日本透析療法学会雑誌
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22 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 前田 貞亮, 飯田 喜俊
    1989 年 22 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 三村 信英, 酒井 糾
    1989 年 22 巻 1 号 p. 23-47
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 青木 正, 馬渕 非砂夫, 中橋 彌光
    1989 年 22 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: 慢性透析患者の血中bone Gla protein (BGP) およびhydroxyprolineを測定, 骨代謝の指標としての臨床的意義を検討した.
    方法: 当院透析患者114例を対象に, BGPは東洋醸造のキットを用いRIA法により, hydroxyprolineは除蛋白後, freeのものをHPLC法により測定. 骨代謝関連の名種パラメーターと比較検討した.
    結果: 1. 血中BGPは36.6±25.0ng/mlで, 年齢との相関はなく, 透析歴とは正の相関を示し, 性別では女性が有意に高かった. Hydroxyprolineは5.05±2,56μg/mlで, 年齢, 透析歴との相関はなく, 性差も認めなかった.
    2. BGPとhydroxyprolineはr=0.45 (P<0.001) で正の相関を示した.
    3. BGPはPTH-Cとr=0.67, ALPとr=0.62, hydroxyprolineはPTH-Cとr=0.61, ALPとr=0.65 (いずれもP<0.001) と正の相関を示した. Ca, P, アルミニウム, β2ミクログロブリンとは相関がみられなかった.
    4. BGPと第2中手骨のMCI, ΣGS/D, hydroxyprolineとΣGS/Dは負の相関を示した.
    5. BGPとhydroxyprolineはいずれもRI uptake ratio (骨シンチグラフィーによる腰部軟部組織に対する第3腰椎とのカウント比) とr=0.53, r=0.40 (P<0.001) で正の相関を示した.
    結論: BGPとhydroxyprolineはいずれも慢性透析患者における骨代謝に関し, turn overを示す重要な指標と考えられる.
  • 大塚 和子, 小出 輝, 森内 幸子, 堤 ちはる
    1989 年 22 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    骨に特異的な蛋白質であるγ-カルボキシグルタミン酸含有蛋白質 (γ-carboxyglutamic acid-containing protein of bone: BGP) を血液透析患者で測定し, 他の生化学的データとの相関およびマイクロデンシトメトリー法 (MD法) による骨病変との相関を検討した.
    血清BGP値はクレアチニン・クリアランス (C cr) が30ml分以下になると急激に増加した. BGPが腎で分解・排泄をうけることと, C crが60ml分以下になると骨の組織学的変化をきたすことが, BGPの上昇に関係していると考えられた. したがって腎機能低下時のBGP値上昇には腎と骨の2つの因子が影響を与えており, その成因は複雑である. 透析症例の血清BGPは高値を示したが, 広い範囲にばらついていた. BGPはAI-P, PTH-Cとの間に正相関を認め (r=0.49 p<0.01, r=0.73 P<0.01), 骨のturnoverの有用な指標になると考えられた.
    しかし, BGPとMD法の各パラメーター (MCI, ΣGS/D, ΔGSmin) との間には何ら相関を認めず, BGPは骨量の指標になるとはいいがたいと思われた. また, BGPは透析期間, 年齢とは有意な相関がなく, これらには影響をうけないと考えられた.
  • 高見沢 重隆, 太田 真, 水口 正人, 大村 延博, 亀田 千賀子, 佐藤 成明, 田中 博, 杉本 健一, 川口 良人, 宮原 正
    1989 年 22 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期CAPD患者における心機能の経年変化を検討し, またHD患者との比較を行った. これと同時にCAPD注排液操作の心臓電気軸に与える影響も検討した.
    対象は3年以上継続してCAPDを行っている10例 (男8例, 女2例) で, 透析開始時より2か月以内 (1期), 3年以上 (II期) において, 断層心エコー図法を用いIVST, LVPWT, LVDs, LVDd, EPSS, IVCDを計測した. またこれよりStroke volume, Cardiac index, Ejection fraction, Fractional shorteningを算出した. II期においては標準12誘導心電図・ベクトル心電図を用い注排液による心臓電気軸の偏位を計測した.
    (1) 滞液時・排液時での比較では, IVCDで滞液時の減少を認めたが, 他の指標では変化を認めなかった. (2) 経年変化による比較では, IVST, LVPWTはII期で軽度増大を示し, LVDs, LVDd, SV, CI, IVCDには変化を認めなかった. EF, FS, EPSSでは改善を示した. 以上の結果より3年間の観察で軽度圧負荷は認めるものの容量負荷・心仕事量の増大を認めず, 左室収縮能や拡張期コンプライアンスは保持されていることが認められた. (3) 降圧剤使用例と非高血圧例での比較では, 適正な血圧管理がなされていれば高血圧合併例においても心機能の増悪は認めなかった. (4) 注排液による心臓電気軸の偏位は生理的範囲内であり, 注排液操作による心臓への位置的影響は少なかった.
