日本透析療法学会雑誌
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23 巻, 4 号
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  • 倉持 元, 片桐 正則
    1990 年 23 巻 4 号 p. 347-350
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者における代謝性アシドーシスのカルシウム (Ca), リン (P) 代謝に及ぼす影響を検討するために, 対象として現在まで特に食事療法は受けておらず, さらに最低1年間はP吸着剤, ビタミンD3製剤やアルミニウム (Al) 含有の制酸剤などを服用したことのない非糖尿病性慢性透析患者23人において, 同状態にて最低3か月間経過観察し, 透析前の重炭酸イオン (HCO3-), Ca, P, アルカリフォスファターゼ (ALP), C-PTH, BUN, マグネシウムを定期的に測定し, HCO3-とCa, P, ALP, C-PTHとの関連性の有無について検討した.
    HCO3-とPとの間には, 有意な逆相関関係が認められた. y=-0.59x+16.46, r=-0.674, p<0.01. またHCO3-とCa・P積の間にも, 有意の逆相関関係が認められた. y=-4.72x+134.65, r=-0.613, p<0.01. しかしHCO3-とCa, ALP, C-PTHとの間には, 有意の関係は認められなかった.
    よって, 維持透析患者において, 代謝性アシドーシスは間接的に高P血症を介して, 腎性骨異栄養症の成因に関与している可能性が示唆された. また代謝性アシドーシスの是正は, 高P血症に対して投与されるAl製剤の投与量の減量に対しても有用であると思われた.
  • 与古光 猛, 久保 博, 和泉 雅章, 和田 晃, 藤田 芳正, 田中 善, 白井 大禄
    1990 年 23 巻 4 号 p. 351-354
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    従来より使用されている上部より血液が滴下して流入する型の静脈側エアートラップチャンバーでは血液透析の時間経過と共にチャンバー内の液面が上昇する. この液面上昇の原因は液滴下による小さな気泡発生とその気泡のチャンバーよりの流出によるものであり, その流出量は血漿を用いて測定すると2時間当り最大約3.5mlと推定された. 一方, 静脈側エアートラップチャンバーの血液流入部を液面下に配すると, 気泡の発生・流出は全く見られず, また液面の上昇も認められなかった. 以上の成績から, 血液透析に用いる静脈側エアートラップチャンバーは血液流入部を液面下に配し気泡が発生しない型のものを使用する必要がある.
  • 須賀 孝夫, 松本 行夫, 中島 桂子, 宮崎 正信, 遠藤 正之, 野本 保夫, 堺 秀人
    1990 年 23 巻 4 号 p. 355-359
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    昭和61年10月より63年9月まで外来通院中のCAPD患者55名に出現した33回の出口部感染 (1/24.1患者・月) に対し, 第一選択薬として塩酸バンコマイシン (VCM) を20mg/kgを隔週で4週間, 静脈内投与した. 出口部感染の起炎菌は黄色ブドウ球菌が24例, 表皮ブドウ球菌が3例, コリネバクテリウム2例とグラム陽性菌が29例, 87.9%であり, その他はセラチア2例, アシネトバクターとノカルジアが1例ずつであった. VCMはグラム陽性菌による出口部感染の27例に有効であり, 全体に対しては81.8%, グラム陽性菌に対しては93.1%に有効であった. 出口部感染の頻度は欧米に比し高く, 我が国の多湿な気候が関連していることが示唆された.
    副作用は数例に掻痒感が出現したが, 投与速度を遅くすることにより軽快した. VCMは週1回の投与で有効であり, CAPD出口部感染はグラム陽性菌が多く, 外来での管理に有用であると思われた.
