日本透析療法学会雑誌
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22 巻, 3 号
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  • 小高 通夫
    1989 年 22 巻 3 号 p. 221-304
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 大場 春子, 保科 輝子, 矢吹 清一
    1989 年 22 巻 3 号 p. 305-308
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    特発性低血圧を有する慢性腎不全, 29歳男性の血液透析を10年間経験し, 主として血圧変動, とくにその下降状態を中心に観察した.
    さらに酢酸透析と重曹透析の状態を比較する機会を得た.
    透析導入時より血圧は低く, 8年間酢酸透析を施行し, 非透析時血圧は逐次軽度低下し, 透析施行中も軽度の血圧下降や症状発生はあったが, 昇圧剤, 対症療法により回復した. 重曹透析に換えてから現在まで2年間, 透析はより安定し症状の発生はない.
  • 中野 広文, 張 斉昌, 玉井 桂, 石本 二見男
    1989 年 22 巻 3 号 p. 309-313
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 血液浄化法の一つであるCAPDは広く普及しているが, それにともなう硬化性腹膜炎が問題となってきている. 硬化性腹膜炎はIPDあるいはCAPDのいずれにも起こりえる比較的稀な合併症である. しかし, 進行すれば腹膜透析の続行が不可能となり, 更にイレウスを併発し予後不良であるため重要な合併症である. 我々は, CAPD腹膜炎を繰り返し, 後に癒着性イレウスを併発した硬化性腹膜炎の一症例を経験した. 症例は54歳の男性で, 昭和59年5月より慢性腎不全のため血液透析導入となったが透析困難症のため, 同年6月20日よりCAPDに変更した. しかし, 頻回に腹膜炎を繰り返し透析効率が低下したため臨床的に硬化性腹膜炎と診断し, 昭和61年12月より再度血液透析へ変更した. その後, 昭和62年1月イレウスを併発, 内科的治療に抵抗するため直ちにイレウス解除術を行った. その際, 腸管はほぼ一塊となり, 肥厚した漿膜により形成されたcavityに腹水の貯留を認め, 典型的な硬化性腹膜炎の所見を呈していた. 本例はCAPD中止後10か月を経過して癒着性イレウスを合併した硬化性腹膜炎の一例であり, 本邦での報告はきわめて稀である. 硬化性腹膜炎は予後不良な疾患であるが, 早期診断に基づく透析法の変更, およびイレウスに対する適切な早期の外科的治療を行えば長期予後の改善が期待出来ると考えられた.
  • 大段 剛, 奥山 寛, 小林 力, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三, 西山 謙一, 高橋 淳子, 林田 順, 関口 高, 加藤 正人 ...
    1989 年 22 巻 3 号 p. 315-319
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    遺伝子工学によるヒトエリスロポエチン (rhEPO) は, 多くの臨床治験によって腎性貧血を確実に改善することが立証されつつある. しかしその一方で, ヘマトクリット (Ht) の上昇が透析効率の低下やダイアライザー残血の増加など, 透析技術上の問題点を起こすことが懸念されている. 本研究では貧血改善がこれら透析技術上の問題点に及ぼす影響を検討した.
    対象は安定期透析患者35例で, エリスロポエチン投与前2か月間とHtが10%以上上昇した時期の2か月間について, 透析効率, 残血の程度, ヘパリン使用量を比較検討した.
    透析による除去率はBUNでは有意の変化は認められなかったが, クレアチニン (Cr) と尿酸の除去率は有意に低下した. しかし, これらの透析前値には有意の変化は認められなかった. 透析前値が上昇すると除去量が増加するため, この程度の除去率の低下では透析前値に有意の変化をきたさないためと考えられる. 血清K濃度の透析前値にも有意の変化はみられなかったが, 透析前K濃度が6mEq/l以上に上昇した例が35例中7例にみられ, うち5例ではカリメートの投与を必要とした. ダイアライザー内残血についても有意の増加は認められなかったが, 残血指数1度以上の増加を示した例が8例 (23%) あり, うち6例ではヘパリンの増量を要した.
    以上の成績より, エリスロポエチン投与による貧血の改善が, 透析効率の低下と残血の増加をきたす傾向のあることは否定できない. いずれも既存の透析技術で対応可能の範囲の変化であるが, 症例によっては高度になる可能性があり, 血清K濃度やヘパリン使用量に十分注意する必要がある.
