日本透析療法学会雑誌
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21 巻, 4 号
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  • 飛田 美穂, 高宮 登美, 飯田 宜志, 在原 和夫, 平賀 聖悟, 佐藤 威, 田中 豊
    1988 年 21 巻 4 号 p. 349-353
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    感染症は血液透析者の一般的な合併症の1つであるが, 時として致命的となる. 今回, 血液透析患者に合併した肝膿瘍症例を経験したので報告する.
    患者は28歳の男性で血液透析導入6ヵ月目に呼吸困難と高熱を来たし当院へ入院した. 超音波およびCT検査にて, 肝左葉S2に90×80mmの肝膿瘍を認めた. 抗生剤の全身投与と超音波映像下穿刺ドレナージにより, 約2ヵ月後には膿瘍は消失した. ドレナージチューブを抜去し, 抗生剤投与も中止したが臨床症状は改善し膿瘍の再発もなく軽快退院, 以後外来維持透析中である.
  • 大平 整爾, 阿部 憲司, 今 忠正, 近藤 正道
    1988 年 21 巻 4 号 p. 355-363
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 血液透析を要する疾患が多様化し, 患者数の増加が著しい. 長期生存者も漸次, 増加の-途をたどりこれに伴う重要な問題の1つとしてblood accessが挙げられる.
    今回, 私共は昭和59-61年の3カ年間にblood access (大半が自家動・静脈内シャント) に何らかの問題があるため手術的処置を加えた105例 (115手術) を分析, 検討した.
    症例の母集団の性別比からみると, 再建例には女性が有意に多かった. 再建例のピークは透析導入1-2年後と7年以降とに認められた.
    前者は初回内シャント造設時の脈管の状態に, 主として依存するものと推測された. 初回内シャント造設時に良好な状態にあった脈管であっても, 静脈は動脈化による圧負荷および頻回の穿刺によって漸次, 硬化・狭窄の変化が生じ荒廃していく. 異所性石灰沈着は血管に最も発生しやすく, これもまた脈管を損傷する一因となる. 内シャントの状態は, 日常の透析に際して視・触診所見, 穿刺性, 血流量, 静脈圧などをチェックしていくことが, まず基本になるが, 必要に応じて, エコー, シャント造影, サーモグラフィーなどの検査を行うことが肝要である. 再建の原因は静脈硬化・狭窄にもとづく血流量低下が第一位を占め, 同じ理由による血栓形成が第二位を占めた.
    7例に動脈表在化のみが行われ内6名はCAPDへ移行した. 人工血管 (E-PTFE) の使用は24回 (20.8%) であった. 残る症例は既存内シャントの中枢側よりに再吻合または修復が可能であった. 再建の手技はaccess不調の原因や程度が様々なため多岐にわたるが, 考慮事遺は以下のように要約しうる; (1) 再建が技術的に可能か (2) 人工血管を使用するか (3) 再建術がその後の長期使用を可能にするか (4) 種々の処置が新しい問題を招来しないか (5) 術後1-2日目に穿刺が可能か. これらを十分に考慮した早期の処置がシャント寿命を延長させるものであろう.
  • 松尾 武文, 山田 勤, 中尾 一清
    1988 年 21 巻 4 号 p. 365-368
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    人工透析器材の生体適合性を, 血液性状の変化の面から評価することを目的とした. 体外循環時の血液性状の変化のうちで, 血小板の活性化と凝固系には接触因子の活性化が起る。 今回は, 体外循環中の凝固活性化を知る目的で, APTT, 活性化全血凝固時間, フィブリノペプタイドA (FPA, EIA法) を慢性腎不全でキュプロファン膜透析器により維持透析中の患者10名を対象として測定した. その結果, FPAには体外循環の動脈側と静脈側で較差が存在し動脈側に比較して静脈側が高値を示した. そこで, FPAの動静脈較差を計算することによって, 透析器内のFPAの産生の状態を知ることができた. また抗凝固剤として, ヘパリンと合成抗トロンビン剤 (MD 805) を交互に使用してFPA産生に対する影響をみた. その結果, APTTや活性化全血凝固時間によるモニタリングでは有意差はないのにもかかわらず, FPAの動静脈較差はヘパリンよりもMD 805のほうが大きかった. 以上のことから, 凝固活性の面から生体適合性を評価するには体外循環中のFPAの産生をみる方法が有用であった.
