日本透析医学会雑誌
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52 巻 , 6 号
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委員会報告
原著
  • 吉本 敬一, 湯浅 貴博, 宮川 太郎, 竹田 慎一
    2019 年 52 巻 6 号 p. 327-334
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    医療の進歩と高齢化に伴い, 透析患者の終末期医療への対策が喫緊の課題となっているが, 透析患者がどのような死を迎えているか検討された報告は少ない. そこで, 当院にて死亡した180名の維持透析患者の死亡時の状況について検討した. 死亡場所は院内が81.7%と多く, また, 75.0%の患者が死亡を予期されていた. 在宅で看取られた症例は2名のみであった. 院外死群は, 死亡が予期されなかった症例が多く, 死亡年齢が若かった. 20%にあたる36名で透析見合わせがなされたが, 患者本人が透析見合わせに関する事前指示書を提示していた症例は6名のみであった. 透析見合わせ後, 死亡まで平均7.9日であったが, 38.8%は2日以内に死亡していた. 多くの患者は心肺蘇生措置 (胸骨圧迫, 人工呼吸器装着, 気管内挿管) を希望せず実施されなかった. 2014年に日本透析医学会から透析見合わせに関する提言が発表されたが, 透析患者が尊厳ある死を迎えるため, さらなる議論が必要である.

  • 佐藤 光博, 残間 有希, 庄子 美智子, 石成 和久, 山田 美保, 大野 和美, 佐藤 ひろみ, 樋場 美幸, 田熊 淑男
    2019 年 52 巻 6 号 p. 335-342
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    高齢化が著しい血液透析 (HD) 患者の実態を把握し, 医療・介護の課題を明らかにするために, HDを新規導入した231名を生活場所・通院手段で分類し, 背景因子と予後を比較検討した. 生活場所は自宅203名 (87.8%), 自宅外28名 (12.2%) であった. 自宅生活者のうち自力で通院しているのは89名 (43.8%) で, 超高齢者12名を含む残りの114名 (56.2%) は送迎等の介助を要していた. 日常生活自立度および認知機能はいずれも自宅外群で低下していた. キーパーソンの同居率と種別が配偶者である割合は自宅群で高い一方, 介護保険の新規申請率, 腎専門医への紹介が導入直前である割合は自宅外群で高かった. 観察期間38か月で自宅群22名 (10.8%), 自宅外群9名 (32.1%) に死亡を認めた. 血液透析患者において, 患者自身の身体機能のみならず, 社会的要因も導入後の生活場所により異なっている実態が明らかとなった.

  • 粟屋 牧子, 加藤 修一, 狩野 契, 渡辺 裕輔, 岡田 浩一, 鋤柄 稔
    2019 年 52 巻 6 号 p. 343-348
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    がんだけではなく非がん疾患も含めた終末期の血液透析患者において, 呼吸困難は頻度が高く苦痛が大きい症状である. 呼吸困難の緩和のためにオピオイドが用いられることがあるが, 透析患者では代謝物の蓄積による副作用の懸念から, 使用成績についての報告が少ない. 今回われわれは, 呼吸困難を訴えたがんおよび非がん疾患終末期の血液透析患者7症例に対して, 呼吸困難の緩和を目的にオキシコドンを経口あるいは持続皮下注射で投与した. 開始時の平均投与量は注射換算で3.8mg/日, 平均最大投与量は19.7mg/日であった. Support Team Assessment Schedule日本語版における評価で, オキシコドン投与により呼吸困難の有意な改善を認めた. 呼吸抑制など有害事象の発現はなく安全に使用可能であった. 少量から漸増して投与することで, オキシコドンは血液透析患者にも比較的安全に使用することが可能であり, 呼吸困難の緩和に有効な治療選択肢の一つになり得る.

  • 大山 恵子, 大山 博司, 藤森 新, 渡部 敦子, 渡辺 晃矢, 古谷 裕恵
    2019 年 52 巻 6 号 p. 349-356
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    われわれの施設では有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせ, 音楽に合わせて透析中に行う運動療法 (Tsubasa Music Exercise: TMX) を行い, 透析患者の運動耐容能向上に成果を上げている. 透析患者は末梢動脈疾患の合併が多く, 下肢挙上を伴う運動によって下肢血流の低下を引き起こすことが懸念される. 独自のフットリスク分類法に従って分類した, ノーマル, リスクⅠ, リスクⅡ, リスクⅢの患者各10名を対象に15分間のTMXを実施し, 運動前, 運動直後, 運動終了10分後にそれぞれ下肢の皮膚灌流圧 (skin perfusion pressure: SPP) を測定し比較した. 検討した4群すべてにおいて, SPPの平均値は運動による有意な変化は観察されなかったが, 運動後にSPPが50mmHg未満に低下した患者が散見された. 透析中の運動療法を実施する場合は, 運動後の下肢状態を詳細に観察する必要があると考えられた.

  • 吉田 めぐみ, 金崎 雅美, 中川 健二, 中村 寿伸, 川添 智道, 吉田 均, 武田 尚子, 荒木 信一, 宇津 貴
    2019 年 52 巻 6 号 p. 357-361
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    低カリウム血症は, 筋力低下や突然心臓死の危険因子である. 本邦の透析液はカリウム濃度2mmol/Lであるため, 周術期や食事摂取不良の患者は, 透析後に低カリウム血症を生じることがあり, 当院では必要に応じ透析液カリウム濃度を3mmol/Lに調整し血液透析を実施している. 今回, 周術期維持透析患者9例に対し, 透析液カリウム濃度2mmol/L (透析液2) と3mmol/L (透析液3) にて各3回ずつ血液透析を行い透析後低カリウム血症の発症とカリウム除去量について評価した. 結果, 透析後血清カリウム3mmol/L未満の低カリウム血症は, 透析液2で14.8%, 透析液3で0%認められた. 総カリウム除去量は, 透析液2では36 [四分位: 24-48] mmolであり, 透析液3では24 [12-24] mmolと有意に減少していた (p<0.05). 透析液カリウム濃度を3mmol/Lに調整した血液透析は, 周術期の透析後低カリウム血症を防ぐために有用である可能性がある.

症例報告
  • 上床 美紀, 大保 玲衣, 大塚 彰行, 阿部 正治, 吉嶺 陽造, 屋 万栄, 吉嶺 陽仁, 曾我部 篤史, 内田 義男, 野崎 剛, 徳 ...
    2019 年 52 巻 6 号 p. 363-368
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は44歳, 女性. 全身性強皮症の診断の約2年後に強皮症腎クリーゼを発症し, 末期腎不全へと至ったために腎代替療法が必要となった. 移植希望はなく, 透析を導入する予定となった. 血液透析を行ううえでは, 皮膚硬化・血管病変の存在によりバスキュラーアクセスの作製・維持が困難と考えられた. 腹膜透析に関しては, 手指の皮膚硬化にて機械操作が困難であり, ステロイド長期内服による易感染状態から腹膜透析カテーテル感染も懸念された. 最終的に血液透析を選択したが, 血管の伸展不良・皮膚硬化から内シャント作製は難渋し, 穿刺可能となるまでの血管の成長に長期間を要した. 強皮症は多臓器障害をきたすという問題点の他にも, 特有の皮膚, 血管病変を有すること, また血管病変のため腹膜機能が低下している可能性があることから, 腎代替療法の選択においては熟考を要する. 個々の症例で慎重な検討が必要であり, 症例の蓄積が望まれると考え報告する.

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