日本透析医学会雑誌
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44 巻 , 6 号
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(社)日本透析医学会「透析患者のC型ウイルス肝炎治療ガイドライン」
第55回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 鈴木 尚紀, 蓮池 由起子, 徳山 正徳, 川崎 由記, 中野 智彦, 橘 銀平, 木村 政義, 野々口 博史, 中西 健
    2011 年 44 巻 6 号 p. 543-550
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    二重濾過膜血漿交換(double-filtration plasmapheresis:DFPP)においては患者個々の体格,血漿分離比,血漿成分分離比,置換液量および置換アルブミン濃度によって体内の溶質の収支は変化し,治療後の血漿中溶質濃度の予測は困難であった.特に自己免疫性神経疾患や血液型不適合腎移植に対するDFPPは,短期間に連続的に施行される場合が多く,生体に必要な物質の収支においても十分な注意が必要である.今回われわれは,DFPPによる生体の溶質移動をシミュレートする計算式(DFPP理論式)を作成するとともに,実験および臨床における測定値と,シミュレーション値との比較検討を行い,DFPP理論式を用いた溶質移動シミュレーションの臨床における有用性について検討した.DFPP理論式には治療前の溶質濃度,患者の体重とヘマトクリット(Ht)から算出した循環血漿量,血漿分離流量,ドレーン流量,血漿分離器ふるい係数,血漿成分分離器ふるい係数,アルブミン補充量を用いた.IgG,フィブリノゲン,アルブミンを対象とし,各ふるい係数には臨床データを使用した.実験においては血漿交換施行後のヒト廃棄血漿を用い,10分ごとの測定値と,シミュレーション値との適合性を検討した.臨床においては6患者18例の治療前後の測定値をHt補正した値と,シミュレーション値との適合性を検討した.シミュレーション値は,実験値と臨床値とのいずれの間にも有意な相関関係がみられ,DFPP施行における溶質濃度変化をシミュレートできることから,臨床においてDFPP施行時の溶質収支指標として十分活用できると考えられた.本研究で作成したDFPP理論式は個々の患者に合わせて,さらにさまざまな設定条件下で,溶質濃度変化をシミュレートすることができる.また,ほかの製品を用いる場合でも,各ふるい係数がわかっていればDFPP理論式の応用が可能であり,製品の選択,治療条件の決定,DFPP施行時の安全性の確保などにおいて有用である.
  • 櫻林 耐, 萱沼 賢司, 望月 勉, 野澤 宗裕, 滝花 義男
    2011 年 44 巻 6 号 p. 551-556
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    【目的】糖尿病合併透析症例の血糖管理の現況をグリコアルブミン(GA)で評価し,予後に対する影響を検討した.【方法】対象は2004年1月1日から2009年12月31日までに山梨厚生病院で維持血液透析をした糖尿病合併症例87例.年齢65.9±10.9歳,男60例,女27例.観察期間中GAを毎月計測して平均した(平均GA).Cox比例ハザードモデルで平均GAの生存への影響を検討した.また平均GAで対象を4群に分割し,Kaplan-Meier法で生存分析を行った.【結果】観察期間は3.1±2.0年で,30名が死亡した.平均GAは21.9±4.1%.平均GAと年齢が有意に死亡を規定した(平均GA:比例ハザード1.108,95%信頼区間1.013~1.213,p=0.026,年齢:比例ハザード1.035,95%信頼区間1.001~1.070,p=0.046).平均GA 24.23%以上の群は19.05~24.02%の群に比べて有意に生存が不良であった(p=0.496,log-rang test).【結論】糖尿病合併血液透析症例の血糖管理不良は死亡危険因子である.これらの症例の透析導入後の血糖管理が重要である.
