[症例] 40歳代,女性.7年間腹膜透析を続けた後,11年間の血液透析歴がある.平成13年,二次性副甲状腺機能亢進症(2°HPT)の診断で副甲状腺全摘(PTX)・自家移植術が施行された.平成15年より頸部残存腺および移植腺の再腫大のため,繰り返し治療が行われていた.平成18年7月,全身の関節痛と歩行困難が出現したため,当院を紹介され精査加療の目的で入院となった.入院時,血清iPTH 818 pg/mL,血清Ca 13.0 mg/dL,超音波検査で右前腕に長径40 mm大の腫大した移植腺を認めた.
99mTc-MIBIシンチグラフィーでは右前腕に取り込みを認めたが,頸部と前胸部には取り込みがないことを確認した.筋肉内の巨大移植腺(18×15×43 mm)を摘出し,PTX施行1週間後の血清iPTHは22 pg/mL,血清Ca 9.0 mg/dLまで低下した.術後,関節痛は軽快しリハビリにより歩行可能となるなどADLは改善した.[考察] PTX後内科的治療に抵抗する2°HPTでは,頸部残存腺および移植腺の再腫大を早期に診断し,積極的にインターベンションを行う必要があると思われた.
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