日本透析医学会雑誌
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50 巻, 11 号
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特集:腹膜透析(PD)の未来
  • 横井 秀基
    2017 年 50 巻 11 号 p. 673-676
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    本邦における透析患者数は増加の一途をたどっているが, 腹膜透析 (PD) 患者数は約20年間1万人弱に留まっている. しかしながら, 世界的にはPD患者数は増加傾向であり, 特に中国やメキシコでの患者増加数が著しい. 世界各国とは血液透析 (HD) 施設へのアクセスや医療経済政策制度の違いなどがあり一概に比較はできないが, PD医療において腹膜透析液やデバイスは進歩しており, 20年前と同一ではない. また, PDにおいては, 臨床研究が患者数の少なさより十分に行われていなかったが, 近年多数例の臨床研究が報告されるようになり新しいエビデンスが創出され, 本邦の腹膜透析ガイドラインも整備されてきた. 基礎研究では, 新しい透析液における腹膜中皮細胞障害性の軽減機序や腹膜線維症モデルマウスの障害機序が解明されてきた. これら透析液の進歩により現在の被囊性腹膜硬化症 (encapsulating peritoneal sclerosis: EPS) の病態は以前のものと異なってきている. PD患者の病態を十分把握しメリットを最大限享受することは, 透析医療の将来展望として必要である. 現在においても, PD+HDハイブリッド療法は増加しており, HDとPDはお互いに独立した医療ではなく, オーバーラップしつつ患者に最大限の利便性を提供している. PD治療を医師のみが推進することでは, 在宅医療・自己管理に基づく透析医療は成り立たず, 患者ケアならびに食事療法が求められる. 本特集では, 以前より着実に進歩しているPD療法を実感すべく, それぞれの専門家にご執筆いただき, 現在のPD療法を総括しつつPDの未来展望に焦点を当てていく.

  • 平松 信
    2017 年 50 巻 11 号 p. 677-683
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    わが国において連続携行式腹膜灌流 (CAPD) は1980年より導入され, 1984年健康保険適用となり本格的普及が始まったが, その後の頻回の診療報酬の改定にもかかわらず, 腹膜透析 (PD) の普及率は3%未満と低迷している. 2002年高齢者腹膜透析研究会が設立され, 高齢者に対するPD療法への認識が高まった. 2009年版日本透析医学会 「腹膜透析ガイドライン」 が作成され, PD療法の基本的な位置づけを, 慢性腎臓病 (CKD) ステージ5に対する包括的腎代替療法の初期治療であるとした. 2012年よりPDとHDの併用療法が診療報酬で認められるようになり, PD療法患者の約20%が併用療法となっている. 限りある医療財源の中で透析医療費の増大が問題となっていることから, 医療経済的な面から透析医療を評価することが求められている. 高齢者, とくに後期・超高齢者におけるPD療法は, 必要最小量の透析で余生を自然に過ごせることから, 最初に導入を考慮されるべき療法である.

  • 多和田 光洋, 鈴木 康弘, 水野 正司, 伊藤 恭彦
    2017 年 50 巻 11 号 p. 685-691
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー
  • 田村 雅仁, 久間 昭寛, 宮本 哲
    2017 年 50 巻 11 号 p. 693-698
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    腹膜透析では透析期間が長期になると腹膜劣化が生じる懸念がある. この原因として, 透析液中に含まれている高濃度のブドウ糖やブドウ糖分解産物 (glucose degradation products: GDPs), 乳酸などの非生理的成分の影響が考えられている. 近年, 透析液の生体適合性を改善させた新しい透析液が開発・臨床使用されるようになった. その一つがブドウ糖の代わりにイコデキストリン (icodextrin) を浸透圧物質として使用した透析液である. GDPs濃度を減少させた乳酸中性透析液も発売され, 本邦における被囊性腹膜硬化症 (encapsulating peritoneal sclerosis: EPS) の発症が減少した. さらに生理的濃度の重炭酸と低濃度の乳酸を緩衝剤として使用した新しい中性透析液も発売された. 同じ中性透析液であっても重炭酸透析液では乳酸透析液よりも腹膜中皮細胞への障害性が低減化されていることが基礎研究で明らかにされてきている. 今後, 重炭酸中性透析液の有用性を臨床で確認していく必要がある.

  • 大矢 昌樹, 重松 隆
    2017 年 50 巻 11 号 p. 699-703
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー
  • 丹野 有道
    2017 年 50 巻 11 号 p. 705-709
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    腹膜透析 (PD) 症例において, 経年的に腹膜機能あるいは残存腎機能が低下した際に, 直接血液透析 (HD) に移行するのではなく, 週5~6日のPDに通常週1回のHDを併用する, PD+HD併用療法が選択されることがある. 本治療法は1990年代に日本で導入され, 現在では, 本邦の全PD患者の約2割が併用療法をうけている. 本邦における併用療法は, 週5~6日のPDに週1回4時間程度のHDを行い, HDは生体適合性のよい高性能膜を使用し, 血流・透析膜面積は最大限とする方法が主流である. PD導入早期からの併用も試みられているが, 多くの例では廃絶した残存腎機能を補うという目的で, 溶質除去不全 (特に中分子尿毒素) ・貧血・体液過剰を指標として開始され, これらの改善効果が報告されている. また, 腹膜傷害の低減効果が期待されているが, 今後の検証が必要である. 一方で, PD期間が長期になることでの腹膜劣化, 被囊性腹膜硬化症などへの懸念があり, 適切な継続期間や中止基準の確立が望まれる. これに加え, 併用療法のエビデンス確立のためには, 併用の方法・開始時期・合併症の罹患率・生命予後・QOL・医療経済への影響などに関して, 今後の検証が期待される.

  • 濱田 千江子
    2017 年 50 巻 11 号 p. 711-717
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー
  • 石川 弘子
    2017 年 50 巻 11 号 p. 719-723
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー
  • 田村 智子
    2017 年 50 巻 11 号 p. 725-729
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー
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