日本透析療法学会雑誌
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20 巻, 10 号
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  • 森河 浄, 黒田 満彦, 秋山 敬, 河合 盛光, 竹田 正広
    1987 年 20 巻 10 号 p. 757-763
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    成人T細胞白血病ウイルス関連抗原 (ATLA) に対する抗体の検索を, 本病の低発生地域である福井県内の透析患者について行った. 対象は透析患者142名で, 同時に対照として, 健常者76名ならびに一般患者62名, 白血病11名, リンパ腫5名, 骨髄腫7名, 抗核抗体 (ANA) 陽性患者10名について, EIA法により測定を行った. このスクリーニングにおいて, 透析患者3名, 急性白血病患者1名, ANA陽性患者2名, 計6名が陽性となったが, 阻害試験およびウエスタンブロット法によって陽性と確認できたのは, 透析患者2名のみであり, 残りの4名は擬陽性であった. この2名はいずれも北陸出身・在住の男性 (32歳および69歳) で, 家族内陽性者はおらず, ともに輸血歴を有し, 輸血による感染が最も疑われた, うち1名は同時にHBウイルス無症候キャリヤーでもあった. 対象とした透析患者のATLA抗体陽性率は1.4% (2/142) であり, 福井県の一般人口の陽性率 (0.3%未満) に比べ有意に高かった. 透析患者は, 輸血を受ける機会も多く, また対外循環治療を長期にわたって頻回にうけており, 感染性病原体に暴露される頻度は高い. かような環境下にある透析患者では, ATL低発生地域においても, ATLウイルスキャリヤーとなるケースも多いと考えられる. したがって, 予防的措置として血液センターにおける輸血用血液製剤のスクリーニングはもとより, 今後, 透析施設内における二次感染の可能性もあるので, 抗体陽性者の発見・管理は重要と思われる.
  • 井垣 直哉, 西庵 良彦, 荒川 俊雄, 松下 健次, 三木 章三, 後藤 武男, 川端 典義, 坂井 瑠美, 西岡 正登, 駒馬 敬太郎, ...
    1987 年 20 巻 10 号 p. 765-769
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回, 著者らはCAPD患者における脂質代謝異常について, 血中脂質およびapo蛋白ならびにpost dextran sulfate lipolytic activityの経時的変動を中心にして検討を加えた. TG, HDL-コレステロール (HDL-C), 総コレステロールいずれもCAPD療法後7-12ヵ月にかけて一時的上昇傾向を示したが, さらに長期観察では有意な変動はみられなかった. LCAT活性については長期に及ぶにつれ低下傾向を示し, またapoA1, apoA2は37ヵ月以上の長期例で有意な低下を示した (それぞれp<0.01, P<0.05). Apo B, apo E, apo C2, apo C3については観察期間中は有意な変動は示さなかったが, apo C2/C3比では36ヵ月までに一時低下傾向を示すも, 37ヵ月以降に有意な (p<0.05) 回復を示した. デキストラン硫酸負荷 (体重当り6mg) 前後においてLPL活性, HTGL活性を測定し経時的に見たものでは, 上昇傾向を示すも有意でなかった. またTG, LPL活性, apo C2/C3比相互間の相関を見たものでは, 経時的に有意な変動は見られなかった. 以上より, CAPD療法では一時的にcarbohydrateのoverload etcによる高TG血症の増強が見られるが, さらに長期観察ではそれ以上の増強は見られなかった. またatherogenecityに対してprotectiveなapo蛋白であるapoA1, apoA2の37ヵ月以降の低下およびLCAT活性の経時的低下傾向は, atherogenecityを増強させる危惧をいだかせるが, apo C2/C3比の37ヵ月以降の回復およびLPL活性HTGL活性の経時的上昇傾向は, それを相殺する効果もあると予想された.
  • 谷口 豊, 田島 惇, 福田 健, 須床 洋, 中野 優, 牛山 知己, 太田 信隆, 阿曽 佳郎
    1987 年 20 巻 10 号 p. 771-774
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    メシル酸ガベキサート (パナベート®) を, 出血傾向を有する移植腎機能が不十分である5人の腎移植者の血液透析の局所抗凝固剤として用いた. 血液透析の回路には, 二連式チェンバーを使用し, メシル酸ガベキサートは動脈側より注入し, その投与量は, 患者それぞれのヘマトクリット値と活性化部分トロンボプラスチン時間によって決めた. すなわちヘマトクリット値が高値あるいは活性化部分トロンボプラスチン時間が短縮している場合は, メシル酸ガベキサートの投与量を増量し, 逆の場合は, その投与量を減量した. またメシル酸ガベキサートは, 1時間当たり170-250mlの生理食塩水で希釈して投与した. その結果1時間当たり500-800mgのメシル酸ガベキサートの投与量で安全かつ十分満足できる血液透析を行うことができた. 2症例では, 少量のヘパリンを併用したが, 残り3例ではヘパリンを全く使用しなかった. 我々の方法では, メシル酸ガベキサートの投与量は, 従来報告されている投与量より少量ですみ, 臨床上十分満足できる結果が得られた.