  • 岩元 則幸, 小野 利彦, 山崎 悟, 福田 豊史, 近藤 守寛, 山本 則之, 日野 恵, 山本 逸雄
    1988 年 21 巻 4 号 p. 369-374
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者54例延べ58回の骨生検を行い, 臨床所見, 生化学検査, 骨X線, 骨シンチグラム, 骨組織像, PTX, DFO療法に対する効果検討し, RODの臨床的分類を試みた. 骨組織学的に線維性骨炎20, 軽微変化型9, 骨軟化症6, 無形成型21, 線維性骨炎と骨軟化症の混合型1, 骨粗鬆症1, 骨シンチグラムより, 線維性骨炎型19, 骨軟化症型6, 無形成型18, 非特異病変型9に分けられた. 両診断の合致率は無形成骨, 骨軟化症で100%, 線維性骨炎で84.2%であり, 非特異病変型の88.9%は骨組織学的に軽微変化型であった. Al骨症は, 全体で46.6%, 各組織型で, 無形成骨71.4%, 骨軟化症100%, 軽微変化型55.6%, 混合型100%であった. 線維性骨炎, 骨粗鬆症には認めなかった. 線維性骨炎に対するPTX, Al骨症に対するDFO療法は, 腰部, 股関節で良好であったが, 肩関節, 手関節ではその効果を認めず, 膝関節, 足関節は前二者の中間的反応を示した. Al蓄積症においてはDFOの効果を認めなかった. DFO療法の組織学的効果を8例について検討したが, Al染色の軽快消失, 類骨の減少, 活形成面, 活吸収面の増加をみた. 以上の検討より, 今回の58例は以下の4群に分類された. 1群: 線維性骨炎群18例, Al骨症群16例, 3群: AM骨関節群18例, 4群: 非Al骨症非AM関節症群6例, 1群が他群に比べPTH・ALPは高値を示し (P<0.01), Al骨症群はAM骨関節症群に比べ透析歴は短かった (P<0.05).
  • 後藤 健, 佐藤 卓, 前島 俊一, 杉田 栄一, 岩本 忠彦, 中川 成之輔
    1988 年 21 巻 4 号 p. 375-382
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    短時間にて効率良く大量の溶質 (small, middle, large molecule), 過剰水分 (fluid overload) の除去, 酸塩基平衡の改善を図るためには, HDFが理想的な血液浄化法の1つである. Hardwearからの試みとして大量の重曹置換液を透析液より作成して用いるon-line high flux HDF (hard HDF) を, softwearからの試みとして高濃度の重曹置換液を少量用いるblofiltration (soft HDF) を臨床応用し, 透析時間の短縮を図った.
    対象は, hard HDF 6名, soft HDF 8名でHemodiafilterとしてhigh performance membraneを用い, control HD期間より血液浄化時間の1時間の短縮を試みた.
    Hard HDFにおいては溶質除去, 水分除去, 酸塩基平衡の是正ともに問題なく, 1名においてPTHが低下し, 3名においてアルミゲル服用量の減少が可能となった. β2-MGの除去量は150-300mg/session, 除去率は, 50-70%/session, 血中β2-MG濃度の維持レベルを20-30%, 10mg/l以上低下させることが可能であった. Hemodiafilterとしてbiocompatible membraneを使用することにより長期的臨床効果も期待された.
    Soft HDFにおいては透析時間の短縮に伴い, 溶質除去能が低下し, I. P. が上昇し, 3名においてPTHが上昇した. 酸塩基平衡の過度の補正がみられ置換液の組成, 置換液量の再検討が要求された.
