日本透析医学会雑誌
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50 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
第61回日本透析医学会学術集会・総会ワークショップより
原著
  • 有坂 安弘, 下山 正博, 石川 まゆ子, 小山田 諒, 藤原 信里, 齋藤 貴規, 河邉 篤彦, 杉山 拓史, 上野 明日香, 上間 貴子 ...
    2017 年 50 巻 3 号 p. 191-195
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    【目的】バックアップオンライン返血機能を搭載したニプロ社製透析用患者監視装置NCV-3の利便性を通常の手動での生理食塩水を用いた返血と比較検討した. 【方法】試験デザインはクロスオーバー法を採用した. NCV-3のオンライン返血と生理食塩水を用いた手動返血を, 透析部臨床工学技士スタッフ4名がそれぞれ8回ずつ独力でシミュレーションし, 返血開始から終了までの時間を計測した. 【結果】バックアップオンライン自動返血の所要時間は個人差がなく, 初回222.0±5.0秒であり, 手動返血にかかる時間 (344.0±14.1秒, p=0.0005) と比較して有意に短かった. 手動返血では実施回数を重ねるにつれ全員の所要時間は徐々に短縮し8回目の所要時間は236.5±9.6秒となり, 自動返血とほぼ互角となった. 【結論】バックアップオンライン自動返血は, 人手をかけず緊急時の返血業務を素早く行うことができる.

症例報告
  • 竹内 茂, 大塚 恭弘, 林 高志, 永野 伸郎, 安藤 哲郎, 小林 充
    2017 年 50 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    透析時血管痛は局所冷却や加温などで対応されるが, 不十分なケースも多い. 透析時血管痛を呈する3症例に対し, マイクロコーン (ソマレゾン®) を用いた耳介治療を行った. 症例1は80歳代, 女性. 透析時のシャント肢の右肩血管痛に対し同側の耳穴 (SF-4) を治療し, visual analogue scale (VAS) が74→0となった. 症例2は50歳代, 女性. 透析時のシャント肢前腕痛に対し同側の耳穴 (SF-2) を治療し, VASが34→6に減じた. 症例3は80歳代, 女性. 透析中の頸静脈長期留置カテーテル留置側の上腕血管痛に対し同側の耳穴 (SF-4) を治療し, VASが78→0となった. いずれも痛みが出現する前に耳介治療を行い, 治療開始日より著効が得られた. 同様の治療を透析ごとに行うことにより, その後の痛みが予防できた. マイクロコーンによる加療は穿刺を必要としない簡便な治療法のため, 透析時血管痛に対する本治療の有効性が広く確認できれば, 今後普及する可能性がある.

  • 渡辺 隆太, 伊勢田 徳宏, 関川 孝司, 稲田 浩二, 浅井 聖史, 西田 智保
    2017 年 50 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    症例は69歳女性. 慢性糸球体腎炎を原疾患とする末期腎不全にて, 53歳から当院で維持透析中である. 透析導入16年目に血尿を契機に膀胱癌が発見され, 経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TURBT) を施行した. 以後, 単純CT, 膀胱ファイバー, 洗浄細胞診で経過観察していたが, 約3年後に定期の単純CT検査で右腎癌が疑われ, 後腹膜鏡下右腎摘出術を施行した. 病理結果は右腎盂癌の診断だった. 退院後1か月目の単純CTで左尿管癌が疑われ, 後腹膜鏡下左腎尿管摘出術+膀胱全摘術+残存右尿管摘出術を施行した. 約1年後, 小腸脱に対して膣閉鎖術を施行したが, 転移・再発等なく経過している. 透析患者は乏尿などのため尿路上皮癌の診断が困難なことが多く, 発見が遅れる傾向にある. 透析患者には腎癌・膀胱癌等の尿路悪性腫瘍の合併が多いことが知られているが, 腎盂尿管腫瘍の合併も疑う必要がある. 長期透析患者に発症した本病態につき, 若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 増古 紳太郎, 川嶋 聡子, 佐藤 由利子, 内田 裕子, 小澤 祐子, 國沢 恭平, 窪田 沙也花, 福岡 利仁, 軽部 美穂, 駒形 嘉 ...
    2017 年 50 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    83歳女性. 4年前よりレイノー現象を自覚. 1か月前より失神の出没があり, 当院循環器内科へ入院. 高血圧, 心囊液・両側胸水貯留, 急性腎障害, 貧血を認め, 当科で精査. 皮膚硬化を欠いたが, レイノー現象, 爪上皮延長, 指腹毛細血管拡張, 抗核抗体, 抗セントロメア抗体, 抗RNAポリメラーゼⅢ抗体を認め, 皮膚硬化を欠く限局型強皮症 (sine scleroderma) と診断した. 眼底所見でKeith-WagenerⅢ度, 破砕赤血球を伴う溶血性貧血, 血小板減少, レニン・アルドステロン高値を認め, 高血圧性強皮症腎クリーゼと診断した. Ca拮抗薬, ACE阻害薬で降圧は得られたが腎不全は改善せず, 維持血液透析導入となった. 高血圧性強皮症腎クリーゼの危険因子として, びまん性皮膚硬化型や皮膚病変の急速進行例が知られているが, 本例ではそれらの所見を欠いた強皮症腎クリーゼであり, 貴重な症例と考え文献的考察を合わせ報告する.

  • 石田 良
    2017 年 50 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    近年, 非侵襲的心拍出量モニターは血液透析中の血行動態評価などさまざまな状況で汎用されているが, バスキュラーアクセス造設前後での血行動態を評価した報告はない. 今回, 肘部にて造設した2症例について, 造設前後での血行動態の変化を同モニターにて評価した. 症例1は84歳女性. 造設直後より全身血管抵抗の低下と一回拍出量の増加を認めた. 症例2は91歳男性. 造設後も一回拍出量や全身血管抵抗等に著変を認めず, スティール症候群や血清腫を認めた. バスキュラーアクセスの造設は, 動静脈瘻による血管抵抗の低下やシャント血流に伴う一回拍出量の増加, 血管壁のストレスと血管径の関係性の変化, またそれに伴う脈波伝播の変化等が血行動態に影響を与えるとされる. 異なる臨床経過をたどった2症例の検討から, 造設前後の血行動態の評価に同モニターは有用であると思われた. 少数例での検討であり今後さらなる症例の集積が必要である.

  • 砂田 富美子, 岩津 好隆, 中村 理, 斉藤 修, 長田 太助
    2017 年 50 巻 3 号 p. 219-224
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    症例は糖尿病性腎症による慢性腎不全にて維持血液透析を施行している68歳女性. 定期的に施行している胸部X線検査にて, 右下肺野に腫瘤像を認め, 気管支鏡やCTの結果, 小細胞肺癌限局型と診断した. カルボプラチンとエトポシドを用いた同時化学放射線療法を開始した. 化学療法を4コース行ったが, 通院の問題で放射線療法は中断となった. 重篤な副作用はなく, 速やかに原発巣は消失し, 以後16か月原発巣の消失が継続している.

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