透析患者の長期生存に重要な要因を検討することを目的とし, 当院の透析期間21年以上の長期透析患者25名 (男性14, 女性11) の栄養評価指標について, 透析期間20年以下の患者83名 (男性58, 女性25) と比較するとともに, その経年変化をカルテより後方視的に調査した. また, 長期透析患者の現在の食事摂取量を評価した. 血清アルブミン, %クレアチニン産生速度, 体脂肪・骨格筋割合, 血清尿素窒素, 標準化蛋白異化率, 血清リン, 血清カリウムについては, 長期透析患者と透析期間20年以下の患者と差がなかった. 長期透析患者のBody Mass Index (BMI) は20.1 [17.7~21.7] kg/m
2で, やせ (BMI<18.5kg/m
2) の患者が40%を占めたが, 過去20年間一定に保たれていた. 体内筋肉量は過去20年間で低下したものの, 現在の食事摂取量は「慢性腎臓病の食事療法基準2014年版」に概ね相応していた. 血液透析導入後の長期生存には, BMIを一定に保ち栄養状態を悪化させないことが重要と考えられた.
抄録全体を表示