日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
42 巻 , 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
総説
第53回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 佐藤 一賢, 浅香 充宏, 中川 卓, 今村 秀嗣, 横山 仁, 石川 勲
    2009 年 42 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    腎機能障害者に対して造影剤投与を行う場合,造影剤腎症(radiocontrast nephropathy:RCN)の発症が大きな問題となる.RCNを予防する目的で,従来造影剤投与後に血液透析が行われてきたがその有用性は明らかではなく,血液透析による循環動態の悪化が腎機能へ悪影響を及ぼす可能性すら指摘されている.血行動態への悪影響がより軽微である持続的血液透析(continuous hemodialysis:CHD)を造影剤投与前から行うことでRCNの予防が可能かどうかをretrospectiveに検討した.対象は2002年1月から2004年9月までの間に金沢医科大学病院で冠動脈造影を施行した症例のうち,血清クレアチニン値(S-Cr)が1.5 mg/dL以上の保存期腎機能障害患者47例である.うち9例に対しては,造影剤投与直前から投与終了後2~3時間までCHDを行った(施行群).残りの38例ではCHDを施行しなかった(非施行群).造影剤投与後72時間以内にS-Crが前値と比較して25%以上上昇したものをRCNと定義し,この2群間でRCNの発症頻度を比較した.両群間で年齢,糖尿病罹患率,および造影剤投与量に差はなかったが,造影剤投与前のS-Crは施行群で高値であった(2.2±0.9 vs. 1.7±0.4 mg/dL,p<0.01).造影剤投与後,S-Crは両群ともにわずかに上昇したが(施行群2.4±1.1,非施行群1.9±0.7 mg/dL)その変動は両群ともに有意ではなかった.RCNは施行群で2例(22%),非施行群で7例(18%)にみられたが,その発症頻度に両群間で差はなかった.これら9例でのS-Crの変動はいずれも一過性であった.予防的CHDは,たとえ造影剤投与前から開始したとしても,腎機能障害者における造影剤腎症の発症を抑えることはできなかった.
  • 小川 智也, 原田 悦子, 金山 由紀, 星 綾子, 田山 陽資, 朝倉 受康, 前田 忠昭, 松田 昭彦, 松村 治, 御手洗 哲也
    2009 年 42 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    長期型バスキュラーカテーテル(VC)の恒久的なバスキュラーアクセス(VA)に規定しない使用方法を検討した.対象症例は,全身状態不良な腎不全患者47例(男26例,女21例)で,急性腎不全(ARF)21症例,慢性腎不全(CRF)26症例(導入例16例,慢性透析患者10例)であった.平均年齢は66±14歳,平均血清アルブミン値(Alb)は2.37±0.54 g/dL,CRPは5.14±5.36 mg/dLであった.長期型VCの使用本数は48本で,留置部位は右内頸静脈44例,左内頸静脈3例,左鎖骨下静脈1例で,平均留置期間は49.5±56日であった.長期型VCの転帰は,内シャント(AVF)作製による抜去16例,死亡16例(悪性腫瘍関連死9例,敗血症7例),感染徴候による抜去5例,透析離脱4例,閉塞・脱血不良2例,継続2例などであった.AVF造設,死亡,透析離脱を除いた長期型VCの開存率は,挿入後30日で約80%,90日でも約60%あった.全身状態不良なARFおよびCRF症例に長期型VCを使用することで,平均7週間の安定した血液透析療法が施行できた.長期型VCは恒久的なVAとしての適応以外に,早期のAVF作製困難なCRF症例におけるbridging VAおよび短期間での透析離脱が難しいARF症例などのVAとしても有用と考えられた.