  • 横山 啓太郎, 福原 俊一, 深川 雅史, 秋澤 忠男, 黒川 清
    2011 年 44 巻 6 号 p. 557-566
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    透析MBD(mineral and bone disorders)アウトカム研究は日本全国の大規模透析施設が参加した,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を合併する血液透析患者を対象とした多施設共同の前向き観察研究である(2008年1月~2011年1月).本研究では,施設の診療方針がSHPT患者のアウトカムに及ぼす影響を検討項目のひとつとしており,研究開始時および終了時に診療方針調査を規定している.今回は,研究参加施設のうち,2008年10月から2009年12月に回答が得られた85施設(98.8%)における研究開始時の診療方針調査結果の報告である.本報告では日本透析医学会(JSDT)より2006年に発表された「透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン」の遵守状況およびMBD関連薬剤の使用方針を中心に記述する.血清リン(P)濃度および血清カルシウム(Ca)濃度の測定頻度は95.3%の施設がガイドラインの推奨測定頻度(月最低1~2回)内であり,副甲状腺ホルモン(PTH)の測定頻度は64.7%の施設がガイドラインの推奨測定頻度(3か月に1回)内であった.血清補正Ca濃度,血清P濃度および血清intact PTH濃度の管理目標値(下限値~上限値)をガイドラインの管理目標範囲内に設定している施設は,それぞれ60.0%,71.8%および54.1%であった.また,MBD関連薬剤については,ガイドラインで治療指針が提示されている炭酸カルシウム,セベラマー塩酸塩および活性化ビタミンD製剤に加え,シナカルセト塩酸塩についても使用方針の実態が確認された.本調査結果により,研究参加施設でのガイドライン制定後のMBD管理を中心とした診療方針の実態が確認された.今後のガイドライン改訂時には,施設の診療方針の実態も考慮されることを期待したい.
  • 秋葉 隆, 田村 禎一, 鎌田 貢壽, 水口 潤, 松井 則明
    2011 年 44 巻 6 号 p. 567-575
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    従来のリン欠乏症に対するリン酸二カリウム補正液を用いたリン補給は,高カリウム血症を起こす恐れがある.株式会社大塚製薬工場は,このような高カリウム血症発現のリスクを取り除くために,既存のリン酸二カリウム補正液に含まれるカリウムをナトリウムに置き換えたリン酸ナトリウム補正液(OPF-102)を開発した.この製剤は,高カリウム血症のリスク存在下においても,安全にリン補給ができるものである.今回われわれは,血液透析を施行しており,経静脈投与によりリンの補給を必要とする腎不全患者を対象に治験薬(OPF-102)を投与して,有効性(血清リン濃度の補正効果)および安全性を評価した.10名の被験者にOPF-102でリン濃度を補正した電解質補液を投与したところ,すべての被験者で適正に血清リン濃度を補正することができた.OPF-102投与前の被験者の血清カリウム濃度はさまざまであったが,OPF-102の投与により被験者の血清カリウム濃度に影響を及ぼすことはなかった.また,臨床上問題となる事象も発現しなかった.OPF-102は,高カリウムのリスクを伴うさまざまな病態のリン補給に際して,高カリウムのリスクを避けつつ安全にリン補給が可能な製剤となることが期待できる.
短報
  • 山田 吉広, 須澤 大知, 熊藤 公博, 袖山 孝徳, 島村 栄, 棚岡 綾乃, 浦野 浩明, 百瀬 光生, 床尾 万寿雄
    2011 年 44 巻 6 号 p. 577-580
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者ではヒスタミンH1受容体拮抗薬の内服にてもそう痒症を訴える既存治療抵抗性皮膚そう痒症透析患者(以下そう痒症透析患者)が認められる.そこで現在の痒みの状態を定量化するため,また,痒みの主観的感覚を客観的な数値に置き換えるために聴覚アナログ尺度(hearing analogus scale:HAS)を考案使用してHASと,ケモカインの一種であるthymus and activation-regulated chemokine(TARC)を検討した.その結果,両者の間で相関が認められ,全身的そう痒症の程度を示していると考えられるHASは,TARC値で代用することも可能であることが示唆された.実際にヒスタミンH1受容体拮抗薬内服に抵抗性のそう痒症透析患者2名にナルフラフィン塩酸塩2.5μgを内服したところ,HAS,TARC値は低下,そう痒感は減少し有用であった.
症例報告
  • 岡田 一義, 阿部 雅紀, 水盛 邦彦, 小林 伸一郎, 佐々木 裕和, 鈴木 紘子, 谷口 真知子, 逸見 聖一朗, 北井 真貴, 鈴木 ...
