日本透析医学会雑誌
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49 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
委員会報告
総説
  • 松尾 武文, 鶴田 良成
    2016 年 49 巻 5 号 p. 323-330
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    透析治療におけるヘパリンの使用は必須である. また, 透析導入期のヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) の発症頻度は1%以上と高い. 欧米では, 4Tスコア法 (血小板減少, 減少タイミング, 血栓の合併の有無, HIT以外の原因がない, の4項目の点数化) による臨床診断, 酵素免疫測定法による血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体 (HIT抗体) のスクリーニング検査, そして14Cセロトニン放出試験 (SRA) によるHIT診断の確認のアルゴリズムが確立されている. わが国では, HIT抗体検査として2種類の化学発光免疫測定法と1種類のラテックス凝集法のHIT抗体検査が保険収載されているが, いずれの測定法も透析HITに対する診断有用性のエビデンスに乏しい. また, SRAを日常的に実施できないので, 透析HITの診断にはHIT抗体検査陽性イコールHITと, 陰性結果イコール非HITと速断せず, 4Tスコア法を活用し臨床情報を的確に把握の上で, HIT抗体検査を実施し, その結果から判断する.
症例報告
  • 仲村 聡子, 清水 納子, 河野 里佳, 井上 通𣳾, 矢内 充, 岩永 みずき, 岡崎 晋平, 三谷 知之, 内島 豊, 長谷川 元
    2016 年 49 巻 5 号 p. 331-336
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性. 31歳時血液透析導入. 2013年7月から下痢が出現し, 上行結腸に潰瘍を伴う全周性隆起型病変を認め, 生検では炎症細胞浸潤像であった. インターフェロンγ遊離試験が陽性であり腸結核の診断にて抗結核薬を開始するも効果がなくイレウスを併発し, 11月右半結腸切除術, 回腸瘻, 横行結腸粘液瘻造設術を施行した. 術後から低血圧, 高カリウム血症, 代謝性アシドーシスをきたし, アシドーシスは大量下痢によるものと考え, 重曹投与などにて改善したが高カリウム血症はイオン交換樹脂の投与にても持続した. 2014年11月回腸横行結腸吻合術施行後より血清カリウムは低下した. 回腸瘻閉鎖後速やかに高カリウム血症が補正されたことより, 高カリウム血症の原因は大腸からのカリウム排泄減少によると考えられ, 透析患者において腸管によるカリウム排泄の代償機構の重要性が再認識された.
  • 渡邉 廉也, 伊藤 建二, 多田 和弘, 打田 愛, 高橋 宏治, 浜内 亜希, 安野 哲彦, 安部 泰弘, 阿南 春分, 笹冨 佳江, 中 ...
    2016 年 49 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    30歳女性. 10年以上前に健診にて尿異常を指摘されたが放置していた. 2014年2月から眼瞼周囲の掻痒感があり, 5月に近医眼科を受診した. 点眼薬, 軟膏で加療したが改善せず, 内科疾患を疑われ5月下旬, 近医内科を受診した. その際に急性腎障害を疑われ当院に紹介され入院した. 精査の結果, 原疾患不明であるが末期腎不全の状態であり, 腹膜透析導入となった. 本症例は以前より月経不順があり, 約3年前の月経を最後に無月経が継続していた. 血液検査, 経直腸超音波にて, 多囊胞性卵巣症候群 (PCOS : polycystic ovary syndrome) と診断された. Kaufmann療法を行い, 消褪出血を認めた. 妊娠適齢期の腎不全患者の無月経は, 腎不全によるものだけではなく, 治療可能な産婦人科的疾患も念頭に考えなければならない.
