日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
24 巻, 7 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 薄田 芳丸
    1991 年 24 巻 7 号 p. 871-875
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 添田 耕司, 小野田 昌一, 落合 武徳, 嶋田 俊恒, 小高 通夫, 磯野 可一
    1991 年 24 巻 7 号 p. 877-883
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎不全例, 腎機能正常例のβ2-microglobulin (β2-MG) の動態を検討する目的で, 血液透析患者457例, 腎移植例19例, 食道癌例16例の血中尿中β2-MG値について検討し, β2-MGの尿中排泄率, 1日尿中排泄量, 推定1日糸球体濾過量を算出し, 血液浄化のβ2-MG除去目標や腎移植による透析アミロイドーシスの治療の可能性について考察を加えた. 血液透析患者の血中β2-MG値は, 若年, 女性, 透析歴10年, 尿量減少者で高値であり, 透析器膜別では差がなかった. β2-MGの1日尿中排泄量と尿中排泄率から推定の1日β2-MG糸球体濾過量を算出すると, 腎移植例で162mg, 食道癌例で術前178mg, 術後119-241mgであった. 1日β2-MG産生量が180mgでは, 1回の血液浄化で500mg以上のβ2-MGの除去が必要で, この量の除去は間欠的血夜浄化法では不可能と思われる. 腎移植では, 血中β2-MG濃度は透析患者の1/10だが, cystic radiolucencyからみた結果では, 腎移植による透析アミロイドーシスの治療には, 有効性に問題があると思われた.
  • 山口 洋司, 上園 昭一, 永山 尚子, 上園 敦子, 潤田 裕二, 大坪 義信, 山下 亙, 原田 隆二, 有馬 暉勝
    1991 年 24 巻 7 号 p. 885-888
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全 (CRF) 患者における末梢血単球interleukin-1β (IL-1β), tumor necrosis factor-α (TNF-α) の産生能について検討した. CRF保存期患者5例, 透析患者6例, 健常人3例を対象とした. ヘパリン加末梢血からFicoll-Conrayを用いた比重遠心法で末梢血単球を分離した. IL-1βについてはlipopolysaccharide (LPS) 20μg/ml, TNF-αについてはLPS 20μg/ml+4β-phorbol 12β-myristate 13α-acetate (PMA) 10μg/mlで刺激し, 16時間培養後各上清中のIL-1βをELISA法で, TNF-αをRIA法で測定した. CRF保存期患者の末梢血単球IL-1β, TNF-αの産生能は, 健常人と比べて低下していた. また透析患者ではCRF保存期患者よりIL-1β, TNF-α産生能がやや高い傾向にあった. これらのことよりCRF保存期患者の末梢血単球IL-1β, TNF-α産生能は透析療法導入後に改善傾向を示すと思われた.
  • 鈴木 賢治, 山崎 親雄, 伊藤 晃, 山本 尚哉, 原沢 博文, 小林 正樹, 加藤 知重子, 増子 和郎, 藤浪 隆夫
    1991 年 24 巻 7 号 p. 889-896
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者における不整脈について, 透析患者117例を対象として24時間ボルター心電図による検討を行った. 透析患者では, その30%に透析中, あるいは透析終了後4時間の間に不整脈の増悪をきたす, いわゆる「透析誘発性不整脈」を認め, これらの症例の80%は心室性期外収縮, 57.1%は上室性期外収縮の増悪であり, 心室性期外収縮の48.6%がLownの重症度分類で3度以上であった. 透析誘発性不整脈群では非誘発群に比べ, 透析前の血清Ca値が有意に低く (p<0.01), 透析中は透析液のCaと血清Caとの濃度差が, 非誘発群に比べ大きくなるため, これによって生じる心筋細胞外の高Ca状態でtriggered activityが発現することにより, 期外収縮が増悪する可能性が考えられた. さらにこの群では, 年齢が高く, 糖尿病, 心疾患の合併比率が他群に比べ有意に高かった (p≦0.05) ことより, 心筋障害が透析誘発性不整脈に関与していることも示唆された. 多重ロジスティックモデルによる解析では, 高年齢 (p=0.023), 透析前低Ca状態 (p=0.034) は透析誘発性不整脈に対する有意な背景因子であった. 低K, 低Ca透析液使用による透析では期外収縮に対する影響は認めなかったが, 心機能低下症例では, 透析液中のCa, K濃度に対する配慮が必要と考えられる.
