日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
44 巻 , 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
第55回日本透析医学会シンポジウムより
第55回日本透析医学会パネルディスカッションより
原著
  • 内田 隆行, 安藤 勝信, 小藤 誠也, 早坂 秀幸, 中島 逸郎, 駒田 敬則, 平井 啓之, 森 穂波, 吉田 泉, 田部井 薫
    2011 年 44 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    持続的血液浄化療法(以下CBP:continuous blood purification)や維持透析患者のシャントトラブル時のバスキュラーアクセスとして短期型バスキュラーカテーテルが用いられている.しかし使用中のトラブルとして感染や脱血不良をしばしば経験する.そこで,当院において2004年以降留置されたカテーテルについて,脱血不良,感染によるカテーテル抜去の現状を検討した.その結果,(1) 199本のカテーテル挿入で,トラブルにより抜去されたのは65本(32.7%)で,感染30本,脱血不良18本,血栓11本などであった.(2) 感染が原因で抜去した30本の解析では,トリプルルーメンが,18/97本(19%)と多い傾向であった.挿入部位別の検討では,差はなかった.治療方法では,間欠治療群と比し持続治療群で有意に多かった.(3) 脱血不良にて抜去された18本の解析では,トリプルルーメンで有意に多かった.挿入部位別比較では,差はなかった.脱血孔の形状での比較では,サイドホールタイプで脱血不良が有意に多かった.そこで,さらに,先端形状の異なる2種類のエンドホールタイプのカテーテル,ナイアガラスリム(Bard Access Systems社製)とジェントルキャス(日本シャーウッド社製)の脱血不良の発生頻度について比較検討を行った.その結果,脱血不良の頻度はナイアガラスリムでは12/152本(7.9%),ジェントルキャスでは32/184本(17.4%)で,フィッシャーの直接確率検定を用いて検定評価を行った結果,ナイアガラスリムにおいて有意に脱血不良が少なかった(p<0.05).挿入部位別検討では,ジェントルキャスにて大腿静脈留置で有意に脱血不良が多かった(p<0.01).ナイアガラスリムを使用することで脱血不良の発生頻度が68.2%低下することが示された.以上より,脱血孔の形状での比較では,エンドホールタイプで脱血不良が有意に少なかった.エンドホールタイプのカテーテルでも先端形状,留置部位により脱血不良の発生頻度が異なることから適切なカテーテル,留置部位の選択が必要と考えられる.
  • 鎌田 正, 落合 美由希, 大崎 啓介, 藤澤 奈央, 門屋 佑子, 八城 正知
    2011 年 44 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    動脈を表在化した血液透析患者の返血用皮静脈が荒廃して穿刺困難になると,グラフトへ変更することが一般的であるが,その後グラフト感染による敗血症が疑われるような場合は,ダブルルーメンカテーテルの留置は感染治療において不利と考えられる.グラフト感染による敗血症を契機にバスキュラーアクセス不全に陥った2症例に対し,リアルタイムエコーガイド下に上腕の皮下深い位置にあるbrachial vein(上腕静脈)を反復穿刺して返血路とすることで,感染が沈静化するまでダブルルーメンカテーテル留置を避けることが可能であった.穿刺は当科の医師3名のいずれかが行い,リニアプローブ付きポータブル超音波装置(iLook25,ソノサイト社)を用いた.その際,(1) 術者はあらかじめ当科で自作したシミュレータで訓練を行った上で,(2) 穿刺前に上腕静脈の走行と上腕動脈・神経との位置関係をエコーにより十分観察し,(3) 穿刺時に血管短軸横断像を描出し,血管穿刺針とエコービームを直交させ,針の輝度を向上させることで皮下における正確な針先位置を同定し,(4) 血管内に針先が到達後もプローブと穿刺針を交互に僅かに進める操作を繰り返し,血管壁損傷を避けつつ,透析針外筒先端が血管内に十分入るように留置した.その結果,2症例合わせて計51回上腕静脈穿刺を行い,透析針外筒留置成功率100%,動脈誤穿刺0%,神経損傷0%であり,重篤な合併症を認めなかった.結論:返血用皮静脈が荒廃した上腕動脈表在化患者等でも上腕静脈は温存されていることが多く,新たなバスキュラーアクセス確立までの間の一時的アクセスとして,エコーガイド下で反復穿刺し返血路として使用することが可能である.特に,すでに感染症を合併している場合にはダブルルーメンカテーテルを留置するよりも感染治療上有利と考える.
  • 大谷 紘子, 小倉 加代子, 西分 延代, 壽見 佳枝, 石原 則幸, 中村 雅将, 土田 健司, 水口 潤, 川島 周
    2011 年 44 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    接続チューブの交換手技は腹膜透析(peritoneal dialysis;PD)が国内に導入されて以降,メーカーの推奨する方法が見直されることなくマニュアル化されてきた.接続チューブの交換は4~6か月ごとに専用の交換キットを用い,消毒剤としてはポピドンヨード剤を使用し,滅菌手袋を交換するなど複雑な手技で,患者および医療従事者に負担をかけている.今回PD接続チューブの交換手技を見直し,使用消毒薬剤の安全性・有用性についても検討した.カテーテル切片を消毒剤(ポピドンヨード剤,イソプロピルアルコール)に浸漬した後,外観,引っ張り強度試験を実施した結果,ポピドンヨード剤からイソプロピルアルコールへ変更によるカテーテルへの影響は,接触時間を考慮すると問題はないと考えられた.また,変更した手技の安全性は細菌感染の発生頻度,腹膜炎発症の有無を確認したが全く問題はなかった.短時間で消毒効果が得られる70%イソプロピルアルコールを採用し,シンプルで解り易い交換方法手順を作成することができた.本方法を延べ153人のPD患者に対し,163回実施しているが問題は発生していない.今後,この方法がスタンダードな方法としてマニュアル化されれば大きなメリットとなる.
