症例は58歳男性. 糖尿病性腎症による末期腎不全にて血液透析を導入された. 心エコー検査で, EFは48.9%で, E/e’も19.5と収縮障害と拡張障害を認め, LVMIも151g/m
2と左室肥大を認めた. ESAsはrHuEPOを9,000単位/週を使用し, ERIはrHuEPO doses/kg/g/dL/週として算出し, 13.5と比較的高値を認め, レボカルニチン1,200mg/日で内服療法を開始した. 開始前と1年後の経過で, EFは48.9%から72.7%, LVMIも151g/m
2から107g/m
2, NT-proBNPは12,800pg/mLから7,850pg/mLへと改善した. 内服開始前の使用rHuEPOは9,000単位/週で, 開始前のERIは13.5と高値であったが, rHuEPOは3,000単位/週に減量し, ERIは3.9まで低下した. 動脈硬化症の指標のbaPWVは1,832cm/secから1,545cm/secと改善した. また上腕筋面積は, 32.9cm
2から39.3cm
2に上昇し, ALT, ASTは12U/L, 14U/Lで, それぞれ9U/Lと軽度低下した. レボカルニチンの投与により, 種々のパラメーターが改善した症例を経験したので報告する.
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