日本透析医学会雑誌
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45 巻 , 5 号
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原著
  • 大田 和道, 山本 洋之, 甲藤 和伸, 池辺 弥夏, 池辺 宗三人, 松下 和弘, 杉田 治, 戦 泰和, 湯浅 健司, 寺尾 尚民
    2012 年 45 巻 5 号 p. 393-399
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    目的:カルシウム(Ca)受容体作動薬であるシナカルセト塩酸塩(シナカルセト)は,静注ビタミンD(VD)製剤と異なる作用機序でPTHの分泌を抑制することから,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)例に対する新たな治療選択肢として期待される.今回,静注VD製剤にて管理不良のSHPT症例に対し,シナカルセトと静注VD製剤の併用療法の長期効果を検討した.対象と方法:静注VD製剤投与下にて管理不良だったSHPT例43名に対し,シナカルセトとVD製剤の併用療法を開始した.シナカルセトの併用は1日25mgから開始し,その後iPTH,補正Ca値や血清P値が適切に管理されるよう投与量を調整した.結果:iPTHは,シナカルセト併用開始時は774.5±418.5pg/mLと高値であったが,併用開始から低下し,24か月経過後も241.0±132.3pg/mLと抑制効果は持続していた.iPTHをJSDTの管理目標値内に低下させることが可能であった症例数は,併用開始後14か月の時点では24名(55.9%)であり,その後17名(39.5%)が試験終了時まで管理目標値で維持された.さらに,全例がiPTH 400pg/mL未満にて管理することが可能であり,副甲状腺インターベンションを実施することなく,SHPTの内科的管理が可能であった.また,JSDTのiPTH管理目標値を逸脱した症例では,体積300mm3以上の腫大副甲状腺数が有意に多く,また,副甲状腺総体積も有意に大きい傾向が認められた.しかし,一方では,結節性過形成の可能性が高いとされる体積500mm3以上の腫大副甲状腺を有する症例においても,12名中6名がiPTHをJSDTの管理目標値内に維持可能であった.結論:シナカルセトと静注VD製剤の併用療法により,VD抵抗性のSHPT例であっても,iPTHを低下させ,24か月の間,副甲状腺インターベンションの適応であるiPTH 400pg/mLを超えることなく管理可能であった.シナカルセトとVD製剤の併用療法は,従来の内科的治療に抵抗性を示すとされる結節性過形成を呈するSHPT症例に対しても,一定の効果がある可能性が示された.
症例報告
  • 山師 定, 小山 花南江, 湯浅 明人, 野田 輝乙, 堀見 孔星, 森 英恭, 杉山 弘明, 藤方 史朗, 谷本 修二, 岡本 賢二郎, ...
    2012 年 45 巻 5 号 p. 401-406
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.47歳から慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため血液透析に導入されていた.週3回の維持透析を受けており,透析中に胸部不快感あり血圧が不安定であった.CTで両側副腎腫瘍があり,血液検査で血清カテコールアミンの異常高値を認めた.123I-MIBGシンチで両側副腎に高度集積あり両側褐色細胞腫と診断され加療目的で当科紹介.術前検査で左腎腫瘍,甲状腺腫瘍,両側卵巣腫瘍の合併も疑われた.両側褐色細胞腫と左腎腫瘍に対して後腹膜鏡下右副腎部分切除術,左副腎摘除術,左根治的腎摘除術施行.病理組織では両側褐色細胞腫と左腎細胞癌と診断された.後日,外科で甲状腺左葉切除術を施行され乳頭癌,産婦人科で両側付属器摘除術を施行され嚢胞腺腫と診断された.透析患者の血圧変動に際し稀ではあるが褐色細胞腫を念頭におく必要があり,また長期透析患者では悪性疾患の合併を考慮する必要があった.
  • 金子 哲也, 川端 裕彰, 新畑 覚也, 坂口 悠介, 鈴木 朗, 勝二 達也, 岡田 倫之, 矢澤 浩治, 山口 誓司, 椿原 美治
    2012 年 45 巻 5 号 p. 407-412
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    小児期Burkkit lymphomaに対して化学療法を施行し寛解したが腎機能障害を指摘され慢性腎不全へ進行し,11年間腹膜透析(PD)の後血液透析(HD)を経て生体腎移植を行った21歳男性症例を経験した.PD期間中は除水不良と関係した慢性的なうっ血性心不全状態を呈した.HD移行後食欲低下と持続性水様性下痢を呈し,右季肋部に限局性の腹水の貯留と消化管気腫像を認め腸管穿孔が疑われたが,絶飲食を中心にした保存的管理で改善した後母親をドナーとした生体腎移植を施行した.移植後消化器病変の経過は良好であり,術前に問題となっていた心エコー所見を含めた心病変の改善が得られていることから,透析患者における心臓病変はuremic stateと関係した水体重管理の寄与が示唆された.