    短時間透析の条件として, hardwearからは, 高血流量, 重曹透析液あるいは重曹置換液, 正確な計画除水装置が必須条件で幅広い分子量の溶質の除去を試みるにはhard HDFの応用が望ましく, hardwearの枠組みは完成しており, 血流量の上昇, 限外濾過量の上昇により超短時間透析も期待できる。 Soft HDFにおいては, 溶質除去, 酸塩基平衡の改善程度に問題があり, softwear自体にかなりの改善の余地がある.
  • 西 秀樹, 筒井 修一
    1988 年 21 巻 4 号 p. 383-388
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    最近9年間に施行したblood accessの手術総数は2,595例で, 最も多いのが再作製術で1,472例, 人工血管移植は258例であった. 手術を要した合併症の種類は, 外, 内シャントとも血管の狭窄が圧倒的に多く併せて1,737例である. 手術に要した時間は, 60分未満の手術が974件と最も多く平均時間は55.2分であったが, 外シャントのみでは30分未満が510件で最も多く, 平均時間は43.3分であった.
    高齢, 長期透析者および糖尿病やSLEなどの合併症を有する透析者が多い現在, blood accessの長期維持, 管理には次のような点に留意すべきである. 手術に関しては, 術前の患者も術者同様, 手洗い, brushingを行う. 外シャント作製の場合, body tube, vessel tip, 固定糸に種々の工夫を施す. 手術時間をできるだけ短縮し, 出血量も最少限に抑える. そのためには専門のシャント外科医と有能なスタッフを揃える. また, 易感染性を有し寿命が短い人工血管の使用は極力避け, 適性抗生剤の使用と患部の冷却, 洗浄にて感染を防御する. 次にblood access特有の閉塞に関しては, declottingを確実に行う. 特に外シャントではFogartyのみならず気管支ファイバー用のbrushも駆使して頑固な血栓を除去する. また血栓形成予防のためには抗凝固剤を利用し, いったん血栓を形成したならその早期発見と処置も大切である. その他に患者やスタッフの日常管理と教育, 運動訓練による血管拡張の促進, 術者側の詳細な手術記録なども, blood accessの長期維持につながる重要な因子である.
  • 血液透析患者の手関節部嚢胞状X線骨透亮像とアミロイド骨関節症について
    本間 則行
    1988 年 21 巻 4 号 p. 389-397
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    最近, 長期透析患者にアミロイド骨関節症が合併し, 病変関節周囲の骨にX線上cystic lesionを認めることが知られるようになった.
    透析患者にみられる嚢胞状X線骨透亮像cystic radiolucencyとアミロイド骨関節症との関係を明らかにする目的で, 血液透析患者の手関節部骨X線のcystic lesionを (-) (±) (+) (++) の4段階にgrade分類し, そのgradeと年齢, 透析歴, 手根管症候群合併の有無, 慢性腎不全の原因疾患, 血中のβ2-microglobulin, PTH-Cおよびaluminum値との関係を検討した. 対象は, 維持血液透析を受けている376名, 男240名, 女136名, 平均年齢47.8±13.1歳, 平均透析期間6.7±4.3年であった. cystic lesion陽性率は, 対象患者中22.9%であり, 男女差なく, 嚢胞腎や腎盂腎炎を原因疾患とする慢性腎不全に高率で, 10年以上の長期透析患者で33.0%, 手根管症候群合併患者で68.4%と頻度が高かった. cystic gradeの重症度が高まるにつれて, 年齢が高く, 透析期間が長期となった. cystic gradeと血中PTH-Cおよびaluminum値との間に一定の傾向を認めず, grade (±) で血中β2-microglobulinが高値を示した. bone cystの生検を行った2例の組織は, いずれも抗β2-microglobulin抗体陽性のアミロイドを認めた.
    以上の結果から, 透析患者の手関節部骨X線で観察されるcystic radiolucencyは, β2-microglobulinに由来するアミロイド骨関節症の診断や病態を知るうえで, 有用な指標となることが明らかとなった.
