日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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最新号
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原著
  • 蔦谷 知佳子, 川﨑 忍, 柴田 薫, 岩渕 久美子, 近江 幹人, 齋藤 文匡, 齋藤 久夫, 鈴木 唯司
    原稿種別: 原著
    2026 年59 巻8 号 p. 460-469
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/28
    ジャーナル フリー

    生体電気インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis法:BIA法)により測定される体水分量(total body water: TBW)に対する細胞外水分量(extracellular water: ECW)の割合である浮腫値(extracellular water/total body water: ECW/TBW)は,透析療法においてドライウエイト(DW)の一つの指標となることが報告されている1).ECW/TBWの標準値は0.360~0.400であり,0.400を超えると高いと評価されるが,ECW/TBWは水分量以外に年齢・栄養状態・筋肉量などの影響を受ける.著者らは,InBodyを用いた上野ら2),Seinoら3),佐々木ら4)の報告を参考にECW/TBWに影響を与える性別・年齢・骨格筋指数(skeletal muscle mass index: SMI)・糖尿病(DM)および低アルブミン(Alb)の有無を考慮し,患者ごとの標準的なECW/TBW(標準ECW/TBW)を算出し,その標準ECW/TBWを用いてInBodyによる理想DW計算式2,5)で理想DWの算出を試み,その有用性を検討した.算出された理想DWは臨床DWと強い関連性を認めた(r=0.997, p <0.001).ECW/TBWは,透析後の体重と臨床DWの差(Δ臨床DW)との関連性は弱かったが(r=-0.167, p =0.001),透析後の体重と理想DWの差(Δ理想DW)と良好な正相関を認め(r=0.892, p <0.001),患者ごとに適した標準ECW/TBWで算出した理想DWは,浮腫の程度をより反映し,DW 設定の指標として有用と思われた.

  • 山田 航平, 五十嵐 祐介, 家村 知海, 菅生 太朗, 小藤田 篤
    原稿種別: 原著
    2026 年59 巻8 号 p. 470-476
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,シャント経皮的血管形成術(PTA)におけるヘパリン減量・非投与戦略の安全性と有用性を,従来の全身投与プロトコル施行期間と比較し後方視的に検討した.ヘパリン減量・非投与戦略導入後(2019~2023年)は,従来のプロトコル期間(2014~2018年)と比較して,重篤な血管破綻による外科的処置件数が11件から2件と有意に減少した(p =0.010).また,ヘパリン投与群と非投与群間で,半年間の一次開存率に有意差は認めず,臨床的に問題となる血栓発生症例は認めなかった.多変量解析により,AVG,CTO,血管攣縮などがヘパリン投与の有意な要因として抽出されたが,投与量の中央値(四分位範囲)は,500(300~800)単位と少量であった.以上の結果より,PTAにおけるヘパリンの投与は必須ではない可能性があり,迅速な手技やエコーガイド下によるPTAのもと,減量・非投与戦略は重篤な血管破綻のリスクを低減し,安全性を向上させる有効なアプローチであると示唆された.

症例報告
  • 森下 杏早, 新里 高広, 淺野 彰太, 獅子原 秀輔, 望月 泰建, 大谷 仁美, 富田 千夏, 中西 里紗, 赤木 瞭太, 寺田 理沙子 ...
    2026 年59 巻8 号 p. 477-482
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/28
    ジャーナル フリー

    患者中心の医療提供のため,さまざまな疾患をもつ末期腎不全患者にも,柔軟な対応が必要である.今回,在宅療養希望の人工呼吸器,寝たきりの患者に対し,血液透析(HD)から腹膜透析(PD)に移行し,在宅療養を提供できたため報告する.35歳男性,7年前にIgA腎症による末期腎不全のためHDを導入した.6年前に重症筋無力症(MG)を発症し,徐々に人工呼吸器管理,経管栄養,寝たきりとなった.1年前に療養型病院に転院となるも,希死念慮の出現とともに,在宅療養の希望あり,PDを導入した.PD,人工呼吸器,経管栄養の手技指導を家族に行い,訪問診療,訪問看護とヘルパーを依頼し,自宅へ退院した.介護者負担は強いものの,PD,人工呼吸器管理にはトラブルはなかった.全身倦怠感のため,退院10か月目にHDに再移行した.現在の日本では,介護を要するPD患者へのサポート体制は不十分である.患者・家族負担の軽減のため,配慮すべき点を,問題点とともに考察する.

  • 北島 夏見, 中澤 来馬, 都川 貴代, 井野元 智恵, 駒場 大峰, 角田 隆俊
    2026 年59 巻8 号 p. 483-491
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/28
    ジャーナル フリー

    2008年に本邦でもカルシミメティクスが使用可能となり二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)に対する副甲状腺摘出術(PTx)は減少し続けている.しかし,内科的治療抵抗性の症例(移植前の症例を含む)では依然必要な治療法である.今回,われわれは内科治療抵抗性SHPTに対しPTxを施行したが1年後に術前を上回る自家移植腺再発を経験した.カルシミメティクス抵抗性SHPTの特徴の可能性もあり報告する.症例:37歳,男性,30歳時に血液透析導入となり,導入から6年目に内科的治療抵抗性SHPTに対してPTxと左前腕へ移植腺量150 mgの移植を実施した.POD1のintact PTH 4 pg/mLであり,全腺摘出と判断した.初回PTxから13か月目に自家移植腺再発にて再度紹介となりintact PTH 1,380 pg/mLと高値を認め,初回PTxから15か月目に再発自家移植腺摘出術を実施し12.8 gの副甲状腺を摘出した.今回,ごく短期間で急激な再発を生じておりカルシミメティクス治療後のSHPT症例の特徴とPTxを考察する.

  • 四宮 翼, 吉岡 友基, 緒方 綾子, 大久保 直人, 石井 公祥, 本田 大介, 若林 華恵, 服部 憲幸, 淺沼 克彦
    2026 年59 巻8 号 p. 492-496
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/28
    ジャーナル フリー

    30歳代男性.6年前に尿細管間質性腎炎による慢性腎臓病と診断されたが通院を自己中断した.X年に末期腎不全(血清Cr 28 mg/dL)のため当院を紹介受診し,緊急透析を開始した.左前腕内シャントを作製したが閉塞し,左前腕ループグラフト(arteriovenous graft: AVG)を作製した.慢性的な下痢・下血を認め,潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,メサラジンの内服治療が開始された.退院後左前腕浮腫を認め,AVG流出路狭窄に対して経皮経管的血管形成術とステントグラフト内挿術を施行したが,2週間後にAVGが閉塞した.ループスアンチコアグラント弱陽性が判明し,抗凝固療法を加えるも再度血栓閉塞したため,左上腕に新たにAVGを作製した.UC合併例のバスキュラーアクセス作製では,脱水や血栓素因による血栓傾向に注意すべきである.

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