日本透析医学会雑誌
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51 巻 , 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
委員会報告
  • 吉藤 歩, 竜崎 崇和, 伊藤 恭彦, 大曲 貴夫, 菅野 義彦, 篠田 俊雄, 高野 八百子, 塚本 功, 洞 和彦, 中澤 靖, 長谷川 ...
    2018 年 51 巻 10 号 p. 577-584
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    2016年8月の新聞記事にて, 人工透析が必要なヒト免疫不全ウイルス (HIV) 感染者が約40の医療機関から透析を拒否されたことが報道された. 日本透析医学会感染調査小委員会ではこの実態を調査するため, アンケート調査を行った. 4,039施設に送付し, 2,583施設 (64.0%) から回答を得た. 過去5年間にHIV感染者の透析受け入れの要請があった施設は215施設 (8.3%) で, そのうち受け入れを 「断った」 施設が40.1%存在した. 受け入れた施設の96.6%で針刺し事故マニュアルが存在したが, 抗HIV薬の院内常備がない施設は51.1%, HIV拠点病院との連携は59.6%にとどまった. 受け入れを 「断る」 理由として, HIV感染者の診察経験の欠如, スタッフのHIV感染リスクについての不安, 針刺し事故に対する常備薬の不足, HIV拠点病院との連携の欠如などがあげられた. 今後のHIV感染者の受け入れ予定施設は全回答施設中の16.9%と低かった. 今後, 日本透析医学会は, 他学会と連携を強化し, HIVに対する基礎知識や感染対策の普及をはかり, HIV感染者の維持透析受け入れ体制の整備を進めていく必要がある.

原著
  • 瀧本 さち, 開 正宏, 石川 英昭, 市田 静憲
    2018 年 51 巻 10 号 p. 585-590
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    新たな非カフ型カテーテルの導入を機に, 脱血不良の頻度および留置成績を従来品と比較した. 2015年1月から2016年2月までに使用されたカテーテル148本を対象に, 脱血不良の発生頻度を後ろ向きに検討した. 脱血不良発生をカテーテルの逆接続実施と定義し, 従来品をA群, 新規導入品をB群とした. 患者背景のうち留置部位ではA群で内頸静脈留置が有意に多かった (p=0.004). 脱血不良は全体で29.7%発生しており, 群間別ではA群37.6%, B群19.0%とB群で有意に低く (p=0.014), 留置部位別では大腿静脈留置においてB群で有意に脱血不良が少なかった (p=0.005). 留置期間に有意差は認めず (p=0.904), トラブルによるカテーテル交換はB群で有意に少なかった (p=0.024). 新規導入したカテーテルは従来品に比し有意に脱血不良が少なく, 特に大腿静脈留置時において有効であることが示唆された.

  • 近土 真由美, 内野 順司, 村上 淳, 星野 武俊, 山下 芳久, 楢村 友隆, 芝本 隆
    2018 年 51 巻 10 号 p. 591-598
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    透析液清浄化は透析医療の安全性を担保する手段の1つである. 透析液中のエンドトキシン (ET) は強力かつ広範囲な生理活性を有することから, 安全管理を行ううえで重要な指標となる. そこで, 生物発光技術を応用して新たに開発されたET測定法について, 多施設で共通プロトコールを用い, 測定精度および真度の評価を行った. 評価は日本HDF研究会作成のバリデーション指針に準じて, 検量線の有効性, ブランク試験, 反応干渉因子試験, 検出限界, 透析液定量限界について共通プロトコールを作成し, 6施設で実施した. 多施設にて評価した結果, ET測定での手技確認, 試薬のバリデーションは, 日本HDF研究会作成のバリデーションに要求される事項を満たした. さらに, 高感度かつ迅速測定を可能とし, 透析液生物学的汚染管理に生物発光法によるET測定の有用性が確認された.

  • 木村 眞規子, 渭原 克仁, 井上 佑一, 大橋 敦希, 飯田 禎人, 田中 仁美, 渋谷 泰寛, 井下 聖司
    2018 年 51 巻 10 号 p. 599-605
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    潜在性結核感染症 (LTBI) 治療指針では透析患者に対してLTBIの診断と治療を推奨している. しかし, 透析患者に対してLTBIスクリーニングは, 広く行われているとはいい難い. 本邦における透析導入期のLTBIに関する報告は少ない. そこで, 血液透析導入期にLTBIスクリーニングを行い, LTBI罹患率や患者集団の特徴を検討した. 151名の血液透析導入患者に対し, インターフェロンγ遊離試験を用いてLTBIのスクリーニングを行った. LTBIと診断したものは27名で罹患率17.9%であった. LTBIでは喫煙者が有意に多かったが, 他の患者背景や血液検査データにおいてLTBIに特徴的な所見は認められなかった. 血液透析導入期のLTBI罹患率は高く, 透析導入期にLTBIスクリーニング検査を行うことは重要であると考えられる.

  • 菅沼 信也, 阿部 達弥, 西澤 喬光, 正木 一郎
    2018 年 51 巻 10 号 p. 607-615
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    【目的】当院では代謝性アシドーシス補正効果の高いクエン酸含有無酢酸透析液を用いているが, 一部の患者でアシドーシス補正が十分でない. そこで, 血清重炭酸濃度上昇作用を有するリン吸着薬クエン酸第二鉄製剤 (FC) の影響を後ろ向きに調査した. 【対象と方法】当院通院外来維持透析患者で既存薬からFCに変更または追加した72名を対象に, FC投与開始前, 投与3か月後のCKD-MBD, 貧血指標と週中日の透析前血清重炭酸濃度を比較した. 【結果】透析前重炭酸濃度は, 全例ではFC投与後変化はなかったが, 22mEq/L未満の患者30例では有意に上昇した. FC投与に伴いFC由来の鉄が吸収され, TSAT 20%未満かつ血清フェリチン値100ng/mL未満の絶対的鉄欠乏の患者が著減し, ESA投与量が有意に減少した. 【結語】FCはリン吸着および鉄補充に伴う貧血改善作用に加え代謝性アシドーシス補正作用を有し, 特に異所性石灰化等のリスクとなる代謝性アシドーシス患者において有用なリン吸着薬になり得る.

短報
  • 王 麗楊, 用稲 栄, 寒川 昌平, 谷野 彰子, 山田 佐知子, 桑原 隆
    2018 年 51 巻 10 号 p. 617-620
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル 認証あり

    【目的】われわれはクロライドチャネル活性化下剤であるルビプロストンの透析患者に対する血清電解質に及ぼす影響を検討した. 【対象と方法】従来の便秘薬では効果のない慢性便秘症の血液透析患者7名に本薬を追加投与し, 血清電解質の変化を8週間検討した. 【結果】全例で排便の改善を認めたが, 1名が嘔気のため2週後に, 2名が下痢のため4週後, 6週後に内服を中止した. 血中リン濃度 (mg/dL) は, 投与2週後には, 5.8±0.9から5.1±0.8 (n=7, p=0.034) へと低下し, 4週後には継続した6名中5名, 8週後には4名全例で投与前より低い値を維持した. 中止例はすべて中止後リン値が上昇した. 投与前後2週間では, 収縮期血圧は変化を認めなかったが, 投与前除水困難の症例を除く6例全例で除水量が減少した. 【結論】ルビプロストンは慢性便秘症の透析患者の高リン血症を改善した.

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