日本透析医学会雑誌
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51 巻 , 5 号
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原著
  • 埴生 理加, 藤本 圭司, 池田 麻美, 飯田 恵美, 山口 由利子, 前多 一美, 横山 仁
    2018 年 51 巻 5 号 p. 299-304
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    【目的・方法】米国疾病予防管理センターは, 血管内留置カテーテル由来の感染予防を目的としてカテーテル挿入前およびドレッシング交換時には0.5%を超える濃度のクロルヘキシジングルコン酸塩含有アルコール製剤 (chlorhexidine alcohol solution: CH-AL) での皮膚消毒を強く推奨しているが, 本邦の血液透析用カテーテルにおけるエビデンスは確立されていない. 血液透析用カテーテル関連感染予防において, 1%CH-ALが10%ポピドンヨード (povidone iodine: PVP-I) よりも有効であるか123患者 (CH-AL群79患者, PVP-I群44患者) を対象に後ろ向きコホート研究にて検証した. 【結果】10%PVP-I群と比較し, 1%CH-AL群において血液透析用カテーテル関連感染症の発症割合 (p=0.033), カプランマイヤー法による累積感染発症率 (Log rank test, p=0.025) が抑制され, 多変量Cox回帰分析においても1%CH-ALが有意な感染発症率抑制因子であった (p=0.046). 【結語】血液透析用カテーテル関連感染症予防において1%CH-ALの有効性が示唆された.

  • 吉川 友恵, 増田 貴博, 菅生 太朗, 小林 玲子, 松岡 諒, 山田 恵子, 笠野 佳代子, 齋藤 修, 長田 太助
    2018 年 51 巻 5 号 p. 305-311
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    血液透析患者へのシャント血管マッサージ (マッサージ) は, 自己血管内シャントの長期保持目的などに用いられているが, 長期効果を検討した報告はない. 本研究は, シャント狭窄が疑われた透析患者9名に, 透析前に看護師によるマッサージを最長10か月施行し, エコーでシャント機能を評価した. 狭窄音を聴取した5名中4名はマッサージ後8週間までに狭窄音が消失した. 上腕動脈のシャント血流量は782±27mL/minから800±29mL/minに, 血管抵抗指数 (RI) は0.520±0.007から0.512±0.008に改善した. 経時的には3か月目のマッサージ直後の血流量・RIは, 開始時 (0か月) と同等であった. シャントへの経皮的血管形成術歴のある患者3名では, 施行間隔が147±40日から269±59日に延長した. 以上より, シャント血管マッサージは, 狭窄音改善およびシャント機能保持, 開存期間延長に有用である可能性がある.

  • 日ノ下 文彦, 勝木 俊, 照屋 勝治, 塩路 慎吾, 別府 寛子, 坂本 絵美, 赤木 祐一朗, 三谷 佑望, 多田 真奈美
    2018 年 51 巻 5 号 p. 313-319
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    厚労行政推進調査事業の一環として, 血液透析 (HD) に従事する医師や医療従事者にHIV感染症とHIV感染患者のHDのあり方を直接説明し理解を深めるための講演会を開催した. 講演会によりHIV感染症に対する理解度やHIV感染HD患者の受入れがどのように変化するか, 講演会の意義があるかどうかを総合的に評価するアンケートを会場で実施した. 90%以上の回答者はHIV感染症やHIV感染患者の血液透析について 「理解が深まった」 と回答したほか, 半数以上の回答者がHIV感染症の実態について 「思い違いをしていた」 と答え, HIV感染症の現状を誤解している事実が判明した. 受入れに否定的だった回答者の28.3%が, 講演後, 受入れに肯定的となった. 以上より, HIV感染症の専門家とHIV感染患者のHDに詳しい医師による講演と率直な質疑応答を組み合わせた講演会は開催意義があると考えられた.

  • 堀尾 勝
    2018 年 51 巻 5 号 p. 321-329
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    慢性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症, 腎硬化症, その他の疾患による透析症例 (それぞれCGN透析, DM透析, NS透析, その他) の患者数推移を予測した. 男女別に5歳年齢階級別, 疾患別の透析導入率, 死亡率を日本透析医学会の 「わが国の慢性透析療法の現況」 のデータより算出した. 将来推計総人口は平成29年推計を用いた. 2015年末の患者数を初期値に人口分布に応じて, 各年齢階級の一部が翌年に次の年齢階級に移行すると仮定し, 導入数, 死亡数を補正した. 総透析患者数は2017年に2015末より0.2%とわずかに増加, 65歳以上は2019年に3%増加し, 以後減少した. CGN透析は直線的に減少した. DM透析は2027年に8%増加し以後減少した. NS透析は2034年に34%増加し以後減少した. 将来人口は推計値であり, 導入率, 死亡率の設定にも限界があるが, 今後10年はCGN透析の減少とDM透析・NS透析の増加が特徴的といえる.

症例報告
  • 小野 澄比佐, 松岡 直也, 宮本 敢右, 永冶 紘平, 浅井 奈央, 吉野 雅文, 伊藤 恭彦, 今井 裕一
    2018 年 51 巻 5 号 p. 331-337
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    症例1 : 72歳男性, 透析歴25年. 発熱, CRP高値で来院しpositron-emission tomography with fluorodeoxyglucose (FDG-PET) 施行により右多発腎囊胞感染と診断, メロペネム (MEPM), レボフロキサシン (LVFX), ゲンタマイシン (GM) 等の計41週の抗菌薬投与で改善した. 症例2 : 68歳女性, 透析歴32年. 発熱, 意識障害で入院. 造影CT, 単純MRI施行し径60mmの左腎囊胞感染と診断. 血液培養でKlebsiella pneumoniaeを検出. LVFX, MEPM, セフトリアキソン (CTRX) 等抗菌薬を31週継続し改善した. 透析患者の腎囊胞感染は治療困難例が多く, 死亡率も高く予後不良といわれている. 今回長期血液透析患者の後天性腎囊胞における腎囊胞感染で, 外科的治療を行うことなく長期抗菌薬投与を行うことで治療しえた2例を経験した. MRI, FDG-PETが診断に有用であり, 外科的治療なしでの腎囊胞感染では炎症所見の陰性化までを指標として約7~10か月と長期間の抗菌薬投与継続が有用であった.

  • 福岡 翼, 栗原 和人, 藤井 真, 藤川 裕恭, 山崎 美佐子, 山下 共行, 鈴木 靖子, 浅野 功治, 荒木 真
    2018 年 51 巻 5 号 p. 339-343
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/28
    ジャーナル フリー

    免疫能力が低下している末期腎不全時に新規膠原病が発生したとき, どのように対応するべきかは明らかになっていない. われわれは, 透析歴10年の62歳女性におきた単一臓器血管炎の1例を経験した. 左卵巣癌の手術目的で入院となり, 周術期は大きな問題なく退院した. 術後, その手術標本において, 対側である右卵巣の外径150μm程度の血管にフィブリノイド壊死を伴う血管炎の所見を偶発的に認めた. 改めて全身検索を行ったが, 卵巣以外に血管炎を示唆する症状・検査所見を認めなかった. それゆえ, 卵巣単一臓器血管炎と考え, 無治療での経過観察の方針とした. 幸いなことに, 現在まで血管炎再燃を示唆する症状は認めていない. 透析患者という免疫抑制状態に発症した単一臓器血管炎という病態および治療に関して, 示唆に富む症例と考え, 報告する.

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