日本透析医学会雑誌
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原著
  • 大西 健太, 上田 勉, 原本 順規, 飯田 孝太, 大塚 憲司
    2020 年 53 巻 5 号 p. 235-242
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    【目的】導入期における血液透析患者の筋肉量をCT法で評価し, 生命予後との関連について検討した. 【対象】2008年4月から2018年3月に当院で血液透析導入し, 導入時のCT画像が入手可能であった82例を対象とした. 【方法】骨格筋量はCTにてPMI (Psoas Muscle Mass Index: 第3腰椎レベルの腸腰筋断面積 (cm2) ÷身長2 (m2)) で評価した. 【結果】低PMI群は正常PMI群と比して, 心疾患の合併が多く, 導入時の血液データにおいてアルブミンが低値であった. 全生存率において低PMI群は正常PMI群と比して生存期間が有意に短かった (p<0.001). また, 予後に関する因子については多変量解析で低PMI (p=0.013) と高齢 (p=0.0089) が独立因子となった. 【結論】透析導入時において高齢と骨格筋量の減少は予後不良因子であった. 今後, 透析導入時からサルコペニアをターゲットとした栄養療法やリハビリテーションを含めた介入研究の必要性が示唆される.

  • 福井 淳
    2020 年 53 巻 5 号 p. 243-249
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    【目的】HD患者では亜鉛欠乏が懸念されているため, HDと亜鉛濃度の関係, 亜鉛補充の有効性や安全性に関して後ろ向きに検討した. 【対象と方法】HD患者143例のうち, 亜鉛値が80μg/dL未満患者61例に, 酢酸亜鉛水和物含有製剤 (ZA) を服用させ, 血清亜鉛値および銅値, 血清Hb値, Ht値, Alb値, 1週間あたりのエポエチンα換算ESA投与量を測定した. 【結果】HD患者132例は血清亜鉛値80μg/dL未満で亜鉛欠乏を示した. ZA投与により, 血清亜鉛値, Hb値, Ht値およびAlb値が有意に増加し, ESA投与量およびERIが有意に減少した. 亜鉛欠乏による食欲不振や味覚異常の自覚症状が改善した. 【結語】ZAによる亜鉛補充療法は, Hbや赤血球数が増加し, ESA投与量の減少およびERIを改善したことから, HDにおける選択すべき治療法になり得る. この療法には, 亜鉛値と銅値をモニタリングする必要性があると考えられた.

  • 鈴木 志穂, 吉澤 亮, 能瀬 ひさ子, 島津 偉一, 大和田 滋, 前波 輝彦
    2020 年 53 巻 5 号 p. 251-258
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    高齢者総合的機能評価 (CGA) は, 高齢者が抱える問題を的確に抽出し, 適切な患者ケア提供が可能となるツールで, 医師をはじめ多職種のスタッフが情報を共有できる. われわれは包括的な評価, 看護・介護, 管理や対策が必要な高齢血液透析 (HD) 患者に, CGAが不可欠と考え, CGAにHD関連項目, 栄養運動能力, 社会環境などの評価を加えた8項目からなるHD-CGAを考案し運用した. その結果, HD-CGA各評価項目ならびに総合平均でも自立, 要支援, 要介護者の順に, 有意な点数低下を認めた. HD-CGAと生命予後との関連性では, HD-CGAが低値な患者ほど生存率が悪化し, 死亡リスクが高くなった. 高齢HD患者は特有な透析合併症を有し, 身体・精神・社会的問題は刻々と変化するため, 適切な現状評価が必要となる. HD-CGAは, 高齢HD患者における問題の早期発見, 解決をはじめ予防や介入のために妥当なツールと確信する.

症例報告
  • 岩谷 洋介, 杉浦 秀和, 能木場 宏彦, 雨宮 伸幸, 山﨑 麻由子, 石山 亮, 松井 貴浩, 新田 孝作, 土谷 健
    2020 年 53 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は73歳男性. X−9年の血液透析導入時よりheparin-induced thrombocytopenia (HIT) 抗体陽性であったため, 血液透析時の抗凝固薬としてメシル酸ナファモスタット (NM) を使用していた. X年, 透析後に繰り返す発熱が出現した. 血液培養は陰性で, 抗菌薬投与でも改善しなかった. 汎血球減少を認め, 染色体異常から骨髄異形成症候群 (MDS) と診断したが, 熱源としては否定的であった. 入院第36病日より抗凝固薬をNMからアルガトロバンに変更することで, 透析後の発熱は消失し, NMに対する薬剤添加リンパ球刺激試験が陽性であることよりNMによる薬剤熱と診断した. 本症例のように9年間と長期連続使用したNMによる薬剤アレルギーの既報はない. 高齢化や外科的処置等の増加により透析患者の出血性合併症は増加し, NMの使用機会も増加している. 本症例は, NMは長期連続使用下においてもなお, 薬剤アレルギーの原因となることを喚起する貴重な症例と考え報告した.

  • 前川 道隆, 加藤 千洋, 三木 祐介
    2020 年 53 巻 5 号 p. 265-270
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    医療現場では, 困難な決断を迫られることで医療チーム, 患者, 家族の間に軋轢が生じることがある. また, 腎不全が進行し透析の説明を受けることで, 病気や生活の変化に直面し, 透析治療を勧められても拒む患者もいる. 内的な動機づけが不十分なまま透析を始めると, 内服や透析へのアドヒアランス低下やセルフケアの不足などにより予後悪化や生活の質の低下につながる懸念がある. 本稿では, 高齢末期腎不全患者の透析拒否に動機づけ面接を用いた心理的アプローチで対応した事例を報告する. 治療への恐怖に寄り添うとともに, 治療を行った場合に得られる利益や家族との関係の重要性を意識できるように介入し, 透析を受けて生きていくという決意を患者から引き出した. 動機づけ面接は生活習慣病など行動変化を必要とする領域で有用性が実証されている技法だが, 患者の自律性を尊重し, 治療選択に関する両価性を扱うことを通し, 疾病受容を促すことにも活用できる.

  • 東野 誠, 遠藤 慶太, 林野 翔, 堀川 武宏, 坂井 正弘, 吉野 かえで, 北村 浩一, 鈴木 康浩, 伊藤 慎介, 藤谷 茂樹, 林 ...
    2020 年 53 巻 5 号 p. 271-277
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/28
    ジャーナル 認証あり

    アマンタジンは古くよりパーキンソン病の治療薬として使用されているが, 腎排泄性であり腎機能障害時の投薬に注意を要する. 今回, アマンタジン内服中のパーキンソン病患者がネフローゼ症候群を合併し, それに伴い誘発された急性腎障害がアマンタジン中毒症を呈した例を経験した. 血液直接吸着ならびに血液濾過透析を行い, 一時急速な薬剤濃度の低下による悪性症候群を誘発したが, その後, 中毒症状の改善を認めた. 本例は, ネフローゼ症候群に伴う著明な低アルブミン血症 (1.6g/dL) が, 腎前性の急性腎障害を誘発し血中アマンタジン濃度を上昇させたのみならず, 元来60〜70%が蛋白結合しているアマンタジンが, 低アルブミン血症により血中遊離アマンタジン濃度の上昇をもたらし, この影響により, 中毒症の増悪や血液浄化療法に伴う遊離アマンタジンの血中濃度の変動の増幅を誘発することが推察された.

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