【目的】クエン酸第二鉄水和物投与開始時に鉄剤投与を中止し, 腎性貧血に対する有効性について検討した. 【対象】95名の血液透析患者のうち, 選択基準を満たした45名. 【方法】クエン酸第二鉄水和物1,500mg/日投与時に静注・経口鉄剤投与を中止し, 鉄関連検査値, ダルベポエチンα (DA) 投与量, ESA抵抗性について検討した. 【結果】対象患者全体の検討では, フェリチン値, TSATに有意な変化を認めず, Hb濃度が有意に上昇した. DA投与量も有意に低下し, 40.1%のDA削減効果を認めた. 鉄剤服用群別の検討では, 静注鉄剤中止群は50.2%, 経口鉄剤中止群は33.5%のDA削減効果を認め, ESA抵抗性は低下した. 【結語】クエン酸第二鉄水和物1,500mg/日投与時に鉄剤を中止することで鉄過剰を防ぎ, さらにHb濃度が上昇した. 貧血改善効果は静注, 経口鉄剤より良好であると考えられ, クエン酸第二鉄水和物の腎性貧血に対する有効性が示唆された.
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