日本透析医学会雑誌
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43 巻 , 2 号
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日本透析医学会統計調査の歴史
第54回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 高橋 淳子, 英 理香, 新納 誠司, 中村 雅将, 土田 健司, 林 郁郎, 水口 潤, 川島 周
    2010 年 43 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    人工血管内シャント(AVG:arterio-venous vascular access graft)閉塞の主要な原因は流出路に発生する狭窄である.この狭窄状況を把握するため,モニタリングの1つとして静的静脈圧の測定を行った.対象は,川島ホスピタルグループで維持血液透析を受けている患者のうち,AVGをバスキュラーアクセス(VA)として,脱血と返血の両方に使用している患者102名とした.対象者全員に静的静脈圧(SVP:static venous pressure),動的静脈圧(DVP:dynamic venous pressure),収縮期血圧の測定を行い,SVPとDVPの関連性,SVPと収縮期血圧の関連性について検討した.19症例に関しては,SVPとDVPの時間経過や,血液ポンプ流量の違いによる変化をみた.SVPとDVPの間には正の相関関係がみられたが,SVPと収縮期血圧に相関はなかった.経時的にみるとSVPは徐々に低下したが,DVPは上昇することから,SVP,DVPの測定は,透析開始後早い時間で,毎回の測定時間を一定にすることや,それぞれの静脈圧を連続して測定することが重要である.透析ごとのDVPによる圧の変化と,SVPの定期的な圧の経過観察を併せて使用することで,より有用なモニタリングとして使用できる.
  • 木下 千春, 井上 賀元, 神田 千秋, 永井 源泰, 武下 清隆, 田中 義浩
    2010 年 43 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    全国腎疾患管理懇話会に加盟している70施設を対象に透析患者の閉塞性動脈硬化症(以下ASO)に関するアンケート調査を実施した.回答率は62.9%であった.本調査での透析患者のASO罹患率は14.3%であった.糖尿病合併例ではFontaine分類IV度の比率が高く,下肢切断となった患者の89.0%は糖尿病合併例であり,糖尿病合併例ではASOが重症化しやすいことが示された.定期的な下肢の観察は77.3%と比較的多くの施設で施行されていたが,ASOのスクリーニング検査は59.1%の施設にとどまった.スクリーニング検査としては88.4%の施設でABI(ankle brachial index)が施行され,その他の検査の利用は少なく,血管エコー,SPP(skin perfusion pressure),TBI(toe brachial index)の利用はそれぞれ34.6%,11.5%,7.7%であった.無症状が多いとされるASO患者の早期発見は必ずしも十分には行われている状況にあるとはいえず,今後の課題であると思われた.
  • 末光 浩太郎, 中村 隆
    2010 年 43 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    目的:近年,前腕での自己血管によるアクセス作製困難な症例が増加している.このような症例に対し,上腕における上腕尺側皮静脈転位内シャント(transposed brachiobasilic AVF:TBBAVF)の有用性が報告されているが,本邦において一般的な手術手技として確立されていない.今回,当院で行った症例をもとにその有用性について検討する.対象および方法:2003年1月より2008年5月までの65か月間に43例43肢(男性18人,女性25人)に対しTBBAVFを作製した.追跡不能や透析未導入の3例を除く40例を対象に,開存率および感染,スチール症候群などの合併症について検討した.結果:TBBAVFの一次開存率は1年70%,2年56%であり,二次開存率は1年94%,2年83%であった.合併症は,スチール症候群が4例(10%),静脈高血圧1例(2.5%)であり,感染はなかった.結論:前腕での自己血管によるアクセス作製が困難な症例に対しては,一般的に人工血管によるアクセスが作製されるが,TBBAVFは,人工血管と比較して,一次,二次開存率は同等もしくはそれ以上であり,感染率が極めて低く,アクセス作製困難症例に対しての一般的手技となりうると考えられた.