  • 寺田 隆久
    1987 年 20 巻 10 号 p. 775-786
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    種々の血液浄化法の進歩, 普及により, 末期腎不全 (ESRD) 患者の予後は著しく改善されてきたが, 長期透析例の増加に伴い, さまざまな合併症が問題となってきている. その中でも循環器系合併症は大きな比重を占め, 高血圧, 動脈硬化はこれらの重要なrisk factorである. 高血圧に関しては最近, 昇圧系に対する降圧系の役割も注目され, カリクレイン-キニン系やプロスタグランディンの重要性が指摘されている. 動脈硬化に関しても, トロンボキサンA2およびプロスタサイクリンとの関連が注目されている. そこで今回, 著者はESRD患者94例 (未透析 (UD) 群15例, 維持透析 (MD) 群74例, 無腎 (AN) 群5例) および健常志願者 (HV) 群27例を対象にし, 血中PGs (PGE2, PGF TXB2, 6-keto-PGF) を測定し, 検討を加えた. 得られた結果は以下の如くである.
    1) HV群において, 6-keto-PGFは年齢と負の相関を, TXB2およびTXB2/6-keto-PGF ratioは正の相関を示した. 2) 6-keto-PGFはAN群, HV群, MD群, UD群の順に低下し, TXB2およびTXB2/6-keto-PGF ratioはUD群で高値を示した. PGFはESRD患者で高値を示した. 3) 6-keto-PGFはUD群 (ただし, 収縮期血圧とは有意な相関は得られなかった), MD群でそれぞれ血圧との間に負の相関を示し, ESRD患者におけるプロスタサイクリンの血圧異常への関与が示唆された. 4) 脈波伝導速度とTXB2およびTXB2/6-keto-PGF ratioとの間には正の相関が, 6-keto-PGFとT-cho., TG, PL, β-LP等との間には負の相関がみられ, トロンボキサンA2およびプロスタサイクリンがESRD患者の動脈硬化症および脂質代謝異常に対しても, 何らかの役割を担うことが示唆された.
  • 白石 順子, 高山 邦子, 本岡 精, 小坂 博基, 茨木 一夫, 向野 義人, 内藤 説也
    1987 年 20 巻 10 号 p. 787-791
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期血液透析患者では, 腎性骨異栄養症やアルミニウム骨症等の骨障害がある. この骨障害予防を食事の面から考え, 食事内容がカルシウム, リン代謝に及ぼす影響を検討した. 対象は, 活性型ビタミンD製剤および水酸化アルミニウムゲルの投与量を変更していない外来維持血液透析中の患者27名 (男21, 女6) で平均年齢48.1歳, 平均透析歴40.3カ月である. 食事調査および血液検査を, 昭和59年とその1年後の2回施行した. 食事内容はドライウェイト1kg当たりのカルシウム, リン, 蛋白摂取量とリン/カルシウム比を算出した. 同時に血清カルシウム, リン, 副甲状腺ホルモンC末端, アルカリフォスファターゼを測定した. 両者の1年間における変化量を算出し, 各々の相関関係について検討した. その結果, 昭和59年の摂取カルシウム量は8.3±0.8 (SE) mg/kgBWと低く, 摂取リン量は19.5±0.9mg/kgBWと高値を示していた. 血清カルシウム, 副甲状腺ホルモンC末端, アルカリフォスフォターゼの変化量と食事内容の変化量との間には相関は認めなかった. 血清リン値の変化量は, 摂取カルシウムの変化量 (r=-0.61, p<0.001), リン/カルシウム比の変化量 (r=0.55, p<0.01) との間に有意の相関を認めた. この相関には, 副甲状腺ホルモンC末端, アルミゲル投与の有無は影響を及ぼしていなかったが, 活性型ビタミンD製剤未投与の者では, 投与している者に比べ, 摂取カルシウム量の変化による血清リン値の変化が大 (p=0.06) であった. 血清リン値の変化量と摂取リンの変化量との間には, 相関は認めなかった. 以上のことより, 維持血液透析患者の高リン血症に対する栄養指導を行う時, 特にビタミンD製剤未投与の者に対しては, 摂取リン量のみならず, 摂取カルシウム量にも十分な注意を払う必要があることが示唆された.
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 793-803
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 804-808
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 809-813
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 814-822
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 823-830
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 10 号 p. 831-840
    発行日: 1987/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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