日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
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24 巻, 11 号
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  • 酒井 糾
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1437-1445
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 小野 慶治
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1447-1451
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎不全症でのβ2-ミクログロブリン (β2-MG) およびアミロイド (Aβ2-MG) の沈着は関節障害を惹起する原因であるのか, あるいは既存の障害関節に二次的に沈着した結果であるのか, マウスを使って実験的に検討した.
    18匹の純系DBA/1Jマウスで右腎摘を行い6匹ずつの3群に分けた. 第1および2群のマウスを子ウシ関節II型コラーゲンとFreundの完全アジュバンドの乳化液を抗原として免疫し四肢にコラーゲン誘発関節炎を発症させた. この第1群と関節炎が発症していない第3群のコントロールマウスにヒトβ2-MGを1日に100-300μg, 1-10日間皮下に注射した. 関節炎の有無にかかわらず第1および3群のヒトβ2-MG投与マウスでは四肢の骨髄や関節滑膜にヒトβ2-MGが沈着した. しかし, 第2群のヒトβ2-MG非投与マウスでは関節炎が発症しているにもかかわらずヒトβ2-MGの沈着は認められなかった.
    これらの結果から血中のβ2-MG濃度が上昇すれば, β2-MGが親和性のある骨や関節領域に一次的な現象として沈着すると考えられる.
  • 佐藤 成明, 太田 真, 副島 道正, 田中 博, 杉本 健一, 高見沢 重隆, 田村 忠司, 宇都宮 正範, 小野 益照, 川口 良人, ...
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1453-1461
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者の虚血性心疾患を管理する上で, 運動負荷心筋シンチグラフィーの有用性を検討した. 対象は血液透析 (HD), CAPD治療群を含めた慢性腎不全患者26例および健常対照 (control) 群7例で, 運動負荷心筋シンチグラフィーは, 座位エルゴメーターによる多段階運動負荷試験にて行った.
    運動持続時間はcontrol群に比してHD, CAPD群で有意に短く (p<0.001), 最高到達心拍数はHD群で小 (p<0.05) であった. HD, CAPD群は運動耐容能が低く, 心電図による虚血性心疾患の診断不能例が多かった. 慢性腎不全患者26例中, 左室肥大を15例 (57.7%), 虚血性心疾患を5例 (19.2%) に認め, 4例の心電図虚血性変化偽陽性例を検出した.
    慢性腎不全患者におけるタリウムの心筋でのwashout rateは, control群に比して大で (p<0.001), Ht値と有意な負の相関 (r=-0.70, p<0.001) を認めた.
    運動負荷心筋シンチグラフィーは虚血性心疾患に対する診断精度が高く, 非侵襲的に反復して行えるため, 慢性腎不全患者の虚血性心疾患を検出する上で有用であった.
  • 横井 徹, 和田 淳, 森信 暁雄, 全 勝弘, 関川 孝司, 川野 示真子, 永山 恵子, 池田 弘, 浅野 健一郎, 福島 正樹, 山本 ...
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1463-1469
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1989年7月から1990年9月までの15か月間に経験したパラコート中毒例6例に対し, 胃洗浄, 血液吸着 (DNP), 強制利尿に加えて, ポリエチレングリコール含有電解質溶液Golytelyを用いた72-96時間の連続的な腸洗浄を行い5例を救命した. 救命例5例では, 治療開始後比較的短時間で尿中パラコート定性反応は陰性化し, 全例後遺症なく1か月後に退院した. 死亡例1例は大量服用例で, 尿中パラコート定性反応は陰性化せず, 多臓器不全に陥った.
    パラコート中毒治療の要点は本剤の体外への速やかな排泄である. 現在治療は腸管洗浄と血液浄化, 強制利尿を組み合わせて行われているが, 腸洗浄は電解質異常などをきたすため強力に行うことは難しい. Golytelyはこの欠点を補い, パラコートが腸管から体内へ吸収される前に速やかに排泄することによって本症を効果的に治療しうると考えられる. しかし本症のように腸管に広範囲の粘膜欠損を生じる場合は, 体内への多量の水分貯留をきたす場合があるので循環動態に注意が必要と考えられた.
