日本透析医学会雑誌
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46 巻 , 1 号
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わが国の慢性透析療法の現況(2011年12月31日現在)
  • 中井 滋, 渡邊 有三, 政金 生人, 和田 篤志, 庄司 哲雄, 長谷川 毅, 中元 秀友, 山縣 邦弘, 風間 順一郎, 藤井 直彦, ...
    2013 年 46 巻 1 号 p. 1-76
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    2011年末の統計調査は全国の4,255施設を対象に実施され,4,213施設(99.0%)から回答を回収した.2011年1年間の年間導入患者数は38,613人であった.年間導入患者数は2009年,2010年と減少していたが,2011年は増加に転じた.年間死亡患者数は増加し続けており,2011年1年間に死亡した患者は30,743人と初めて年間3万人を超えた.わが国の透析人口は増加し続けているが,2011年末の透析人口は304,856人とこちらも初めて30万人を超えた.人口百万人あたりの患者数は2,385.4人である.2010年末から2011年末までの年間粗死亡率は10.2%であり,この20年間で初めて10%を超えた.透析導入症例の平均年齢は67.84歳,透析人口全体の平均年齢は66.55歳であった.年間導入患者腎不全原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった(44.3%).透析人口全体での腎不全原疾患は昨年調査まで最多であった慢性糸球体腎炎(34.8%)を抜いて,糖尿病性腎症(36.7%)が最も多く認められる原疾患となった.2011年3月11日に発生した東日本大震災に関連した調査では,震度6以上を経験した施設は東北地方に,震度5以上6未満を経験した施設は関東地方に多かった.震災を原因として操業不能となった施設は315施設存在し,これに伴って合計10,906人の透析患者が施設間を移動していた.週3回の施設血液透析を施行されている男性透析患者の尿酸値の平均は7.30 mg/dL,女性の平均は7.19 mg/dLであった.約17%の患者に何らかの高尿酸血症治療薬が使用されていた.施設調査結果によれば腹膜透析(PD)患者数は9,642人,PDは行っていないがPDカテーテルを腹腔に留置している患者は369人であった.
第57回日本透析医学会教育講演より
第57回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 石岡 邦啓, 古谷 玲, 岩上 将夫, 堤 大夢, 持田 泰寛, 岡 真知子, 真栄里 恭子, 守矢 英和, 大竹 剛靖, 日高 寿美, 小 ...
    2013 年 46 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    近年インクレチンを介した糖尿病治療薬のうちdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬が出現し,糖尿病治療にパラダイムシフトをもたらしている.透析患者の糖尿病治療においても,このDPP- 4阻害薬の中で腎不全患者にも使用可能なビルダグリプチンの使用が可能となって以来,選択肢が広がっている.【目的・方法】血糖管理が不十分な2型糖尿病合併維持血液透析患者42名に対し,ビルダグリプチンを既存治療薬に追加投与した群(V群:16名)と対照群(C群:26名)に分け,投与1か月前後のHbA1c,グリコアルブミン(GA),透析前血糖値について比較検討した.また透析患者1名に対し持続血糖モニター(CGM)を使用し,24時間の平均血糖値(AGV),血糖変動幅(SD)を測定した.【結果】HbA1cはビルダグリプチン投与前6.5±1.1%から投与後5.6±1.1%に,透析前血糖値は投与前184±79 mg/dLから投与後135±50 mg/dLに,1か月間でそれぞれ低下した(p<0.05).GAは投与前25.1±5.3%から投与後22.9±4.4%と低下傾向を示した(p=0.16).HbA1c,GA,透析前血糖値は,V群でのみC群に比し有意に改善していた(p<0.05).CGMの1例では,AGV,SDいずれも,投与前日と比較し,投与日,投与後30日と短期間でいずれも低血糖を認めずに改善を示した.【結語】ビルダグリプチンは,HbA1c,GA,透析前血糖値を下げ,さらには24時間の平均血糖値および血糖変動幅を改善した.
  • 秋葉 隆, 日ノ下 文彦
    2013 年 46 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    エイズ感染患者の透析医療の確保に関して透析施設のHIV患者受け入れの現状を把握し今後の対策の資料とするため調査を行った.全国の透析施設3,802施設にアンケートを発送,1,552通(回収率40.82%)を得た.透析を必要とするHIV陽性者の透析受け入れの経験のある施設は94施設(6.2%),経験のない施設1,434施設(93.8%)で,平成23年11月現在のHIV患者透析実施患者数は89名(60施設,各施設1~7名,1.48±1.12名)だった.この施設は今後も「受け入れる」が69施設,「難しい」23施設で74.2%の施設が今後も受け入れを継続するとの意向を示された.受け入れの経験がない医療機関の今後の方針は「紹介があれば受け入れる方針である」227施設(15.7%),「今後,受け入れを検討する」445施設(30.7%),「受け入れることは難しい」776施設(53.6%)と約半数が今後の受け入れの可能性を表明した.しかしながら,「受け入れがたい理由」として,「HIV陽性者専用のベッドが確保できない.」「HIV陽性者への対応手順が整理されていない.」「透析中に急変した際のバックアップ体制が得られるのか心配」などの懸念が高頻度に示され,公的な援助なしに民間施設がHIV患者を受け入れるには多くの難関があることが明らかになった.
