日本透析医学会雑誌
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47 巻 , 5 号
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委員会報告
総説
  • 三﨑 太郎, 塩岡 天平, 内藤 善隆, 鈴木 由美子, 山本 佳代, 高岡 伸次, 磯﨑 泰介
    2014 年 47 巻 5 号 p. 293-298
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
     近年のグローバル化に伴い, 医療においても国際標準を満たすことが求められる時代に移行してきている. 2012年11月当院は, 国際医療機能評価機関Joint Commission International (JCI) 認証を取得した. 本認証取得病院は, 良質な医療と安全管理が国際標準を満たすことを意味する. 近年, 世界, 特にアジアでJCI認証取得病院が増えている. 今後本邦でもJCI認証取得をめざす病院の増加が予想されている. JCI審査では, 患者の権利, 診療行為, 治療プロセス, 感染予防, 施設管理などが全般的に評価される. 今回, JCI評価基準に沿って, 透析室において, マニュアル整備, 患者識別の徹底, 侵襲的手技時のタイムアウト実施, 感染予防策, ハイアラート薬品の厳密な管理, 透析機器の管理など, 約1年間かけて大幅な業務の見直しと改革を行ったので, その経過と今後の課題を報告する.
原著
  • 大槻 英男, 中村 健三, 下村 文彦, 桑原 勝孝, 塚本 拓司
    2014 年 47 巻 5 号 p. 299-303
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
    日本透析医学会では,同内容の論文が他誌に掲載されているとの報告を受け,重複と判断いたしましたので,掲載を撤回いたします.
  • 樋口 輝美, 堀田 直, 黒岩 奈美, 石川 由美子, 瀬戸口 晴美, 高崎 智也, 山崎 俊男, 水野 真理, 大川 恵里奈, 知久 正明 ...
    2014 年 47 巻 5 号 p. 305-312
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
    目的】透析患者におけるレボカルニチンの心機能に対する効果を検討する. 【対象】当院にて維持透析施行中の患者192名のうち, 選択基準を満たした対象患者153名に対し内服希望のアンケートを実施し, 内服希望患者群113名を対象とした. 【方法】今回の臨床試験は内服希望患者による介入試験で, 非ランダム化比較試験である. 対象患者はレボカルニチンを20mg/kg/日 (最大用量1,200mg/日) を投与した. 心機能の評価として, 心エコー検査と心不全の予測因子であるNT-proBNPを試験開始前, 開始3, 6か月後に測定した. 【結果】試験期間中の心エコー検査では, LVDd, LADは有意な差は認めず, 拡張障害の指標であるE/A, E/e' も有意な差は認めなかった. しかし, EFは試験開始前に比べ開始3, 6か月後で有意な改善を認め, LVMIも同様に有意な改善を認めた. またサブ解析として, 左室肥大 (LVH) ありの患者群とLVHなしの患者群に分けて検討したが, LVHありの群においてEFは試験開始前が58.0±6.5から試験開始3か月後に61.0±6.9%, 6か月後で60.5±6.8%と有意な改善を認め, LVMIも試験開始前が132.2±20.9g/m2から開始3か月後に108.5±23.9g/m2, 6か月後で110.8±22.3g/m2と有意に低下した. しかし, LVHなしの患者群においては, EFの改善効果およびLVMIの低下は認められなかった. 一方, 心不全の予測因子である, NT-proBNPは試験開始前後で有意な差は認めなかった. 【結論】レボカルニチンは透析患者の心機能に対しEFの改善とLVMIの低下を認めた. またレボカルニチンへの反応群はLVHを有する患者群であった.
  • 望月 隆弘, 丹治 知恵, 碓井 公治, 庄司 繁市, 四宮 敏彦, 稲葉 雅章, 友杉 直久
    2014 年 47 巻 5 号 p. 313-321
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
    目的】血液透析患者において, 安定したHb濃度を維持するために必要な, 最少で至適な血清フェリチン値について検討する. 【方法】新治療プロトコールに従った前向き介入試験 (試験期間: 12か月間) を行った. 試験開始時の血清フェリチン値 (Frn) から3群 (高ランク群100ng/mL≦Frn, 中ランク群50ng/mL≦Frn<100ng/mL, 低ランク群Frn<50ng/mL) に分類し, 各群のFrnコントロール範囲, および鉄剤補充基準を設定した. また, 一定基準を満たし治療が継続できていたか否か (成功, 不成功例) により分類し解析を行った. 評価: Frn低下に伴いエリスロポエチン抵抗性指数 (erythropoietic resistance index: ERI) が有意に上昇する直前のFrnを, 最少至適Frnとした. 【結果】333名がエントリーされ, 282名が解析対象となった. 全体例での検討では, Frnの低下に伴いヘプシジン-25も低下し, 最少至適Frnは62.2±64.3ng/mLであった. 層別解析では, 高ランク群での最少至適Frnは103.4±80.4ng/mL, 中ランク群では, 最少至適Frnは55.2±42.0ng/mLであった. 高ランク群の成功例では, ヘプシジン-25は低下し, 最少至適Frnは61.6±29.6ng/mLであった. 高ランク群ではFrnの低下とともに, 血清アルブミン値は有意に上昇した. 【結語】Frn 100ng/mL以上の症例では, ヘプシジン-25が低下, アルブミン値は改善し, 35%の症例でrHuEPOは増量せずに, Frn 60ng/dL台で良好にHb濃度が維持できた. 以上より, Frnを指標とした鉄剤補充の開始基準は, 60ng/mLが妥当と考えられる.
