日本透析医学会雑誌
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51 巻 , 9 号
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原著
  • 横山 啓太郎, 浅田 真治, 川田 剛央, 永野 伸郎
    2018 年 51 巻 9 号 p. 525-533
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    シナカルセトは, 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症 (2HPT) の経口治療薬として普及しているが, 上部消化管障害などにより, 服用継続が困難となる場合もある. 本研究では, 本邦の医療情報データを用いて, 本剤のPDC (proportion of days covered) および処方継続率を算出し, 処方継続率に影響を及ぼす要因をCox回帰分析により評価した. 解析対象は本剤を処方開始し, 維持透析を1年以上施行した2HPT患者2,637例であった. PDCの中央値は96.2%であった. 処方中断は488例 (18.5%) で認められ, 処方継続率は処方開始1年後 ; 約90%, 3年後 ; 約75%であった. 処方継続の促進因子として, 非高齢, 骨折既往なし, 合併症が少ない, リン吸着薬の処方数が多い, シナカルセト12.5mg錠採用施設があげられた. 実臨床において, 本剤のコンプライアンスおよび処方継続率は良好であり, 低用量の剤型を組合わせて加療することにより, 治療継続が改善することが示唆された.

短報
  • 和泉 維, 田中 健太郎, 内山 由起子, 奥村 奈穂, 高瀬 嗣久, 古屋 徹, 菅野 靖司, 田中 仁英, 本西 秀太, 九鬼 貴美, ...
    2018 年 51 巻 9 号 p. 535-538
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    【目的】維持血液透析患者において超音波エコーを用いた大腿前面筋厚測定の検者内信頼性, および男女別に大腿前面筋厚 (quadriceps femoris muscle thickness, 以下 : QT) と運動機能との関係を検討した. 【対象と方法】維持血液透析患者182例を対象に, 超音波エコーを用いたQT, 握力, 最大歩行速度を測定し, 筋厚測定の検者内信頼性は級内相関係数, 運動機能との関連を相関係数にて検討した. 【結果】筋厚測定の検者内信頼性は高く, 男性においてQTは握力, および最大歩行速度と有意な相関を認め, 女性においてQTは最大歩行速度と有意な相関を認めた. 【結語】超音波エコーによる維持血液透析患者の大腿前面筋厚測定は, 腎臓リハビリテーション領域における有用な指標になり得ることが示唆された.

症例報告
  • 山﨑 侑子, 中田 健, 丸尾 美咲, 内田 大貴, 楢原 秀雄, 鈴木 美穂, 緒方 歩美, 川原 有希子, 安東 加恵, 石田 楓, 工 ...
    2018 年 51 巻 9 号 p. 539-544
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    38歳男性. 4月末の10kmマラソンのゴール手前で意識消失し, ショック状態となり, 近医へ搬送された. Ⅲ度熱中症であり全身冷却と大量輸液を受けた. 意識障害, バイタルは改善したが, 第2病日にCK 66,486U/Lと上昇し, 横紋筋融解症, 急性腎不全の発症を危惧され当院に紹介となった. 転院時血清Crは0.82mg/dLと低下していたが, AST 11,730U/L, ALT 6,509U/L, PT-% 17%, 血小板4.7万/μLと急性肝不全を認めた. 第4病日より急性肝不全に対して血漿交換 (PE) および持続血液濾過透析 (CHDF) を開始した. PEを2回, CHDFは4日間行った. 肝機能, 血小板は徐々に改善し第18病日に退院となった. Ⅲ度熱中症に合併する肝不全は, ショック, DICを契機に第3病日前後に顕在化することが報告されている. 今回, 熱中症に合併した肝不全に急性血液浄化が有用であった症例を経験した.

  • 肥沼 佳奈, 木村 隼人, 月田 真祐子, 三島 敬一郎
    2018 年 51 巻 9 号 p. 545-550
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    血液透析患者のアレルギーは日常的に経験し, 原因として透析膜や抗凝固薬の報告例が散見される. 酢酸含有重炭酸透析液によるアレルギーが疑われた症例を経験した. 症例は77歳男性. 血液透析導入後から発熱, 全身紅斑, 下痢, 末梢血の好酸球増多 (7,730/μL) が出現. 透析機器関連アレルギーを疑い, 透析膜変更や, 酢酸含有重炭酸透析液から無酢酸透析液への変更を行うも改善せず, 副腎皮質ステロイドを開始したところ, 症状は改善し, 好酸球数も基準値内となった. 酢酸含有重炭酸透析液の薬剤誘発リンパ球刺激試験 (DLST) が陽性であったことや, 同透析液の再使用で症状が再燃したことから, 同透析液のアレルギーと考えられた. 同透析液のアレルギー報告は少ないが重篤化することがある. 血液透析患者のアレルギーでは透析液も原因として考慮すべきである.

  • 鈴木 創, 杉田 悠, 神田 やすか, 小川 亜季, 大石 学, 戸田 匠, 中本 壽宏, 布村 眞季, 小泉 博史
    2018 年 51 巻 9 号 p. 551-555
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    症例は66歳男性. 在宅療養困難のため長期入院下にて維持透析受療中に発熱を認めた. 抗生剤加療に反応せず, 精査目的にて当院紹介入院. CTにて腹水を認め腹水中アデノシンデアミナーゼ (ADA) 上昇から結核性腹膜炎を疑ったが, 結核菌特異的インターフェロンγ遊離試験 (IGRA) は陰性であった. 診査腹腔鏡にて多数の微小結節を伴う腹膜炎を認め, 腹膜生検および培養にて結核性腹膜炎と確診した. イソニアジド (INH)・リファンピシン (RFP)・エタンブトール (EB)・ピラジナミド (PZA) の四剤投与を開始したのち解熱を認めた. IGRAは結核診断のうえで有用な検査だが, 偽陰性例もあることを念頭におくことが重要と考えた. 結核性を疑う腹膜炎例では, 積極的に診査腹腔鏡を活用することが正確な診断と治療のうえで重要と考えた.

  • 山谷 哲史, 白井 敦, 廣畑 由樹子, 隈元 宣行, 小坂 恭子, 菊田 淳子, 藤井 秀毅, 西 愼一
    2018 年 51 巻 9 号 p. 557-563
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    新鮮凍結血漿 (FFP) を用いた単純血漿交換の代わりにアルブミン置換液を用いた選択的血漿交換が, 効率, 安全性, 医療費などの面から注目されている. 近年選択的血漿交換は, IgGである抗GBM抗体の除去は可能であるが, 少量だが凝固因子が除去される問題点がある. 80歳男性で, 抗糸球体基底膜抗体腎炎と診断した症例に対して, われわれはFFPでの単純血漿交換と選択的血漿交換を併用し救命しえた症例を経験した. 2つの血漿交換を併用することで凝固因子の低下は少なく, 総計11回の血漿交換で抗GBM抗体は10U/mLまで改善させることができた. 単純血漿交換と選択的血漿交換を併用し治療を行った報告は稀であり, 利点と欠点を含め, 一部文献的考察も加えて報告する.

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