  • 椿原 美治, 飯田 喜俊, 今田 聰雄, 岩本 一郎, 白井 大禄, 田中 善, 藤井 良一, 赤垣 洋二
    1991 年 24 巻 7 号 p. 897-902
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析 (HD) 中の低血圧発作 (HIH) は深刻な合併症である. ドロキシドパ (DOPS) は, 経口投与が可能なnorepinephrine (NE) 前駆アミノ酸で, Shy-Drager症候群などに見られる起立性低血圧に臨床応用されている. 我々はすでに, HD患者においてもDOPSが有効に吸収されNEに変換し, HIHに対して有効例の存在することを報告した. そこで今回, 多施設における初期第II相試験を行い, 用量設定に関しても検討した. 5施設において, 処置を要するHIHを呈した週3回の慢性HD患者34例 (男14例, 糖尿病性腎不全〔DM〕12例) を対象とした. DOPSはHD開始1時間前に200mgから服用させ, 効果に応じて1週毎に100mgずつ, 400mgまで増量し6週継続した. 本試験中透析条件は一定とし, 一定の透析経過記載表を用い, 観察項目, HIHに対する処置を統一した. 全症例の比較でも, 透析中の最低血圧時, 透析終了時, 終了後立位時の血圧がいずれも有意に上昇した. また, HIHに対する補液量, 処置回数も有意に減少した.
    個々の症例の検討でも, 67.6%に有用性が認められ, 透析中の自覚症状の改善が73.5%に, 透析終了後の改善が64.7%に得られた. 副作用は3例に見られたが, 減量後消失し, DOPSの継続は可能であった. 最終投与量は200mg13例, 300mg7例, 400mg14例で, 400mg群の有用性は200, 300mg群に比べ有意に低値であった. 年齢, 透析期間と有効性には関連はないが, HIHの軽症な患者, HD前収縮期血圧の低い患者に有用率が高い. また, DM患者の有用率は慢性糸球体腎炎患者に比べ有意に低値であったが, 補液量, 処置回数は, 両者とも有意に減少した. HD前NE濃度は有用性と関連が認められなかった. 以上, HIHを呈する慢性HD患者の約2/3の症例にDOPSの有用性を確認した.
  • 松井 則明, 木本 成昭, 後藤 健, 篠原 紳介, 田中 千博, 藤原 秀臣, 野村 武男, 丸茂 文昭
    1991 年 24 巻 7 号 p. 903-907
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    rEPOによりヘモグロビン (Hb) 濃度が10g/dl以上に改善した長期透析患者8名に対し12週間運動療法を行い運動耐容能におよぼす効果を検討した. 運動療法はエルゴメータを使用し, 最大運動耐容能の80%より開始した. 運動時間は最初の3週間は10分, 以後は20分とした. 3週毎に負荷量を10ワットずつ増量した. 運動療法の前後で運動耐容能テストを行い, 経時的に血液ガス, 乳酸値, 呼気ガスなどを分析した. 運動療法前後でHb濃度の有意の変動は認められなかった. テスト中PaO2, PaCO2に有意の変動は認められなかった. 運動持続時間は13.2±1.8から15.8±1.2分へと有意に延長した (p<0.01) が, 最大酸素摂取量には有意の増加は認められず, 最大血中乳酸値が3.6±2.0から4.4±1.4mMへと有意に上昇した (p<0.05). rEPOにより貧血の改善した透析患者においては運動療法により運動耐容能は改善したが, 最大酸素摂取量の増加は認められず, 最大血中乳酸値の上昇を認めた. すなわち, 運動療法による運動耐容能の改善機序は好気的エネルギー代謝の改善によるのではなく, 嫌気的エネルギー代謝の発達によるものと思われた. 貧血改善による飛躍的酸素供給量の増加に比し, 摂取酸素量の増加は軽度にとどまり, 透析患者における末梢組織での好気的エネルギー代謝の障害が示唆された.