    今回の成績を以前当施設で行ったHD患者における心機能の経年変化と比較してみると, CAPD患者においては心仕事量の増大を認めず, 左室収縮能や拡張期コンプライアンスが保たれ, 長期HD患者に認められた経年変化より好ましい結果が得られた.
  • 佐中 孜, 川島 洋一郎, 田中 好子, 杉野 信博
    1989 年 22 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    蛋白結合性ToxinとしてのHippuric acid (HA), Indoxyl Sulfate (IS) の測定法を確立し, 透析療法実施中の慢性腎不全患者におけるこれらの動態について検討したので報告する.
    慢性腎不全のために血液透析中の患者38名, Ccr 50-60ml/minの腎不全患者4名, 健常者4名を対象として, 高速液体クロマトグラフィーにてIS, HAを定量した. なお, 透析前後の採血に際しては, 血漿のほかに, 血球も採取した. 得られた測定値をもとに, 蛋白漏出膜を含む各種ダイアライザーのIS, HAに対するクリアランス, 透析に伴う推測除去量と実測除去量との差などを算定した.
    対象患者のIS, HAの血漿濃度は, それぞれ4.05±1.07mg/dl, 2.81±1.48mg/dlで, これらはそれぞれ健常者の10-20倍, 30-60倍にあたる. IS, HAに対する従来の透析膜の限外濾過=0ml/minにおけるクリアランスは, HAについては分子量から推察されるクリアランスを示したが, ISは13-17ml/minと極めて低く, これを除去するためには蛋白漏出膜 (ハイパフォーマンス膜) を使用し, かつ, 限外濾過をかける必要があるものと判断された.
    透析による推測除去量と実測除去量の差をみると, IS, HAのいずれも, 実測除去量のほうが多くなる傾向にあった. これは, 血球と透析膜との相互作用の結果, 血球からの解離が比較的速やかに行われるためであると考えた.
    以上, 長期透析患者では, HA, ISなどの蛋白結合性Toxinが体液中に大量に貯溜しており, ISについては, それを除去するために蛋白漏出膜 (high performance membrane) を用いた血液濾過法~血液濾過透析法を実施する必要があるものと推察された.
    なお, HAは, 本研究の当初の予想に反して, 透析性は比較的良好であるとの成績がえられた.
  • 大平 整爾, 阿部 憲司, 佐々木 偉夫, 山本 宏司, 山田 俊次, 御園生 潤
    1989 年 22 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1989/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患考に対しても各種の手徳が積極的に行われる傾向にある. 私どもは最近, 比較的報告の少ない肺切除術を経験したので供覧する. 症例: 58歳, 女子. 慢性腎不全のため, 昭和62年5月26日血液透析に導入されている.
    肺結核の既彼は否定したが, 導入直前の胸部X-Pで右上葉外側にほぼ円形の陰影が認められていた. 患者は若干の咳を訴えるのみであった. 尿毒症症状が強く, 緊急透析導入となったため, 精査が遅れた. 胸部CTでは辺縁明瞭で脈管の巻き込みはなく内部のdensityが高く, 石灰沈着が推定された. この陰影は漸次, 増大したため, 気管支鏡下に生検を施行して, 扁平上皮癌と診断惑れた. 手術は3日間連続して透析を行った後, 右上葉切除術を施行した: 腫瘍は右上葉S3に限局しており直径約3.8cmの球状であった. 組織学的には未分化扁平上皮癌で, 同側肺門リンパ節には転移はなかった. Stage la-T2N0M0と最終的に判定された.
    一般肺機能は, 術後約10-15%の低下に止どまり患者は十分, 手術に耐え経過良好であった.
    過去5か年に北海道の透析患者に発生した悪性腫瘍は107例でこの内, 肺癌は10例, 9.3%であった. これは, 胃癌 (26.2%), 大腸癌 (15.9%), 腎癌 (11.2%) に次いで, 肝癌とともに第4位を占めた. これ等10例の肺癌の診断後の予後は3か月未満死亡5例に見えるように極めで不良であった.
    透析患者の胸部X-Pは1-3か月に -回は撮影される定期検査の-つであり, 慎重な読影が望まれる. なお, 肺癌における化学療法の意義は大きいが, 透析患者の特牲を十分考慮した化学療法剤の使用指針は未だなく, この方面の検索は急務である.
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