日本透析医学会雑誌
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45 巻 , 11 号
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第57回日本透析医学会シンポジウムより
第57回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 山本 裕也, 中村 順一, 中山 祐治, 日野 紘子, 角城 靖子
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1021-1026
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    【目的】自己血管内シャントに対する超音波検査から得られる各指標と脱血不良発生との関連を検討することを目的とした.【方法】2008年1月~2010年12月の間に超音波検査を施行した自己血管内シャントを有する患者374名(延べ検査回数1,096回)を対象とした.対象症例を脱血不良の有無により,脱血良好群と脱血不良群に分類した.上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径におけるreceiver operating characteristic曲線を作製し,Youden indexを用いてカットオフ値を算出した.また,曲線下面積を算出し,各指標の診断能力を比較した.【結果】上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径のreceiver operating characteristic分析において,カットオフ値はそれぞれ350mL/min,0.70,1.3mmであった.また,上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径における曲線下面積はそれぞれ0.982,0.904,0.924であった.【考察】超音波検査によって得られる上腕動脈血流量,血管抵抗指数および狭窄径は,透析時の脱血不良発生と関連性が強い指標であると示唆された.とくに上腕動脈血流量は他の指標と比べて診断能力が高く,優れた指標である.
  • 鎌田 正, 落合 美由希, 藤澤 奈央, 門屋 佑子, 富田 真弓, 岡村 基弘
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1027-1033
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    新人医師が安全に超音波ガイド下中心静脈バスキュラーアクセス(VA)穿刺術を習得するための試みとして,従来の実践訓練に加えて新たにシミュレーション医学的手法を導入した.【対象】2008年4月~2012年4月の間に当科において初めて超音波ガイド下中心静脈VA穿刺を行った卒後2~4年目の医師(以下,研修医師)10人.【方法】以下の順に指導を行った.1)指導医による穿刺理論の講義,2)実際に指導医が穿刺中の動画DVDを研修医師に配布し,繰り返し視聴する.3)自作シミュレーターと実際に使用するカテーテルキットを用いた穿刺訓練,4)指導医の実践を見学後,患者で指導医とともにVA穿刺:この際指導医は術者とともに超音波プローブを持ち,術者に穿刺針の進め方を指示する.手技中の超音波画像は動画で記録する.5)実践後,研修医師は指導医と一緒に録画した超音波画像を見ながら振り返り(reflection)を行う.その後,録画内容はCD-Rにして研修医師に渡す.6)振り返りの内容は研修医師・指導医ともに記録し(portfolio作製),時々俯瞰してみる.7)研修医師が単独で穿刺する.8)研修医師に感想を聞く.【結果】シミュレーション学習システム導入後,約25回/年の血液透析用ダブルルーメンカテーテル挿入および約50回/年の長径透析針を用いた大腿静脈反復穿刺法を超音波ガイド下に行ったが,全例でVA確保に成功し,重篤な合併症も認めなかった.研修医師全員が本システムが有用であったと回答し,指導医の感じるストレスもシステム導入により軽減した.【結論】シミュレーション医学の導入は新人医師の中心静脈VA穿刺技術習得における安全性を担保する上で有用と考える.
  • 樋口 輝美, 眞野 善裕, 石川 由美子, 堀田 直, 山崎 俊男, 水野 真理, 大川 恵里奈, 瀬戸口 晴美, 永田 郁恵, 二階堂 杏 ...
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1035-1043
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    目的:透析患者は種々の酸化ストレスの状態にさらされており,8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)は,DNA酸化的ストレスマーカーである.今回維持透析施行中の患者の血漿8-OHdGを測定し,geriatric nutritional risk index(GNRI),アルブミン等の栄養状態,CRP,interleukin-6(IL-6)等の炎症性マーカー,および動脈硬化関連因子であるfetuin-A,腎性貧血への関与,erythropoiesis stimulating agent(ESA)の使用量等との関連について検討した.対象:安定した維持血液透析施行中の患者138名.内訳は男性95名,女性43名で,平均年齢69±11歳(38~88歳)で平均透析歴58±60か月(3~390か月).方法:8-OHdGは高感度enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)にて測定した.またIL-6,fetuin-AもELISA法にて測定した.GNRIはBouillanneらが提唱し,Yamadaらが改変した計算式より求めた.血液生化学検査としてはヘモグロビン(Hb),ヘマトクリット(Hct),アルブミン(albumin),カルシウム(Ca),無機リン(P),副甲状腺ホルモン(Intact-PTH),CRP,尿素クリアランス(Kt/V),PCR,ESA使用量,透析期間等との相関を比較検討した.結果:8-OHdGの男女間の検討では,男性が0.26±0.08ng/mL,女性は0.29±0.09ng/mLと女性で有意な高値を認めた(p<0.05).また8-OHdGは対象患者の年齢と有意な正の相関を認めた(p<0.005).さらに栄養評価の指標である血清アルブミンとは有意な負の相関を認め(p<0.0001),GNRIとも有意な負の相関を認めた(p<0.0001).一方炎症のマーカーであるCRPとは有意な正の相関を認め(p<0.0001),IL-6とも有意な正の相関を認めた(p<0.0001).しかし動脈硬化関連マーカーである,fetuin-Aとは有意な相関は認めなかった.またBUNとは相関関係は認めなかったが,クレアチニンとは有意な負の相関を認めた(p<0.05).その他8-OHdGとESA使用量との関係およびESAとHbの比を検討したところ,8-OHdGが高くなるほどESAの使用量も多い傾向を認めたが有意な相関は認められなかった.しかし,erythropoietin resistance index(ERI)とは有意な正の相関を認めた.結論:DNAの酸化ストレスマーカーである血漿8-OHdGは透析患者において栄養状態,慢性炎症を反映し,エリスロポエチン抵抗性の指標となりえると考えられた.
