蛋白結合性ToxinとしてのHippuric acid (HA), Indoxyl Sulfate (IS) の測定法を確立し, 透析療法実施中の慢性腎不全患者におけるこれらの動態について検討したので報告する.
慢性腎不全のために血液透析中の患者38名, Ccr 50-60m
l/minの腎不全患者4名, 健常者4名を対象として, 高速液体クロマトグラフィーにてIS, HAを定量した. なお, 透析前後の採血に際しては, 血漿のほかに, 血球も採取した. 得られた測定値をもとに, 蛋白漏出膜を含む各種ダイアライザーのIS, HAに対するクリアランス, 透析に伴う推測除去量と実測除去量との差などを算定した.
対象患者のIS, HAの血漿濃度は, それぞれ4.05±1.07mg/d
l, 2.81±1.48mg/d
lで, これらはそれぞれ健常者の10-20倍, 30-60倍にあたる. IS, HAに対する従来の透析膜の限外濾過=0m
l/minにおけるクリアランスは, HAについては分子量から推察されるクリアランスを示したが, ISは13-17m
l/minと極めて低く, これを除去するためには蛋白漏出膜 (ハイパフォーマンス膜) を使用し, かつ, 限外濾過をかける必要があるものと判断された.
透析による推測除去量と実測除去量の差をみると, IS, HAのいずれも, 実測除去量のほうが多くなる傾向にあった. これは, 血球と透析膜との相互作用の結果, 血球からの解離が比較的速やかに行われるためであると考えた.
以上, 長期透析患者では, HA, ISなどの蛋白結合性Toxinが体液中に大量に貯溜しており, ISについては, それを除去するために蛋白漏出膜 (high performance membrane) を用いた血液濾過法~血液濾過透析法を実施する必要があるものと推察された.
なお, HAは, 本研究の当初の予想に反して, 透析性は比較的良好であるとの成績がえられた.
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