    2011 年 44 巻 6 号 p. 581-587
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    脳卒中治療ガイドライン2009において,頭蓋内圧亢進症急性期の血液浄化療法として腹膜透析または持続的血液濾過(hemofiltration:HF)が推奨されているが,標準的な間欠的HFまたは連日短時間血液透析も実施されている.当院では,浸透圧と重炭酸イオン(bicarbonate:HCO3-)の変化をより少なくするために低効率HFを頻回に実施しており,今回,高張グリセロールを併用した頻回低効率短時間血液透析(frequent, low-efficient and short hemodialysis:FLESHD)の安全性を確認後,頭蓋内圧亢進症急性期にFLESHDが有用であった維持血液透析(HD)患者を経験したので報告する.頭蓋内圧亢進症の維持HD患者6名を対象とし,低効率HF(血流量200mL/分,補充液流量2.5L/時,補充液:HFソリタBW®,濾過膜APS-15SA®,治療時間4時間)を実施後に,低効率HD(血流量100mL/分,透析液流量500mL/分,透析液AKソリタDL®,透析膜APS-11SA®,治療時間2時間)に移行し,各種パラメーターを測定した.頭蓋内圧亢進症急性期の維持HD患者2名を対象とした.グリセオール® 400mLをHD中に投与し,透析液流量を300mL/分に低下させた低効率HD条件下で3日間連続のFLESHDを実施した.4回目のFLESHDからは,グリセオール®を投与せずに,徐々にHD条件を変更し,各種パラメーターを測定した.浸透圧は,低効率HF後(289.5±10.4 vs. 285.8±9.3mOsm/kg,p<0.01)と低効率HD後(294.5±16.3 vs. 290.2±12.7mOsm/kg,p<0.05)に有意に低下したが,HCO3-には有意差を認めなかった.なお,HF前とHD前およびHF後とHD後の比較では,浸透圧とHCO3-には有意差を認めなかった.2症例とも,3日間連続のFLESHD後には意識レベルは改善した.計6回のFLESHDでは,浸透圧はHD後に有意に上昇し(293.5±3.9 vs. 297.7±3.9mOsm/kg,p<0.05)たが,HCO3-はHD前後で有意差を認めなかった.症例2では,転院直前HD(血流量150mL/分,透析液流量500mL/分,治療時間2.5時間)前後での浸透圧とHCO3-の変化率は,-3.4%と-3.9%であった.高張グリセロール併用FLESHDは浸透圧およびHCO3-への影響は少なく,維持HD患者の頭蓋内圧亢進症急性期における安全で有用な血液浄化療法であると思われた.
  • 樋口 輝美, 水野 真理, 高崎 智也, 上田 寛朗, 石田 恵美子, 中島 葉子, 北村 卓也, 志村 暁人, 瀬戸口 晴美, 榎本 伸一 ...
    2011 年 44 巻 6 号 p. 589-594
    発行日: 2011/06/28
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.糖尿病性腎症による末期慢性腎不全にて2005年3月より血液透析を導入され,同年4月に左前腕に橈骨動脈と橈側皮静脈による内シャントを作製された.その後他院にて維持血液透析を受けていたが,2007年7月頃より左上肢の浮腫が出現し,症状増悪したため,静脈高血圧症の診断にて2008年1月内シャント閉鎖術を施行され,同時に右前腕に新たに内シャントを作製された.その後,高度の顔面浮腫と右上肢の腫脹が出現し,シャント管理を含め2010年3月当院紹介転院となる.転院後,著しい顔面と上肢の腫脹を認め,頸部から前胸部にかけて高度の側副血行路の出現と,頭重感,鼻閉感などを訴えた.2010年4月右上肢の内シャントによる静脈高血圧症を疑い血管造影を施行したところ,右腕頭静脈に長さ約30mmの90~99%狭窄を認め,バルーン拡張術とステント留置術による経皮的血管形成術(PTA)を施行した.その後,顔面の腫脹と側副血行路の原因の一つとして左中心静脈の閉塞および狭窄も考慮し,左上肢からの静脈造影を施行したところ,左腕頭静脈にも長さ50mmの99%狭窄を認めたためバルーン拡張術とステント留置術によるPTAを施行した.その後顔面と上肢の腫脹は改善し,頭重感,鼻閉感等の臨床症状も消失した.両側腕頭静脈狭窄に対するPTAの報告は本症例が初めてであり,臨床的に有用な治療であると考えられた.
平成22年度コメディカル研究助成報告
Letter to the Editor
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