  • 戸津崎 茂雄
    1990 年 23 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1971年から総計45名の患者に, 透析時間を十分にとった週2回 (1週間の合計透析時間を16-24時間とする) の維持血液透析治療を施行してきた. 死亡した患者は6名である. 現在までこの方法で維持して, 透析歴が10年以上になった患者が14名いる. この患者群の分析を行った. 14名の患者の社会復帰の状況は, 週6日労働日 (完全社会復帰) の者が4名, 週4-5日労働日の者が4名, 主婦が3名, 老後が2名で, 失明により労働不能の者が1名であった. 自己評価による透析ライフに対する満足度 (=治療受容性) は良好で, 平均すると68%の満足度であった. また14名のうち10名に合併症が重複して認められた. 手根管症候群のために開放術を要した患者は4名であり, 全例で手術部にアミロイドの沈着が証明され, 肩を中心に多発性の骨関節痛を伴っていた.
    透析時間を十分に長くとった週2回の維持血液透析治療の方法は, 患者の社会復帰の上からも, 透析ライフに対する満足度 (=治療受容性) の上からも, 合併症の出現頻度の上からも, 週3回透析の方法に比べて十分に対応できる遜色のない治療方法と考えられる.
  • 長坂 肇, 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗
    1990 年 23 巻 4 号 p. 367-370
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者において新しい腫瘍マーカーであるCA 50を測定し他のマーカーと比較検討をした. 臨床的に癌のない透析患者をグループ1 (95名, 平均年齢57.4歳, 平均透析期間5.3年) とし, 癌を有する, または癌の既往のある透析患者8名をグループ2とした. 健常な成人男女100名をコントロール群とした. 各群について腫瘍マーカーCA 50, CA 19-9, CEA, α-fetoprotein (AFP) を測定した. グループ1においてCA 50は13.7% (13例) の患者に陽性を示し, 同様にCA 19-9は20.0%, CEAは35.8%, AFPは0%の陽性率を示した. CA 50は膵および胆道系腫瘍のマーカーとして知られているが, 近年, 透析患者の剖検組織から膵炎を含む組織変化を呈する例が多いと報告されている. 透析患者では何らかの膵病変が高率に存在していることが考えられるので, 腫瘍マーカーとしてCA 50値を判定するうえで, このことを十分考慮すべきである.
  • 細川 進一, 大山口 渥, 吉田 修
    1990 年 23 巻 4 号 p. 371-375
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の合併症と微量元素の異常との関連を検討し, 合併症の予防と治療に役立てようとした.
    100例の長期血液透析患者で合併症のない患者の血清中のAl, Si, Zn, Mn, Ni値と神経障害, 骨障害, 貧血, 低栄養状態の合併症を有する透析患者のそれらの値との関連について検討した.
    合併症のない透析患者100例の血清Al値は8.6±1.1μg/dl (正常値: 0.7μg/dl以下) と高値であった. 同じくSi値も64±12μg/dl (正常値: 20μg/dl以下) と高値であった. Znは68±15μg/dl (正常値: 102±18μg/dl), Mnは0.2±0.1μg/dl (正常値: 0.6±0.2μg/dl), Niは0.2±0.1μg/dl (正常値: 0.5±0.1μg/dl) と低値であった. 神経障害を有する15例のAl, Si値は12±2, 86±15μg/dlで異常高値を, 骨障害を有する15例のAl, Si値も12±5μg/dl, 76±18μg/dlと高値であった. RBC, Hb, Ht値とAl, Si値は負の相関を, Zn, Mn, Ni値とは正の相関を示した. 栄養状態を示すTPおよびAlbとZn, Ni, Mn値は正の有意な相関を認めた.
    透析患者の高Al, 高Si血症は神経障害, 骨障害および貧血の原因の一つとなり得る. 低Zn, 低Mn, 低Ni血症は透析患者の貧血ならびに低栄養状態を起こす原因の一つであることが示唆された. Al, Si, Mn, Ni, Znの異常を是正することが合併症の予防に有効であると考えられた.
