日本透析医学会雑誌
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54 巻 , 2 号
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委員会報告
  • 深澤 瑞也, 竜崎 崇和, 亀井 大悟, 川合 徹, 川西 秀樹, 菅野 義彦, 篠田 俊雄, 田倉 智之, 土谷 健, 友利 浩司, 長谷 ...
    2021 年 54 巻 2 号 p. 57-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    透析患者の高齢化および長期間化によりシャント系アクセスの作製困難症例が増加しており,カテーテルでの透析を余儀なくされる患者も多い.一方,透析用カテーテル挿入手技は現在の診療報酬上,注射コードに分類されており保険点数はついているもののDPC施設ではその期間内,消耗品であるカテーテル代も含めて保険請求ができない.一方,中心静脈へのカテーテル挿入手技においては体表超音波装置やX線透視装置などの周辺機器の使用や,医師・看護師・技師も含めた人的な負担を要すること,また血管損傷などによる死亡例も含めた重篤な合併症を呈することもあり,改善が必要と考える.そこで保険委員会として今般,手技のタイムスタディーを含めた現状把握を行い,診療報酬改定への足掛かりとなるべく実態調査を行った.本結果を基に,外科系学会社会保険委員会連合を通して改定の要望を提出する方向である.

原著
  • 神田 怜生, 瓜田 温子, 関 卓人, 関内 真紀穂, 久寶 彩乃, 富野 康日己
    2021 年 54 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    【目的】長期療養入院血液透析患者の難治性便秘症に対する上皮機能変容薬(ルビプロストン,リナクロチド)の有用性を検討した.【対象・方法】刺激性下剤で改善を認めない便秘症患者25名に対し上皮機能変容薬に変更後1か月間投与し,その有用性を検討した.【結果】ルビプロストン投与期では,Constipation Scoring Systemは投与前後で有意な変化はみられなかったが,非糖尿病性腎臓病群ではs‒Crは開始時6.3±2.45 mg/dL,1か月後は5.9±2.2 mg/dL,IPは開始時4.5±1.4 mg/dLであったが,1か月後は3.8±1.0 mg/dLと有意な改善を認めた.リナクロチド投与非糖尿病性腎臓病群では,Constipation Scoring Systemは開始時6.4±6.0点であったが,1か月後は4.7±5.3点と有意な改善が認められた.【結語】上皮機能変容薬は長期療養入院血液透析患者の非糖尿病性腎臓病群において有用性のある下剤と思われる.

  • 吉田 朋子, 青山 東五, 藤井 茉実, 森岡 優子, 内藤 正吉, 佐野 隆, 竹内 康雄
    2021 年 54 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    非計画導入は,維持血液透析患者の生命予後危険因子の一つである.われわれは,非計画導入の実態と課題を栄養の観点から明らかにする.対象は,2017年4月から1年間に新規維持血液透析となった患者である.計画導入群は入院前にVAがあり予定入院の症例とし,それ以外を非計画導入群とした.原疾患,年齢,入院日数,合併症,転帰,栄養管理,栄養サポートチーム(NST)やリハビリテーション介入割合,血液検査,ADLを後方視的に集積し2群を比較した.対象は81例であった.そのうち非計画導入群は26例(32%),年齢76(70~82)歳,入院日数48(32~64)日で,46%が心不全,77%が感染症を合併していた.非計画導入群は,計画導入群より有意に栄養状態のリスク評価結果に問題が生じており,血清アルブミン値が低かった.摂取栄養量は改善したが,栄養指標やADLの回復が悪く,転院割合が高かった.非計画導入では,維持血液透析導入時の栄養状態とADLの回復の悪さが予後不良に関係している可能性が示唆された.

