日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
47 巻 , 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 原 正樹, 森戸 卓, 能木場 宏彦, 岩佐 悠子, 安藤 稔
    2014 年 47 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
    【背景】近年の癌治療の進歩に伴い, 進行した担癌状態の慢性腎臓病 (CKD) 患者に対しても, 透析療法を導入し治療を継続する機会が増加してきた. しかし, こうした担癌患者の慢性透析導入後の予後についての報告は少ない. 【対象と方法】2005年1月から2013年6月までに, 当院でCKDから血液透析 (HD) に導入された担癌患者34例 (男性27例, 女性7例) を対象とした. 臨床病像とデータの経過を電子カルテ上で後方視的に調査し, 生命予後をKaplan-Meier法にて解析した. 導入後の癌治療実施の有無 (治療実施群, 治療非実施群) で患者を2群に層別し, 各々の生命予後を求めた. 年齢, 性比, 糖尿病合併率をマッチさせた非担癌HD導入患者34例の生命予後を対照とした. また, 治療実施群と治療非実施群の特徴を比較検討した. 【結果】導入時の平均年齢は70.4±8.8歳で, 11例 (32.4%) は, 導入入院時のスクリーニング検査で新規に癌が発見された患者であった. 平均ヘモグロビン濃度は8.1±1.3g/dLと対照群の9.2±1.0g/dLに比較して有意に低かった. 全患者群でHD導入後の1, 3, 5年の累積生存率は67.5%, 47.7%, 21.1% (対照群 : 100%, 83.0%, 73.8%), 治療実施群のみ, 93.3%, 68.9%, 46.0%, 治療非実施群のみ, 42.4%, 28.2%, 0%であった. 治療実施群は16例で, 消化器癌が9例 (肝細胞癌4例, 大腸癌3例, 胃癌2例) と最も多く, 次いで泌尿器癌が5例 (前立腺癌2例, 腎細胞癌1例, 尿管癌1例, 膀胱癌1例) と多かった. 【結語】HDに導入された担癌患者の生命予後は, 「導入後癌治療施行の有無」で異なる. 癌治療医, 腎臓内科医などの医療従事者が患者のHD導入に関する意思決定をサポートする上で検討すべきポイントの一つである.
症例報告
  • 飯ヶ谷 嘉門, 今福 俊夫, 安藤 孝, 立松 覚, 黄田 宗明, 大槻 昌子, 内藤 真規子, 亀山 香織
    2014 年 47 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
     症例は61歳男性. 30年前に重症筋無力症を発症し, その際胸腺腫も認められ摘出術を受けて胸腺腫と診断されていた. 重症筋無力症は3年前よりシクロスポリン100mgのみで加療され症状は安定していた. ネフローゼ症候群, 急性腎不全を発症し入院した. 入院後, 腎生検を行い, 微小変化群と診断した. 経口ステロイド療法, ステロイドパルス施行するも無効であったため, 腎不全の進行とネフローゼ症候群に対し第41病日に血液透析を, 第52病日にLDLアフェレシス (LDL-A) を導入した. LDL-A施行後から蛋白尿は改善し, 同時に腎不全も改善, 第68病日に血液透析, 計5回のLDL-Aから離脱した. 以後ネフローゼ症候群は完全寛解を維持した. 重症筋無力症に対してシクロスポリン投与中に, 微小変化群を発症した症例は報告がない. 重症筋無力症合併ネフローゼ症候群は一般的にはステロイド治療が奏効するが, 本症例では奏効せずLDL-Aを追加することで完全寛解に至った. ネフローゼ症候群に伴う高LDL血症の改善はシクロスポリン, ステロイドの薬剤感受性を改善させ, 寛解に導く補助療法として有用であると考えられた. また重症筋無力症および胸腺腫摘出後, 長い経過の後にネフローゼ症候群を発症する例が報告されているが, 本症例のように30年の経過で発症した例は報告されていない. 重症筋無力症合併微小変化型ネフローゼ症候群の病因の一つとして示唆されている胸腺関連T細胞リンパ増殖が長期に残存している可能性が考えられた.
  • 村津 淳, 森島 淳之, 渡瀨 謙仁, 中村 順一, 阪口 勝彦
    2014 年 47 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/28
    ジャーナル フリー
     上腕動脈吻合部のバスキュラーアクセス感染による突然の大量出血に対して上腕動脈結紮術が有効であった2例を経験したので報告する. 症例1 : 47歳男性. シャント部の疼痛を主訴に来院. シャントの上腕動脈との吻合部に形成された瘤の発赤, 腫脹を認め, 血液検査・画像検査で感染が疑われた. 入院後, 瘤が破裂したため緊急的に上腕動脈結紮術を施行した. 症例2 : 74歳男性. 人工血管血清腫の治療後の上腕動脈との動脈側吻合部の遺残グラフト部分に発赤, 排膿を認めた. 感染部グラフト除去手術を行ったが数日後に僅かに遺残したグラフトが脱落して大量出血した. そのため緊急的に上腕動脈結紮術を施行した. 2症例とも術後の経過で手先の麻痺, 虚血症状を認めず, 血管造影・3D造影CTでも側副路より末梢への血流が確認された. 上腕動脈吻合部のバスキュラーアクセス感染破裂による出血に対する緊急手術として上腕動脈結紮術は有用であると考えられた.
feedback
Top