫瘍,1例が薬剤性,4例が不明のままであった.一方,CKD stage1~5の患者58例のうち39例が感染症,9例が膠原病,3例が悪性腫瘍,1例が薬剤性で6例が不明のままであった.発熱の原因として膠原病は血液透析患者ではそのほかのCKD stageの患者に比較し有意に低率であった(0% vs. 18.4%,p=0.0094).透析アミロイドーシスと診断した症例の透析歴は平均23.1±5.0年(16~29年)であり,ほかの原因による発熱に比較し透析歴が長期であった(p<0.0001).感染症のうち,塗抹,培養,核酸増幅法によって結核と診断した症例が血液透析患者に2例認めたのに対し,ほかのCKD stageの患者では認めなかった.結語:血液透析患者において原因不明の発熱を認めた際,まず頻度が多く,治療が遅れた場合,致命的となりうることから感染症を疑うべきである.さらに結核の可能性,また透析歴の長い場合は透析アミロイドーシスに注意が必要である.
透析技術
  • 山田 吉広, 須澤 大知, 熊藤 公博, 袖山 孝徳, 百瀬 光生, 床尾 万寿雄
    2008 年 41 巻 5 号 p. 323-328
    発行日: 2008/05/28
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の高齢化および糖尿病性腎症の増加に伴い閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans以下ASO)の発生頻度は増加している.ASOの薬物療法としてalprostadil製剤(Palux®,Liple®以下先発品製剤)があるが,吸着性ならびに透析性について明記された報告がないため,当院ではASOを合併する血液透析患者に対して透析終了時に投与している.以前われわれは,先発品alprostadil製剤のAPS-13SA®(以下PS)膜への吸着性ならびにPS膜での透析性がないことを報告した.今回は,先発品alprostadil製剤のBG-1.3U®(以下PMMA)膜,FDX-12GW®(以下PEPA)膜への吸着性ならびに各透析膜での透析性について人工透析模擬回路を用いて検討した.また先発品alprostadil製剤と後発品alprostadil製剤(Plink®)のPS膜への吸着性ならびにPS膜での透析性について上記と同様に検討した.その結果,先発品alprostadil製剤において,PMMA膜では吸着施行時除去率8%,透析施行時除去率53%,PEPA膜では,吸着施行時除去率5%,透析施行時除去率8%であった.両膜において,透析膜への吸着が認められる結果となり,PMMA膜とPEPA膜による血液透析施行時におけるalprostadil製剤の投与方法は,透析終了時が望ましいと考えられた.また先発品製剤と後発品製剤のPS膜への吸着性ならびにPS膜での透析性は認められず両者に差がなかった.よって,PS膜による血液透析施行時における両alprostadil製剤の投与方法は,透析施行中のいずれでも可能と考えられた.
症例報告
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