  • 佐中 孜, 樋口 千惠子, 船木 威徳, 石井 まどか, 米田 雅美, 西村 英樹, 横山 啓太郎, 細谷 龍男
    2011 年 44 巻 3 号 p. 251-259
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    PD+HD(peritoneal dialysis+hemodialysis)併用療法は,2010年4月から保険診療の算定が可能となった.しかしながら,それまでの診療報酬請求は混乱し,PD+HD併用療法の普及にも障壁になっていた.そこで,EARTH研究会は診療報酬請求の実態をアンケートによって調査した.2009年8月から9月にかけての1か月間にEARTH研究会関連の30施設を対象としてアンケート調査を行った.PD+HD併用療法実施施設は,30施設中29施設であり,この期間での腹膜透析患者数は1,267名,PD+HD併用療法実施患者数は281名であった.これらの患者を対象として保険請求項目に関する調査を行った.保険請求項目に関する項目は,在宅自己腹膜灌流指導管理料(PD指導管理料),PD材料費,慢性維持透析患者外来医学管理料(医学管理料),HD材料費,HD手技料である.これらの項目について,併用療法としてのHDがPDと同一施設で実施されていると回答した16施設に限定して,請求実態をまとめた.その結果,PD材料費は全施設で請求していたが,このうち1施設はPD指導管理料を請求していなかった.医学管理料は6施設(37.5%)が請求していた.HD材料費は14施設(87.5%)が請求し,他は請求を放棄していた.HD手技料を請求していたのは2施設(12.5%)のみであった.HDを異なる施設に依頼すると回答した13施設での保険請求は,依頼側のPD関連の請求とHD受け入れ側のHDに関する保険請求の組み合わせは実に15通りの請求組み合わせパターンができていた.保険算定ルールでは,PD+HD併用療法の場合も薬剤料又は特定保険医療材料料は算定できた.また,この原則はHDがPDと異なる施設で実施されても同様に適用された.しかし,このような解釈のもとでの請求は13施設中3施設(23.1%)のみであった.今回の調査はPD+HD併用療法に対する請求ルールの解釈が臨床現場において混乱を極めていることが判明した.
症例報告
  • 山口 裕輝子, 深水 圭, 那須 誠, 薗田 和弘, 甲斐田 裕介, 安達 武基, 春日 朱門, 若杉 大輔, 永野 真喜雄, 田中 将博, ...
    2011 年 44 巻 3 号 p. 261-268
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.腎硬化症による腎不全のため1999年より維持透析を開始.2000年,無症候性解離性大動脈瘤に対して上行弓部大動脈置換術,下行大動脈ステントグラフト内挿術を施行した.2006年3月26日に発熱を認めたため,当院を受診.左上肢シャント部に悪臭を伴う膿性の浸出液を認めたため,シャント感染症の診断にて入院となった.血液,シャント部膿瘍の培養からStaphylococcus aureusを認め,抗生剤による治療を開始した.第3病日に胸部X線写真にて大動脈弓部の陰影の拡大および胸部CT検査にて下行大動脈に大動脈瘤を認め,大動脈グラフト感染および感染性大動脈瘤と診断した.その後抗生剤による加療を継続していたが,第10病日に突然吐血し,ショック状態となった.感染性大動脈瘤の破裂および大動脈食道瘻形成と診断し,第12病日に上行弓部下行大動脈全置換術,大網充填術,食道切除,食道瘻,胃瘻形成術を施行するも,術後,全身状態が悪化し,第30病日に敗血症性ショックにて死亡した.透析患者は感染症に罹患する危険性が高く,重症化しやすく,かつ死亡率も高い.High riskな透析患者に感染徴候を認めた場合には本症例のような感染性大動脈瘤も鑑別疾患の一つとして考慮すべきであると考えられた.
研究速報
  • 江口 圭, 山本 健一郎, 金子 岩和, 峰島 三千男
    2011 年 44 巻 3 号 p. 269-271
    発行日: 2011/03/28
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    蛋白結合性尿毒素は,その分子量の大きさから,通常の血液透析では除去困難な尿毒素として認識されている.今回,血漿成分に対して希釈効果およびpH変化を付与することにより,蛋白結合性尿毒素をアルブミンなどの蛋白から解離させ,除去することを目的とした基礎検討を行ったので報告する.腎不全患者から得たアフェレシス廃棄血漿を用いて,ホモシステインおよびインドキシル硫酸を対象としたin vitro実験を行った.その結果,生理食塩液やリン酸緩衝溶液による希釈効果によって,インドキシル硫酸では比較的容易に蛋白から解離させることができ,遊離率の上昇(蛋白結合率の低下)が認められた.また,希釈倍率が大きいほど,その解離は顕著であった.一方,ホモシステインでは,ほとんど解離が認められなかった.今後,蛋白結合性尿毒素の種類に応じた効果的な解離方法を検討する必要がある.
feedback
Top