日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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50 巻, 8 号
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症例報告
  • 佐野 博之, 北川 裕貴, 本庄 克代, 実広 純子, 松本 三起子, 竹下 幸世美, 川畑 智子, 増田 裕紀子, 高見 奈加, 杉原 由 ...
    2017 年 50 巻 8 号 p. 519-526
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー

    透析中におこる血圧低下や下肢筋の硬直対策として, 今日まで, さまざまな工夫がなされてきたが, 頻度は減少していないといわれている. われわれは, 透析前半の急速な溶質除去を抑制することで, 透析中の血圧低下や下肢筋の硬直を予防できるのではないかと考え透析条件の見直しを行った. 結果, 透析中の処置回数の激減と生命予後の指標が上昇したので報告する. 【症例】81歳女性, 透析歴21か月で血圧低下や下肢筋の硬直を頻回に起こす症例である. 【方法】溶質除去を抑えるため, 透析条件はQD 200mL/min, QBは透析開始から漸増する設定 (低効率透析) とし, 血圧低下と下肢筋の硬直の発生頻度と生命予後の指標である, 血清アルブミン, %CGR, BMIについて検討した. 【結果】血圧低下に付随する処置回数は通常透析時, 下肢筋の硬直17回, 除水量の減量19回であったが, 低効率透析に変更後はそれぞれ1回と激減した. 生命予後の指標は, 血清アルブミン値, %CGR, BMIすべて上昇した.

  • 山本 康隆, 和田 幸寛, 冨田 瑛子, 林 純一, 齋藤 友広, 井芹 健, 井上 隆, 柴田 孝則
    2017 年 50 巻 8 号 p. 527-534
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー

    症例は82歳女性. 20代にアスベスト (石綿) の曝露歴がある. 50代に糖尿病を発症し, 糖尿病性腎症と腎硬化症による慢性腎臓病 (CKD) と陳旧性心筋梗塞, 石綿関連疾患 (ARD) で近医に通院していた. 今回, 食欲不振と呼吸困難で当科受診し, 低酸素血症とCKD増悪で緊急入院となった. 入院時, 肺塞栓症はなく, 心エコーでは心収縮能正常も肺高血圧症 (PH) と心負荷所見がみられ, 胸部CTでは両側胸膜に肥厚と石灰化を認めた. 透析で除水し, ベラプロストも開始したが, 呼吸不全は持続し, 肺炎と心筋梗塞, 脳梗塞を発症して, 第33病日に死亡した. 剖検では肺実質に線維化や石綿小体を認めなかったが, 壁側胸膜斑が散在し, 肺動脈の中膜肥厚が顕著であった. 過去にPHだけでなくARDも合併した腎不全患者の報告はなく, 本例の難治性PHの成因に心疾患や腎不全だけでなく, 石綿曝露歴も一部関与した可能性があり, 貴重な症例として報告する.

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