日本透析医学会雑誌
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44 巻 , 8 号
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原著
  • 大河原 晋, 鈴木 昌幸, 深瀬 幸子, 田部井 薫
    2011 年 44 巻 8 号 p. 675-680
    発行日: 2011/08/28
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    血液透析(HD)症例を含めた慢性腎不全症例に認められる腎性貧血は相対的なerythropoietin産生低下とともに,赤血球脆弱性の関与も考えられているが,赤血球脆弱性に対するHDの影響に関する検討はいくつかの報告を認めるのみである.今回,維持HD症例12例を対象に,HD前後およびHD開始1時間後のdialyzer前後において,赤血球浸透圧脆弱性試験(osmotic fragility test)を施行し,赤血球osmotic fragilityに対するHDの影響,さらにはHD前MOFと臨床的パラメーターとの関連についても検討を加えた.Osmotic fragility testとしてはParpart法を用い,0.1% NaCl溶液での溶血を100%,0.85% NaCl溶液での溶血を0%として,50%溶血のNaCl濃度をmedian osmotic fragility(MOF)として評価に使用した.HD前後のMOFはそれぞれ,0.41±0.01,0.39±0.01%であり,HD後に有意に低下を認めた(p<0.01).また,HD前MOFはrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)投与量およびeryhthropoietin resistance index(ERI)とそれぞれ有意な正相関を認めた(rHuEPO:r=0.62,ERI:r=0.58,それぞれp<0.05).しかしながら,dialyzer前後のMOFには全く差異を認めなかった.以上より,HD症例における赤血球osmotic fragilityに対してHD施行はその改善をもたらすが,erythropoiesis stimulating agent(ESA)低反応性そのものが赤血球脆弱性に関与している可能性も示唆された.また,HDによる赤血球osmotic fragilityの改善はdialyzer通過の瞬時にもたらされるものではないと考えられた.
  • 尾形 聡, 西 慎一, 若井 建志, 井関 邦敏, 椿原 美治
    2011 年 44 巻 8 号 p. 681-688
    発行日: 2011/08/28
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者においてその導入率,生存率などには,地域差があることが知られている.今回われわれは,その要因について検討した.日本透析医学会2004~2006年末の統計調査データベース(JRDR-09105)(n=102,011)を基に,人口あたり透析導入率と透析導入後1年生存率(ともに年齢を調整)を算出した.一方,日本透析医学会・日本腎臓学会ホームページ・施設会員名簿,財務省統計局,国民栄養調査などから122項目の都道府県別データを抽出し,単回帰分析で透析導入率,透析導入後1年生存率,透析専門医数との関連を検討した.結果,透析導入率では,透析施設数,夜間透析施設数,透析専門医数,一般病院数,一般病院平均在院日数,年平均気温,最低気温,日照時間,高齢単身世帯割合,肉類摂取量,脂質エネルギーが男女ともに正の相関を認め,一般老年人口割合,降水日数,雪日数,一般世帯の平均人員,悪性新生物・脳血管疾患による死亡者数,緑黄色野菜以外の野菜・魚介類・炭水化物・カルシウム・鉄・食塩・ビタミンB2・C摂取量が男女ともに負の相関を認めた.透析導入後1年生存率では,脳出血の既往が男女ともに正の相関を,透析後BUNが男女ともに負の相関を認めた.また専従看護師,専従栄養士数が正の相関を認めた.透析専門医数では,透析導入患者数,1年生存率,蛋白異化率,Kt/V,1回あたり透析時間,透析施設数,夜間透析施設数で正の相関を認め,透析後Crが負の相関を認めた.透析患者の導入率,生存率,透析専門医数にはさまざまな因子が関与しており,今後の透析医療をいかに進めていくかは多角的な方面からの検討が必要である.
症例報告
  • 渋谷 純, 木谷 茜, 黒田 達実
    2011 年 44 巻 8 号 p. 689-694
    発行日: 2011/08/28
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    May-Hegglin anomaly(MHA)は血小板減少,巨大血小板,顆粒球封入体を三徴とする,まれな常染色体優性遺伝性疾患であり,原因として非筋肉性A型ミオシン重鎖(myosin IIA)をコードする遺伝子である,MYH9の異常が指摘されている.さらにMYH9の異常がAlport症状(感音性難聴,白内障,腎炎)の発現に重要な役割を担っているものと考えられている.症例は45歳,女性.2007年6月より全身倦怠感,頻回の嘔吐を主訴として入院となった.胃内視鏡検査では潰瘍の所見はなくマロリーワイス症候群と診断され止血処置が施行された.末梢血のMay-Giemsa染色では血小板減少,巨大血小板,顆粒球封入体を認めた.血液生化学では著明なクレアチニンの上昇を認め血液透析治療を開始した.子供は4歳時にMHAと診断されたが遺伝子診断はされていない.父親は血液透析治療を受けていたが46歳で亡くなっていた.聴力検査では両側で高音領域の感音性難聴を認め眼科受診では両側の白内障が観察された.遺伝子検査ではMYH9のエクソン38領域を増幅し,その塩基配列を解析したところヘテロ接合性のE1841Kの変異を認めた.また顆粒球の免疫蛍光染色では細胞質にmyosin IIAが紡錘状に異常集積していた.以上のデータより本症例をAlport症状を伴ったMHAと診断した.
  • 河原 純子, 兵藤 透, 太田 昌邦, 平良 隆保, 日台 英雄, 石井 大輔, 吉田 一成, 馬場 志郎
    2011 年 44 巻 8 号 p. 695-698
    発行日: 2011/08/28
    公開日: 2011/09/28
    ジャーナル フリー
    蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト®静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
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