  • 打田 和宏, 小畑 拡嗣, 戎 直志, 阿部 富彌
    1990 年 23 巻 4 号 p. 377-382
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1980年から1983年の4年間に当センターで持続血液浄化を施行した症例は24例 (男性15例, 女性9例) であり, その年齢は生後60日から82歳, 平均61.4歳であった. 持続血液浄化法としては, 持続的に血液透析を行うnonmachinery dialysis (NMD) およびcontinuous hemodialysis (CHD), 持続的に血液濾過を行うcontinuous hemofiltration (CHF), 補充液を使用しないCHFで主として水分除去を目的として行うcontinuous ultrafiltration (CUF) が施行されていた. これらの持続血液浄化法を単独あるいは組み合わせて施行していたが, 24例中17例 (71%) に血液透析の応用であるNMDもしくはCHDを施行していた.
    既存の機器を使用して著者らが作成したCHD systemはCHDとCUFを必要に応じて随時切り替えて施行することが可能であり, CHD施行時の小分子物質のクリアランスは, 血液流量100ml/min, 透析液流量50ml/minにおいて, 尿素47.4±4.55l/min, クレアチニン50.4±3.22l/min, 尿酸47.4±4.50ml/minであり, 透析液流量を100ml/minに増加させることによってこれらはそれぞれ72.3±2.65, 68.4±2.06, 63.3±2.05ml/minに増加した. 透析液には重炭酸透析液を使用したが, その組成は作成後24時間を経過しても変化を認めなかった. 持続血液浄化において血液透析法の応用は, 小分子物質の除去能に優れ大量の濾液, 輸液の管理を必要としない点で血液濾過法の応用に比べ有用であり, CHDとCUFを併用することによって, 循環動態の不安定な腎不全症例に対しても安全かつ簡便に治療を行うことが可能である.
  • 本宮 善恢, 吉田 克法, 金子 佳照, 岡島 英五郎
    1990 年 23 巻 4 号 p. 383-385
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高度の二次性副甲状腺機能亢進症による腎性骨異栄養症を合併した維持透析患者2例に活性型ビタミンD製剤の一つ1α(OH)D3を8μg経口投与し, 経時的に血中1,25(OH)2D3濃度並びに血中intact-PTH濃度を測定した.
    その結果, 1例においては投与8時間目に1,25(OH)2D3濃度211.0pg/mlの最高血中濃度が得られ, intact-PTHレベルも低下が認められたが, 他の1例においては, 1,25(OH)2D3最高血中濃度は112.0pg/mlにとどまり, intact-PTHレベルの低下も認められなかった.
  • 添田 耕司, 小高 通夫, 落合 武徳, 嶋田 俊恒, 浅野 武秀, 磯野 可一
    1990 年 23 巻 4 号 p. 387-391
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎移植患者30例 (年齢35.6±7.5歳, 透析期間2.8±1.6年, 腎移植期間5.9±4.2年) と血液透析患者79例 (年齢46.7±10.5歳, 透析期間8.8±4.7年) とを, 症状や骨代謝指標について比較検討した. 骨関節症状は, 透析患者で62%であったが, 移植患者では6.6%と低率であった. 移植患者の血清クレアチニン値は1.6±0.6mg/dlで, 骨代謝は透析群に比し移植群で血清Caが高く, 無機リン, β2-microglobulin (β2-MG), アルミニウム, C-PTH, N-PTH, アルカリフォスファターゼは低かった. 移植群のオステオカルシン値は15.3±20.1ng/mlで, 透析群の約1/4であったが, 正常値上限の約3倍であった. MD法のMCIスコア, ΣGS/Dスコア, 総スコアでは, 透析群と移植群に差はなかった. 手根骨のcystic radiolucencyは移植群の24%に認められた.
    移植腎機能の改善とともに骨代謝も改善するが, オステオカルシンが高値であり骨代謝回転は正常化しておらず, MD法各スコアも高く骨病変の改善は認められなかった. 腎移植による骨代謝改善は数年を要するものと思われた.
