腹膜透析(peritoneal dialysis,以下PD)患者において残腎機能は予後と至適透析を行う上で重要である.シスタチンC(Cystatin C,以下CysC)はすべての有核細胞でほぼ一定の割合で産生され,糸球体から濾過されるため優れた糸球体濾過率(glomerular filtration rate,以下GFR)のマーカーとなりえる.今回,外来通院中の残腎機能を有するPD患者68人の延べ96血清において,血清CysC値が残腎機能の評価に有効か血清β
2ミクログロブリン値(β
2 microglobulin,以下β
2MG)と比較検討した.血清CysC値と週当たりの腎Kt/V
urea(r=-0.39,p<0.0001),週当たりの腎クレアチニンクリアランス(creatinine clearance,以下CCr)(r=-0.38,p<0.0001),GFR(r=-0.38,p<0.0001),24時間尿量(r=-0.19,p=0.024)と,ともに有意な負の相関関係を認めた.血清β
2MG値も週当たりの腎Kt/V
urea(r=-0.69,p<0.0001),週当たりの腎CCr(r=-0.66,p<0.0001),GFR(r=-0.66,p<0.0001),24時間尿量(r=-0.60,p<0.0001)と,ともに有意な負の相関関係を認めた.血清CysC値はPD患者の残腎機能と相関関係がみられ,残腎機能を反映するものと思われる.しかし,血清β
2MG値の方が残腎機能とより強い相関があり,PD患者において残腎機能を推測するのには血清β
2MG値が優れていると思われた.
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