短報
  • 柴原 宏, 柴原 奈美, 小松 麻衣子, 齋藤 志津, 小尾 学, 須田 春香, 森田 美恵子, 斎藤 由紀子, 鈴木 香子, 高橋 進
    2010 年 43 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    筆者らは,カフ付き皮下トンネル型カテーテル(以下TCC)出口部の皮膚の正常化とカテーテルケアの簡易化を目的とし,カテーテル出口部に直接水道水をかけて洗い流し,いずれの消毒薬も使用しないカテーテルケアを考案し臨床応用を試みた.2005年から2007年で相模原協同病院と橋本みなみ内科においてTCC(Soft-Cell)を使用していた症例のうち,今回のケア方法に同意が得られた5症例を対象とした.通常の水道水を使用した微温湯(水温約40℃)をシャワーボトルに入れ,ここからのシャワー水を出口部に直接浴びせながら,綿棒などで出口部の汚れや付着物を除去した.洗浄後,未滅菌のガーゼやタオルなどで水分をふき取り,そのまま薬物消毒を行わずに未滅菌のガーゼ保護あるいは市販のテープ貼付のみとした.自宅では入浴時に浴室のシャワーを使用し同様のケアを行った.このカテーテルケアの有効性と安全性について検討するために,透析ごとの皮膚状態の肉眼的観察・写真撮影をし,血液検査,出口部と血液の細菌培養を行った.対象となった5症例は男性3名,女性2名,年齢は63歳から84歳(平均±標準偏差73.0±8.1)でシャワー洗浄期間は36日から210日(平均±標準偏差107.4±75.1)であった.シャワー洗浄開始後全例で出口部の皮膚状態は改善した.1例で炎症反応の急激な上昇がみられ,出口部の皮膚状態は良好で出口部感染の兆候はみられなかったが,他院に転院しカテーテル抜去となった.出口部皮膚からは複数の弱毒菌が検出されたが血液培養上では菌の検出はみられなかった.以上により今回のカテーテルケアは臨床的に安全で有効な方法であると考えられた.
症例報告
  • 青山 東五, 渡会 梨紗子, 根本 千香子, 田中 圭, 村野 順也, 坂間 玲子, 田崎 尋美, 小林 圭, 岡本 智子, 内藤 正吉, ...
    2010 年 43 巻 2 号 p. 195-200
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.26歳時,両膝関節と両足関節の疼痛,高尿酸血症により痛風と診断された.その後,5年に1~2回程度の痛風発作を繰り返していた.腎機能は徐々に低下し,尿毒症に進展,血清Crは6.9 mg/dL,血清UAは10.5 mg/dLと上昇した.2006年5月に入院し,血液透析を開始した.血液透析導入時,痛風結節を全身に認めた.血液透析4回目以降,両膝関節近傍と右肘関節遠位部の痛風結節に自発痛,圧痛,熱感を,また,全身症状として発熱が透析後に出現した.CRPは,0.65から12.8 mg/dLに上昇した.痛風発作と考えて,NSAIDを投与したが十分な効果は得られなかった.そこで毎回の血液透析開始直前にコルヒチン0.5 mgの経口投与を行ったところ著効を示し,全身症状,関節症ともに軽快した.透析開始12か月後には,疼痛は完全に消失し,痛風結節は縮小した.痛風結節を伴う患者の血液透析導入は,痛風結節中の尿酸結晶を融解し,繰り返す関節炎の原因になる.高尿酸血症と腎機能障害との関連性および血液透析療法における痛風発作と尿酸管理について報告する.
  • 花房 雄治, 西川 公詞, 奥瀬 紀晃, 塩田 邦朗, 原 威史, 大房 馨, 伊藤 悦行, 山口 とく子, 古屋 良恵, 土屋 和仁, 櫻 ...
    2010 年 43 巻 2 号 p. 201-207
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため,24年前に透析導入となっている.高血圧および高尿酸血症を合併しており,また,両側手根管症候群に対して手術の既往を有している.さらに,シナカルセト投与前よりアルコールによる中等度の肝機能障害を認めていた.経過観察中にintact-PTHが371 pg/dLと上昇し,活性型ビタミンD3製剤の経口投与を行っているにもかかわらず,intact-PTHが高値で推移していたため,シナカルセト25 mg/日の投与を開始した.投与開始4日目にはAST 1,709 IU/L,ALT 561 IU/L,LDH 1,602 IU/Lと逸脱酵素が著しく高値となった.腹部CTでは,肝腫大および胆石を認めたが,それ以外に肝内胆管あるいは総胆管の拡張や肝実質の器質的異常は認められなかった.アルコール性肝障害の急性増悪も否定はできなかったが,新たに投与を開始したシナカルセトによる薬物性肝障害が最も疑われたため,投与を直ちに中止した.中止1週間後の逸脱酵素はAST 49 IU/L,ALT 61 IU/L,LDH 172 IU/Lと著しく低下した.DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップの診断基準のスコアによると,初回投与から発症までの期間,好酸球増多,投与中止後のデータなどより,肝細胞障害型で,スコアは7点と,5点以上となり,シナカルセトによる薬物性肝障害と診断した.中止2週目には肝逸脱酵素は正常に復していた.シナカルセトによる肝障害の報告はまれで,肝逸脱酵素の上昇も1%未満とされている.自験例のように,投与開始近接期に急激に肝逸脱酵素が上昇し,投与中止および肝庇護剤の投与のみで,正常に復した報告例はなく,きわめてまれな症例を経験したので報告する.