透析看護
  • 榊 みのり, 小松 浩子
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1045-1053
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,血液透析を受ける人々の認知に着目し,個々の生活の場で水分管理を実践することの確信の強さを測定する質問紙である「血液透析患者の水分管理の自己効力尺度」を開発して,その信頼性と妥当性を検討し,水分管理という複雑な現象へのケアについて示唆を得ることを目的とした.方法:尺度を作成する段階において,血液透析を受ける人々への面接調査から水分管理行動を実行することの確信を表す内容を集め,それらをBanduraの自己効力の概念に基づいて分析し,予め,<水分管理の自己効力>という一元的な構造を設定した.内容妥当性や表面妥当性を検討して全22項目となった尺度を用い,外来血液透析患者220名を対象として調査を実施した.結果:分析対象は209人であった.最終的に,探索的因子分析の結果からも一元的な構造が明らかになった.尺度の項目数は15項目であり,累積寄与率は55.7%であった.本尺度と一般性セルフ・エフィカシー尺度には弱い正の相関が得られ,また,本尺度とCES-D(全20項目,ポジティブ感情を除く16項目)には弱い負の相関が得られたことから,概念的な収束と弁別が支持された.本尺度と3か月間の透析間(中2日)の体重増加率の平均値には有意な弱い負の相関が得られ,基準関連妥当性が支持された.本尺度のクロンバックα値は0.95であり,信頼性が支持された.結論:本尺度は,実用化に向けて,便宜的サンプリング法を用いたことによるバイアスの可能性や尺度の安定性の検討などの課題を残したが,尺度開発の初期段階としての信頼性と妥当性は支持されたと考える.今後の研究ではサンプリング方法を厳密にし,尺度の対象となる人々にとって回答の負担が少ないように配慮しながら質問項目をさらに精選し,血液透析を受ける人々の水分管理行動や効果的な支援に関する一層の理解につなげることが課題である.
症例報告
  • 坂本 英雄, 中里 武彦, 檜垣 昌夫
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1055-1059
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    78歳,男性.透析導入6年後の定期超音波検査で胆管拡張を認め,CT検査を行った.造影CTで嚢胞性病変に緩徐に造影をされる充実性領域を認め,透析腎癌が疑われ,腹腔鏡下左腎摘除術を施行し,組織学的に海綿状血管腫と診断された.多嚢胞化萎縮腎を合併した透析患者では画像診断による腎血管腫と腎癌の鑑別は困難と考えられる.
  • 松田 静, 澤田 昌平, 桝井 孝之, 川上 享弘, 川村 寿一
    2012 年 45 巻 11 号 p. 1061-1066
    発行日: 2012/11/28
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    【症例】投薬治療抵抗性甲状腺クリーゼに対してCHDFと血漿交換を併用し有効であったので報告する.症例1:33歳,女性,眼球突出,動悸,息切れが出現.甲状腺機能亢進症を疑い入院.ショック状態となり,気管内挿管,IABP・PCPS留置にて状態安定.甲状腺クリーゼと診断し薬物治療を開始するも改善なく,CHDFと血漿交換により改善した.症例2:28歳,男性,浮腫,高熱,全身倦怠で受診.入院後ショック状態となりPCPS・IABP留置,気管内挿管後,甲状腺クリーゼに対し薬物療法を開始するも改善なく,CHDFと血漿交換により改善した.【考案】T4の半減期は約7日で,蛋白結合物質であるので除去には血漿交換が有用と考えられ,薬物療法にCHDF+血漿交換の併用により改善した.【まとめ】甲状腺クリーゼに対してCHDF+血漿交換は甲状腺機能の早期改善に有用であると考えられた.
委員会報告
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