日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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48 巻, 8 号
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原著
  • 中井 靖, 影林 頼明, 松本 吉弘, 福井 真二, 柏井 浩希, 北内 誉敬, 塩田 隆子, 望月 祐司, 三馬 省二
    2015 年 48 巻 8 号 p. 471-475
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/28
    ジャーナル フリー
    【目的】尿路感染症症状のない無症候性透析患者の尿所見を検討した. 【方法】3か月以上血液透析を行っている患者で明らかな尿路感染症状のない患者54名を対象とし, 尿沈渣および一般細菌培養の所見を検討した. 対象の平均年齢は65.1歳, 平均透析期間は46.4月で, 糖尿病性腎症が原疾患の患者は23例であった. 【結果】沈渣で白血球数が5/HPF以上の膿尿患者は20例 (37.0%) で, 菌数が104×CFU/mL以上の細菌尿症例は19例 (35.2%) であった. 膿尿症例20例のうち, 細菌尿は9例 (45.0%) で認められた. 膿尿のある患者と膿尿のない患者における細菌尿の陽性率に差は認められなかった (p=0.256). 38例で52菌種が分離された. Staphylococcus属が12例 (23.0%) と最多で, Streptococcus agalactiaeEnterococcus faecalisが8例 (15.4%), Escherichia coliは5例 (9.6%) であった. また, 多剤耐性菌は認められなかった. 【結語】透析患者の尿路感染症に対しては, これらの所見を参考にして, 治療方針を考慮するべきであると考えられた.
症例報告
  • 樋口 輝美, 堀田 直, 石川 由美子, 山道 慎也, 會所 拓斗, 二階堂 杏子, 瀬戸口 晴美, 山崎 俊男, 大川 恵里奈, 安藤 英 ...
    2015 年 48 巻 8 号 p. 477-482
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/28
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性. 糖尿病性腎症による末期腎不全にて血液透析を導入された. 心エコー検査で, EFは48.9%で, E/e’も19.5と収縮障害と拡張障害を認め, LVMIも151g/m2と左室肥大を認めた. ESAsはrHuEPOを9,000単位/週を使用し, ERIはrHuEPO doses/kg/g/dL/週として算出し, 13.5と比較的高値を認め, レボカルニチン1,200mg/日で内服療法を開始した. 開始前と1年後の経過で, EFは48.9%から72.7%, LVMIも151g/m2から107g/m2, NT-proBNPは12,800pg/mLから7,850pg/mLへと改善した. 内服開始前の使用rHuEPOは9,000単位/週で, 開始前のERIは13.5と高値であったが, rHuEPOは3,000単位/週に減量し, ERIは3.9まで低下した. 動脈硬化症の指標のbaPWVは1,832cm/secから1,545cm/secと改善した. また上腕筋面積は, 32.9cm2から39.3cm2に上昇し, ALT, ASTは12U/L, 14U/Lで, それぞれ9U/Lと軽度低下した. レボカルニチンの投与により, 種々のパラメーターが改善した症例を経験したので報告する.
  • 加藤 大貴, 松本 力哉, 水野 卓爾, 深澤 洋敬, 古谷 隆一
    2015 年 48 巻 8 号 p. 483-486
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/28
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性. 多発性囊胞腎, 血液透析中で61歳時に他院で両側腎動脈塞栓術を施行された. その後, 肝腎囊胞感染を繰り返し抗菌療法で軽快した. 今回発熱, 腹痛, 意識障害で当院に初診. 囊胞感染による敗血症を疑ったが, 腹部造影CTで明らかな感染源を特定できなかった. MRI拡散強調画像 (diffusion weighted image : DWI) で高信号, apparent diffusion coefficient map (ADC map) で低信号を呈する囊胞が両側腎に複数認められ, これらが感染源と考えられた. ニューキノロン系抗菌薬投与を行ったが反応は不良で, 第7病日に両側腎摘除術を施行した. 術後速やかに炎症反応は軽快した.
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