症例報告
  • 吉岡 和香子, 森 崇寧, 諏訪部 達也, 高橋 大栄, 萬代 新太郎, 平井 俊行, 安芸 昇太, 青柳 誠, 田中 啓之, 田村 禎一
    2014 年 47 巻 5 号 p. 323-328
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
     74歳, 女性. 常染色体優性多発性囊胞腎 (ADPKD) を原疾患とする慢性腎不全患者で, 6年の血液透析歴を有する. 数か月の経過で徐々に増悪する両下腿浮腫を認め, 入院精査を行った. ドライウェイトは適正範囲にあり, 心機能および肝機能に問題はなく, 下肢静脈ドップラー検査や造影CT検査でも深部静脈血栓や囊胞性下大静脈圧排を認めなかった. 浮腫の原因は不明であったが, 入院後安静臥床で比較的速やかに軽快したため, 以後は外来経過観察の方針とした. しかし退院後約1週間の経過で浮腫を再度認めるようになり, 再精査目的に再入院した. 立位でいる時間が長いほど増悪することや入院中は右側臥位, 自宅では左側臥位をとることが多かったというエピソードより, 浮腫の背景には体位に伴う増悪因子の存在が示唆された. 自宅安静時と同じ左側臥位でCT撮影を行ったところ, 右腎囊胞が下大静脈 (IVC) を完全に圧排した所見を得, 浮腫の直接的原因と考えられた. 残腎機能がほぼ廃絶していることを確認し, 右腎動脈塞栓術を施行した. 以後下腿浮腫は完全に消失し3年間再発を認めていない. ADPKDに関連したIVC圧排は少なからず合併している可能性があり, 下腿浮腫のみならず深部静脈血栓症の報告も散見される. 本症例は左側臥位でCTを撮影することにより, 通常の仰臥位撮影では診断し得なかった囊胞性下大静脈圧排の所見を得, 治療介入することができた. 囊胞性下大静脈圧排を比較的早期に診断する手段として左側臥位CT撮影が有効である可能性があり, ここに報告する.
  • 池田 正博, 富田 祐介, 尊田 和徳, 尾﨑 厚夫, 上村 徳郎, 原田 隆二, 白石 幸三
    2014 年 47 巻 5 号 p. 329-333
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/28
    ジャーナル フリー
     症例は68歳, 女性. 右膿腎症のため右腎臓摘出後に慢性腎不全となり, 25年前より維持血液透析を施行していた. 3年前にシャント肢の腫脹を認め, 左腕頭静脈の狭窄を原因とした静脈高血圧症の診断で, 経皮的血管拡張術 (percutaneous transluminal angioplasty: PTA) を行い, 改善した. 今回, 静脈高血圧症が再発し, 血管造影検査で左腕頭静脈に高度の狭窄を認めたため, 9mm semi-compliant PTA balloonでPTAを施行した. しかし, 術直後に突然の喀血を認め, 急性呼吸不全をきたした. 胸部CT検査では, 両肺野に広がるスリガラス様の陰影を呈し, びまん性肺胞出血 (diffuse alveolar hemorrhage: DAH) と診断した. 喀血は一過性であり, 止血薬の投与と酸素の吸入により保存的に治療を行った. また, 内シャントを閉鎖した後に対側に再建術を施行した. DAHの原因はさまざまであり心不全, 肺塞栓症, 肺高血圧症, 腫瘍などの非免疫学的機序によるものと血管炎症候群や膠原病などの免疫学的機序によるものがあるが, PTAを契機としたDAHの報告はない. 本症例は, 自己免疫疾患の既往はないが, 血流過剰の状態である内シャントの中心静脈の狭窄を解除したことから, 右心系の血流が急増し, 肺胞の毛細血管内圧が上昇したためにDAHを起こしたことが考えられる. 合併症の多い長期透析患者に対してPTAを行う場合には, 増加する血流が患者に与える影響を考慮し, 慎重に治療の選択を行わなければならない.
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