日本透析医学会雑誌
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42 巻 , 5 号
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原著
  • 高橋 さつき, 岡 美智代, 恩幣 宏美, 佐藤 久光, 杉田 和代, 田村 幸子
    2009 年 42 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 2009/05/28
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,看護師が外来で行う慢性腎臓病(CKD)1~4期の患者教育実施率と,実施に影響を及ぼしている診療外来の「構造」を明らかにすることである.【方法】研究方法は,郵送法による自記式質問紙を用いた実態調査である.対象施設は,日本透析医学会と日本腎臓学会の名簿の中から等間隔抽出法にて2,024施設を抽出した.回答者は,各施設1名の担当看護師である.分析方法は,患者教育の定義に基づいた教育群,準教育群,未実施群への分類・集計と,3群間の「構造」の差の検定である.【結果】有効回答354通の分析によって,次のことがわかった.1)看護師が行うCKD 1~4期の患者教育実施率は,13.0%であった.2)看護師による患者教育実施には,複数種類の腎代替療法の実施や,受診患者の疾患などの傾向では腎臓内科的疾患が中心であることが有意に関連していた.これは準教育群でも同様に有意であった.3)看護師による患者教育実施には業務の少なさではなく,多さが有意に関連しており,他群より有意に多くの外来業務を「必ず行う」としていた.4)看護師による患者教育の実施には,専門資格取得看護師の配置や採血室の設置などが有意に関連していた.【考察】看護師によるCKD 1~4期の患者教育の実施は,主として腹膜透析などの実施に伴うものと考えられるが,13%と少ない.しかし,患者教育は専門資格取得看護師を配置することによって,実施しやすくなると思われ,慢性疾患看護専門看護師をはじめとする高度な専門性を身につけた人材育成が必要である.また,採血室を設けて外来看護の機能分化を図ることなども有効である.だが煩雑な外来業務の中で,看護師が行う患者教育数の増加や実施施設の拡大を図るには限界がある.拡充を図るには,業務整理・分担を行って看護師を外来業務の煩雑さから解放し,看護師を患者に集中させることが必要と考えられる.
短報
症例報告
  • 鬼無 洋, 吉岡 知輝, 浦濱 善倫, 飯田 喜康, 政本 大二郎, 西村 勇人, 渡辺 緑子
    2009 年 42 巻 5 号 p. 379-385
    発行日: 2009/05/28
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    患者は74歳女性で,慢性腎不全にて保存的加療を行っていた.原疾患は腎硬化症が考えられていた.平成19年10月より吐気,食思不振を訴え,尿素窒素(BUN)64.1mg/dL,クレアチニン(Cr)5.14 mg/dL,重炭酸濃度(HCO3-)13.2 mmol/Lと腎不全の悪化を認めたため10月23日より入院となった.上部消化管内視鏡は慢性胃炎の所見であった.第3病日にはBUN 80.4mg/dL,Cr 6.38mg/dLと腎不全が進行し,尿毒症を考え第4病日より血液透析を開始した.しかし,その後も吐気が持続し,眼の焦点が合わない,頭がぼやけるなどの訴えが出現した.徐々に傾眠傾向となったため,第8病日に頭部MRIを撮影した.中脳水道周囲,乳頭体,視床内側に拡散強調像,T2強調像,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)にて高信号域を認め,Wernicke脳症が疑われた.同日よりフルスルチアミンの投与を行ったところ意識レベルは速やかに改善した.後にビタミンB1は14(正常20~50)ng/mLと低値であったことが分かった.維持血液透析,リハビリを続け,第57病日にリハビリ目的にて他病院に転院となった.食事療法,尿毒症による栄養摂取不良と血液透析による水溶性ビタミンの喪失がWernicke脳症の原因と考えられた.