  • 劉 和幸, 鹿野 勉, 西村 昌泰, 西岡 克章, 紀田 康雄
    2016 年 49 巻 5 号 p. 343-350
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    症例は維持血液透析を受けている84歳男性. 2011年2月頃から血清Ca値が次第に上昇し, 2011年10月には補正血清Ca値13.1mg/dLとなった. 痰や胃液から結核菌は検出されなかったが, FDG-PETで肺門・縦隔リンパ節に集積と腫脹を認め, QuantiFERON® TB-2G検査値が3.04IU/mLと高値であった. さらに1,25(OH)2D/i-PTH比が6.75pg/pgと高値であったため, 結核感染による高Ca血症を疑い, 抗結核薬による治療を開始した. 治療開始7か月後には補正血清Ca 8.7mg/dLに, 1,25(OH)2D/i-PTH比は0.04pg/pgに低下し, 同部位のリンパ節腫脹は縮小した. 透析患者では一般に, ビタミンDの活性化障害による1,25(OH)2D低値と二次性副甲状腺機能亢進によるi-PTH高値のため, 1,25(OH)2D/i-PTH比は低値となるが, 結核などの肉芽腫性疾患では1,25(OH)2Dの腎外産生の亢進により, その比は上昇する. 1,25(OH)2D/i-PTH比は, 高Ca血症を伴う血液透析患者の結核の診断ならびに治療効果の指標として有用であった.
  • 鶴岡 歩, 井上 賀元, 三浦 拓郎, 河本 晃宏, 藤野 高久, 木下 千春, 神田 千秋
    2016 年 49 巻 5 号 p. 351-355
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    症例は26歳, 女性. 自殺目的に家庭用洗剤を約100mL服毒したが, 嘔気・気分不良が続き当院救急外来を受診した. 服毒した家庭用洗剤には17%の陰イオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤が含まれていた. 来院時, 気道および呼吸に異常を認めたため, まず気管挿管した後に胃洗浄および活性炭と下剤の投与を行った. 大量輸液を継続するも血中乳酸値は上昇し続け, 循環不全が進行しショック状態に至り, ノルアドレナリンを併用した. 活性炭カラムを用いた直接血液灌流 (direct hemoperfusion : DHP) を導入したところ, 速やかに血中乳酸値の低下を認め, ノルアドレナリンを終了することができた. 第3病日に抜管し, 第17病日に精神科医による専門加療目的に転院となった. 急性中毒患者に対する血液浄化療法の適応については意見の分かれるところであるが, 今回界面活性剤中毒に伴う循環不全の改善にDHPが寄与したと考えられた症例を経験したので報告する.
  • 水谷 佳子, 大山 翔也, 宮地 博子, 山本 義浩, 朝田 啓明
    2016 年 49 巻 5 号 p. 357-361
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    72歳男性, 腎硬化症による末期腎不全のためCAPDを施行していた. 導入15か月後に水様性下痢に続いてCAPD排液の混濁があり外来を受診. 排液白血球数増多を認めCAPD腹膜炎として抗生剤治療開始. 培養陰性で速やかに排液混濁が消失したため抗生剤投与は10日間で終了し退院とした. 退院当日に再度排液混濁を認め再びCAPD腹膜炎として入院. CAPD排液の培養からParacoccus yeeiが同定され, 薬剤感受性に従いCAZ 1gを21日間腹腔内投与した. 抗生剤終了後も排液混濁は認めず退院とした. Paracoccus yeeiはグラム陰性の球菌ないしは球桿菌で2003年に登録された新種である. CAPD腹膜炎の起炎菌としてはきわめてまれであるが, 菌種を同定し感受性のある薬剤を投与したことにより良好な結果を得ることができた.
  • 中村 裕紀, 佐藤 俊夫, 穴山 万理子, 牧野 靖, 田村 克彦, 長澤 正樹
    2016 年 49 巻 5 号 p. 363-367
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル フリー
    89歳女性. 201X年12月, 急性腎盂腎炎, 敗血症性ショックのため当院紹介. 同日より心房細動の合併に対しヘパリンを開始. 腎不全急性増悪のため右大腿静脈に透析用カテーテルを留置し翌日から血液透析を開始した. 第3病日, カテーテル脱血不良のため右内頸静脈に再留置. 第4病日, カテーテル閉塞. 第11病日, 下肢血栓症のため下大静脈フィルターを留置. 血小板は13.4万/μLから6.1万/μLへ低下した. 経過よりⅡ型ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) を疑い, ヘパリンを中止しアルガトロバンを開始した. しかし, バスキュラーアクセスの確保が困難となり, 第25病日, 腹膜透析へ移行した. 抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体は1.3U/mLで陽性. ヘパリン開始後4日以内の血栓傾向や血小板減少は, 非典型的であり, 急速発症型または特発性の可能性について検討する必要がある.
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