日本透析医学会雑誌
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51 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 永野 伸郎, 伊藤 恭子, 大石 裕子, 南 政美, 林 秀輝, 角田 千恵, 中島 春乃, 須永 悟, 野原 ともい, 大高 行博, 星 ...
    2018 年 51 巻 6 号 p. 369-377
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    【目的】透析患者の血清亜鉛濃度分布の実態を把握し, 低亜鉛血症関連因子を探索する. 【方法】血液透析患者518人の血清亜鉛値を測定し, 患者背景, 定期採血結果, 薬剤処方との関連を解析した. 亜鉛欠乏症の診断基準である血清亜鉛値60μg/dL未満/以上の2群間で比較した. 【結果】血清亜鉛値は59 (52-67) μg/dLであり, 年齢, 性別, BMI, 糖尿病, 透析時間帯と関連せず, 透析歴と負の単相関を示し, かつHDF患者で低値であった. 重回帰分析の結果, 透析歴, Cr, Na, TG, Alb, ALP, Htが有意な変数であった. また, 血清亜鉛値が60μg/dL未満の患者割合は51.0%であり, 2項ロジスティック回帰分析の結果, HDF療法, P, Alb, ALPが有意な変数であった. 一方, 血清亜鉛値と, ESA処方量, ESA抵抗性指数, 他の薬剤処方との関連は認められなかった. 【結語】約半数の透析患者の血清亜鉛値が60μg/dL未満であり, 透析歴, HDF療法, PやAlbなどの栄養状態が関連する.

症例報告
  • 福田(日原) 桂, 伊與田 雅之, 齋藤 友広, 荒井(布田) 典子, 和田 幸寛, 鈴木 幸恵, 木崎 順一郎, 恩田 秀寿, 高橋 春男 ...
    2018 年 51 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    症例は30歳代の女性. 4日前から右眼球運動痛, 右歪視症, 右眼下方視野狭窄を認め, 近医を受診した. 同日夜間から右眼の急速な視力低下がみられ, 指数弁まで低下した. 血液検査では抗アクアポリン4 (aquaporin-4: AQP4) 抗体陽性, 眼窩造影MRIにて右視神経に高信号を認め, 視神経脊髄炎関連疾患, 中でも抗AQP4抗体陽性視神経炎と診断した. 近医にてステロイドパルス療法を2クール施行, 後療法としてプレドニゾロン40mg/日の内服を開始したが, 視力, 視野の改善は得られず, 血漿交換療法施行目的に当院転院となった. 計7回の二重膜濾過血漿交換 (double filtration plasmapheresis: DFPP) を施行し, 抗AQP4抗体は陰性化, 視力改善, 視野の拡大を認めた. DFPPはステロイド治療抵抗性の抗AQP4抗体陽性視神経炎に有用な治療法の一つであると考えられた.

  • 吉川 和寛, 矢坂 健, 諸岡 瑞穂, 伊藤 貞利, 小山 純司, 後藤 泰二郎, 中屋 来哉, 渡辺 道雄, 相馬 淳
    2018 年 51 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    糖尿病性末期腎不全で血液透析 (HD) 歴10数年の50歳代男性. 10年来の甲状腺腫 (6cm大) に対し甲状腺右葉切除を行い, 濾胞腺腫と診断された. しかし術後8か月のCTと骨シンチで多発骨転移が発見されたため, 濾胞癌と最終診断した. 右大腿骨転移部の疼痛に対し外照射と髄内釘を挿入し, 第11胸椎骨転移による高度脊髄圧迫に対し外照射と後方除圧固定術を施行した. その後放射性ヨウ素 (I-131) 内用療法を検討したが, 療法後約1週間は患者とその排泄物および透析排液により放射線第三者被曝が生じるため, 患者は個室隔離され, 透析室にも入室できないことが判明した. そのため, 内用療法を行うためにはHDを中断せざるを得ず, 事前に腹膜透析 (PD) に移行して対応した. 透析患者の甲状腺分化癌に対するI-131内用療法に関する報告は, 本邦では皆無であり, HDからPDへ移行する理由の一つとして認識される必要があると考えられた.

