日本透析医学会雑誌
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52 巻 , 2 号
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総説
  • 高橋 朗
    2019 年 52 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    透析患者にカルニチンを使用したとき, ATP産生過程でカルニチンの効果に差が出てくる. ミトコンドリア内に輸送された脂肪酸にカルニチンが関与するのはアシルCoAまでであり, β酸化とTCAサイクルでは透析で除去されやすい水溶性ビタミンが必要になる. さらに呼吸鎖ではCoQ10が必要になるが, スタチン内服でCoQ10生成は阻害される. 貧血の場合にも, 造血過程ではカルニチン以外にも多くの因子を調整する必要がある. また, こむら返りの発症にはアルカローシスが関与するが, 透析では濃縮性アルカローシスも相加している. アルカローシスでは筋小胞体からCaイオンが放出し筋攣縮がおきる. 筋小胞体はATPを分解しながらカルシウムを取り戻すため収縮は続かないが, カルニチン欠乏があるとATP不足となり筋収縮が続く. このように, カルニチンがどの部分に関与しているかを知ることで, より有効にカルニチンを使用できると思われる.

原著
  • 新川 葉子, 石田 百合子, 比嘉 啓, 田名 毅, 井関 邦敏
    2019 年 52 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    沖縄県透析医会所属56施設を対象に, 60歳以下2型糖尿病透析症例のアンケート調査を実施した. 協力が得られた33施設の全透析者数2,235人中, 調査対象者は167人 (7.5%) であった. 回収できた103例の個人調査票から, その臨床背景を解析した. 103例の糖尿病判明年齢 (平均±SD) は32.3±9.5歳, 透析導入年齢47.7±6.8歳, 糖尿病発症前の過去最大Body mass index (BMI) は31.4±6.5kg/m2, その際の年齢は29.2±9.8歳と若年期の肥満が特徴であった. また1年以上の通院中断・放置歴を54人 (53.5%) に認めた. 中断例は健診発見例に多く, 中断年数が10年以上の例が約半数を占めた. 末期腎不全を予防するために, 若年期での肥満対策や, 糖尿病判明後の中断対策など, 医療・行政・教育機関を含めた効果的な方策が必要と考えられた.

  • 臼井 直人, 泉 朋子, 稲津 昭仁, 久留 秀樹, 佐々木 智充, 熊川 七海, 千葉 康雄, 木山 唯人, 土屋 貴彦, 須藤 祐司, ...
    2019 年 52 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    透析中運動療法の強度の違いが溶質除去に及ぼす影響を調査した. 対象は透析患者17名とし, 安静時と運動時のデータ採取順序は無作為に割り付けた. 心肺運動負荷試験 (CPX) から嫌気性代謝閾値 (AT) を測定し, AT未満群, AT群に分類した. 1時間ごとに透析排液を採取し, カリウム (K), リン (P), 尿素窒素 (BUN), β2-microglobulin (β2MG), α1-microglobulin (α1MG), アルブミン (Alb) を測定した. K, P, BUNはAT未満群で運動中の除去量が増加し, AT群では運動後のP, BUNの除去量が減少した (p<0.05). α1MGはいずれの強度でも運動中の除去量が増加し (p<0.01), β2MG, Albに変化はなかった. 中強度の運動では小分子の除去量が減少するが, 低強度ではAlb漏出量の増加なくK, P, BUN, α1MGの除去量を増加させる可能性がある.

症例報告
  • 関山 沙央理, 高橋 大栄, 矢島 理香, 河崎 智樹, 山元 佳, 小宮 智義, 吉川 桃乃
    2019 年 52 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は67歳男性. 64歳時より糖尿病性腎症で維持血液透析を行われていた. 脱力・意識障害の精査加療目的に入院した. 入院後発熱はなく症状も自然軽快傾向であったが, CRP弱陽性が持続した. 原因検索目的に施行した心臓超音波検査にて僧帽弁に新規の疣贅を認めたが, 血液培養は複数回陰性が続いたため血液培養陰性感染性心内膜炎を疑った. 猫咬傷の病歴がありBartonella henselae IgG抗体を提出したところ高値が判明, バルトネラ属による感染性心内膜炎と考えた. その後セフォタキシムによる治療にて改善が得られた. バルトネラ属は血液培養陰性感染性心内膜炎の起因菌となるが, 培養困難であるため診断に至らないケースも多い. 本症例から, 発熱なく全身状態が安定している透析患者においても, 炎症所見が持続する場合は鑑別としてバルトネラ属による血液培養陰性感染性心内膜炎を考慮する必要があることが示唆された.

  • 池田 弘, 櫻間 教文, 黒住 順子, 大森 一慶, 荒木 俊江, 真鍋 康二, 福島 正樹
    2019 年 52 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/28
    ジャーナル 認証あり

    銅欠乏症による種々の血球減少症を併発した透析患者5例を経験した. 男女比は1 : 4, 平均年齢は76歳, 平均透析歴は5.2年, 原疾患は糖尿病2例, 多発性囊胞腎1例, 腎硬化症1例, 不明1例, 併存症は誤嚥性肺炎3例, 脳神経障害2例, アクセス感染2例, 大腸癌術後の低栄養状態1例, 化膿性脊椎炎1例であった. 1例で経腸栄養, 4例で亜鉛製剤投与が行われていた. 診断時の血中銅, セルロプラスミンの平均濃度は26.6μg/dL, 12.6mg/dLで, 汎血球減少症2例, 貧血+血小板減少2例, 貧血のみ1例であった. 3例に硫酸銅, 1例に純ココア, 1例に銅サプリ投与を行い, 全例, 血球減少が改善した. 透析患者ではリン制限に伴う銅摂取量減少, 亜鉛補充による腸管での銅吸収抑制から健常人より銅欠乏をきたしやすいと考えられる. ESA抵抗性の貧血や複数系統にわたる血球減少症をみたときは, 銅欠乏も念頭において診療を行う必要があると考えられた.

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