  • 大平 整爾, 阿部 憲司, 長山 誠, 今 忠正, 石神 達三
    1989 年 22 巻 3 号 p. 321-329
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者の血清β2-マイクログロブリン (β2-MG) は, 透析導入時に既に高値を示している. 本値は透析開始後, 尿量の減少と共に急上昇し一旦, プラトーに達した後, クプロファン膜透析を長期継続すれば漸増し, 透析期間が10年前後に至ると本値が漸減する症例が散見されるようになる. PMMA, EVAL, PAN (AN-69) 膜透析群, CAPD群における血清β2-MGレベルはクプロファン膜透析群に比較して明らかに低値を維持した. 血清β2-MG値に影響を与える因子としては, (1) 尿量の減少 (2) 透析膜・透析方法, 透析血液量 (dialyzed blood volume) (3) 感染症 (4) 年齢 (栄養状態, 筋肉量) (5) 透析期間などが重要である. 血清Cr, BUNはいずれの膜を使用しても透析終了後次回治療までにほぼ直線的に増加しており, 血管外プールから血管内への移行はコンスタント, スムースに行われるものと考えられた. 一方, 同様な変化を血清β2-MGについてみると, PAN (AN-69) 膜のようにβ2-MG除去能を有する膜によるHD, HDFでは, 治療終了後の同値の上昇は二相性であった.
    従って, β2-MGは血管外の少なくとも二つの異なったプールに存在し移動係数に大差があるものと予測された.
    臨床的に観察すると, β2-MGと関連の深い手根管症候群およびアミロイド骨症の両者は, いずれも透析期間の延長と共に出現頻度が高くなることが確実であった.
    しかし, これらは血清β2-MGレベルと単純には相関していなかった. AI骨症におけるDFOテストのような蓄積量をより正確に把握する方法が必要となろう.
    今後, 透析方法はβ2-MG除去能を高める方向へ向かうであろうが, これによるmeritとdemeritの慎重な検討も向後の重要な課題の一つであろう.
  • 鷹橋 浩, 脇田 邦彦, 見田 登, 宮崎 滋, 表 哲夫, 佐々木 寛, 尾崎 信彦, 後藤 聡, 高村 春雄
    1989 年 22 巻 3 号 p. 331-335
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者に, 脳動脈瘤によるクモ膜下出血を併発した症例を2例経験した. 症例は50歳の男性 (Hunt Grade I) と38歳の女性 (Grade IV) で, 両症例とも頭部CT所見よりクモ膜下出血と診断し, 脳血管造影後, 減圧開頭neck clipping術を施行した. 術後は脳ヘルニアを防止するため減圧開頭を施行し, 脳浮腫の予防として高浸透圧製剤およびステロイドを通常の脳動脈瘤症例と同量使用した.
    また透析はクモ膜下腔内の出血防止と, 厳密な体液管理を行う目的で, 連日無ヘパリン透析を施行した. さらに透析による血漿浸透圧低下を防止する目的で高Na透析および高浸透圧製剤の持続点滴を行った結果, 透析中の血漿浸透圧, 頭蓋内圧および意識レベルをほぼ一定に保つことができた. 現在は両症例とも独歩可能で経過は良好である. 従って, 慢性腎不全という背景が存在した場合でも, 通常の脳外科的治療を基本として, 適切な血液浄化法を選択し, 施行すれば, 積極的な治療も充分可能であると考えられた.
  • IIa型およびV型高リポ蛋白血症に対する検討
    伊藤 博夫, 石井 寿美, 街 稔, 武田 佳代子, 中村 一路, 長瀬 光昌, 川村 光信, 内藤 周幸
    1989 年 22 巻 3 号 p. 337-342
    発行日: 1989/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Dextran-sulfate cellulose (DSC) のリポ蛋白吸着に対するリポ蛋白脂質構成の影響をin vivoでみるために, cholesterol (Chol)-richリポ蛋白の増加しているIIa型FHホモ接合体, IIa型FHヘテロ接合体患者およびtriglyceride (TG)-rlchリポ蛋白の増加しているV型高リポ蛋白血症患者に対して, DSCを用いたLDL-apheresisを施行して検討した.
    IIa型およびV型高リポ蛋白血症のいずれにおいても, Chol, TG, phospholipid (PL) の除去率は低比重リポ蛋白 (LDL) において最も高く, 粒子サイズの大きなリボ蛋白ほど除去率は低かったが, 高比重リポ蛋白 (HDL) はほとんど除去されなかった. アポリポ蛋白 (apo) ではapo Bとapo Eの除去率が高く, Apo A-I, A-IIはほとんど減少しなかった. また, 膜型血漿分離器による血漿分離能は, IIa型に比べてV型では著しく不良であり, 主として粒子の大きなリポ蛋白が増加している高リポ蛋白血症では, 膜型血漿分離器よりはむしろ遠心器による血漿分離が好ましいと思われた.
    一方, DSCを用いたLDL-apheresisにより, FH患者では黄色腫, アキレス腱厚の退縮や負荷心電図所見の改善がみられ, V型高リポ蛋白血症患者ではカイロマイクロン血症症候群による腹痛発作の消失が認められた.
    以上の成績より, DSCへのリポ蛋白吸着は脂質構成にはほとんど影響されないことが示唆され, DSCを用いたLDL-apheresisはIIa型のみならず, IV型やV型の高リポ蛋白血症にも有効である可能性が示唆された.
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