  • 柳垣 孝広, 武田 肇, 高橋 真司, 中野 吉朗
    2010 年 43 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    頻回の腹部手術の既往は,一般的に腹膜透析導入の支障になると考えられている.今回われわれは,生下時に鎖肛,外性器奇形,尿道下裂などがあり,イレウスを含めた頻回の腹部手術歴があり,現在も巨大結腸を有する成人に対してCAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis)導入を試みて,順調な経過をたどっている症例を経験したので報告する.症例は41歳,男性.職業:会社員.既往歴として生下時に鎖肛,外性器奇形,尿道下裂などがあり,直ちに人工肛門造設術を受けている.5歳時に会陰に肛門を造設し,人工肛門を閉鎖している.以後,イレウスを含めた頻回の腹部手術歴がある(本人,家族とも詳細な病名・術式は不明).小学校中学年以降,成人になるまで医療から外れている.巨大結腸を有し,成人後も尿便失禁があり,現在も紙おむつを使用している.平成6年,尿管結石が原因の左膿腎症で,左腎摘除術を施行した.平成15年から尿路障害を原因とする慢性腎不全で保存的加療を受けて,平成18年3月に血液透析を導入された.度重なるシャントトラブルで当院に紹介され,同年5月末,患者の強い希望もあり,十分検討の上,腹膜透析導入にチャレンジした.全身麻酔下に,術痕のない上腹部正中切開で内視鏡を用いて腹腔内を観察し,右下腹の手術痕の外側から骨盤~上腹部へは十分な腹腔容量がとれることを確認して,バスタブカテーテル法でテンコフカテーテルを留置した.その後の導入は順調で,残腎機能と併せて充分なクリアランスが得られ,以後,大きなトラブルもなく,現在に至っている.イレウスを含めた頻回の腹部手術歴や,巨大結腸の存在も,充分な検討・観察をすれば,必ずしも腹膜透析導入の禁忌とはならないと考え,ここに報告する.
  • 花村 菊乃, 柴垣 有吾, 木戸 亮, 里中 弘志, 土井 研人, 花房 規男, 野入 英世, 藤田 敏郎
    2010 年 43 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    症例は4年前より軽度腎機能障害を認めていた72歳,男性.'07年7月精巣上体炎に伴う感染後糸球体腎炎により血液透析導入となった.透析導入後,解離性大動脈瘤の破裂に対し緊急手術が施行され,維持透析に移行した.術後の経口摂取不能に対しリーナレン®,K-4S®による経腸栄養を開始.11月に胃瘻造設し,誤嚥防止のため経腸栄養剤を半固型製剤であるメディエフ®プッシュケアに変更したところ,高カリウム血症と代謝性アルカローシスの進行を認めた(pH 7.60,HCO3 36.8 mEq/L,K 6.5 mEq/L).経腸栄養剤の変更による影響を疑い,メディエフ®プッシュケアを中止し,テルミール®PGソフトを開始したところ速やかに改善傾向を認めた.経腸栄養剤の成分を検討した結果,メディエフ®プッシュケアでは他の製剤にくらべ,Clに対するNa含有量が多く,アルカリ性の組成を有することがアルカローシス発症の要因と考えられた.また,本剤ではカリウム含有量も他の製剤にくらべ多いことがわかった.本症例は,良好な透析コントロール下では極度の酸塩基平衡異常をきたすことは少ないと考えられる維持透析患者が,経腸栄養剤の投与により重度の代謝性アルカローシスを発症した稀な例であるが,透析患者における栄養製剤の選択に際しては酸塩基平衡や電解質異常にも十分な注意が必要と考えられた.
  • 大前 清嗣, 小川 哲也, 箕輪 久, 吉川 昌男, 新田 孝作
    2010 年 43 巻 2 号 p. 221-224
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    近年,高齢者の透析導入や長期透析患者の増加によりADL低下のみられる維持透析患者が増加している.今回ADL低下の原因として潜在的副腎皮質機能低下症が考えられた症例を経験したので報告する.症例1:63歳,男性.糖尿病を原疾患として1997年透析導入.2006年10月腸閉塞で入院し絶食により軽快した.退院後も食欲低下,全身倦怠感が持続,ACTH 211 pg/mL(7.4~55.7),cortisol(C)9.1 μg/dL(4.0~18.3)でありCの相対的低下と考えられた.症例2:79歳,女性.原疾患不明で2002年透析導入.2007年6月肺炎で入院,抗生剤投与により軽快したがその後より食欲低下が持続した.ACTH 103.0 pg/mL,C 17.2 μg/dLでありCの相対的低下と考えられた.透析患者ではAddison病でみられるNa喪失や脱水が認められず診断に苦慮する場合も多いと考えられる.今回の症例もNaの低下はみられずハイドロコルチゾンの補充により全例急速な回復がみられた.ADL低下例については潜在的副腎皮質機能低下症も念頭において診療にあたる必要性が考えられた.
