日本透析医学会雑誌
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46 巻 , 3 号
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一般社団法人 日本透析医学会 血液透析患者の糖尿病治療ガイド 2012
I. 血糖管理
II. 食事エネルギー量
III. 合併症管理
第57回日本透析医学会シンポジウムより
原著
  • 高橋 直子, 吉澤 拓, 熊谷 純子
    2013 年 46 巻 3 号 p. 371-378
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/09
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    血液透析患者のそう痒症は難治性であり,患者のQOLを低下させ,予後にも悪影響を与える因子として注目されている.2009年3月に,既存治療で効果不十分な血液透析患者のそう痒症に対してナルフラフィン塩酸塩(ナルフラフィン)が臨床使用可能となった.今回,われわれは,既存治療抵抗性そう痒症を有する血液透析患者にナルフラフィンを投与し,2年(104週)にわたる長期間の有効性と安全性を検討した.投与前のvisual analogue scale(VAS)が70 mm以上またはかゆみの重症度判定基準(白取分類)が3(中等度)以上で,104週間継続投与可能であった13名を対象とした.初期投与量は2.5 μg/日とし,VASおよび白取分類をはじめとするアンケート調査を定期的に行った.投与後のVAS平均値および白取分類の日中のかゆみスコアの平均値は,有意に低下していた.夜間のかゆみスコアの平均値は,投与前に比し104週目で有意に低下していた.不眠の頻度も減少し,74週目には不眠があると回答した患者は0名となり104週目まで継続した.そう痒症の改善が認められないため5 μg/日に増量した患者は3名のみであり,耐性の出現による効果の減弱は認められなかった.副作用は,すべて投与開始2週間以内に出現し,以後認められなかった.ナルフラフィンは,長期間の投与において有効であり,安全性も高いと考えられた.
  • 今井 亮, 小野 利彦, 岩元 則幸
    2013 年 46 巻 3 号 p. 379-388
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/09
    ジャーナル 認証あり
    [目的]手背部の指伸筋腱障害は,透析患者によくみられるにもかかわらず,その病態は解明されていない.この研究の目的は,透析患者における手背部の指伸筋腱障害の原因と発生頻度と症状を明らかにし,そして手術適応を検討することである.[対象]対象は,手関節背側の腫脹を持ち,超音波検査にて確認された伸筋腱腱鞘滑膜の増生を持つ50患者71手である.[結果]1)有病率について,手背部の指伸筋腱障害は,透析歴15年以上の患者に発生していた.有病率は透析歴が長くなるに従って増加していた;透析期間10~19年の有病率は2.7%,20~29年は34.9%,30年以上は82.8%であった.2)自覚症状について,腫脹が26例,疼痛が5例,指の伸展制限が3例であった.自覚症状のない患者が約半数にみられた.3)超音波検査は,手背部の指伸筋腱障害の補助診断法として有用であった.4)手術的治療を行った5例において,手術時に採取された滑膜・伸筋支帯・腱が病理組織学的に検査され,これらの組織にアミロイドの沈着が認められた.5)手根管症候群,アミロイド骨嚢胞,アミロイド肩関節症などの透析アミロイドーシスが,手背部の指伸筋腱障害例の94%に合併していた.[考察]手背部の指伸筋腱障害は,腱滑膜・伸筋支帯にアミロイドが沈着して発症する狭窄性腱鞘炎と考えられる.臨床所見と超音波検査が本疾患の診断に有用である.疾患が進行すると,手背部の腫脹と疼痛,そして腱の肥大が生じる.疾患の末期には,腱の変性と指の可動域制限が特徴である.腱の肥大と腱滑膜の増生がみられる進行期に対しては積極的な手術療法が適応である.
