日本透析医学会雑誌
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43 巻 , 4 号
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原著
  • 本田 和美, 井上 有紀, 大薗 英一, 市村 恭子, 野呂瀬 嘉彦, 高橋 秀実, 葉山 修陽
    2010 年 43 巻 4 号 p. 361-366
    発行日: 2010/04/28
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    透析液清浄化対策として,透析液製造系の改良や洗浄消毒など汚染後の改善策に関する報告は多数みられるが,その汚染源に関する検討は少ない.われわれは,製造管理として清潔操作を取り入れた標準的操作マニュアル(SOP)に従って日常の透析液作製を行い,メンテナンスなど非日常的な製造系への侵襲は作業内容を逐次記録した.さらに,品質管理として透析用水・透析液のエンドトキシン活性(週2回)および生菌数(月1~2回)を経時的に観察し,製造系の汚染源を検討した.2004年8月~2007年12月の観察期間中,エンドトキシンリテンティブフィルタ(ETRF)以後の透析液のエンドトキシン活性・生菌数は常に検出感度未満であった.しかし,ETRFより手前のバイオバーデン部では検出感度未満から100 EU/L,580 CFU/mLまで上昇した.この変動とメンテナンスとの関連をみた.衛生的手洗いと清潔な手袋着用など手の衛生手技が行われていなかった場合,事後洗浄を行ったとしても,エンドトキシン活性は17.7±15.3から20.6±20.8 EU/Lへ有意に上昇したのに対し,適切に手の衛生手技が行われた場合には変動は認められなかった.メンテナンスにより透析液の汚染が生じることが明らかとなり,製造系の汚染原因として重要であると考えられた.
  • 山崎 秀憲, 供田 文宏, 小池 勤, 絹野 裕之, 鍵谷 聡志, 中川 泰三, 井上 博, 林 省一郎, 林 健志, 中村 國雄, 高林 ...
    2010 年 43 巻 4 号 p. 367-372
    発行日: 2010/04/28
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    通常の血液透析では,蛋白結合型尿毒素やカルボニル化合物は除去が困難である.14例の血液透析患者において,インドキシル硫酸(IS)とペントシジン(PEN)の除去能をトリアセテートダイアライザーFB-UHとポリスルホンダイアライザーAPS-MDで比較した.同一条件下で両ダイアライザーを各々3か月間クロスオーバーで使用し,各セッションの最終週に検査を施行した.小分子物質の除去率はダイアライザー間で差がなく,β2-ミクログロブリンの除去量はFB-UHでAPS-MDより多かった.ISとPENの除去率は,いずれもFB-UHでAPS-MDより大きかった(54±3%対34±3%,p<0.05;20±5%対11±4%,p<0.05).透析廃液へのアルブミン漏出量はFB-UHでAPS-MDより多く(2.6±1.2 g対1.3±0.2 g,p<0.05),FB-UHではペントシジンの除去率はアルブミン漏出量との間に正の相関関係(r=0.56,p<0.05)を認めた.FB-UHは小分子量物質とともに蛋白結合型物質の除去に優れ,その優れた除去能にはアルブミンと結合して存在するインドキシル硫酸とペントシジンの一部が廃液中に濾過されることが寄与するものと考えられた.
  • 松下 和通, 田端 秀日朗, 新田 孝作, 多胡 紀一郎
    2010 年 43 巻 4 号 p. 373-379
    発行日: 2010/04/28
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の代謝性アシドーシス状態は入院の危険性や生命予後の悪化につながることが報告されているが,従来の透析液で塩酸セベラマー(SH)を使用すると代謝性アシドーシス(MA)が悪化することが知られている.そこで重炭酸を多く含むクエン酸透析液(カーボスター®)を使用した際のSHとMAの関係を検討した.(1) 患者をP吸着剤内服の有無により4群に分け(C群:沈降炭酸カルシウムのみを内服,C+S群:SHと併用,S群:SHのみ内服,N群:P吸着剤なし),P吸着剤の有無・種類とMAの関連について,(2) SH1日内服量とMAの関連について,それぞれ横断研究を行い検討した.結果:(1) 透析前HCO3はN群,C群においてK/DOQIガイドラインを満たしたが,C+S群(20.6±2.9:p=0.003),S群(21.2±3.2:p=0.02)において有意に低下しガイドラインを達成できなかった.KはC+S群(p<0.0001),S群(p<0.0001)で,ClはS群(0.028)で,Anion GapはC+S群(0.023)で有意に上昇した.総コレステロールはSH群において有意に低下(N vs. C+S:p=0.001,N vs. S:p=0.004)した.(2) SHの内服容量の増加とともにpH,HCO3,BEは低下し,有意な負の相関関係(pH:p=0.004.HCO3:p<0.0001,BE:p<0.0001)を示した.電解質では,K(p<0.0001),Cl(p=0.0003),Anion Gap(p=0.01)で,有意な正の相関関係を示した.カーボスター®使用にもかかわらず,SHの内服量増加に伴ってMAは悪化することが示された.高P血症治療時には,SHによるMA悪化に充分留意する必要があり,わが国でも炭酸セベラマーのようなMAを悪化させないP吸着剤の開発が切望される.