  • 仲里 聰, 久保 和雄
    1988 年 21 巻 4 号 p. 399-406
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    短時間透析の心血管系へ及ぼす影響についてSwan-Ganz thermodilution catheterを用いて透析中の血行動態の変化について7名の慢性維持透析患者で検討を行った. 3時間血液透析 (3h HD)・dialyzer膜面積2.0m2 (4名), 4hHD・dialyzer膜面積1.0m2 (3名), 3h血液濾過透析 (HDF)・10l交換 (3名), 4hHDF・10l交換 (2名) を施行し, 血行動態指標, 血液生化学, 心電図, 胸部X線, UCG, そして重水 (D2O) 投与による全体水分量などを3hHDと4h HD, 3hHDFと4hHDFでそれぞれ比較検討した. 3hHDと4hHDでは血行動態指標をはじめ, その他の諸検査において有意差はなく, 3hHDFと4hHDFでも同様の結果であった. しかし, 限外濾過量が大の場合 (標準体重に対する体重増加率: ΔBW/SW>5%) には心係数, 肺動脈拡張期圧, 平均右房圧, 1回拍出量係数は低下し, 心拍数, 全末梢血管抵抗係数の上昇はみられるものの代償しきれず, 平均動脈圧の低下をきたした. 技術的には3時間の短時間透析は可能であるが, 透析時間よりも限外濾過量の要因が血行動態に影響し, 透析間の水分管理が重要といえよう.
  • 佐々木 優里, 太田 和夫, 堀田 茂, 寺岡 慧, 江良 和雄, 久保 和雄, 山口 裕, 笠島 武
    1988 年 21 巻 4 号 p. 407-411
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    われわれが, 昭和62年5月までに東京女子医科大学腎臓病総合医療センターで横手根靱帯開放術を施行した患者は165名, 187手におよぶ. 患者の男女比は93:72, 年齢35-78歳, 平均58.3歳, 透析歴は2年6ヵ月-17年8ヵ月, 平均10年3ヵ月であった. 一方, 長期透析療法施行中の患者の中には, 手根管症候群のみならず, 体内の種々の臓器にアミロイド沈着が生じ障害をきたしている症例が増加している. われわれの施設においても手根管症候群のほかに臀部および腰部にアミロイドが沈着し, 臀部のアミロイド腫瘤を切除した症例がある. 今回われわれは, この組織とともに横手根靱帯開放術を施行した187手の靱帯, 滑膜, 腱, 皮膚などの病理組織標本と, さらに透析療法継続中に死亡して病理解剖を行った29症例の肝臓, 腎臓, 心筋, 直腸粘膜の各組織に対してコンゴーレッド染色, マッソン染色およびβ2-microglobulin (β2-MG) 染色 (酵素抗体法) を施行した.
    横手根靱帯開放術でえられた滑膜, 横手根靱帯, 手掌筋腱, 皮膚の各組織でコンゴーレッド染色陽性, β2-MG染色陽性, 細動脈硬化, 脂肪膜様変性, 結合織の硝子化の所見が多くみられた. また透析歴16年の男性よりえられた坐骨結節部腫瘤も同様の所見を示し, 同患者のS状結腸穿孔部の病理組織標本でもβ2-MG染色陽性であった. 透析療法継続中に死亡した29例のうち21例は急性腎不全, 8例は慢性腎不全であった. 慢性腎不全群では透析歴11年の女性の腎において脂肪膜様変性とコンゴーレッド染色およびβ2-MG染色陽性所見がみられ, また透析歴10年の男性の心筋と直腸においてもコンゴーレッド染色とβ2-MG染色が陽性であった. 透析アミロイドーシスの患者の平均血中β2-MG濃度と透析アミロイドーシスを合併しない患者の値との間に有意差はなく病理組織所見の多様性からさらに多くの要因が発症に関与しているものと考えられる.
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 413-415
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 416-418
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 419-421
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 422-424
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 425-427
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 428-430
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 21 巻 4 号 p. 431-433
    発行日: 1988/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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