日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
51 巻 , 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:CKD-MBD
  • 金井 厳太, 深川 雅史
    2018 年 51 巻 11 号 p. 631-640
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    腎臓は副甲状腺ホルモン (parathyroid hormone: PTH) や活性型ビタミンD, 線維芽細胞増殖因子23 (fibroblast growth factor 23: FGF23) といったミネラル調節因子の標的臓器である. 腎性骨異栄養症 (renal osteodystrophy: ROD) は, 腎不全患者における骨の病気として長らく認識されていた. 2002年に米国腎臓財団 (National Kidney Foundation) によって慢性腎臓病 (chronic kidney disease: CKD) の概念が提唱され, 心血管疾患をはじめとする生命予後と腎予後の結びつきが強く意識されるようになった. このような流れの中で, 骨ミネラル代謝においてもハードアウトカムを中心とした考え方が進み, 2005年のKDIGO (Kidney Disease Improving Global Outcomes) マドリード会議でCKD-MBD (chronic kidney disease-mineral and bone disorder) という呼称のもとに新たな概念が提唱された. これにより, これまでの骨病変を中心とした疾患概念に基づく治療から, CKDの考え方と同様に, 心血管疾患をはじめとする生命予後, さらには骨折を含むアウトカムをその中心として, 一連の現象を全身性の病態として捉えるといった試みが始まり, 今日まで臨床の現場におけるCKD-MBD治療の位置づけがなされていった.

  • 横山 啓太郎
    2018 年 51 巻 11 号 p. 641-648
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり
  • 山田 俊輔, 荒瀬 北斗, 鶴屋 和彦
    2018 年 51 巻 11 号 p. 649-655
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    CKD-MBDは, CKDの進展に伴って進行するミネラル骨代謝異常の総称で, 心血管合併症などを介して生命予後に悪影響を与える全身性疾患である. CKD-MBDの三大要素は検査値異常, 骨病変, 血管石灰化であるが, 近年のこの分野の精力的な研究成果により, その概念の包摂する範囲は益々広く深くなりつつある. 血管石灰化や心肥大, さらには栄養障害や貧血も考慮した管理が求められる時代になった. しかし, CKD-MBDの概念がいかに拡張されようとも, CKD-MBDの治療は, 血清カルシウム, リン, PTH値を目標範囲に適切に管理することに尽きる. リン吸着薬, ビタミンD受容体作動薬, そしてcalcimimeticsを駆使し, ガイドラインの推奨する管理目標範囲を達成すべきである. 本稿では, CKD-MBDの構成要素としての血清カルシウム, リン, PTHの管理方法, 関連する病態, そしてこの分野のエビデンスについて概説する.

  • 奥野 仙二, 稲葉 雅章
    2018 年 51 巻 11 号 p. 657-664
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    腎臓はマグネシウム (Mg) の代謝においても重要な役割を担っており, 慢性腎臓病 (CKD) において腎機能が低下してくると, Mg代謝異常が認められるようになる. このため, CKDに伴う骨・ミネラル代謝異常 (CKD-MBD) において, カルシウムやリンに加え, Mgも大きく関与しているものと考えられる. CKDにおいて, 血清Mgの上昇は, 副甲状腺ホルモンの産生や分泌を抑制する. また, 骨へのMgの蓄積が, 低回転骨の原因となる可能性がある. 一方, Mgが骨密度や骨折リスクと, 関係している可能性も指摘されている. 血管石灰化は, CKD患者において高頻度に認められ, 生命予後とも関連している. この血管石灰化は, 骨形成に類似した調節機序が存在するとされているが, Mgはこの血管石灰化を抑制する作用を有している. また, 血管石灰化とも関連するが, Mgは心血管疾患に対しても抑制的に作用している. さらに, MgはCKD患者の生命予後とも関連しており, 血清Mg濃度が低値であると生命予後は不良である.