  • 安 隆則, 土師 一夫, 木村 玄次郎, 佐内 透, 今西 政仁, 河野 雄平, 小嶋 俊一, 倉持 衛夫, 尾前 照雄
    1991 年 24 巻 7 号 p. 909-912
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者に対する経皮的冠動脈形成術 (PTCA) の成績について検討した. 対象は1987年7月から1989年12月までに当センターで, PTCAを施行された慢性血液透析患者7例で平均年齢は57歳であった. 18有意狭窄病変に対してPTCAを試み, 冠動脈造影上16病変 (89%) の拡張に成功した. 入院中重篤な合併症は出現しなかったが, 1例は退院1週間後に心不全で死亡した. 平均14か月の追跡期間中3例はPTCA後7か月以内に再び狭心症が出現し, 再冠動脈造影上PTCA施行部位7箇所中2箇所 (29%) に再狭窄が認められた. 2例ともに2回目のPTCAが試みられ成功した. 虚血性心疾患を有する透析患者に対する冠動脈バイパス術は現在なおリスクが高い. これに比し, PTCAはより侵襲度が低く, 透析患者においても非透析患者と同程度の造影上の成功率であり, 効果的な治療法と考えられた.
  • 斎藤 絹子, 窪田 実, 田中 重光, 前田 国見, 斉藤 和洋, 浜田 千江子, 石黒 望, 大塚 和子, 海老原 功, 富野 康日己, ...
    1991 年 24 巻 7 号 p. 913-917
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当科ではCAPD患者全員に尿中白血球検出試験紙であるLeukostix®を毎朝使用させ, 腹膜炎の診断に応用している. 昭和62年6月より平成2年3月までの当科にてCAPDを導入した患者男性28名女性16名に対してLeukostix®を使用した. そのうちのCAPD腹膜炎を疑われた男性13例, 女性3例について, Leukostix®の結果と, 症状・排液の混濁・排液白血球数・末梢血白血球数とを比較し, CAPD腹膜炎の早期診断におけるLeukostix®の有用性を検討した.
    CAPD腹膜炎と診断された症例は, 16例中14例でそのうち13例 (92%) はLeukostix®陽性を示し, Leukostix®のgradeと排液白血球数との間には有意な正の相関が認められた. Leukostix®陽性, 腹膜炎症状および排液の混濁を認めCAPD腹膜炎と診断された症例は9例と最も多かった. 1例は腹膜炎症状や排液の混濁を認めなかったがLeukostix®が陽性を示し, その後の検査によってCAPD腹膜炎と診断された. Leukostix®のsensitivityおよびaccuracyは, 他のパラメータのそれに比し高値を示した.
    以上の結果からLeukostix®によるCAPD排液の検査は, 自宅において排液中の白血球数増加の有無を調べる簡便な方法であり, 腹膜炎症状および排液の混濁とともに, CAPD腹膜炎のパラメータとなり, かつ早期診断に有用と考えられた.
  • 奥山 寛, 伊藤 克佳, 大段 剛, 雨宮 均, 小林 力, 北岡 建樹, 越川 昭三, 小尾 容子, 本沢 孝友, 西山 謙一, 高橋 淳 ...
