血液透析患者39名を対象として, 腸骨骨生検を施行し, 骨形態計測を行い, 同時に血清bone Gla-protein (BGP) (RIA法) およびalkaline phosphatase (ALP) (Kind-King法) を測定して, dialysis osteodystrophyにおける血清BGPの臨床的意義について, 血清ALPと比較, 検討した. 血清BGPは骨芽細胞活性, 骨標識率, 補正石灰化速度および骨形成率と比較的強い正の相関を示し, 破骨細胞性骨吸収とも有意の正の相関を示した. また, 血清BGPと補正石灰化ずれ時間, 骨形成時間, [吸収+逆転] 時間および骨梁単位のリモデリング時間との間には比較的強い負の相関が認められた. 一方, 血清ALPは骨芽細胞活性, 骨標識率, 補正石灰化速度および骨形成率とは有意の正の相関を示したが, 破骨細胞性骨吸収との相関は弱く, 補正石灰化ずれ時間, 骨形成時間およびリモデリング時間とは有意の相関を示さなかった.
結論: 血液透析患者において, (1) 血清BGPおよびALPは骨芽細胞活性の指標となる. (2) 血清BGPが高いものほどmatrix maturation timeが短く, 骨石灰化が増加しており, 骨形成時間が短かった. 血清BGPは骨形成・石灰化をよく反映しており, その指標となる. 一方, 血清ALPはmatrix maturation time, および骨形成時間とは有意の相関を示さず, 骨形成・石灰化において, BGPとは異なる面を反映していると考えられた. (3) 血清BGPは破骨細胞性骨吸収とも正の相関を示し, リモデリング時間とは強い負の相関を示した. 血清BGPが高いものほどリモデリングが高回転であり, 血清BGPは骨吸収も含めたbone turnoverの生化学的なよい指標となる. 一方, 血清ALPは骨吸収との相関が弱く, リモデリング時間とは有意の相関を示さなかった. Bone turnoverの指標としては, 血清BGPの方がALPよりもすぐれているものと考えられる.
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