  • 柴田 哲雄, 小田 東太, 住江 昭啓, 石井 孝典, 友 雅司, 金子 啓二, 那須 勝, 曲 泰男, 福島 克彦
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1471-1476
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の血液凝固・線溶の異常を明らかにする目的で, 新しく開発された凝血学的分子マーカーを用いて検討した. またエリスロポエチン投与後に貧血の改善した患者についても凝固・線溶動態を検討した.
    対象は34例の安定期にある慢性血液透析患者, 男性17例, 女性17例で, 平均年齢61.1歳, 平均透析期間4年5か月であった. α2-プラスミンインヒビター・プラスミンコンプレックス (PIC), FDP-E, FDP D-dimerは透析患者は健常者に比し有意に高値を示し, 線溶の亢進が示唆された. トロンビン・アンチトロンビンIII複合体 (TAT), 可溶性フィブリンモノマー複合体 (SFMC) は透析患者で有意に高値を示し凝固の亢進が示唆された. また, エリスロポエチン約3か月投与後に貧血の改善した患者18例 (男性7例, 女性11例, 平均年齢62.2歳, 平均透析期間3年11か月) についてPIC, TAT, SFMCを測定したところ, 3者のいずれも投与前に比し投与後で有意に高値を示した. 以上の結果より, 安定期の透析患者では凝固・線溶の異常がみられ, エリスロポエチン投与後貧血が改善すると, さらに凝固・線溶の異常が強調されることが示唆された.
  • 添田 耕司, 小高 通夫, 藤井 京子, 磯野 可一
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1477-1482
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の院内感染が出現しており, 透析センターとしても対策が必要となっている. 千葉大学の第2外科と人工腎臓部でのMRSA感染例について, その治療と対策について検討した.
    千葉大学第2外科では, MRSAが1981年より認め1985年に急増し, 1991年6月まで181例分離され76例が重症例であった. 1989年より手術症例にMRSA感染例を認めた. その後はICUで治療をうけた急性腎不全例や慢性透析患者手術症例合計11例にMRSA院内交叉感染が認められた. 血液透析患者手術後MRSA感染症例5例のうち3例に, MRSA肺炎のためバンコマイシンを経静脈的に投与し治療した. その初期投与として1.0g/日を2日間投与し, 以後は0.5g/日を週2-3回血液透析後に投与するのが推奨される. 感染予防対策として, 重症例では個室透析, ガウンテクニック, 手指消毒が必要であり有効であった.
  • Hisashi Oda, Hidehisa Satta, Sumi Tanaka, Nobuyoshi Takagi, Yasuo Toki ...
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1483-1488
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ヒト心房性Na利尿ペプチド (hANP) は, 水・電解質バランス, 血圧調節に重要な役割を果していると考えられている. 我々は慢性血液透析患者の血漿hANP濃度の測定を行い, その臨床的意義と経年変化について検討した. 血漿hANP濃度は, 19人で血液透析の前後で測定され, 36人では透析前の値について, 1年後の測定値と比較検討した. 血漿hANP濃度は透析後262±38pg/ml (mean±SE) から164±19pg/mlへ有意に低下した. 透析による血漿hANP濃度の変化と体重の変化は有意の正相関を示した. 血漿hANP濃度と平均血圧の間にも有意の正相関を認めた. 透析前に測定した血漿hANP濃度は1年後に測定した値と有意の正相関を示した. 1年後の血漿hANP濃度は, 前年の値に比べ有意に上昇していた. 血漿hANP濃度の値が1年後に著明な上昇を示し, 1,000pg/ml以上の高値を示した2例の患者は, 測定後9か月以内に心不全と不整脈により死亡していた. 以上より, 血漿hANP濃度は慢性血液透析患者の体重や血圧コントロールを反映し, ドライウエイト設定の指標になり得ると考えられ, さらにこれら患者において経時的にその測定値の変化をみることは心機能障害の有無, およびその予後の推定に有用であることが示唆された.