    1991 年 24 巻 7 号 p. 919-924
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Urea index (UI) を透析量の指標に, ハイパフォーマンス膜透析器 (HPM) を用いた短時間biofiltration (BF) を最大6か月間継続し, 各種溶質の治療前血清濃度の推移, 治療中の臨床症状について従来の透析器 (OD) を用いた重炭酸透析 (BCHD) を対照に検討した. また同-のHPMを用いた血液透析とBFの各溶質除去効果についても比較検討した. 対象は1回4-5時間, 週3回のBCHDを行っている安定期透析患者5名で, BFではNa濃度を140mEq/lに調整した重炭酸透析液のA液のみを透析液に用い, 置換液は等張重炭酸Na液 (ジュータミン®) を1.9l/h, 後希釈法で使用した. 治療時間はBCHD時のUIを保持するよう血液流量を調整し設定, 4.3±0.3 (BCHD) から3.3±0.3時間 (BF) に短縮させた. BF変更前後の治療前血清溶質濃度の推移では, HCO3は変更前18.1±2.5から22.6±2.6mEq/l, β2-microglobulin (β2-MG) は60.0±8.5から45.0±10.6mg/lと, BF変更後HCO3は有意の上昇, β2-MGは有意の低下を示し, 他の溶質には変化はみられなかった. 治療中の症状と処置は, 発生頻度, 程度, 処置回数等をindex化し定量的に比較したが, 変更前後で差は見られなかった. 同-HPMを用いたBCHDとBFで溶質除去効果を比較すると, BFがリン (P), β2-MGの除去率で有意の高値を示したものの, 除去量ではすべての溶質でBCHD, BF間に差は認められなかった. UIを指標として設定した短時間BFは, 最大6か月間の治療においても同-UIのBCHDをしのぐ十分な治療効果を示し, 治療時間短縮による不均衡症候群の増悪も認められなかった. また, 治療時間を短縮しても同-のHPMを用いたBCHDと同等の溶質除去効果が得られた. 以上よりUIは短時間治療の至適条件を設定する有用な指標で, BFは治療時間短縮のための有効な手段と考えられた.
  • 前田 浩利, 高橋 進, 矢内 充, 岡田 一義, 前島 司, 井上 通泰, 奈倉 勇爾, 波多野 道信
    1991 年 24 巻 7 号 p. 925-928
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    保存的療法を行い効果を認めなかったGrade 4以上のGuillain-Barré syndrome (GBS) 3例を経験した. 3例とも呼吸筋麻痺を認めていた. 我々は, 急性期にdouble filtration plasmapheresis (DFPP) を行ったところ著明な改善を認めたため, 自己免疫性疾患であるGBSの急性期に行うDFPPの有効性について検討した.
    症例1は18歳男性で四肢脱力, 呼吸筋麻痺の進行を認めステロイドのpulse療法にて改善を認めず人工呼吸器を装着した. DFPP施行によって, 施行中より自発呼吸を認めその後歩行可能となった. 症例2は22歳女性で, 歩行不能, 呼吸状態の悪化に対しステロイドのpulse療法を行うも効果を認めなかった. DFPP施行後, 呼吸機能は改善し筋力も次第に回復し後に歩行可能となった. 症例3は26歳男性で四肢の弛緩性麻痺, 右顔面神経麻痺の進行に対しステロイドpulse療法を行うも効果を認めなかった. DFPP施行したところ, 施行中より筋力の回復を認め, その後歩行可能となった. DFPPは各症例3日間連続で, 1回3lの交換とした.
    3例とも発症後比較的急速に呼吸筋麻痺を認めステロイドpulse療法にても効果を認めないような重症例であったが, DFPPを早期に施行したことは, 原因物質を除去し, 神経脱髄, 軸索変性を最小限にとどめる意味からも有効であると思われた.
  • 鷲尾 昌一, 小野 山薫, 奥田 誠也, 松崎 安, 西谷 博一, 中村 定敏, 福満 東馬, 玉置 清志, 藤井 弘二, 愼田 裕之, 平 ...
