日本透析医学会雑誌
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46 巻 , 8 号
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原著
  • 葉山 修陽, 栗原 怜, 石原 力, 青木 路子, 飯野 靖彦
    2013 年 46 巻 8 号 p. 707-713
    発行日: 2013/08/28
    公開日: 2013/08/31
    ジャーナル フリー
    エポエチン ベータ ペゴル(C.E.R.A.)は従来の赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent:ESA)と比較すると血中半減期は長く,造血が長時間持続するため,貧血改善,鉄動態に与える影響もこれまでのESAと異なる可能性がある.今回,C.E.R.A. 初回投与後4週間および4週間隔で2回投与し12週間までの貧血改善,鉄動態につき検討した.対象:安定している維持透析患者8名で,ESAの切り替えはエポエチン ベータ(EPOβ)投与量4,500 IU/週未満はC.E.R.A. 100 μg,4,500 IU/週以上はC.E.R.A. 150 μgをそれぞれ28日間隔で3回反復静脈内投与した.方法:C.E.R.A. 初回投与時は投与前,投与後2,4,7,14,21および28日目,2および3回目投与時は投与後14および28日目に血中EPO濃度,血清鉄,TSAT,フェリチン値,ヘプシジン-25濃度,網状赤血球数およびHb濃度を測定した.結果:C.E.R.A. 投与後,血中EPO濃度は14日目まではベースライン値に対して有意な上昇を示し(p<0.05,以下同様),血清鉄,TSATおよびフェリチン値は低下傾向を示し,ヘプシジン-25濃度は2日目で有意な低下を示した.網状赤血球数も7日目までは有意な上昇を示し,Hb濃度は7日目のみで有意な上昇を示した.各指標は28日目にはベースライン値に復し,2回目および3回目投与後も同様に推移した.結論:EPOβ週あたり投与量4,500 IU/週未満はC.E.R.A. 100 μg,4,500 IU/週以上はC.E.R.A. 150 μgへの切り替え後,鉄パラメータおよび造血パラメータは4週間の間にダイナミックな変動を示した.Hb濃度は4週間隔の3回投与で12週間にわたり安定に維持された.C.E.R.A. 使用後の鉄動態を考慮し,投与後1週目および2週目の鉄動態の検査は避けるべきと思われた.
  • 蔦谷 知佳子, 對馬 惠, 寺山 百合子, 畠山 真吾, 山谷 金光, 齋藤 久夫, 舟生 富寿
    2013 年 46 巻 8 号 p. 715-721
    発行日: 2013/08/28
    公開日: 2013/08/31
    ジャーナル フリー
    血液透析患者において動脈硬化性疾患は頻度の高い合併症となっている.今回われわれは,血液透析患者の頸動脈血流速度波形の指標から脳・心血管障害(cerebro- and cardiovascular disorders:CCVD)発症の予測因子として有用なパラメーターを検索した.血液透析患者87例について,頸動脈エコーによる左右総頸動脈の血流速度から,収縮期最高血流速度(peak systolic velocity: PSV),拡張末期最低血流速度(end diastolic velocity:EDV),拍動係数(pulsatility index: PI),拡張末期最低血流速度の左右比(ED ratio)を解析した.これらの血流速度波形指標と最大頸動脈内中膜複合体厚(maximum intima- media thickness: max-IMT),心臓足首血管指数(cardio ankle vascular index: CAVI)および腹部大動脈石灰化指数(aortic calcification index: ACI)との関連性は,EDVとCAVI(r=-0.319),max-IMT(r=-0.268)およびACI(r=-0.295)に有意な負相関が認められた.CCVDの有無で分けた2群(CCVD-群=53例,CCVD+群=34例)間の比較では,EDV(p=0.019)とED ratio(p=0.041)に有意差が認められた.さらに,検査後から2年半のCCVD発症率は,EDVの平均値で分けたEDV<11 cm/sec群がEDV≥11 cm/sec群にくらべ有意に高値(p=0.012)であった.血液透析患者においてEDVの低値はCCVD発症に関連していると思われた.
症例報告
  • 渡邉 廉也, 安野 哲彦, 伊藤 建二, 安部 泰弘, 三宅 勝久, 笹冨 佳江, 小河原 悟, 真島 悟, 中島 衡
    2013 年 46 巻 8 号 p. 723-726
    発行日: 2013/08/28
    公開日: 2013/08/31
    ジャーナル フリー
     症例は56歳,男性.糖尿病性腎症により末期腎不全に至り,7年間の透析歴がある.2011年,透析中に突然の血圧低下と右側腹部痛をきたし,腹部造影CTにて右腎周囲血腫を認められた.右腎下極の責任血管に対し腎動脈塞栓術を行った.第2病日には右側腹部痛は軽快し,第16病日退院となった.外来にて3か月後の腹部CTを行い,腎周囲血腫の軽快を認めた.腎周囲血腫の原因として外傷,腎癌,腎嚢胞などがある.本症例では冠動脈バイパス術後から内服しているアスピリン以外に明らかな誘因は考えられなかった.このように,維持血液透析患者における急性腹症の鑑別として,腎周囲血腫は重要であり,今後もCTによる定期的な画像的評価が必要であると考える.
  • 村上 穣, 萩原 正大, 大沢 紘介, 佐々本 格, 津田 勝路, 関 浩道, 降籏 俊一, 山崎 諭, 山口 博, 池添 正哉
    2013 年 46 巻 8 号 p. 727-732
    発行日: 2013/08/28
    公開日: 2013/08/31
    ジャーナル フリー
    血液透析用カテーテル留置中に腰椎化膿性脊椎炎および腸腰筋膿瘍を合併した1例を経験したので報告する.患者は80歳代,男性.末期腎不全による尿毒症のため他院に入院し,右大腿静脈より非カフ型カテーテル挿入のうえ血液透析を導入された.カテーテル留置から24日目に黄疸が認められ,当院に転院した.精査によりEnterococcus faecalisによるカテーテル関連血流感染症(catheter-related blood stream infection:CRBSI)および転移性感染症としての腰椎化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍と診断した.ビクシリン(ABPC)の経静脈的投与および持続血液透析濾過を継続したが,第9病日に敗血症性ショックのため死亡した.血液透析用カテーテル留置中の患者がCRBSIを合併した場合,早期診断,早期治療に努め,重篤な転移性感染症の合併を予防することが重要である.
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