  • 太田 道男, 山海 嘉之, 熊谷 頼明, 太宰 利博
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1489-1493
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析中の急激な血圧降下を直ちに検知し, より安全な透析治療を実現するために, 血圧の連続計測法を考案した. 動静脈のシャント部の血圧が, 上腕血圧と相関が高いことを利用して, 患者に特別な負担をかけずに計測しようとするものである. このため新たに, 透析回路の血液ポンプの上流にも, エアートラップを設け, ダイアライザ下流側と併せて2箇所の圧力を測定した. これらの圧力と上腕血圧, 体外循環血流量の関係式を, 等価電気回路による解析により求めた. コンピュータにより, 回路圧の読み込みと上腕血圧の計算を行い, オンライン表示を行った. 従来のマンシェットによる血圧測定法と比較を行い, 本方法の有効性を確認した.
  • 高橋 則尋, 宮本 泰文, 湯浅 繁一, 万代 尚史, 由良 高文, 隅蔵 透, 宮内 昭, 宮野 恭匡, 三木 茂裕, 松尾 裕英
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1495-1499
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫を併発した慢性維持透析患者において, 腫瘍摘出術に際し, 体液量のコントロールや降圧剤の投与量を工夫することにより, 術前後の循環動態の安定化を図り, 安全に手術を施行し得た症例を経験した. 症例は45歳女性で, 昭和61年3月より慢性腎不全のため血液透析に導入された. 平成元年4月頃より透析終了後に発作性に血圧上昇, 頭痛, 嘔吐が出現, 腹部CTにて左副腎部の腫瘤を指摘され, 諸検査より左副腎の褐色細胞腫と診断された. 褐色細胞腫摘出術の術前処置として, プラゾシン0.5mg/日より開始し, 術前日には20mg/日まで増量, 推定される血管床の増加に伴い基礎体重も3.0kg上昇させた. その結果, 術中腫瘍摘出時に一過性の血圧上昇をみたのみで, 術前後の循環動態の大きな変動もなく, 安全に腫瘍を摘出し得た. また, その後の経過は良好で発作性の血圧上昇は消失した.
  • 須藤 治郎, 坂本 文和
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1501-1504
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の女性で, 心窩部痛, 嘔吐があり他医にてビラン性胃炎と診断された. その後顔面浮腫が出現し急性腎不全と診断され, 血液透析の目的で当院紹介入院となった. 入院時急性胆嚢炎があり, 急性腎不全, 細血管性溶血性貧血, 血小板減少があり, 溶血性尿毒症性症候群 (HUS) と診断した. 急性腎不全に対し血液透析, 急性胆嚢炎に対し抗生物質投与を開始し, 腎機能も回復し, 溶血性貧血, 血小板減少も回復した. 本例では抗凝固, 抗血小板療法, 血漿交換は行っておらず治癒した. 病因は胆嚢炎の起炎菌が産生するendotoxinによるものと考えた. HUSの治癒に関しては, 基礎疾患としての胆嚢炎に対する抗生剤治療が有効であった.
  • 江原 英俊, 兼松 稔, 出口 隆, 栗山 学, 坂 義人, 河田 幸道
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1505-1508
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は透析歴12年の53歳男性. 眼サルコイドーシスの既往がある. 1990年10月四肢末梢の脱力としびれが出現し, 原因不明のままステロイドパルス療法が奏効した. 1991年4月, 胃部不快感, 微熱を, さらに両肩痛を訴えるようになり, やがてせん妄が出現し, 意識混濁に至った. 意識障害の原因として高カルシウム血症が疑われ, プレドニゾロンとエルカトニンの投与により意識障害と高カルシウム血症がともに急速に改善した. 高カルシウム血症の原因としてサルコイドーシスが疑われ, 前斜角筋リンパ節生検の病理組織診断で証明された.
    本邦ではサルコイドーシスによる高カルシウム血症は稀であり, 血液透析患者に高カルシウム血症, 意識障害をきたしたサルコイドーシスの報告例は我々が調べた限り文献上認めなかった.