  • 井口 昭, 山崎 肇, 伊藤 朋之, 佐伯 敬子, 成田 一衛
    2013 年 46 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    Epoetin beta pegolは4週に1回の投与で安定したヘモグロビン(Hb)を維持できるが,投与後2週目までHbが上昇し,その後4週目にかけて低下するという緩やかな月内変動を有する.従来より急激なHbの変動は心血管イベントのリスクファクターであるとされているため,epoetin beta pegol使用時のHbの月内変動を把握し,変動の大きい症例の特徴を理解する必要があると考える.当院でepoetin beta pegol使用中の55例を対象とし,epoetin beta pegol投与2週後のHbをピーク値,4週後のHbをトラフ値と定義した.また,ピークからトラフまでの差が0.7 g/dL以上の変動を2回以上認めた症例を高変動群,その他を低変動群と定義した.高変動群は16例,低変動群は39例であった.Hbは低変動群では良好に維持できたが,高変動群は低下傾向であった(低変動群Hb 11.43±1.90 g/dL,高変動群Hb 10.19±1.45 g/dL;p=0.002).高変動群は低変動群に比しTSATが有意に高かった(p=0.042).さらに低変動群の中のHb上昇群と高変動群との比較では,高変動群においてFe,TSATが有意に高く(Fe;p=0.025,TSAT;p=0.043),フェリチンが有意に低かった(p=0.009).以上より利用鉄は豊富だが,貯蔵鉄が低い症例においてHb月内変動が大きい傾向にあると考えられる.Epoetin beta pegol使用時には月内変動を抑えるためにフェリチンの低い症例では適切に鉄の補充を行う必要がある.
症例報告
  • 梅田 優, 仲松 美由紀, 有井 梨恵, 吉田 秀之, 渕 隆一
    2013 年 46 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    ある種の重篤な薬物中毒では薬剤の体外除去を目的として血液浄化が必要となることがある.われわれは自殺企図からquetiapine(QTP),promethazine(PMZ),valproate(VPA)の3剤を過剰に服用し血液吸着(direct hemoperfusion,DHP)を行った症例を報告する.症例は30代の男性で統合失調症と自殺未遂の既往がある.QTP 450 mg,PMZ 900 mg,VPA 7,600 mgを同時服用し9時間後救急搬入された.意識レベルは重度の昏睡でJCSIII-200,体温37℃,血圧90/60 mmHgであった.活性炭カラム(Hemosorba CHS-350®旭化成)を用いてDHPを行ったがDHP開始60分で手足を動かし危険となり75分で終了した.DHP開始時のQTP血中濃度は169 ng/mL,PMZは55.2 ng/mL,VPAは95 μg/mLで75分後にQTPは139 ng/mL,PMZは42.5 ng/mL,VPAは73 μg/mLに低下した.DHPカラムクリアランスはQTPが117.5 mL/min,PMZが126.7 mL/min,VPAが96.8 mL/minであった.DHP終了約4時間後には意識レベルはほぼ覚醒し第2病日退院した.QTP,VPA,PMZともDHPによる薬剤の除去が可能で有効な治療法であったと考えられた.
  • 種畑 昌明, 浅井 勇輔, 秋田谷 徹, 佐々木 紀子, 種畑 美奈子
    2013 年 46 巻 1 号 p. 131-135
    発行日: 2013/01/28
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
    当院維持外来透析患者,冠動脈バイパス術施行後63歳男性,経皮的冠動脈形成術後57歳女性,経皮的冠動脈形成術後58歳女性の3名に対して,術後に心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise testing:CPX)を行い嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold:AT)を測定し心臓リハビリテーションを施行.その後再度CPXを行い運動機能の評価を行った.すべての症例において3か月後には運動時間,最大酸素摂取量,ATの改善を認め,ADL評価のBarthel indexは変化ないが,意欲の指標であるVitality indexは改善を認めた.CPXを用いた心臓術後の慢性透析患者の心臓リハビリテーションは有用と思われる.長期効果についてもさらに検討が必要である.
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