日本透析医学会雑誌
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原著
  • 伊田 絢美, 高田 知朗, 小川 将也, 谷口 宗輔, 前 ゆかり, 井山 拓治, 山本 真理絵, 福田 佐登子, 磯本 一
    2020 年 53 巻 11 号 p. 539-546
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    感染症は維持透析患者の死亡原因第2位であり対策は重要である. 今回, 当施設での感染症の実態を調査した. 過去5年間に血液浄化療法を施行した入院患者1,174名のうち, 感染症を契機として入院した維持血液透析患者137名を対象として, 感染源と患者背景を調査した. 皮膚・軟部組織感染が67例 (48.9%) で一番多かった. 敗血症は35例, 死亡転帰は16例であり, いずれも皮膚・軟部組織感染が最多であった. 皮膚・軟部組織感染群 (67例) は感染源不明を除くその他の感染源群 (58例) に比して, 有意に年齢が若く, 透析歴および入院期間が長かった. また, 糖尿病性腎症が占める割合が多く, 同部位の感染症による再入院が多かった. 皮膚・軟部組織感染のうち大半を占める下肢慢性創傷の細菌感染は, 抗菌薬治療と同時に血行再建術や外科的処置が必要となる場合があるため, 早期からの下肢慢性創傷管理と感染のコントロールが非常に重要である.

症例報告
  • 緒方 彩人, 林田 迪剛, 坂本 昇, 佃 文夫, 堀口 裕, 古賀 祥嗣
    2020 年 53 巻 11 号 p. 547-551
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性. 糖尿病性腎症による末期腎不全のため4か月前より血液透析を施行していた. 冠動脈バイパス手術の既往があり, 心臓外科でCTを施行したところ, 偶発的に左腎腫瘍および多発肺転移を認めたため当科紹介受診した. 転移性左腎細胞癌 (cT1bN0M1, IMDC分類中リスク) と診断し, 免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ・イピリムマブ併用療法を開始した. 投与量は標準投与方法に準じた. 2コース終了時 (6週後) には左腎原発巣, 多発肺転移巣ともに縮小してpartial response (PR) と判定した. 8コース終了時 (18週後) にはさらに腫瘍径は縮小しPRを維持している. 副作用としては, 4コース終了時 (12週後) にGrade 2の甲状腺機能低下症を認めたが, 内服加療のみで速やかに改善した. その他の副作用は認めなかった. 転移性腎細胞癌に対するニボルマブ・イピリムマブ併用療法は, 血液透析患者においても忍容性のある非常に有効な治療法と思われる.

  • 中島 瑛里子, 軽部 美穂, 中島 昌典, 下田 佐知子, 國友 理恵, 李 恵怜, 宮本 彩子, 竹森 愛, 小林 知志, 久木元 光, ...
    2020 年 53 巻 11 号 p. 553-558
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は75歳男性で, 四肢遠位部のしびれを認めた. myelin-associated glycoprotein抗体陽性ニューロパチー (MAGN) と診断され, 経静脈的免疫グロブリン療法 (IVIg) やリツキシマブ, ステロイドパルス療法, アザチオプリンを導入するも改善は認められなかった. 血漿交換療法 (PE) を導入したところ, 症状の改善を認めた. 2か月おきに約4年間でPEを計26コース施行し, 症状の進行を認めなかった. 近年MAGNに対する治療として, リツキシマブに関するrandomized controlled trialが散見され, 治療の中心となりつつあるが, 3分の1で無効ないし悪化するとの報告もある. PEは短期間での有効性を認めた報告例はあるが, 本症例のように長期にわたり状態の維持を認めた報告はなく, PEが維持療法として有用である可能性が考えられた.

  • 東 桂史, 福島 辰朗, 西山 純一郎
    2020 年 53 巻 11 号 p. 559-565
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    症例1は70歳代男性. 外来透析中に傾眠傾向とチェーンストークス呼吸を認め入院. 入院時, AST 6,916U/L, ALT 3,756U/Lと著明な肝障害を認めた. ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎の可能性を念頭に精査を行ったが異常所見を認めず, 肝障害は約2週間の経過で正常化した. 併存症として慢性心房細動, うっ血性心不全, 睡眠時無呼吸症候群 (sleep apnea syndrome: SAS) を認め, これらに起因した低酸素性肝炎 (hypoxic hepatitis: HH) と診断した. 症例2は70歳代男性. 発熱, 呼吸困難で夜間救急搬送となり, 気管支肺炎の診断で入院. 入院時の検査では肝障害はみられなかったが, 翌朝の血液検査にて高度の肝逸脱酵素上昇を認めた. ウイルス性肝炎や肝臓の占拠性病変など検査したが異常所見はなく, 肝障害は約2週間の経過で正常化した. 併存症として発作性心房細動, 心不全およびSASを認めた. 心房細動を伴う心不全に加えSASによる低酸素状態が発症に寄与した可能性があるHHの血液透析2症例を経験したので報告する.

  • 内藤 正吉, 川村 沙由美, 和田 達彦, 山崎 拓也, 宮坂 竜馬, 佐野 景子, 榊原 麻友子, 高橋 遼, 永岡 未来, 青山 東五, ...
    2020 年 53 巻 11 号 p. 567-572
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は85歳, 女性. 9年前に糖尿病性腎症のため血液透析導入. 2日前より傾眠傾向となり, 1日前に他院に入院. その際, 発熱・SpO2低下はなく, CRP高値・胸部CT所見・SARS-CoV-2 PCR陽性のため, COVID-19の診断で当院に転院となった. 入院翌日より維持透析 (週3回1回3時間, 抗凝固薬 : ナファモスタット)・レボフロキサシンの透析後投与を開始. 第3病日には傾眠傾向が改善した. 第5病日よりロピナビル・リトナビル (LPV/r) 配合錠の透析後内服を開始し, 炎症反応, 画像所見ともに改善した. 本例の特徴として, 1) 糖尿病・認知症を有する高齢者, 2) 細菌性肺炎合併, 3) LPV/rを用いたCOVID-19治療で改善, といった点があげられる. 透析患者のCOVID-19感染症は予後不良なことが知られており, 今後のCOVID-19患者の治療の一助となることから報告する.

  • 高井 佳菜子, 山内 孝, 長谷川 幸生, 山本 臨太郎
    2020 年 53 巻 11 号 p. 573-578
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は56歳, 男性. 糖尿病性腎症を原疾患とする末期腎不全で透析導入となった. 術前の心臓超音波検査で左室駆出率30%と低心機能であり上腕動脈表在化の方針としたが, 返血穿刺部として適切な表在静脈がないため動脈表在化に加え上腕動脈-尺側皮静脈内シャント (brachiobasilic arteriovenous fistula: BBAVF) 作製, 尺側皮静脈の表在化を一期的に行った. 心機能の悪化時にはシャント閉鎖を行う方針とした. 術後上腕動脈の血流量は1,288mL/分と適正流量の範囲内で心機能の悪化はなく, 発達した尺側皮静脈から穿刺可能となった. 心機能低下例において上腕動脈表在化は推奨されるバスキュラーアクセスであるが, 返血静脈がない場合も少なくない. 動脈表在化と同時にBBAVF作製と静脈表在化を行うことにより返血静脈が確保される本術式は1つの選択肢であると考えられたため文献的考察を加えて報告する.

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