日本透析医学会雑誌
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50 巻 , 9 号
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原著
  • 吉野 秀章, 山下 万紀子, 渡部 さゆり, 小嶺 真耶, 矢野 未来, 川口 利江, 川口 唯, 江藤 りか, 佐々木 修, 一ノ瀬 浩, ...
    2017 年 50 巻 9 号 p. 535-540
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    維持透析患者は他疾患に比べ, 総服薬数が多数となる傾向にあるが, 患者服薬状況についての報告は少ない. 今回われわれは, 外来血液透析患者のうち, 服薬を自己管理している172名に対し定時薬の服薬遵守率 (以下, 服薬率) や飲み忘れの有無, 服薬の自己調節の有無を聞き取り調査した. 同時に, 医療スタッフ (看護師・臨床工学技士) が予測する服薬率を薬剤別に調査し, 患者の服薬率と比較した. その結果, すべての薬剤において患者の服薬率が医療スタッフの予測を上回る結果となった. このことは服薬遵守に関する情報と意思共有が, 患者と医療スタッフで十分になされておらず, 医療スタッフが先入観を抱いている可能性がある. 今後は医療スタッフ自身の薬剤に対する知識の充実, また患者の服薬状況を客観的に評価する姿勢が求められる. 加えて, 定期的な服薬率調査は質のよい服薬アドヒアランスに繋がる可能性が示された.

  • 小見 理恵子, 石岡 邦啓, 持田 泰寛, 真栄里 恭子, 守矢 英和, 日高 寿美, 大竹 剛靖, 小林 修三
    2017 年 50 巻 9 号 p. 541-545
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    【目的】CGM (continuous glucose monitoring) を用いて血液透析患者の血糖指標を測定し, 従来の血糖管理指標と比較検討した. 【方法】入院維持血液透析患者16名にCGMを施行し, 血糖指標である平均血糖値, 血糖のばらつき (標準偏差, FL), 180mg/dL以上の高血糖面積 (AUCG>180) と, GA (グリコアルブミン), HbA1c, 透析前血糖値との関連性を検討した. 【結果】平均血糖値はGAおよび透析前血糖値と有意な正相関を認めた (p<0.01). FLは透析日で透析前血糖値と有意な正の相関を (p=0.022), 非透析日でGA (p<0.01) および透析前血糖値 (p=0.021) と有意な正相関を認めた. AUCG>180はGAおよび透析前血糖値と有意な正相関を認めた (p<0.01). 平均血糖値, FL, AUCG>180とHbA1cとはいずれも相関を認めなかった. 透析前血糖値はGAと強い相関を示したがHbA1cとは有意な相関は認めなかった. 【結語】GAと透析前血糖値は, 平均血糖値・血糖変動・高血糖と密接な関連を示し, 透析患者の血糖管理指標として有用である.

  • 北林 紘, 高橋 睦美, 本間 健太, 池田 良, 中野 達也, 小林 高子, 石井 雄士
    2017 年 50 巻 9 号 p. 547-553
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    血液透析 (HD) 患者の低Alb血症に対する舌訓練の有効性を検討した. 舌圧が健常人の平均値と比較して100%未満かつAlb 3.8g/dL未満のHD患者を対象に, トレーニング器具 (ペコぱんだ®) を用いて5回3セット/回を1日3回, 週3回以上の舌訓練を指示して2か月間追跡した. 18名中, 指示を遵守できたのは12名 (男性8名, 女性4名, 72.3±10.5歳) であった. 訓練開始前後, 舌圧 (前: 22.5±6.9kPa vs. 後: 33.1±6.8kPa, p<0.01), Alb (3.58±0.20g/dL vs. 3.73±0.29g/dL, p<0.05) に有意な差を認めた. また, 舌圧変化量とCRP変化量において有意な負の相関 (r=−0.581, p<0.05) を認めた. 本研究では, 炎症反応の低下とともにAlbと舌圧の上昇を認めた.

症例報告
  • 猪俣 美穂, 福元 まゆみ, 曽我部 篤史, 内田 義男, 梅原 藤雄, 徳永 公紀, 井戸 章雄
    2017 年 50 巻 9 号 p. 555-559
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    症例は80歳代女性. 湿性咳嗽および食欲不振を認め, 近医にて抗生剤治療されるも, 食欲不振が持続し, 第5病日頃から吃逆および嘔気が増悪し, 当院消化器内科に入院となった. 柿蒂湯内服後吃逆は消失し自宅退院となった. 退院1週間後, 急に視覚異常出現・光覚喪失し緊急入院となった. 意識清明, 両眼とも光覚喪失, 対光反射消失, ほかの神経学的異常は認めなかった. 頭部MRI検査で両側視神経の腫大およびGd造影効果を認め, 嘔吐および難治性吃逆を前駆症状とした急激な視力低下という一連の経過より, 視神経脊髄炎を疑い, メチルプレドニゾロンパルス療法を施行した. 視力回復が乏しく, 血漿交換療法 (plasma exchange therapy: PE) 6回施行後, 視力は徐々に改善した. その後血清抗アクアポリン4抗体陽性が判明し, 視神経脊髄炎関連疾患 (neuromyelitis optica spectrum disorder: NMOSD) と診断した. NMOSDは不可逆的な経過を呈することがあり, ステロイド治療抵抗性の症例には早期のPEが効果的であると考えられた.