症例報告
  • 佐藤 信之, 濱田 千江子, 谷藤 千暁, 武田 之彦, 稲見 裕子, 長田 しをり, 金子 佳代, 貴田岡 正史, 富野 康日己
    2009 年 42 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    [症例] 40歳代,女性.7年間腹膜透析を続けた後,11年間の血液透析歴がある.平成13年,二次性副甲状腺機能亢進症(2°HPT)の診断で副甲状腺全摘(PTX)・自家移植術が施行された.平成15年より頸部残存腺および移植腺の再腫大のため,繰り返し治療が行われていた.平成18年7月,全身の関節痛と歩行困難が出現したため,当院を紹介され精査加療の目的で入院となった.入院時,血清iPTH 818 pg/mL,血清Ca 13.0 mg/dL,超音波検査で右前腕に長径40 mm大の腫大した移植腺を認めた.99mTc-MIBIシンチグラフィーでは右前腕に取り込みを認めたが,頸部と前胸部には取り込みがないことを確認した.筋肉内の巨大移植腺(18×15×43 mm)を摘出し,PTX施行1週間後の血清iPTHは22 pg/mL,血清Ca 9.0 mg/dLまで低下した.術後,関節痛は軽快しリハビリにより歩行可能となるなどADLは改善した.[考察] PTX後内科的治療に抵抗する2°HPTでは,頸部残存腺および移植腺の再腫大を早期に診断し,積極的にインターベンションを行う必要があると思われた.
  • 沼倉 一幸, 小田嶋 傑, 小田嶋 千枝子, 佐々木 智美, 中村 勇美子, 小田嶋 明子, 小川 伸, 和泉 奈保子
    2009 年 42 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.2004年より血液透析中であったが,2008年1月下旬より,右下腹部痛が出現し,当科に入院した.入院当初,虚血性腸炎と考え治療を行ったが,症状の改善が得られなかった.大腸粘膜生検でサイトメガロウイルス(CMV)感染性腸炎と診断し,ガンシクロビル投与で症状は速やかに改善した.虚血性腸炎の鑑別診断としてCMV感染性腸炎も考慮する必要があると考えられた.
  • 南里 正之, 有働 和馬, 富山 裕介, 真崎 拓朗, 西村 和重, 藤山 千里, 魚住 二郎
    2009 年 42 巻 3 号 p. 265-269
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    症例は血液透析歴1年以内の59歳,男性.透析導入4か月前に左腎盂癌を発症し,左腎尿管摘出術を施行したが,その後短期間に膀胱再発を繰り返した.膀胱腫瘍に対して,経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下TURBT)を行い,膀胱再発予防としてマイトマイシンCの膀胱内注入療法を行ったが,これが誘因となったと思われる慢性炎症や出血性膀胱炎が発現した.また,膀胱癌再発を繰り返し,再発ごとにT stageや異型度が進行し最終的には膀胱全摘術が必要となった.さらに膀胱全摘術1年後にCTにて右下部尿管に造影効果のある腫瘤病変が認められ,右腎尿管摘出術が必要になったが,術前に急性膵炎を発症し敗血症に至って亡くなった.慢性腎不全患者は乏尿,アシドーシス,免疫能低下などの病態を有しており,膀注療法においては,薬剤の選択,薬剤濃度や投与方法を検討し,より効果的な再発予防と血尿などの合併症予防に注意が必要である.また再発を繰り返す血液透析患者の尿路上皮癌の治療では,保存的治療による尿路の温存を追及するよりも根治性を高めるための上部尿路の摘除も組み合わせた早期の膀胱全摘術も治療選択肢のひとつとして検討すべきである.
  • 影山 慎二, 塩 暢夫
    2009 年 42 巻 3 号 p. 271-274
    発行日: 2009/03/28
    公開日: 2009/06/26
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.透析歴は6年であり,約1年は腹膜透析.既往症として,狭心症に対する冠血管インターベンション,副甲状腺全摘除・前腕自家移植術がある.透析導入直後から皮膚そう痒症が顕著であり,副甲状腺全摘・自家移植術の術直後と腹膜透析への移行期間を除いて常に強い掻痒感が持続していた.皮膚外用剤や各種のスキンケア製剤および抗ヒスタミン剤などいろいろ使用したが掻痒感の改善は得られなかった.当院受診時は副甲状腺機能の再亢進に対して静注ビタミンD注入を行っており,血清のカルシウムは高値であった.副甲状腺機能亢進症に対する静注ビタミンD療法を,シナカルセト内服に切り替えたところ,PTHは低下傾向を示した.また血清カルシウム,リン値は至適レベルに低下した.PTHが低下し,血清カルシウム×リン積が著明に低下することにより,皮膚そう痒症が劇的に改善することは,副甲状腺摘除後に多く経験されている.シナカルセト内服により,PTHが低下し,カルシウム・リン値のコントロールが良好となり,結果的に副甲状腺機能亢進症の治療がより強力となり,難治性の皮膚そう痒症に効果的であったと考えられる症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.
feedback
Top