日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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55 巻, 4 号
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委員会報告
原著
  • 山本 裕也, 大川 博永, 西川 博幸, 森尾 誠人, 大川 弘美, 増田 尚毅, 住友 敬子, 赤木 有希, 髙本 かおり, 辻 純子
    2022 年 55 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】エコーによるシャント狭窄の評価は狭窄径による評価が一般的だが,欧米では収縮期最高血流速度(PSV)による評価が用いられている.今回,シャント狭窄に対するPSVの定量評価の有用性を検討した.【方法】自己血管内シャントを有する患者179名を対象とした.長軸断面にて狭窄径およびPSV,短軸断面にて断面積を計測した.各測定項目の脱血不良に対する診断能力をROC分析にて比較し,PSVの相関分析を行った.【結果】ROC分析において,狭窄径と断面積は脱血不良に対する診断能力は高く,両者に差はなかったが,PSVの診断能力は有意に低かった.また,PSVは断面積や狭窄径との相関は弱かった.【結語】エコーによるシャント狭窄の定量評価においてPSVの有用性は見出せなかった.

症例報告
  • 益田 加奈, 山﨑 康司
    2022 年 55 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    68歳,女性.糖尿病性腎症による慢性腎不全に対して,腹膜透析カテーテル挿入術後14日目に出口部より浸出液,翌日には発熱もみられたためセファゾリンの静脈投与を開始した.腹膜透析(PD)関連腹膜炎を合併したためセファゾリン,セフタジジムの腹腔内投与も開始したが改善せず,術後18,21日目よりメロペンの静脈,腹腔内投与にそれぞれ変更.術後35日目に排液細菌培養よりMycobacterium wolinskyiと同定.Mycobacterium wolinskyiは,多剤抵抗性の非定型抗酸菌症(NTM)であり,手術後創部感染症の原因菌として報告がある.本症例では,薬剤感受性のあるLVFX内服に切り替え,その後MINO内服併用を3か月行った.本症例は,術後創部感染から腹膜炎に至った導入初期のNTMによるPD関連腹膜炎に対して,保存的加療で治癒し得た貴重な症例と考えられたので報告する.

  • 向井 佳奈, 大下 加代, 山下 和臣, 水入 苑生, 重本 憲一郎, 西澤 欣子, 土井 俊樹, 正木 崇生
    2022 年 55 巻 4 号 p. 255-264
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    COVID‒19肺炎を伴う糖尿病血液透析患者において,高血糖は重症化や死亡リスクと関連するとされている.Flash glucose monitoring(FGM)は新しい連続的なセンサーによる皮下グルコースモニターである.われわれは3例のCOVID‒19肺炎を伴う糖尿病血液透析入院患者でFGMを経験した.COVID‒19肺炎は全例まずfavipiravirを投与,その後remdesivirとmethylprednisolone(mPSL)に続いてdexamethasoneを投与したが,mPSL開始時から血糖値が悪化しFGMを導入した.患者が発熱,倦怠感,混迷状態でもFGM施行可能であった.FGMは導入が容易で,グルコース値の改善が全例にみられ,スタッフと患者の接触回数も削減できた.COVID‒19合併糖尿病血液透析患者におけるFGMの正確性については今後の検討を要する.

  • 三原 悠, 門 浩志, 黒瀬 亮, 辻中 瑛里香, 中村 匡志, 足立 大也, 山内 明日香, 深井 邦剛, 八田 告
    2022 年 55 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は94歳,女性.入院1年4か月前に腎硬化症を原疾患とした末期腎不全に対し,長期型バスキュラーカテーテルを左内頸静脈に留置し血液透析を開始していた.入院2日前に転倒し,右肩を打撲した.右肩の疼痛増悪,血液透析時の血圧低下をきたしたため入院となった.入院10日目に脱血不良のためカテーテル抜去を試みたが,皮下のカフを剥離した状態にもかかわらず強い抵抗を認めた.入院11日目に透視下造影検査でカテーテルにガイドワイヤーを挿入し,血管壁の付着を剥離しカテーテルを抜去した.日本において,長期型バスキュラーカテーテルは血液透析患者の高齢化とともに使用が増加してきており,抜去困難となるケースにおいては慎重に対応する必要がある.

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