日本透析医学会雑誌
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46 巻 , 10 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
第58回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 前波 輝彦, 吉澤 亮, 大和田 滋
    2013 年 46 巻 10 号 p. 999-1006
    発行日: 2013/10/28
    公開日: 2013/11/06
    ジャーナル フリー
    エポエチン ベータ ペゴル(continuous erythropoietin receptor activator:CERA)は従来のエポエチン ベータ(EPO)に1分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール(PEG)を化学的に結合させることによって血中半減期を著しく延長し,持続的な赤血球造血を可能にした新たなESAである.われわれはすでに血液透析(HD)患者に対するCERA隔週投与による28週間までの貧血改善効果について報告している.しかし,EPOからCERAを2週に1回投与に切替えて長期投与した報告はなく,今回,CERA切替え方法の妥当性と目標Hb値維持効果を長期にわたり検討した.その結果,HD患者の貧血治療において,EPOをCERAに切替え2週に1回投与することで,Hb値は目標Hb値±0.5 g/dLの範囲内で長期間安定して維持された.切替え時のHb値にかかわらずCERA平均投与量は有意に減少し,2週に1回のCERA投与量は55週時点で32 μgとなった.また,静注鉄剤の平均使用量は有意に低下した.さらに,ESAの反応性指標ERI(erythropoietin resistance index)は有意に低下し,CERAによる造血効果の改善が認められた.以上の成績から,CERAの2週に1回投与は長期投与においても,HD患者の腎性貧血改善および維持に有用と考えられた.
症例報告
  • 小松 水樹, 粟野 啓子, 岡崎 真之, 常盤 峻士, 土谷 健, 新田 孝作, 川口 洋
    2013 年 46 巻 10 号 p. 1007-1013
    発行日: 2013/10/28
    公開日: 2013/11/06
    ジャーナル フリー
    症例:62歳,男性.既往歴に出血傾向なし.特記すべき家族歴なし.2009年7月より良性腎硬化症による慢性腎臓病で血液維持透析導入となり,当院で透析通院していた.2012年7月頃から透析終了後の止血に時間を要するようになり,7月某日表在化動脈止血困難,1時間半の圧迫で止血し,帰宅するも再出血のため同日来院し入院.次の定期透析では左上腕から胸部にかけての皮下出血と腫脹,疼痛著明のため再入院となった.凝固機能の検査をしたところ,活性化部分トロンボプラスチンの延長と第VIII因子活性の著明な低下,さらに第VIII因子インヒビター10BU/mLと異常を認めたことより,後天性血友病Aと診断した.治療として止血療法はバイパス療法,インヒビター除去にはプレドニゾロン30 mg/日の内服としたが,60歳以上のためステロイドの早期離脱が望ましく,また第VIII因子インヒビターは自己抗体であることから,double filtration plasmapheresis(DFPP)を併用した.DFPPは計6回施行し,第VIII因子インヒビターは検出されず,止血も正常化と経過良好で治癒退院した.本症例に対しては,低用量ステロイド療法とDFPPによる第VIII因子インヒビターの除去が有効と考えられた.
  • 小林 皇, 宮本 兼玄, 笹村 啓人, 田中 俊明, 山本 準也, 石川 洋三, 山田 洋介, 山村 剛, 河田 哲也
    2013 年 46 巻 10 号 p. 1015-1019
    発行日: 2013/10/28
    公開日: 2013/11/06
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.腎硬化症による慢性腎不全により2008年10月に腹膜透析導入となった.2010年8月,2011年6月に腹膜炎による入院加療歴があり,同年8月に3回目の腹膜炎を発症し入院となった.原因不明の腹膜炎を繰り返しているため,同年9月に腹膜透析を中止し血液透析へ移行した.その後は被嚢性腹膜硬化症予防目的で1日1回,1年間の腹腔洗浄継続を予定していたが,入院時のスクリーニングCTにて左腎中部外側に造影早期相で強い増強効果を示す12 mm大の充実性腫瘍を認め,腎細胞癌が疑われ泌尿器科紹介となった.同年11月後腹膜鏡下腎摘除術を施行,病理結果は腎細胞癌(pT1aN0M0)であった.術後合併症は認められず,術後第6病日より腹腔洗浄を再開した.退院後の現在も腹膜炎の再発はなく,血液透析および腹腔洗浄を継続中である.腹腔洗浄の継続が必要な患者に認められた腎細胞癌に対して後腹膜的アプローチによる鏡視下手術はよい適応であると考えられた.
  • 小野 真也, 金崎 雅美, 一色 啓二, 吉田 尚平, 信田 裕, 吉林 護, 桑形 尚吾, 出路 奈緒子, 有村 徹朗, 宇津 貴
    2013 年 46 巻 10 号 p. 1021-1026
    発行日: 2013/10/28
    公開日: 2013/11/06
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の女性.IgA腎症による末期腎不全に対して16年前より近医で維持血液透析を行っていた.自然妊娠が判明し妊娠20週より当院入院管理となった.入院後1回4時間,週6日の血液透析を行い透析前血中尿素窒素(BUN)50 mg/dL以下に保った.目標体重(dry weight:DW)は,下大静脈径,ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP),羊水量を指標に,透析中の連続的ヘマトクリット測定(クリットライン®)による循環血液量の変化量(%BV)も参考として,妊娠経過に合わせて200~300 g/週の割合で上方修正した.妊娠28週頃よりhANP値の上昇を認め,DWの上方修正を100 g/週に減じていた.妊娠33週3日夜間に突然の呼吸困難が出現し,胸部X線写真にて心拡大と胸水貯留を,心臓超音波検査にてびまん性壁運動低下を認め,NYHA(New York Heart Association)IV度のうっ血性心不全と診断した.緊急帝王切開術を施行し生児を得た後,集中治療室で心不全治療を行い出産後24日で退院した.退院後DWを減量調整したが心機能は改善せず,血中異型プロラクチン(16 kDa)の存在とカテプシンD活性の上昇を認めたため,周産期心筋症と診断された.出産後2年以上が経過した現在も,駆出率25%と低下状態が遷延している.本症例は,慢性透析患者の妊娠管理において重要な知見を有する1例であると考えられる.
  • 宮澤 慶行, 野村 昌史, 大木 一成, 田村 芳美, 青木 剛, 宮 政明, 関口 明子, 曽我部 陽子, 大塚 保宏
    2013 年 46 巻 10 号 p. 1027-1031
    発行日: 2013/10/28
    公開日: 2013/11/06
    ジャーナル フリー
    Calciphylaxisによると考えられた陰茎壊死を経験したので報告する.58歳男性,IgA腎症による慢性腎不全の診断にて1998年より血液維持透析中であった.2012年8月,陰茎亀頭部の黒変,疼痛を認め受診した.抗生剤投与などの保存的治療を施行したが,治療効果は乏しく,2012年9月には亀頭部の白色化,壊死を認めた.保存的加療は困難と判断し,陰茎部分切除術を施行した.病理組織診断では中小の筋型動脈の中膜石灰化,動脈狭窄,閉塞の所見を認めた.Calciphylaxis診断基準案に準じ,臨床所見,病理組織診断所見からcalciphylaxisによる陰茎壊死と診断した.術後創治癒に問題なく,再燃は認めていない.透析患者の陰茎に疼痛を伴う壊死所見を認めた場合,本症を鑑別診断の一つとして考え,診療にあたる必要があると思われた.また,本症の予後は不良との報告があり,厳重な経過観察が不可欠と思われた.
Letter to the Editor
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