  • 玄番 希恵子, 園生 雅弘, 奥津 一郎, 浜中 一輝, 西山 啓介, 大坪 公子
    1990 年 23 巻 4 号 p. 393-398
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は皮下鏡視が可能なUniversal Subcutaneous Endoscope systemを用いて, 鏡視下に横手根靱帯切離を行う新しい手術法を開発した. 本手術法は観血手術に比べて手術侵襲が少なく, また局所麻酔下に空気止血帯を使用しないで手術を行うため, 透析患者のシャント側手術においてもシャントの閉塞を起こさない利点がある. 1986年より, 長期血液透析に伴う手根管症候群患者に対して, 本手術を行った. 今回, 手術の有効性を電気生理学的回復の程度から検討した. すなわち, 手関節部での伝導の指標に正中神経のdistal sensory latencyとdistal motor latencyを用い, 手術前後で改善の程度を検討した. 症例は, 男性20症例32手, 女性26症例36手の合計46症例68手である. 年齢は33-80歳で平均52.7歳であった. 血液透析期間は7-19年で平均13.1年であった. 両側発症は22症例44手, 片側発症は24症例24手であった. シャント側の発症は39症例39手, 非シャント側の発症は29症例29手であった. 術後の検査は, 手術の翌日より最高119週 (平均29.2週) まで経時的に追跡検査した. Distal sensory latencyとdistal motor latencyは, 術後12か月で再発した1症例を除き, ほとんどの症例で術後24週以内に正常に近く回復し, その後, ほぼ一定の値を示した. Distal sensory latency, distal motor latencyにおいて, 術前異常値を示した症例中, 術後の計測で正常値に回復した症例数の割合を改善率として求めた. Distal sensory latencyの改善率は56.7%, distal motor latencyの改善率は38.5%であった. 今回の検討では, 内視鏡を用いた皮下横手根靱帯切離術の電気生理学的回復は, 観血手術による従来の報告と同様であった.
  • 小田 弘明, 武政 敦夫, 小川 貴彦, 金原 幸司, 頼岡 徳在, 重本 憲一郎, 有田 美智子, 原田 知, 浜口 直樹, 高杉 敬久
    1990 年 23 巻 4 号 p. 399-404
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者 (HD患者) の腎性骨異栄養症 (ROD) の詳細を知る目的にて慢性血液透析患者88例 (男性59例, 女性29例), 健常者60例 (男性30例, 女性30例) においてmicrodensitometry法を用いて骨量を測定した. 更には得られた骨量と臨床的諸因子, 治療との関連性について多変量解析により検討した. その結果, 1. 40歳代のHD患者では同年代の健常者に比しMCIの有意な低下が認められた. 2. MCIの低下に寄与すると考えられる項目は, 年齢60歳以上, 透析期間61か月以上, オステオカルシン10.1ng/ml以上, 血清カルシウム5.0mEq/l以下, 抗リン剤としてアルミゲル, 炭酸カルシウム単独投与等であった. 3. 30-50歳代のHD患者では同年代の健常者に比しΣGS/Dの有意な低下が認められた. 4. ΣGS/Dの低下に寄与すると考えられる項目は, 透析期間61か月以上, 年齢40歳以上, 性別女性, フェリチン251ng/ml以上, オステオカルシン10.1ng/ml以上, C-PTH 3.1ng/ml以上等であった. 以上より, RODの進展防止にはMD法による骨量指標と共に各種臨床的諸因子を総合的に判断し, 少なくとも適切なる抗リン剤, ビタミンD3の投与が重要であると考えられた.
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 405-407
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 408-409
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 410-412
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 413-415
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 416-418
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 419-421
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 422-424
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 425-427
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 428-429
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 430-432
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 433-435
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 436-437
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 438-440
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 23 巻 4 号 p. 441-442
    発行日: 1990/04/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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