  • 村上 穣, 山崎 諭, 伊藤 健太, 樋端 恵美子, 降籏 俊一, 萩原 正大, 池添 正哉, 小野 満也, 山口 博
    2010 年 43 巻 2 号 p. 225-230
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    透析患者の長期留置型カテーテルに合併したカテーテル関連血流感染症(catheter-related bloodstream infection:CRBSI)に対して抗生剤ロック療法を施行し,良好な経過をたどった2例を経験したので報告する.【症例1】患者は56歳,男性.糖尿病性腎症による慢性腎不全のため12年前に血液透析を導入し,6か月前に左鎖骨下静脈より長期留置型カテーテルを挿入した.発熱を主訴に入院し,精査によりメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus:MSSA)によるCRBSIと診断した.セファゾリン(CEZ)の経静脈的投与とバンコマイシン(VCM)による抗生剤ロック療法を計4週間施行し治癒した.【症例2】患者は72歳,女性.関節リウマチのため寝たきり.3か月前に肺炎と尿毒症のため入院し,右内頸静脈より長期留置型カテーテルを挿入した.発熱を認め,精査によりメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis:MRSE)によるCRBSIと診断した.VCMの経静脈的投与とVCMによる抗生剤ロック療法を計2週間施行し治癒した.長期留置型カテーテルの抜去が困難な場合には,抗生剤の経静脈的投与と抗生剤ロック療法の併用がカテーテル温存に有効であることが示唆された.
  • 榊 学, 濱尾 巧, 繁田 令子
    2010 年 43 巻 2 号 p. 231-237
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    透析患者に発生した悪性リンパ腫の2例を経験したので報告する.症例1は85歳,男性.血液透析歴は14年.2007年7月,喉に違和感があり近医を受診,径3 cm程度の右咽頭腫瘍を認め確定診断目的に生検,non-Hodgkin,diffuse large B-cell lymphoma,CD20+との病理診断であった.精査の結果,Ann Arbor分類で臨床病期IEと診断,R-CHOP療法を開始した.CTと内視鏡では3コース終了時点で腫瘍は完全に消失,化学療法は3コースで終了し,追加療法も行わなかった.現在,再発を認めていない.症例2は84歳,男性.血液透析歴は8か月.2008年3月に誤嚥性肺炎を発症,抗生剤投与で肺炎改善後も38℃前後の発熱が継続,全身状態が急速に悪化した.4月下旬,UA 15.4 mg/dL,補正Ca 12.0 mg/dLと異常高値を認め,悪性腫瘍の存在を疑って精査したところ,CTで径15 cm程度までの鼠径部・骨盤内腫瘤が多数出現,LDH 3,744 U/L,sIL-2R 9,863 U/mLと上昇しており,悪性リンパ腫が疑われた.確定診断目的に鼠径部・大腿部腫瘤を生検,症例1と同様の病理診断であった.生検の2日後に急変,永眠された.発熱が持続する場合は,悪性疾患を鑑別診断の1つとして考える必要がある.
  • 長谷川 善之, 玉井 路加子, 一万田 結香, 森本 順子, 和田 至弘, 斉藤 喬雄
    2010 年 43 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    創内持続陰圧洗浄療法とは,創面に密着させた滅菌スポンジに洗浄用のチューブと吸引用のチューブを挿入し,陰圧をかけながら洗浄水を流すことにより感染をコントロールして,創部の肉芽形成を促す治療法である.今回われわれはMRSA感染により吻合部破裂をきたした自己血管シャントの67歳女性と,MRSA感染によりグラフト全抜去した81歳男性の2症例に対して,術後の感染開放創を創内持続陰圧洗浄療法で管理した.これまでバスキュラーアクセス感染後の開放創に対しては連日の洗浄,包交など多大な労力を月単位で要していたが,今回創内持続陰圧洗浄療法を導入することで,かなりの重症例であった2症例ともにわずか4~5週間で感染創を容易に治癒させることができた.創内持続陰圧洗浄療法は身近な道具で簡便かつ安価に作製でき,感染の早期鎮静化,良性肉芽の増生を速やかにもたらすことが可能である.創傷治癒の面からは不利な条件下にある透析患者の感染創に対する新たな治療法として,一考に値すると思われる.
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