    1991 年 24 巻 7 号 p. 929-932
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病透析患者16名, 非糖尿病透析患者52名の心筋重量係数とそれに影響を及ぼす因子を検討した. 糖尿病は非糖尿病に比して, 心筋重量係数, 収縮期および平均血圧が有意に高値を, 透析歴が有意に低値を示した. 平均血圧と透析歴を一致させた糖尿病透析患者14名と非糖尿病透析患者14名を比較すると心筋重量係数は糖尿病透析患者が有意に高値を示した (200±74g/m2 vs 147±39g/m2, p<0.05).
    糖尿病透析患者16名を心筋重量係数175g/m2以上の8名とそれ未満の8名に分け, 透析歴, 血圧, 体重増加率ヘマトクリット, ヘモグロビンA1cを比較した. 心筋重量の大きな群はヘモグロビンA1cが有意に高値を示した (8.4±1.6% vs 6.6±0.7%, p<0.05). 糖尿病透析患者の心筋重量の増加には糖代謝異常が関与している可能性が示唆された.
  • 伊藤 八重, 宇須井 恵子, 桜井 寛, 竹沢 真吾
    1991 年 24 巻 7 号 p. 933-935
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ツムラ医療用漢方エキス製剤中のカリウム含量について検討した. カリウム (K) の測定を炎光光度法で行った結果, 小柴胡湯および柴苓湯のロット間のバラツキは, 変動係数として各々約3および6%であり, 大きな変動はみられなかった.
    1包が2.5gのエキス顆粒製剤14種のうち11種は15-25mgのKを含有しているが, 当帰飲子は約40mg, 防風通聖散は33mg, 補中益気湯は34mgであった. また1包が3.0gのエキス顆粒製剤である柴苓湯, 小青龍湯は29-34mgであった.
    1日3回服用する場合, これらエキス顆粒製剤から体内に入いるK量は概ね60-100mgであり, 1日の食事から摂取されるK量約1,000mgに比較してそれほど多くはない. しかし透析患者は一般に血中K値が上がりがちであるから, エキス顆粒製剤によるK摂取量を考慮しながら慎重に投与すべきである.
  • 淡河 美智子, 中村 克彦, 淡河 洋一, 三宅 範明, 横田 武彦
    1991 年 24 巻 7 号 p. 937-940
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者では難聴, 平衡機能障害などの内耳障害が高頻度に合併することが知られているが, 今回稀な突発性難聴を経験したので報告する.
    症例は55歳男性. 糖尿病性腎症にて血液透析導入2か月後に耳鳴りを伴う右突発性難聴を来した. 聴力像は平均93.8dBの高度感音難聴で, 薬物療法を行ったが, 聴力は回復しなかった. ウィルス感染の所見はなく, 内耳循環障害が原因と考えられた.
    文献的には本邦20例目に当る症例であり, 若干の考察を加え報告した.
  • 仲里 政泰, 井関 邦敏, 柊山 幸志郎, 安里 公
    1991 年 24 巻 7 号 p. 941-944
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は63歳の男性. 38℃台の発熱と咳嗽を主訴に某院に入院. 当時の腎機能はBUN 14mg/dl, Cr 1.1mg/dlであった. 約2か月後, 意識障害のため当科へ転院となった. 尿毒症 (BUN 224mg/dl, Cr 19mg/dl, K 7.9mEq/l) として直ちに血液透析を開始した. 腎生検像では糸球体障害はなく, 間質の著明な細胞浸潤が認められた. 計31回の透析を行ったが, 腎機能は回復せず, 外来にて維持透析を継続した. 透析開始約2年後より透析間の体重増加が見られないため透析を中止した. 透析離脱3か月後の腎機能は, BUN 46mg/dl, Cr 5.2mg/dl, CCr 10ml/minを示し, 腎長径は5cmであった.
  • 永井 弘, 浅野 和志, 上野 信一, 後藤 健, 篠原 紳介, 松井 則明
    1991 年 24 巻 7 号 p. 945-949
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    通院困難で, 長時間の透析に耐えられない糖尿病患者は週2回, 3時間透析を施行し長期間の良好な臨床結果が得られたので報告する.