  • 稲熊 大城, 吉田 浩之, 島野 泰暢, 中井 滋, 伊藤 恭彦, 渡邊 有三
    2021 年 54 巻 2 号 p. 77-88
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    透析患者は日常生活動作の低下により,自力での通院困難症例が増加している可能性が高い.透析患者の通院状況を明らかにする目的で,愛知県における実態調査を実施したので報告する.愛知県下の透析施設に対し,令和2年1月1日時点における通院状況を含む実態をアンケート調査した.対象施設184施設中,178施設からの回答(回答率96.2%)が得られ,愛知県在住の17,680例の通院状況を確認できた.全体の約42%にあたる7,348例が施設送迎であり,続いて7,071例で自家用車による通院であった.年齢別では,70歳未満の場合,自家用車が,施設送迎による通院を上回っていた.居住環境別では,家族同居の場合,自家用車での通院が最も多く(46.7%),施設送迎(41.5%)を上回っていた.一方,独居の場合,施設送迎による通院が最も多かった(45.6%).愛知県在住の透析患者は,施設送迎による通院が最も多かった.年齢ならびに居住環境などが通院状況に影響を与えることが示された.

短報
  • 吉田 絢耶, 梶田 潤一郎, 奈倉 千苗美, 奈倉 倫人, 奈倉 勇爾
    2021 年 54 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    現在多くの施設で末梢動脈疾患(PAD)の診断に足関節上腕血圧比(ABI)や皮膚灌流圧(SPP)が用いられている.近年では早期発見を目的とする場合,カットオフ値を高めに設定すべきであるとの報告も多くみられるが,現在のところ一定の見解はない.一方ドプラ血流波形で逆流成分の消失を認めれば20%≦狭窄率<50%が予測されることから,下肢超音波検査がABIやSPPより早期に病変を検出できる可能性が期待されるが,その検査手技は煩雑である.そこで今回われわれは簡便な方法として足関節部に限定したドプラ血流波形解析の有用性を検討した.透析導入1年未満の患者22例を対象としたとき,ドプラ血流波形に逆流成分の消失を認めた11例中7例はABIやSPPに異常を認めなかった.このことより足関節部に限定したドプラ血流波形解析はABIやSPPに異常をきたさない初期病変を検出できる可能性が示唆された.

症例報告
  • 服部 憲幸, 姫野 大輔, 大島 拓, 若林 華恵, 石井 公祥, 淺沼 克彦, 織田 成人
    2021 年 54 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    難治性下顎骨骨髄炎に持続的局所抗菌薬灌流(continuous local antibiotic perfusion: CLAP)を施行し,手術を行うことなく感染を制御し得た透析患者の1例を経験した.症例は透析歴20年の66歳男性.齲歯の抜歯18日後に悪寒戦慄と発熱を生じ維持透析施設に入院.抗菌薬投与で改善せず,3日後に当院紹介となった.左下顎から側頭部にかけて膿瘍を認め,緊急ドレナージ術を施行した.感染制御が困難であり,第53病日の造影CT検査で下顎骨の骨融解を認めたため下顎骨切除を検討したが,耐術不能と判断した.その後さらに発熱再燃や白血球数およびプロカルシトニン,CRPの上昇がみられたため,CLAPを下顎骨に対して施行した.CLAPは2週間施行し,副作用なく終了した.CLAP終了後は全身状態も改善し,第97病日に転院した.5か月後のCT検査では膿瘍の再燃はなく,下顎骨も骨形成を認めた.CLAPは透析患者の骨軟部組織感染症に対する重要な治療選択肢となる可能性がある.

  • 小川 舞, 桑原 隆, 用稲 栄, 王 麗楊, 寒川 昌平, 谷野 彰子, 山田 佐知子, 加藤 純子, 立田 浩
    2021 年 54 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    88歳,女性.4年前肝細胞癌のため肝動脈化学塞栓術が施行された.夜間呼吸苦,全身浮腫,著明な高血圧のため入院となった.Cr 6.43 mg/dL,血漿ノルアドレナリン1,173 pg/mL,CTで右副腎腫瘤と著明な胸腹水,心囊液貯留を認め,心エコーで左室駆出率が保持された心タンポナーデであった.透析で除水を行ったが高血圧が持続し,著しい甲状腺機能低下症の合併が判明したため,レボチロキシン投与を開始した.透析除水に加えレボチロキシン投与により,心囊液貯留が軽減し,血圧は正常化し,血漿ノルアドレナリンも205 pg/mLと正常値となった.透析導入時に心囊液貯留を認めた際は甲状腺機能低下も念頭におき,甲状腺機能を評価すべきである.

平成31年度コメディカル研究助成報告
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