症例報告
  • 仲谷 慎也, 稲荷場 ひろみ, 久米田 靖郎, 井上 圭右, 崔 吉永, 岡村 幹夫, 西沢 良記
    2010 年 43 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 2010/04/28
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    患者は50歳,男性.2008年8月中旬,発熱・呼吸苦を主訴に近医を受診した.cefcapene pivoxil(CFPN),loxoprofenを処方されるも改善はみられず,胸部X線にて右下肺野の浸潤影を認めたため当院紹介となった.血液検査上,WBC 12,500/μL,CRP 39.9 mg/dL,Cr 4.01 mg/dLであり,肺炎および急性腎不全の診断にて入院となった.既往歴のない中年男性の肺炎であり,異型肺炎の可能性も考慮してcefozopran(CZOP)・minocycline(MINO)併用にて加療開始した.炎症反応は徐々に改善したが,腎機能障害は進行し,Cr 7.95 mg/dLまで増悪したため血液透析を2回施行した.その後,入院時の検体から,尿中レジオネラ抗原陽性と判明したためciprofloxacin(CPFX)・MINO併用に変更した.血液透析・抗生剤変更後の経過は良好で,腎機能も著明に改善し,第12病日に退院となった.レジオネラ肺炎に合併する急性腎不全の原因は未解明な部分が多い.本邦の報告例を検索した結果,急性腎不全を合併したレジオネラ肺炎は40例の報告があり,約8割で横紋筋融解症を併発していた.本症例では,CPKは正常範囲内であり,横紋筋融解症を伴っておらず,急性腎不全の原因としては,レジオネラ菌の直接的な腎毒性・炎症性サイトカインの関与・入院前のNSAIDSの使用等が総合的に関与した可能性が高いと考えられる.今回われわれは,レジオネラ肺炎に併発する急性腎不全で,その原因が横紋筋融解症でない稀な1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.
  • 福家 吉伸, 石原 有子, 北井 真貴, 鈴木 緑, 奈倉 千苗美, 藤井 由季, 丸山 高史, 岡田 一義, 藤田 宜是, 松本 紘一
    2010 年 43 巻 4 号 p. 387-392
    発行日: 2010/04/28
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    ANCA関連血管炎において,単純血漿交換(PEX)や二重濾過血漿交換法(DFPP)は重症例で施行され,その有効例が報告されている.一方,PEXによるアレルギー反応やDFPPによる出血傾向,感染症の増悪などの重篤な副作用をひき起こす場合があり,その施行には十分な検討が必要と考えられる.症例1は75歳,男性,MPO-ANCA関連血管炎に急速進行性糸球体腎炎(RPGN)および肺胞出血を併発したため,ステロイドパルス療法とPEXを2クール施行した.症例2は43歳,女性,非常に急速な腎機能障害の進行を認めたためステロイドパルス療法とDFPPを施行した.DFPP例において一時的にIgGおよびフィブリノゲンの低下を認めたが,いずれの症例もplasmapheresisによる明らかな副作用はなく,MPO-ANCA titerの著明な低下と肺胞出血やRPGNを含む重篤な症候の速やかな改善を認め,良好な経過を得た.今回提示したMPO-ANCA関連血管炎の2症例では免疫抑制療法に加えてplasmapheresisが病態改善に有効であったと考えられる.本疾患におけるPEXおよびDFPPの選択には肺胞出血を含む出血傾向や全身の状態を検討し判断する必要がある.
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