  • 栗栖 弘明, 池田 英夫, 是永 秀樹, 大脇 為常, 花木 祥二朗
    2017 年 50 巻 9 号 p. 561-565
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    症例は61歳の女性. 慢性腎不全にて近医にて血液透析を受けていたが発熱, 血圧低下および意識レベルの低下を認め当院救急外来に搬送された. 腹部CT検査にて膀胱周囲にfree airを認め, 下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い同日緊急手術を施行した. 術中, 消化管には異常を認めず, 膀胱頂部が黒色に変化し穿孔していた. 壊死した膀胱壁の部分切除術を施行した. 術後創感染や膀胱の縫合不全を認めたが保存的治療にて改善した. 壊死性膀胱炎による膀胱破裂は非常にまれな病態であり, 動脈硬化や透析中の血圧低下, 神経因性膀胱による膀胱壁の過伸展, 糖尿病や透析患者の易感染性や難治性の慢性尿路感染などが発症の要因になったものと思われた.

  • 高 桂華, 鈴木 訓之, 野垣 文昭, 恵 謙, 木村 博子, 植村 祐一, 福澤 重樹
    2017 年 50 巻 9 号 p. 567-571
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    症例は糖尿病腎症を原疾患とする腹膜透析の66歳男性. 2型糖尿病, 糖尿病腎症で65歳より腹膜透析導入. 腹膜透析導入3か月後発熱, 寒気, 嘔気, 嘔吐で受診. CTで両側腎盂内にガス貯留を認め, 両側気腫性腎盂腎炎 (emphysematous pyelonephritis: EPN) の診断にて入院加療. 血圧低下, 敗血症性ショックであり抗菌薬で加療したが, 改善は認めず, 両側腎盂に尿管カテーテルを留置し, エンドトキシン吸着 (polymyxin B-immobilized fiber column hemoperfusion: PMX-DHP) 療法を併用. 炎症反応が一時的に改善したが, 腹膜透析腹膜炎, バスキュラーアクセスカテーテル (vascular access catheter: VAC) のMRS感染を発症し, 腹腔内洗浄に変更し, 持続的血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration: CHDF) を開始. その後寛解, 増悪を繰り返すも次第に炎症反応が改善し, CTで両側腎盂内ガスが減少し, 尿管カテーテルを抜去. 経過良好であり退院. PMX-DHP, CHDF, 尿管カテーテル留置など集学的治療の重要性が示唆された症例として報告する.

  • 前川 道隆, 渡邉 絢史, 野村 理恵, 山川 大志
    2017 年 50 巻 9 号 p. 573-579
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    症例は67歳男性. アルコール性肝硬変に合併したIgA腎症に対しステロイド治療中に連鎖球菌菌血症を発症. 慢性腎不全が増悪し血液透析を導入. 透析導入前に末梢カテーテルフラッシュのためヘパリン (100単位/日) が4週間使用されていた. 透析時の抗凝固薬に未分画ヘパリンが使用されたが, 血小板減少を伴い, 初回から回路内凝血を反復. 抗血小板第4因子/ヘパリン複合体IgG抗体・機能性試験がともに陽性で, 急速発症型ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) と診断された. 肝硬変ではアルガトロバンの代謝が遅延するが, 本例ではアルガトロバン7.5mgを透析開始時のみ投与して4時間の血液透析を行った. 明らかな動静脈血栓症はなく, 出血リスクを考慮して透析時以外にアルガトロバンの持続投与は行わなかった. 末期腎不全患者では透析導入前にヘパリンへの曝露があることも多く, 透析導入期に血小板減少を伴う回路凝血を反復する症例では早期にHITを想起すべきである.

  • 横井 靖二, 髙橋 直生, 横井 聡始, 西森 一久, 小林 麻美子, 西川 雄大, 森田 紗由, 森川 幸恵, 福島 佐知子, 三上 大輔 ...
    2017 年 50 巻 9 号 p. 581-586
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/28
    ジャーナル フリー

    45歳女性. 見当識障害を主訴に当院を受診した. 38歳時にGitelman症候群と診断されている. 38歳時はCr 1.68mg/dLであったが徐々に腎機能が悪化し, 入院時はCr 5.59mg/dLに上昇していた. 入院後, 意識レベルが低下し, 全身痙攣も出現したため, CHDFを開始した. CHDF後に意識レベルがすみやかに改善したことから, 腎不全による代謝性脳症と診断した. 血圧低値であり, 就労継続も考慮し, 腹膜透析を導入した. また, 38歳時よりCTで両側腎に囊胞を認め, 年々, 囊胞数, 腎容積とも増大した. これまでGitelman症候群に腎囊胞が多発したとする報告はなく, 本症例はGitelman症候群に囊胞性腎疾患を合併した最初の報告である. 腎障害, 囊胞形成に関して低K血症の関与が疑われた.

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