    QB=180, QD=500 (AM 150M), C-urea 147ml/minの4時間透析より, QB=300, QD=750 (F80), C-urea 245ml/minの3時間透析とし, 不均衡症候群の予防のため, 透析開始時Na 155より終了時に140mEq/lに徐々に低下させるsodium gradient methodを用いた.
    透析間 (67 hours) における蓄尿成績では, 尿中urea, creatinine, Piなどの排泄は殆どなく残腎機能は無視しえた. 血液濾過法を用いた体液量の測定ではurea space 55%と算出され, 4時間透析でのurea index 1.21, 3時間透析では1.52と算出され, 尿素窒素に関しては十分な透析がなされていると考えられ, 長期的にもBUNの上昇は見られず, 他の小分子量物質の上昇も見られなかった.
    K, 無機リンの補正も十分で, pH, HCO3-の補正も適切で電解質異常, 酸塩基平衡の是正も十分であった. 透析低血圧の頻度も変わらず, 体重増加, CTRも変化が見られなかった. 長期的にも, 貧血の進行もなく, PTHに変化なく骨代謝などにも悪影響は見られなかった.
    糖尿病性腎症患者においても症例により透析時間のある程度の短縮は可能であり, 今回長期に短時間透析を施行し得た貴重な症例として報告した.
  • 小林 伸行, 津波古 幸彦, 松山 玲子, 藤永 三千代, 中本 雅彦
    1991 年 24 巻 7 号 p. 951-956
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析治療中に低血糖発作を合併した非糖尿病, 慢性腎不全の3症例を経験した. そのうち1例は臨床経過から抗菌剤エノキサシンによる低血糖の初報告例と考えられた.
    症例1は58歳, 男性で7年の透析歴を有する. 平成1年5月, 朝食を摂取せずに無糖重炭酸透析液による血液透析を開始し, 2時間後より発汗, 口渇, 全身倦怠感を訴えた. 意識障害も出現したため透析中止し, 血糖を測定したところ, 65mg/dlであった. グルコース静注により各症状の改善を見た. 症例2は69歳, 女性で, 夫が糖尿病, 高血圧で内服薬治療中である. 透析歴は5年で, 平成1年12月, 朝から起床せず昏睡状態にて緊急入院となった. 血糖は40mg/dlと低下しており, ブドウ糖静注により意識は回復した. しかし数時間後に低血糖発作が再発し, 24時間にわたりブドウ糖の静脈投与を必要とした. 発症前日に夫への処方薬グリクラジド40mgを降圧薬と信じて自己服用したことを, 低血糖回復から数日後に申告した. 症例3は78歳, 女性で, 透析歴は4年. 平成1年12月より38℃の発熱が出現し, 精査目的で入院となった. 尿路感染症と診断しエノキサシン600mgを投与した. 投与後3日目から発汗, 動悸が出現したが食後に回復した. 4日目の夜, 意識低下が出現し, 血糖が20mg/dlと低値であったため投薬を中止し, ブドウ糖静注をしたところ症状は消失した. しかし1時間後には低血糖発作が再発し, 翌日昼過ぎまで頻回の糖補給を必要とした. エノキサシン以外の投薬は継続したが以後低血糖の再発をみていない. 3症例とも低血糖発作回復後の各種画像診断, 内分泌学的検査等により, 低血糖をきたす器質的疾患の存在は否定的だった.
    血液透析中の慢性腎不全患者では非糖尿病患者でも種々の原因で低血糖発作をおこすことがあり注意を要する. またエノキサシンの大量投与時には低血糖の発現に注意する必要がある.
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 961-970
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 970-979
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 979-988
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 988-997
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 997-1006
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 1006-1015
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 24 巻 7 号 p. 1015-1031
    発行日: 1991/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
feedback
Top