  • 藤森 明, 山本 清子, 岡田 志緒子, 守上 祐樹, 坂井 誠, 久米井 真衣, 溝渕 憲子, 渡邊 健太郎
    2013 年 46 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/09
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    骨折は透析患者に高頻度で発生する重大な合併症である.透析患者の骨折には年齢,性別,糖尿病,栄養状態などの因子が関連することが知られているが,それ以外に骨質の劣化が関与している可能性がある.そこで近年骨質のマーカーとして注目されているペントシジン(Pnt)とホモシステイン(Hmc)を測定し,その他の血中マーカーや骨密度とともに,大腿骨頸部および椎体骨折既往との関連を検討した.当院の血液透析患者81名を対象に血中マーカーとしてPnt,Hmc,アルブミン(Alb),クレアチニン(Cr),whole PTHを測定した.腰椎L1-L4(骨折のある椎体は除く),大腿骨近位部,橈骨33%部位の骨密度をdual-energy X-ray absorptiometry(GE社製DPX BRAVO)で測定しyoung adult meanの%で表示した.19例の骨折既往例は非骨折例よりも有意に高齢(p=0.005),Cr低値(p=0.011),whole PTH低値(p=0.020),腰椎と大腿骨近位部骨密度低値(p=0.025,p=0.001),Pnt高値(p=0.017)であった.しかしHmc,Alb,橈骨骨密度,透析歴,body mass indexは,骨折既往例と非骨折例の間に有意差を認めなかった.また性別,糖尿病の有無も骨折既往とは有意な関連を示さなかった.ロジスティック回帰分析ステップワイズ法では,骨折既往の説明変数としてCr,大腿骨近位部骨密度,Pntの3因子が選択された.以上の結果から,血液透析患者では低骨密度や栄養不良とは独立して骨質劣化が骨折の原因になる可能性が示唆された.Pntが透析患者の骨折発生の予測因子になるかどうか今後の検討が必要である.
透析技術
  • 杉浦 清史, 秦 健一郎, 舟尾 清昭, 杉田 省三, 吉本 充, 和田 誠次, 山本 晋史
    2013 年 46 巻 3 号 p. 395-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/09
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    限りがあるバスキュラーアクセス(vascular access:VA)に使用できる血管を,有効に使用していくために,VAとしての橈骨動脈表在化アクセスの有効性を検討した.超音波断層法にて,橈骨動脈の開存,動脈硬化の程度,太さを検討した.橈骨動脈の内側に切開をおき皮下を剥離し,筋膜に達する.橈側手根屈筋と腕橈骨筋の間を剝離し,橈骨動脈を周囲より剥離していく.動脈剥離後,筋膜を縫合し後壁を作製する.5例の橈骨動脈の表在化を行った.2例に初回アクセス作製時に心不全があり,2例に内シャント再建時に,バックアップアクセスとして作製した.1例は再建時に前腕に良好な静脈がないため,前腕で表在化した橈骨動脈より脱血し,肘窩の静脈に返血した.症例1,症例4,症例5は,橈骨動脈より250 mL/minの脱血ができ,十分な透析ができた.前腕での橈骨動脈表在化はVAとして有効であり,アクセスとなる血管の温存のために役立つと考えられた.
  • 安藤 哲郎, 久保 隆史, 添野 真嗣, 石田 秀岐, 伊藤 恭子, 小林 充, 磯松 幸成, 高橋 修, 永野 伸郎, 安藤 義孝
    2013 年 46 巻 3 号 p. 399-403
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/09
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    透析患者のバスキュラーアクセストラブルの遠隔診療を,地域基幹病院とサテライト透析施設間でSkypeビデオ通話技術を用いることで実施した.その結果,アクセストラブル発生時におけるインターベンションならびに手術の必要性の初期判断(トリアージ)に有効な情報をリアルタイムで確実に得ることができた.また,サテライト施設での経過観察と判断されたケースも,アクセス専門医から現地スタッフへの適切な指示により支障なく進められた.さらには,基幹病院での受け入れ体制は,アクセストラブル患者の事前情報の充実により,迅速かつ適切な対応が可能となった.本技術の普及は,アクセス専門医不在地域におけるアクセス治療の地域格差を是正しうることが期待される.
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