  • 三浦 玲, 梶原 健吾, 八木 喜崇, 坂本 和香奈, 芹川 亜実, 西山 景子, 吉井 隆一, 西口 佳彦, 山本 紗友梨, 中村 朋文, ...
    2018 年 51 巻 6 号 p. 395-399
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    本邦における2型糖尿病患者数は増加の一途をたどっている. メトホルミンの単独療法では低血糖のリスクは低く, 他の血糖降下薬にて懸念される体重増加も少ないうえに, インスリン抵抗性の改善を期待でき心血管保護作用もあいまって, その適応は増加している. メトホルミンの極めて稀な副作用として乳酸アシドーシスがあるが, 致死率が非常に高く迅速な対応を必要とする. 今回, われわれは53歳の患者におけるメトホルミンを原因とした重症乳酸アシドーシスに対し, 点滴加療を施行するも改善不十分であり, 血液透析にて救命することができた1例を経験したため報告する. 乳酸アシドーシスは発症すると重篤であるため, ハイリスク患者ではあらかじめ投与を避けることや, 脱水, シックデイ, 過度のアルコール摂取など患者への注意指導を行うことで発症自体を予防することが重要だが, 発症した場合は遅滞なく透析を含む積極的治療介入を検討する必要がある.

  • 上床 美紀, 吉嶺 陽仁, 阿部 正治, 水間 英美子, 山下 和, 潤田 心, 久保 拓也, 濵田 富志夫, 徳永 公紀, 井戸 章雄
    2018 年 51 巻 6 号 p. 401-408
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    症例はうつ病・認知症のため施設入所中の77歳女性. 職員訪室の1時間後, ベッドから上半身が柵を乗り越えるかたちで頭から床へ転落しているところを発見された. 下腹部が柵に押し付けられ, 下半身はベッド上にある状態であった. 救出後に下肢運動消失を認め, 翌日には腎機能障害, 高K血症が出現したため当院へ搬送された. 受傷機転・諸データよりcrush症候群による急性腎障害・DICと診断した. 大量補液を行うも無尿状態であり, 同日より血液透析を施行. 透析は3回で離脱し, その後DIC・下肢運動機能も改善した. Crush症候群は震災・事故時の発生が注目されやすいが, 長時間の圧迫という状況があれば日常でも生じうる病態であり, 痩身や高齢者においては短時間での発症も報告されている. その発症の可能性が念頭に置かれていない場合にはしばしば生命を脅かす事態に至る深刻な病態であり, 診断には受傷機転の聴取が重要である.

  • 本城 保菜美, 竹口 文博, 加藤 美帆, 林野 翔, 長島 敦子, 櫻井 進, 渡邊 カンナ, 宮岡 良卓, 長岡 由女, 菅野 義彦
    2018 年 51 巻 6 号 p. 409-413
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー

    症例は61歳女性. 2型糖尿病およびそれに伴う慢性腎臓病のため通院していたが, 7か月前の最終外来以降, 治療を自己中断していた. 労作時呼吸困難, 食欲低下が出現し, 緊急入院時にはHb 6.0g/dLと高度貧血を伴う末期腎不全の状態だった. 本人のみ宗教上の理由により輸血を拒否していたが, 夫を含めて話し合いをした結果, 相対的無輸血治療に同意したため緊急透析導入した. 貧血に対して赤血球造血刺激因子 (ESA) 製剤であるダルベエポチンαの増量, 鉄補充療法を中心とした治療で管理可能であった. 血液透析患者の導入期にはESA抵抗性因子が多数存在するが, 緊急を要しない貧血であれば適切な治療により無輸血で管理可能であることが示唆された.

平成29年度コメディカル研究助成報告
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