  • 兼村 三千彦, 永野 允
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1509-1512
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) 療法に導入となった女性Fabry病の1例を経験したので, 若干の考察を加え報告する. 症例は54歳の女性. 嘔気と下腿浮腫にて入院. 諸検査より, 慢性腎不全 (CRF)+肥大型心筋症と診断され, CAPD療法に導入となった. 一方, 患者の次男が蛋白尿の精査目的にて入院となり, 家族性腎炎を疑い腎生検を施行した. 電顕所見よりFabry病が疑われ, 血清α-galactosidase A活性を測定し, 確定診断が得られた. 患者は, CAPD導入後, しばしば心不全を生じ, 厳しい水分管理が必要であった. 導入より31か月後, 重篤な心不全にて死亡し, 剖検が行われた. 尿細管上皮等に, 特徴的なfoam cell化を認めたが, 糸球体のびまん性虚脱性硬化が著明であり, 血管系では, 動脈中膜のfoam cell化と内膜のfibroclastosisによる内腔の著しい狭小化が認められた. これより, CRFの成因は, ネフロンへの沈着物によるよりは, 細・小動脈への沈着による血管病変が主体を成すと考えた. 女性Fabry病で透析に導入となった例は極めて稀であり, 貴重な症例と考え報告した.
  • 原 郁夫, 松田 仁伸, 松茂 知, 土田 均, 竹下 篤範
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1513-1518
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    スチール症候群により手指潰瘍が悪化した強皮症の透析例を経験したので, 報告する.
    症例: 58歳, 女性. 30歳頃より, レイノー現象あり. 昭和62年冬, 両側第2指尖部に小潰瘍が出現した. 昭和63年12月, 咳嗽, 呼吸困難で, 他院入院. エコー上両腎は萎縮し, Cr 9.3mg/dlと, 慢性腎不全を呈した. 左手にタバチエール内シャントを作成し, 血液透析に導入された. しかし, 8か月後に閉塞したため, 左前腕橈骨動脈一嶢側皮静脈間に側々吻合にて再建術を行った. その後, 発熱, 多関節炎, 胸膜炎, 心膜炎が出現し, 平成元年10月, 当科入院となった. 強指症, 両手末節骨吸収像, 肺線維症より, 強皮症と診断した. プレドニソロンの投与で諸症状は改善したが, 2年1月, 左第3指尖部に潰瘍出現, 疼痛を訴えていたが, とくに透析開始後よりシャント側左手の冷感, 蒼白化, 疼痛が増悪, いわゆるスチール症候群を呈した. その後, 左第5指尖部にも小潰瘍が発現し, 難治性であった.
    強皮症は, その血管病変のためにスチール症候群が発生しやすい病態と考えられ, 本例のごとく, 手指潰瘍の出現や増悪をきたす可能性があり, 血液透析を行う場合には, ブラッドアクセスの作成方法, 部位の選択などの慎重な検討が必要と思われた.
  • 捧 博輝, 鈴木 芳樹, 下条 文武, 犬塚 貴, 荒川 正昭
    1991 年 24 巻 11 号 p. 1519-1523
    発行日: 1991/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    52歳女性. 1989年7月28日, 慢性腎不全のため当科に入院した. 血清ナトリウム (Na) 濃度は123mEq/lと低値であった. 高窒素血症のため透析に導入したが, 血清Naは透析前後で112から131mEq/lに上昇した. 3日後の第2回透析中より, 右優位に上下肢にアテトーゼ様の不随意運動が連続的に出現した. 透析の中止により, 症状は軽減したが, その後も断続的に出現した. 血清Naは, 第2回透析前後で127から138mEq/lに上昇した. Clonazepamを使用したところ, 不随意運動は軽減し, 7日後には消失した. 神経学的には, saccadicな眼球運動と四肢深部腱反射充進を認めた. 頭部CTとMRIでは, 左右前頭葉の微小な陳旧性梗塞巣の所見だけで, 脳波にも異常所見はなかった. 近年, 低Na血症の急速な是正に伴う神経障害, 特にcentral pontine myelinolysis (CPM) の発症が注目されている. 本例は, MRIで橋部に異常所見なく, CPMとは確診できなかったが, 透析による低Na血症の急速な是正が関与したと考えられる. 慢性腎不全末期には, 低Na血症がしばしば合併するため, その透析導入には, 電解質の是正の速度に十分な注意が必要と思われた.
  • 1991 年 24 巻 11 号 p. 1538
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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