  • 猪阪 善隆, 松井 功
    2018 年 51 巻 11 号 p. 665-669
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    CKD-MBDに関わる因子のうちで, 最も生命予後と関係の深い因子である, リンの調整系が判明したのは最近のことである. fibroblast growth factor 23 (FGF23) は骨細胞より分泌されるが, KlothoとFGF受容体の複合体に結合すると, 近位尿細管でのナトリウム-リン共輸送体 (NaPi-Ⅱ) の発現が抑制され, リンの再吸収が低下する. また, 活性型ビタミンD [1,25(OH)2D] 産生を抑制し, 腸管からのリン再吸収を抑制する. KlothoはCKDの早期から発現が低下し始めるが, 動物実験などから腎保護作用を有することが確かめられている. FGF23もCKD早期から上昇を認めるが, 透析患者のみならず, 保存期CKD患者の予後とも関係が深い. また, FGF23は予後予測因子というだけでなく, 予後不良因子として, FGF23自体が左室肥大をきたすことも指摘されており, そのメカニズムも解明されつつある. さらには, 肥大心自体もFGF23を産生することが判明している.

  • 新田 孝作
    2018 年 51 巻 11 号 p. 671-675
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    スクレロスチンは, 主に骨細胞から産生され, 骨芽細胞のWnt/βカテニンシグナルを阻害することにより, 骨形成を阻害するタンパク質である. CKDにおいて, 血中におけるスクレロスチンなどのWnt阻害因子の濃度が上昇しており, 無形成骨との関連性が指摘されている. 血中スクレロスチン濃度は, 年齢とともに上昇し, 女性より男性で高値を示し, リン負荷により産生が増加する. ビタミンDやカルシウムもスクレロスチン産生を促進し, CKD-MBDの病態にも関与していると考えられる. CKD-MBDの治療薬としての抗スクレロスチン抗体の適応に関しては, 慎重に判断する必要がある.

  • 風間 順一郎
    2018 年 51 巻 11 号 p. 677-680
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり
  • 溝渕 正英, 緒方 浩顕, 小岩 文彦
    2018 年 51 巻 11 号 p. 681-686
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    二次性副甲状腺機能亢進症 (secondary hyperparathyroidism: SHPT) はCKD-MBDの主要な病態である. 1980年から2000年代にかけてビタミンD製剤が精力的に開発され, 2000年以降にはカルシウム (Ca) 感知受容体作動薬 (calcimimetics) の開発が進められ, これらの薬剤はSHPT治療の中心的役割を担ってきた. これまで開発されたビタミンD製剤は, カルシトリオールと比較した場合に血中Caやリン (P) 濃度上昇を回避し副甲状腺ホルモン (PTH) を良好に抑制することは明確に示されていないものの, 保存期CKD患者には心血管保護効果の可能性が示されている. Calcimimeticsは近年開発が進められ, PTHとともにCaやPの低下作用も有していることから生命予後改善の可能性が示唆されている. こうした背景から現在はSHPTとともに生命予後改善の観点から治療法が選択されるようになりつつある. 今後は新規calcimimeticsの長期効果やビタミンD製剤との併用の有用性などについての検証が重要な課題となろう.

  • 大矢 昌樹, 重松 隆
    2018 年 51 巻 11 号 p. 687-691
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/28
    ジャーナル 認証あり

    慢性腎臓病 (chronic kidney disease: CKD) は骨病変を引き起こすだけでなく, ミネラル代謝異常や血管, 軟部組織の異所性石灰化を介して, 生命予後と関連する. そのために全身疾患として, 血清リン値の管理を最優先としたカルシウム値, 副甲状腺ホルモン値の管理がそれぞれ推奨されている. 近年透析患者におけるサルコペニア・フレイルが注目され, 筋力維持への介入が模索される中, 食事における蛋白質摂取量を, 高齢透析患者中心にいかに維持していくかが重要であると考えられ, 高リン血症は十分な透析効率のもとコントロールすることを基本とし, リン吸着薬は血清リン低下薬ではなく, 蛋白質摂取をある程度は許容する薬剤との発想を転換する時期にさしかかっているのかもしれない.

feedback
Top