  • 鍵谷 真希, 中嶋 秀人, 太田 亜賀沙, 松田 拓久, 長門谷 克之, 細川 隆史, 石田 志門, 中倉 兵庫, 島川 修一, 木村 文治 ...
    2012 年 45 巻 5 号 p. 413-419
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は視神経炎と横断性脊髄炎を生じる炎症性中枢神経疾患であり,再発を繰り返すNMOは視神経脊髄型多発性硬化症として日本とアジアに特徴的な多発性硬化症病型とされてきた.近年その病態に抗アクアポリン(AQP)4抗体が関連していることが判明した.発症急性期にはステロイド療法が行われるが,治療抵抗性を示すこともあり,その場合,最近は血漿交換療法の導入が検討されることもある.今回,われわれが経験した治療抵抗性のNMO 3例とNMO spectrum disordersとして抗AQP4抗体陽性視神経炎5例および抗AQP4抗体陽性脊髄炎2例についてアフェレシスの有効性を検討した.単純血漿交換(plasmaexchange:PE)を1例,二重膜濾過血漿交換(double-filtration plasmapheresis:DFPP)を4例,免疫吸着(immunoadsorbance plasmapheresis:IAPP)を5例に施行した.年齢は13から63歳で,性別は男性4名,女性6名であった.DFPPの補充液としては5%アルブミン溶液を用いた.IAPPの二次カラムはイムソーバTR-350®を使用した.抗凝固薬は,動脈直接穿刺を行った小児例でのみナファモスタット,他はヘパリンを用いた.処理量はPEとDFPPでは体重当たりの推算血漿量と同量,IAPPでは規定通り1.5Lとした.施行回数は平均4.9回であった.発症からアフェレシス導入までの日数が40日までの8症例では症状が改善した.他の2例は53日と120日目に導入され,改善もみられなかった.治療モードによる効果の違いは,導入時期が異なるうえに例数が少ないため比較できなかった.アフェレシスは,治療抵抗性のNMOやNMO spectrum disordersに早期に導入すると有効であると考えられた.
  • 石田 良, 草場 哲郎, 高橋 和美, 中ノ内 恒如, 納谷 佳男, 藤村 大樹
    2012 年 45 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.糖尿病性腎症による末期腎不全に対し3年前維持血液透析を導入された.発熱,左鼠径部痛を主訴に受診し,左腹直筋から恥骨結合腹側,右外閉鎖筋にわたる広範囲な膿瘍を認め入院となった.抗菌薬の投与に加え,感染巣の切開排膿,デブリードマンを7か月の間に5回施行したが創部の治癒を得られなかった.活動性の高い感染の存在は否定されたにもかかわらず,創部の治癒傾向を認めなかったため,陰圧閉鎖療法(NPWT)を開始した.NPWT開始後1か月で創部の収縮と良好な肉芽形成を認め,同療法を終了し創部を縫縮し退院となった.NPWTは滲出液の排除,浮腫軽減,局所血流の増加など多様な効果から創傷環境を改善し治癒を促進させる.糖尿病合併透析患者は,免疫能の低下や動脈硬化に伴う血流不全といった創傷治癒の阻害因子を多数有するため創傷が難治性で重症化し易く,感染症を合併すればときに致死的となる.このような症例に対し創傷環境を改善させるNPWTは有効な治療法であると考えられた.
  • 鈴木 孝尚, 新保 斉, 栗田 豊, 麦谷 荘一, 大園 誠一郎
    2012 年 45 巻 5 号 p. 427-431
    発行日: 2012/05/28
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.慢性糸球体腎炎による慢性腎不全に対して,1997年に腹膜透析を導入された.腹膜硬化が強くなり,2007年より血液透析に移行となった.2009年9月より嘔吐と食思不振を呈するようになった.腹部CTおよび胃十二指腸造影検査の結果,十二指腸水平脚での閉塞を認め,上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)と診断した.保存的加療を行ったが症状は改善しなかった.その後,胃空腸吻合術を施行したが,術後,縫合不全を生じ死亡した.腹膜透析経験患者におけるSMA症候群に対して外科的治療を施行した症例は,文献上2例あるが,いずれも術後に死亡の転帰をたどっている.腹膜透析経験患者におけるSMA症候群の治療は非常に困難である.
平成23年度コメディカル研究助成報告
委員会報告
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