  • 上田 美緒, 春口 洋昭, 田中 好子, 小島 史子, 柿沼 多恵子, 鈴木 基文, 新田 孝作, 秋葉 隆
    2009 年 42 巻 5 号 p. 387-391
    発行日: 2009/05/28
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性.1983年血液透析導入(原疾患不明).1991年生体腎移植.2001年血液透析再導入.2007年7月右前腕内シャント閉塞にて左前腕人工血管(グラシル®)移植術施行.手術時出血量は50mL以下で多くはなかった.が,術後10日目Hb 10.7g/dLから7.7 g/dLと貧血の進行を認めた.エリスロポエチン(EPO)製剤増量,鉄剤投与で一時,貧血改善するも50日目頃から再び貧血進行.術後90日頃Hb 6.6 g/dLまで低下.AST 43IU/L,LDH 974IU/L,ハプトグロビン3mg/dL低値と溶血所見を認めた.クームス,寒冷凝集素は陰性.グラフト部のエコー,血管造影検査にて上腕動脈のグラフト吻合部から橈骨動脈,尺骨動脈分岐部まで内膜の解離と偽腔への血流を確認した.貧血に対し輸血計4単位施行.その後溶血所見の軽減と3か月半頃からはEPO製剤投与のみで貧血が改善した.動脈解離は残存しているが術後1年経過しても溶血性貧血の再発はない.
  • 荒岡 利和, 竹岡 浩也, 西岡 敬祐, 岸 誠司, 荒木 真, 岸 史, 繁田 令子, 村上 太一, 近藤 直樹, 松浦 元一, 吉川 和 ...
    2009 年 42 巻 5 号 p. 393-402
    発行日: 2009/05/28
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    維持血液透析患者のC型肝炎ウイルス(HCV)感染率が高いことは知られており,最近HCV感染が予後規定因子であるといわれている.しかし未だ血液透析患者における安全で効果的なインターフェロン(IFN)投与法は確立されていない.維持血液透析患者2名に副作用が少ないIFN-βを中長期間(24週,2年)投与し,薬物動態,投与法,安全性,治療効果について検討した.1例目は38歳男性,高ウイルス1型.初回2週間連日点滴静注し以降は透析日のみ投与した.透析日は内シャント静脈ラインから透析開始直前30分でIFN-β 600万単位を投与した.早期ウイルス学的陰性になったが治療後ウイルスの再増加がありIFN-βを再投与した.再治療は1週間連日点滴静注し以降は透析日のみ投与した.投与法を透析開始直後30分に変更し血液透析回路から投与した.2年間投与で特に副作用もなくHCV-RNA定性検査陰性となったが,持続ウイルス学的陰性は得られなかった.開始直後30分投与のCmaxは262±41 pg/mLと開始直前30分投与のCmax 214.7±38.25 pg/mLよりやや高いが透析中の約4時間で体内から消失し蓄積はなかった.2例目は58歳男性,低ウイルス量2型.1例目再治療時に準じてIFN-βを透析開始直後30分で24週間投与し持続ウイルス学的陰性を得た.血圧低下にIFN-βの関与を疑い8週目から300万単位に減量し改善した.Cmaxは600万単位投与で259±43.9 pg/mL.300万単位投与で143.5±5.09 pg/mL.ほかの副作用はなかった.IFN-α製剤は副作用のため治療継続,長期投与が困難であるがIFN-βはそれを可能にする.血液透析開始直後30分投与は安全面,治療効果において優れた投与法である.
  • 辻田 誠, 押谷 創, 杉山 豊, 三村 哲史, 浅野 靖之, 成瀬 友彦, 平山 幹生, 渡邊 有三
    2009 年 42 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 2009/05/28
    公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    ギラン・バレー症候群(以下GBS)は,急速に進行する四肢筋力低下を主症状とするニューロパチーである.一般的にGBSの治療については,単純全血漿交換(以下PE)や免疫グロブリン大量療法(以下IVIg,400mg/kg/日×5日間)が推奨されており,その効果は同等とされている.しかし,維持透析患者に合併する症例数は少なく治療方針についても一定の見解が得られていない.われわれは,GBSと診断された維持透析患者4症例を経験した.2症例に対しては,第一選択で施行したIVIgで効果がなく,PEを施行したところ,施行直後より筋力の改善を認めた.残りの2症例ではPEを第一選択とした.4症例ともにPE施行後順調な経過をたどった.維持透析患者のGBSの治療にはIVIgよりPEが有効であると考えられる.
平成20年度コメディカル研究助成報告
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